超高齢化社会に突入した日本では、介護福祉は学んでおきたい学問のひとつです。介護福祉学の活用は幅広く、求人数も年々増加していることから、社会的に需要も高い。介護福祉士の資格を持っていれば就職・転職もしやすいという面もあります。 この記事では介護福祉とはどのような学問なのか、また学ぶことでどのような資格が取れるのか、どんな場所で働くことができるのかを解説していきます。 実際に介護の現場で働いた経験から、初めて介護福祉学問に触れる方にも読みやすい書籍もご紹介するので、介護福祉を学ぶにあたり参考にしていただければ幸いです。
介護福祉とは、高齢者や障害のある大人が社会の中でよりよく暮らしていくためにはどうすればよいかについて考える学問です。
厚生労働省では介護福祉を、障がい者福祉と介護・高齢者福祉に大別しています。
▶︎障がい者福祉
障がい者福祉とは、「障害のある人も普通に暮らし、地域の一員としてともに生きる社会作り」を目指しているもので、障害者が住みやすいように制度の改革などがおこなわれています。
障がい者というと身体の障害を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、障がい者福祉が対象とする障害は幅広く、精神障害やアルコールによる傷害なども対象としているのです。
▶︎介護・高齢者
介護・高齢者福祉とは高齢者が、「介護が必要になっても、住み慣れた地域や住まいで尊厳ある自立した生活を送ることができる」ということを目的としています。
国では質の高い保健医療や福祉サービスの確保、将来にわたって安定した介護保険制度の確立などに取り組んでおり、この福祉サービスや介護保険制度の下で、介護福祉学を学んだ方がその知識や技術を提供していくのです。
介護福祉学では、介護福祉に対する知識や介護を必要とする方に介護を提供するための技術を学びます。また、介護福祉の対象は高齢者であることが多いため、高齢者の特徴や、高齢者の心のケアなど全般を学んでいくことが多いです。
介護福祉という学問を学ぶ上で実習を受けることはほぼ必須です。そのため、介護福祉を学ぶほとんどの方が、介護施設などで働かないという場合でも臨地実習をおこない、介護の技術も身に着けるということが介護福祉を学ぶ上での特徴といえるのではないでしょうか。
介護福祉と聞くとよく社会福祉と混同されます。
社会福祉のなかでも高齢者や障害のある方について学ぶのが介護福祉です。障害者については社会福祉でも学ぶのですが、介護福祉の場合は介護保険制度に基づくため40歳以上の障害者が対象となっています。
同じ福祉でありますが、高齢者を対象とするか、高齢者以外に対しても幅広く対象とするのか、それが介護福祉と社会福祉の違いといえるでしょう。
介護福祉を学ぶことで得られる資格は、さまざまなものがあります。そのなかでも、介護の専門家として施設などで働く職業の資格を取る方が多い傾向にあります。
ほかにも看護師、ケアマネジャーなどほかの資格を取得している方で、介護福祉の現場で働くために介護福祉を学ぶ方もいます。
また、介護の資格を取得せずに学んだことを家族の介護に活かすという方法もあります。
たとえば一応資格は取っておくけれども、すぐに就職などはせず、家族の介護が落ち着いたタイミングでその経験を活かして就職するという方もいます。
介護福祉の分野は実習があるということを先ほどご紹介していますが、実習があり実際の現場で学ぶということもあり、介護福祉を学び、資格を取って就職する方のほとんどが即戦力として働くことができています。
介護福祉を学べる場所は、大学や専門学校といった養成所が主であり、資格取得を目指す方は大学や専門学校などの養成所で学ばれる方が圧倒的に多くなります。
厚生労働省が公開している「介護福祉士養成施設一覧」によれば、介護福祉士養成学校は全国に487校あります。これは大学・専門学校・短期大学すべてを合わせた数字ですが、これを見るに全国どこでも学ぶことができるといえるでしょう。
ですが、独学で介護福祉を学んだり、通信教育で介護福祉を学ぶという方もいます。
学ぶというだけならば通信教育や独学でも可能なのですが、資格を取得するとなると、最終的に実習を受けることが必要になります。そのため、独学や通信教育で知識を学んだとしても、どこかの養成所に通学して実技の演習を受けなければなりません。
