一時期は重大な問題として扱われていた「待機児童」。2019年4月時点で、全国には1万6000人以上の待機児童がいることが厚生労働省の調べでわかっています。まだまだ子供の預け先で悩んでいる保護者は多いようです。 そんな時に必要とされる職業が、チャイルドマインダー。養成講座を受講することで民間資格を取得することができ、保育の現場に携わることができます。 今回は、実際に資格取得を目指している方に向け、仕事内容や気になる年収、働き方などを解説します。ぜひ今後の参考にしながらチェックしてみてくださいね。
チャイルドマインダーは英国発祥の「子供の保育に関わるプロフェッショナル」のこと。英国では1990年に国家職業資格となっていますが、日本では現在、民間資格となっています。
対象となる子供:0〜12歳までが対象。
1〜4名の少人数性の保育が特徴です。
日本の国家資格保有者でもある保育士が、30人前後を同時に保育するのとは異なる保育の方法です。少人数制ということもあり「個人」を大切にした保育ができるのも特徴で、質の高い保育を希望する保護者からは人気があります。
なるべく家庭に近い環境下で、保護者の価値観や意向に沿った個別保育をしてくれるのが、人気の理由のようです。
少し余談ではありますが、面白い話をお伝えしたいと思います。国民的アイドルグループ「嵐」のメンバーも、全員チャイルドマインダーの資格を取得しているのです。
過去にTBSで放送されていた「ひみつのアラシちゃん」の番組内にて、保育のコーナーのために全員が取得しました。その際、全員が90点前後で合格を果たしていたことから、あまり難易度は高くないことが分かります。
「子どもの保育をする」と聞いても、具体的な内容が思い浮かばない方もいるかもしれません。ここでは、主な1日の仕事内容をご紹介しましょう。
個別保育を大切にするチャイルドマインダーの役割として、時にはトイレトレーニングをおこなうなど、その子の「教育」に関わる場面もあります。
チャイルドマインダーの職場は、大きく分けると「在宅型」「訪問型」の2つです。
▶︎在宅型
自宅で子供を預かることになるが、保育施設として開設するには各自治体の定める設置基準を満たす必要があるため、確認が必要。自分に子供がいる場合も、在宅型なら預かった子供と一緒に自分の子供も見れるので安心。子育てしながら働きたい人には合うスタイルの働き方です。
▶︎訪問型
利用者の自宅で保育をする。
▶︎その他の働き方も
会社にある保育室、保育園、派遣会社に登録し指定された場所で働く、ショッピング施設やイベント会場にあるキッズルームなど。
チャイルドマインダーという職業は、イギリス発祥の仕事です。そのため日本ではまだまだ認知度が低く、「チャイルドマインダー資格を保持する方の募集」は少ない状況にあります。
ですのでチャイルドマインダーとして就業先を探す場合は、保育系の求人を多く取り扱うサイトを利用するのがよいでしょう。また求人タイトルにチャイルドマインダーの文字がなくても、歓迎の欄に記載されている場合もあります。
講座によっては資格取得後に就職のサポートをしてくれるところがあります。養成講座を運営しているところならチャイルドマインダーとしての就業先の情報が多く集まってくるので、自分で探すより見つけやすいこともあるでしょう。
まだまだ職業としての認知度が高くない分、さまざまなサポートを利用しない限りは、チャイルドマインダーとしての就職や転職は厳しい状況にあるといえそうです。
在宅型の場合、子どもひとり当たり、1時間の保育料は1500円前後が相場です。訪問の場合も時給制が多く、ひとり当たり800〜1000円程と決して高給ではありません。しかし、自分の子どもを見ながら他の子も預かることができるというメリットを加味して考えている人も多いようです。
仮に在宅型で考えた場合は、<月に20日・ひとり1時間1500円×8時間>子供を預かったときの月収は24万円です。会社に所属していない場合はボーナスがないため、単純計算で年収は288万円となります。
おおよその見込み月収を算出するには<預かる人数×保育料×預かり時間=1日の収入>となります。チャイルドマインダーの特性上4名までしか預かることができないため、1日で大きな収入を得るのは難しいのが現状です。
