ドラマ・映画の設定、構成や台本を作っている方を「シナリオライター」と呼びます。普段、何気なく見ているバラエティ番組の流れや、ある程度のセリフを考えているのもシナリオライターの方々です。 ここ数年はゲームのシナリオを考える仕事も人気が上昇中。未経験でも就職・転職が可能な会社も多いため、思いきって挑戦するのもよいでしょう。ただ、一般的にはフリーランスの働き方が多いため、年収は人によってさまざまだったりもします。 今回はそんなシナリオライターの仕事について解説します。テレビ・映画関係の仕事に興味がある方、文章を書くのが得意な方は必見の内容ですよ!
シナリオ【scenario】:映画・テレビなどの脚本。場面の構成や人物の動き・セリフなどを書き込んだもの。台本。(引用:goo国語辞典)
つまり、シナリオライターとは脚本家のことを指します。
元々は映画・舞台・ドラマなどの構成や台本を考える仕事をしている脚本家のことをいいました。その他にも、アニメ・ラジオ・テレビ番組の構成や台本を考えているのもシナリオライターです。
最近は、ネットで「シナリオライター」と検索すると、ゲームに特化したシナリオライターの情報も多く出てきます。スマホアプリやゲーム機器の多様化により、ここ数年シナリオライターの需要は増えています。アプリゲームの物語を考える仕事、キャラクターのセリフを考える仕事の募集をネット上で見かけたことがある方もいるのではないでしょうか。
需要が増えている背景として、放送媒体の多様化が考えられます。昔はテレビ・映画といったツールのみだったのが、今はスマートフォンでテレビを見ることができたり、YouTube等の動画配信サービスで作品を発表することも十分可能になりました。それだけ、シナリオライターを必要とするドラマやアニメも増えたということです。
シナリオライターにくる仕事の依頼内容は大きく分けてふたつです。
オリジナルで脚本・台本を書いてほしいとオファーがくるときも、すでに先方が大まかな企画内容を決めた状態で依頼してくることもあります。
シナリオライターは自分の想像だけで構成を固めることはほとんどなく、作品に関する資料を集めたり、関係者に取材をおこなったりして細かな設定を決めていきます。アニメの登場人物のいわゆる「キャラ設定」をおこなっているのも、シナリオライターです。
資料集めや取材は、作品によりリアリティを持たせるためにおこなわれ、舞台となる土地に視察に行くこともあります。
脚本・台本を提出して、先方から一発OKをもらえることもありますが、ほとんどが脚本をよりよくするために修正依頼を受けて完成に近づけていきます。
月収や年収には、個人によってかなりばらつきがありますが、売れっ子シナリオライターになると、なかには年収1000万円以上を稼ぎだす人もいます。しかしこれだけ稼いでいる方はごく少数と考えてよいでしょう。
シナリオライターはフリーランスで活躍している場合が多いため、100万円以下から1000万円以上と年収にはばらつきがあります。
しかしなかにはゲーム会社に正社員として所属し、専属シナリオライターとしてゲームの脚本を書いている方もいます。ですがこちらは少数派のようです。
しかし、最近は「ランサーズ」などのクラウドソーシングサービスでシナリオライターの求人を見かけることも多くなりました。
その求人のなかには、アプリゲームのシナリオを考える仕事など、相場価格より大幅に安価なものも見受けられます。実際にフリーランスで仕事をしようとしている方は、仕事ひとつにつき相場はいくらなのか、情報を調べてから引き受けるように注意しましょう。
活動場所としては、近年BS・CS放送やアベマTVといったインターネットテレビサービスも普及しているため、シナリオライターを必要としていることろは増えつつあります。
ゲーム・アニメの脚本に興味がある方も、スマホアプリの普及とともに求人が増加傾向にあるので、それらの求人に応募してみるのもよいでしょう。シナリオライターは、この先も活躍の場を広げながら必要とされ続ける職業といえそうです。
コンテストには、人気脚本家になるための登竜門的コンテストがいくつかあります。
すでに脚本を書き始めているという方は、ぜひコンテストに挑戦してみましょう。どこで有名プロデューサーや監督の目に留まるか分かりませんよ!