介護福祉という学問は養成所など学べるところが多かったり、通信教育も活用できるたりするので、自分のライフスタイルに合わせて勉強ができるというところが魅力的であるといえます。
また、資格を取得すれば働ける場所もたくさんあり、スキルアップやレベルアップもでき、生涯にわたって学び続けられる学問なのです。
介護福祉を学び、介護福祉士の資格を取得することにより、高齢者や障がい者が利用するさまざまな施設や事業所に就職・転職することができます。
なかでも最も多いのが「特別養護老人ホーム」への就職です。介護保険制度が始まって依頼、介護福祉士への求人数は年々増加しているという背景があります。
そもそも介護福祉士の資格取得率はかなり高く、また養成学校を卒業する学生の就職率はどの養成学校の実績を見ても90%以上となっています。
介護福祉士の資格を持っていることで、就職も転職もしやすくなることは間違いありません。介護福祉士の資格は生涯活かすことができる資格なのです。
介護福祉士の仕事についてもっと詳しく知りたい方は「5分で分かる介護福祉士」の記事を読んでみてくださいね。こちらの記事を読むことでさらに介護福祉という仕事に興味がでてくるでしょう。
- 著者
- ["結城 康博", "黒岩 亮子"]
- 出版日
介護や福祉を学んで資格を取り、仕事をしていきたいと考える方におすすめの1冊です。
介護や福祉と一言でいっても資格や働ける場所がたくさんあるので、介護福祉を学んだ後に自分がその先、何をしていきたいか悩む方も多いようです。また、養成校では、介護や福祉を学んだ後にどのように活用できるのか、その活用方法や活用先などの選択肢を教えてもらえないことも。
この本では介護や福祉に関わる職業はどのようなものがあるのか、どこで働くことができるのかという活用方法や、活用のための選択肢を知ることができます。また、1日のタイムスケジュールまで細かく書かれていますので、仕事についてのイメージも持ちやすいです。
介護福祉を学んでその先について悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
- 著者
- ["美咲, 平田", "節子, 福辺", "真知子, 代居"]
- 出版日
ある日突然、親の介護が必要になったら…ということをテーマにマンガで介護について書かれている1冊です。
登場人物には動物もおり、動物と人それぞれが介護への理解を深めていくというような展開になっています。 動物が人間の世界の介護の仕組みを理解できるように、動物同士で解説をするというようなシーンもあるため介護の初心者でも内容としてとても分かりやすくなっています。
また介護の基礎知識や、介護の実践までが細かく書かれているため、介護を学びたいという方は漫画で知識を得ることができます。
タイトルは「介護」なのですが、社会資源や福祉の機能も巻き込んで介護をしていくという内容のため、介護だけでなく福祉など幅広い知識を得ることができます。介護を職としてだけでなく自分の生活でも実践していきたいと考えている方にもおすすめです。
- 著者
- 羽田 圭介
- 出版日
- 2018-05-10
『スクラップ・アンド・ビルド』は、第153回(2015年)芥川賞受賞作です。介護を必要とする祖父と、失業をして祖父の介護にあたる青年との関係が書かれた小説です。
現代の日本と介護の現場がユーモラスに描かれています。特に主人公は20代の青年で、若者の視点から見た介護について描かれているため、若い方が介護に対して親しみを持ちやすいでしょう。
施設での様子や、若者から見た施設の風景についても丁寧に書かれており、介護を学び始めている方や、介護や福祉ですでに働いている方も同感できる部分が多いかと思います。
職としてではなく、日常生活にある介護において、イメージをつけやすい1冊です。文体が難しくなく、若い方でもとっつきやすい喋り口調で書かれているところも多いため、本を読む習慣がない方も漫画を読む感覚ですらすらと読めるということもポイントです。
介護福祉学は、超高齢化社会となっている日本にとって重要な学問で今後も需要が高いといえます。
特に介護福祉学を学んで得た資格は即戦力として働けるので、学んだことをすぐに活かしていきたいという方にはおすすめの学問です。
紹介した書籍を読み、介護福祉という学問がどういう学問かのイメージをつけ、興味を持たれた方はぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。