これらの原因は、4人までしか預けられないことではなく、チャイルドマインダーの認知度がまだまだ低いことが要因と考えられます。しかし待機児童問題も叫ばれる世の中で、チャイルドマインダーのような「質の高い保育」を希望している保護者は意外と多いのです。
働きながら子育てをすることが当たり前になっている日本で、毎日保育園まで送迎する時間を仕事に回したり、ちょっとした息抜きに使いたいと思うのは当然のこと。そういった保護者から、チャイルドマインダーはこの先さらに必要とされる職業になっていくと考えられます。
チャイルドマインダーは、学歴や条件に関係なく誰でも取得することが可能です。養成講座を修了し、その後の検定を受験することで、資格を取得できます。合格率は80〜90%と、意外と取得しやすい資格でもあります。
費用は通信制を選ぶか、通学生で選ぶかで多少の差はありますが、おおよそ15〜30万円といったところ。また働きながら取得を目指せるのも、この資格の魅力です。
チャイルドマインダー養成講座には、いくつか種類があります。
それぞれ主催している通信教育講座があるので、興味がある方はぜひ調べてみてください。
子ども好きであることは大前提です。その他にもチャイルドマインダーとして、こんな素質がある人は向いているという内容をご紹介します。
▶︎体力がある
一日中、子ども相手に遊んだり、お散歩に出かけたりと意外と体力を消耗します。体調を崩してしまうと預かる子どもに移してしまう可能性があり、仕事にならなくなってしまうため、日頃から体調管理を徹底しましょう。
▶︎責任感がある
他人の子どもを預かるわけですから、責任感を持って接し、仕事を投げ出さないことが重要になります。預かりの最中に、怪我や病気をさせないよう注意深く観察することも大切です。
▶︎人の役に立ちたい人
子どもの預け先がなく困っている人の助けになりたいという気持ちが強い方は、チャイルドマインダーに向いているでしょう。自分に子供がいなくても、人の苦労や悩みに寄り添えるなら、十分チャイルドマインダーとして活躍できます。
▶︎コミュニケーション能力の高い人
これは子供に対してだけではありません。保護者からのさまざまな要望や、時にはクレームに近い要求もあるかもしれません。そういった事態に冷静な対応や温かな対応ができる方が求められます。
- 著者
- 猪熊 弘子
- 出版日
- 2014-07-10
政治と聞くと難しく考えがちですが、問題として取り上げられている内容は私たちの身近にあるものばかりです。チャイルドマインダーに興味がある方はもちろん「まずは待機児童問題について知りたい」という人におすすめです。
近年、ワイドショーでも話題になることがある「保活」についても記述されています。
保活:子供を認可保育所に入園させるための活動。 特に、待機児童にならないよう、育児休業の期間を調整したり、引っ越しをしたりするなどの積極的な活動をすること。(引用:goo国語辞典)
- 著者
- ["大豆生田 啓友", "おおえだ けいこ"]
- 出版日
これから保活を控えている方も、チャイルドマインダーを目指している方も、日本にどんな保育園があるのかを知っておくことで預け先や仕事を選ぶ参考になるでしょう。
他のサービスにもいえることですが、諸外国に比べ、日本はさまざまなサービスの質が高いと言われています。それは保育現場も例外ではないのです。眺めていると、実際に園を見て回っている気分になれますよ。
- 著者
- ブレイディみかこ
- 出版日
2008年に著者自身が保育士として飛び込んだ「底辺託児所」と呼ばれていた無料の託児所。英国で「平均収入・失業率・疾病率が全国最悪の水準」と言われる地区にあった託児所でも、貧困や差別にも負けず、エネルギーに溢れた子供たちが体現していたことについて記述されています。
チャイルドマインダーの発祥地であるイギリス。そのイギリスにも存在する保育の問題を、保育ライターの目線で書いています。保育業界を目指す全ての人に、手にとっていただきたい1冊です。
チャイルドマインダーは、これからの時代に必要とされる可能性がとても高い職業です。学生さんやまだ子供がいない人など、今は直接自分に関係のない仕事であっても、将来的に自分が子供を持った時に「働きながら子育てできる仕事である」というメリットもあります。
仕事をしながらでも資格の取得が可能なため、自己投資として挑戦してみるのもよいでしょう。チャイルドマインダーの他にも、子供と関わる仕事はたくさんあります。ぜひ、自分にぴったりの職業を探してみてください。