ある程度、脚本に関する知識や技術をつけてから応募や持ち込みをしたい方もいるでしょう。そういう人は、大学・短大・専門で学ぶのも、もちろんおすすめです。学科は、マスコミ学・映像学・文芸学などを専攻できるところだと、役に立つ情報を学べるでしょう。
また、通信講座をおこなっている学校もあります。原稿の書き方から構成の仕方まで、シナリオライターに必要な技術を学ぶことが可能です。なかには、プロの脚本家が添削してくれる学校もあるため、しっかり実力をつけることができます。
「日テレ学院」はテレビ局が開校していることもあり、人気作品の脚本家が授業をしてくれる貴重な機会も設けています。
学校には通わずに、テレビ・映画制作会社ですでに活躍している脚本家のアシスタントについてみたり、実力のある脚本家に弟子入りするという方法もあります。そこから、テレビ関係者など各所の関係者と顔見知りになり、仕事をもらえるようになっていくこともあるようです。
中には「元々、ラジオのハガキ職人だった」「インターネット上でライトノベル作品を書いていた」「フリーライターから脚本家になった」といった経歴を持つ方もいます。
たとえば、2015年に大ヒットしたアニメ「おそ松さん」の脚本家・松原秀さん。彼はもともと、ナインティナインのラジオのハガキ職人でした。その後、お笑い芸人を目指すも、挫折して脚本家の道へ。
主にアニメやお笑い番組を担当し、なんと今では自身のラジオ番組を持つまでに。実力とコネクションの賜物ですね。
シナリオライター、脚本家は正社員として企業に就職する働き方もあります。求人のなかには未経験でもOKで募集しているところもありますが、就職・転職するなら経験が有利に働くことは間違いないでしょう。
前述したように、クラウドソーシングサービスを利用すれば単価は低いですが、シナリオライターとしての仕事を少しずつ始めることができるはずです。本業で仕事をしながら、副業でシナリオライターとしての経験値をためてから転職するのもそう遅くはないはずです。
シナリオライターの求人を見ると分かりますが、未経験でも可としている企業が多く見受けられます。もちろん未経験の場合は収入は最低限に設定されていることが多いですが、すでに第一線で活躍している先輩から指導を受けながらシナリオライターとしてのスキルを磨くというのもひとつの選択肢です。
脚本や台本を書くうえではさまざまな素質が必要となります。
特に忍耐力は必要不可欠な素質です。なかなかアイディアが浮かばず、煮詰まってしまったからといって仕事を投げ出せば、収入も信用もゼロになってしまいます。「最後までやり切る覚悟」を持たないと務まらない仕事でもあります。
人によっては、徹夜になることもしばしばありますので、締め切り前は覚悟しておきましょう。
なんといっても、人生経験は武器になります。
たとえば、恋愛ドラマの台本を書くのに、まったく恋愛経験がない方が書いたら共感が得られないセリフや内容ばかりになってしまうと想像すると分かりやすいかもしれません。
他にも自身の意外な人生経験がシナリオライターになってからの「ネタ」になるかもしれませんよ。
- 著者
- 藤沢晃治
- 出版日
世の中には分かりにくい表現が溢れています。街を歩いているとき、看板を見て「どういうこと?」と思ったことがある方は多いでしょう。この本ではそうした分かりにくい文章になってしまう犯人を突き止め、丁寧に解説してくれています。
累計65万部を突破した人気シリーズであり、書くこと・話すことにも使えるテクニックが満載です。この本自体が読みやすいとの声も多数。表現がうまくなる16の極意をこの本を通して身に付けませんか。
シナリオライターになってからも、こちらを持っておくと安心でしょう。
- 著者
- 新井 一
- 出版日
シナリオの基礎が詰まった内容になっていますが、いわゆる入門書のような手軽さはありません。シナリオについての情報量が膨大なので、ノートとペンを片手にメモを取りながら勉強をしたい方には向いているかもしれません。
小手先の技術ではなく、シナリオライターの根幹となる部分について記述されているので、脚本家・シナリオライターとしてしっかり勉強したい方におすすめです。
- 著者
- 藤田 伸三
- 出版日
2020年11月現在も現役の脚本家として第一線で活躍する藤田さん直伝のシナリオの書き方から、人気作品を生み出すコツなどが見えてくるかもしれません。
アニメのシナリオライターを目指したい方は、必見です!
今回ご紹介したシナリオライターは、自分の家で仕事をすることも可能な職業です。もちろん会議などで人に合わなくてはいけないこともありますが、他の仕事と組み合わせたり、割と自由な働き方をしている方も多くいます。
文章力や構成力を磨くには、とにかく「書くこと」。SNSなどを利用して自分の考えた作品を発表し続けているうちに、オファーが来ることも業界内ではよくある話です。大学や専門学校に行くのもおすすめですが、ぜひ作品作りを楽しみながらシナリオライターを目指してみてください!