超高齢化社会に突入した日本において需要の高い資格である介護福祉士(ケアワーカー)。高齢者に限らず、介護を必要とするさまざまな人に介護を提供し、介護支援をする職業です。今後の社会において必ず必要とされる職業なので、介護福祉士に興味のある学生・社会人は多いのではないでしょうか。 そんな介護福祉士の仕事とは何をするのか、どこで働くことができるのかなど、介護福祉士の資格についてこれから介護福祉士を目指す方に向けて詳しくご紹介します。また、介護福祉士を目指す方にぜひ読んでいただきたい本についてもあわせてご紹介しますので、ぜひご活用ください。
介護福祉士(ケアワーカー)は、社会福祉士及び介護福祉士法において以下のように定められています。
介護福祉士は、専門的知識及び技術をもって、身体上若しくは精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者につき心身の状況に応じた介護(喀痰吸引等を含みます)を行ない、並びにその者及びその介護者に対して介護に関する指導を行なうこと(以下「介護等」といいます)を業とする者
つまり、介護福祉士は高齢者に限らずさまざまな介護を必要とする方において、介護を提供するとともに、介護者を介護する家族へ情報を提供したり介護指導をしたりする職業となります。
介護福祉士は介護を必要とする方への日常生活援助が仕事の中心となります。日常生活援助とは食事、排泄、入浴など生きていくうえで必要な生活の介助のことです。
また前述したように、家族へ介護技術や介護の知識についての指導をするほか、介護福祉士の資格を取得していない介護職員に対する教育や指示もおこないます。
平成30年度介護従事者処遇状況調査結果をみてみると、介護福祉士の平均月収は約31万円、年収は約377万円となっています。
介護法が改正され、介護職の人が働く環境の見直し、給料アップを図るために介護職員処遇改善加算というものができました。そのため、一昔前の「介護職=給料が安い」ということはなくなり、今では働いた分だけしっかりと稼げる職業となっています。
介護福祉士の資格を取得することで、働ける場所は多岐にわたります。特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、デイサービスセンター、グループホームや障碍者支援施設が主な職場となります。
療養施設ですと夜勤が必須な場合も多いですが、デイサービスや訪問介護の場合は、夜勤なく働くこともでき、ライフスタイルに合わせて働き方を変えられるのも魅力のひとつです。
次に介護福祉士の資格を取るためにはどうすればよいのかをご紹介します。介護福祉士の資格を取るためのルートは全部で4つあります。
①養成施設ルート
高校を卒業後大学や専門学校などの養成所で必要な単位を取得後、国家試験を受けて介護福祉士の資格を取ります。
②実務経験ルート
といい、介護施設などで3年間介護職員として働いた後、必要な研修を受けて、介護福祉士国家試験を受けて、資格を取ります。
③福祉系高校ルート
福祉系の高校に入学してその高校で必要な単位を取得後に国家試験を受けて介護福祉士の資格を取ります。このルートの場合、高校によっては約9ヶ月の実務経験が必要なところもあります。
④経済連携協定ルート
介護の勉強あるいは介護福祉士の資格を取るために来日されている海外の方を対象とした資格取得のルートです。
介護福祉士の国家試験は筆記試験と実技試験で構成され、筆記試験が1月の下旬頃、実技試験が3月の上旬頃におこなわれます。筆記試験を合格した方が実技試験に進むことができます。
試験は1問1点125点満点で、全体の60%以上正答することで合格となります。偏りなく試験科目をまんべんなく正答することが必要です。
試験の科目は、下記の11科目です。
人間の尊厳と自立、介護の基本、 人間関係とコミュニケーション・コミュニケーション技術、 社会の理解、生活支援技術、 介護過程、 発達と老化の理解、 認知症の理解、 障害の理解、 こころとからだのしくみ、 医療的ケア、 総合問題
第32回介護福祉士国家試験の合格率は69.9%でした。例年の状況を見てみてもだいたい70%前後の合格率で毎年推移している傾向にあります。
それでは、次に、介護福祉士(ケアワーカー)の資格を取得したいと考えている人にぜひ読んでほしい本をご紹介します。
今の職業から介護福祉士への転職を考えている人もいるでしょう。
介護福祉士は名称独占業務となります。そのため、国家資格を必ず持っていなければおこなえない業務があるわけではありません。そうした点から考えると、未経験で資格なしでも一から経験を積むことができる職業といえるでしょう。
前述した通り、介護福祉の国家資格を取得するためのルートは4つあります。その中に「実務経験ルート」というものがあり、これは介護施設などで3年間、職員として働いた後、必要な研修を受けることで受験資格を得るというルートです。
介護福祉施設の求人には資格不要・経験不問のところも多いので、まずは就職して経験を積んで資格取得を目指しましょう。
介護福祉士の資格を取得すると、介護の現場でマネージャーとなる資格を得ることができます。そのため、介護福祉士は現場の中心的存在として欠かせない存在です。
そんな介護福祉士としてより専門性を高めたい人におすすめなのが介護支援専門員(ケアマネージャー)の資格です。介護福祉士の上級資格として、現場スタッフをまとめたり、ケアプランの作成などの業務をおこないます。
ケアマネージャーの資格を取得するには、指定の国家資格を保有、もしくは指定の業務で通算年数が5年以上必要となっています。
5分でわかるケアマネジャー!仕事の内容などケアマネという職業を詳しく解説!
→https://honcierge.jp/articles/shelf_story/9108
- 著者
- TAC介護福祉士受験対策研究会
- 出版日
1冊目に紹介するのは『介護福祉士の教科書』です。
この1冊に介護福祉士国家試験の科目である11科目が網羅されています。イラストもたくさんあるためぱっと見て非常に分かりやすい1冊です。
11科目がすべて網羅されているため、この本1つで介護福祉士国家試験の内容や、介護福祉士になるために必要な知識を効率的に学ぶことができます。
「これから介護福祉士の資格取得を検討していて、どんな勉強をするのかのぞいてみたい!」という人から、現在介護福祉士になるための勉強真っただ中、国家試験直前という人まで、持っておいて損はない参考書です。
筆者自身も介護福祉士を目指した際に購入し、国家試験まで長く使うことができました。
- 著者
- 医療情報科学研究所
- 出版日
次に、介護福祉士(ケアワーカー)になると決めた人に読んでいただきたい参考書です。
こちらの本は実際に介護福祉士国家試験の問題の中から頻出の問題をテーマ別に掲載しています。そのため、介護福祉士国家試験のために早い段階からコツコツと勉強していきたいという人や、介護福祉士の資格を取ると決めたけれどどんな問題が出てくるのか左記に知りたいという人に読んでいただきたい1冊です。
イラストが多く目で見てわかりやすいので法律や医療など、理解が難しいものも覚えやすいことが特徴です。
この本を出版している出版社は医療、福祉系の参考書を専門に扱っているため、医療や福祉系の内容が分かりやすく、介護福祉士国家試験関係の参考書がたくさん出ているため、他の参考書との併用にもおすすめです。
- 著者
- くさか里樹
- 出版日
介護福祉士(ケアワーカー)になりたいと決めたけれど、介護の現場がどういうものかが分からないという人に読んでいただきたい作品です。
この本は介護の現場を非常に忠実に描いています。そのため、介護の世界の大変な部分も見えてしまいます。しかしそれ以上に、介護の仕事がいかに素晴らしい職業なのかが分かる1冊となっています。
文章を読むのが苦手という方や、本を読める時間があまりないという人は、本作ならサクサクと読めるのでおすすめです。実際に介護福祉士として働く方も、この漫画に共感できるという人もいました。本作を愛読している介護福祉士も多いようです。
今後ますます高齢化社会に向かっていく日本社会にとって、介護福祉士はなくてはならない職業ともいえます。また今後さらに需要が高まり、多くの人員が必要となることを受け、介護福祉士の働き方や収入は改善の方向に向いつつあります。
何歳からでも挑戦しやすい資格ですので、興味のある方は年齢にこだわらず、これらの本で介護福祉士の仕事や試験についてのイメージを把握してチャレンジしてみてはいかがでしょうか。