5分でわかる健康増進法!法改正で喫煙の規則はどうなった?内容や罰則を解説

更新:2021.11.26

男女ともに平均寿命が80歳を超えている日本。健康の維持は常に高い関心を集めています。また2020年には法改正がなされ、喫煙に関するルールも変更されました。この記事では、「健康増進法」の内容や、法改正後に喫煙規則がどのように変化したのかなどをわかりやすく解説していきます。

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健康増進法とは。制定された目的など概要を解説

国民の健康増進を総合的に推進するための基本事項を定めた「健康増進法」。2002年に公布されました。国や地方自治体、医療機関などが栄養指導や保健指導をする際の指針が定められていて、生活習慣相談などを通じて国民の健康増進を図ることが規定されています。

現代の日本では、平均寿命の延伸や少子高齢社会の進展にともない、医療費の増加が大きな問題になっています。このような状況下で、ひとりひとりが健康を維持することがこれまで以上に重視されるようになりました。

「健康増進法」の第2条には

国民は、健康な生活習慣の重要性に対する関心と理解を深め、生涯にわたって、自らの健康状態を自覚するとともに、健康の増進に努めなければならない。

とあるように、国民に対して健康の維持、増進を義務として定めていることが特徴です。

また第25条には

〔前略:学校や百貨店、飲食店など〕その他の多数の者が利用する施設を管理する者は、これらを利用する者について、受動喫煙(室内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされることをいう。)を防止するために必要な措置を講ずるように努めなければならない。

とあります。多くの人が集まる施設では、受動喫煙防止のため必要な措置をとることが義務付けられました。2018年には受動喫煙防止対策を強化するための改正案が成立。2020年4月から、より厳格な対策が施行されています。

健康増進法の内容や罰則を簡単に解説

では「健康増進法」が定める主な指針と、関連した罰則について解説していきます。

「健康増進法」の第5条には、

国、都道府県、市町村(特別区を含む。以下同じ。)、健康増進事業実施者、医療機関その他の関係者は、国民の健康の増進の総合的な推進を図るため、相互に連携を図りながら協力するよう努めなければならない。

とあり、自治体や医療機関は国民の健康増進のため、相互に連携しつつ協力することが定められています。具体的には、先述した受動喫煙防止策を講じるほか、国や自治体は方針策定の基礎資料とするために生活習慣病の発生状況や栄養状態に関する調査をし、関連機関に技術指導や援助をおこなうことが決められています。

また「健康増進法」には食料品の栄養表示に関する規定も含まれていて、必要に応じて食品の検査をおこなうと定めています。国民が栄養について正しい情報を得ることができるようにすることも、健康増進の一環として重視されているのです。

一方これらの業務と関連した罰則として、健康・栄養調査で得た情報を外部に流出させたり、食品検査を拒んだり、妨害したりした者に対しては、1年以下の懲役や最大で50万円の罰金が科せられることになっています。

受動喫煙の防止に関して、当初は努力義務とされ罰則規定はありませんでしたが、法改正にともない2020年4月から最大で50万円の罰金が科せられることになりました。

健康増進法が改正!喫煙ルールはどう変わった?【屋内】

2020年4月より「改正健康増進法」が施行され、受動喫煙への対策が強化されました。喫煙ルールがどのように変わり、どのような罰則が定められたのか紹介します。まずは屋内の喫煙についてです。

「改正健康増進法」の施行で、屋内での喫煙は原則禁止になりました。ただ、小中学校などの教育機関や医療機関、行政機関などが完全に禁煙となった一方で、飲食店や百貨店などは、国が定めた基準をクリアした喫煙室を設ければその中での喫煙が認められています。

また規模が小さな飲食店は「既存特定飲食提供施設(喫煙可能室)」に分類され、喫煙室を設けるコストが経営を圧迫するという観点から、喫煙室を設けなくても喫煙することができます。その場合、受動喫煙防止の観点から20歳未満の者は、客・従業員いずれの立場でも入店が認められていないので注意が必要です。

喫煙室を設置する場合、煙が禁煙エリアに出ないように完全に区画を分け、屋外への排気設備か、脱臭装置を設置しなくてはなりません。さらに事業者は、喫煙室を設ける時は標識の提示が義務付けられています。基準を満たしていない状態で喫煙を認めたり、20歳未満を喫煙エリアに立ち入らせた管理者は、最大で50万円の罰金を科せられます。また禁煙エリアで喫煙した者も、最大で30万円の罰金が科せられるので注意が必要です。

健康増進法が改正!喫煙ルールはどう変わった?【屋外】

次に、屋外の喫煙について解説していきます。

先述したとおり、小中学校などの教育機関や医療機関、行政機関などは完全に禁煙となりました。ただこれらの施設でも、「特定屋外喫煙場所」を設けることで、屋外での喫煙が可能です。

厚生労働省は、「特定屋外喫煙場所」を設置できる条件として次の5点を示しています。

  • 喫煙が可能な場所と、喫煙が不可能な場所の区画を明確に定めること
  • 喫煙が可能な場所であることを明示するために、それを明記した標識を掲示すること
  • その施設の利用者が、通常立ち入らない場所に喫煙場所を設置すること
  • 施設外の近隣の建物に隣接するような場所に、喫煙場所を設置していないこと
  • 喫煙場所の設置はあくまで例外対応とし、基本的に敷地内は禁煙とすること

ここにあるように、喫煙場所での喫煙は認められているものの、喫煙自体が推奨されているわけではありません。

なお、屋内と同様に基準を満たしていない状態で喫煙を認めるなど、法律に違反した管理者には最大で50万円、禁煙エリアで喫煙した者には最大で30万円の罰金が科せられることになっています。

「改正健康増進法」などたばこの是非を多角的に論じたおすすめ本

著者
片野田 耕太
出版日

作者は、国立がん研究センターの研究員となり、その後がん統計・総合解析研究部長としてたばこ対策やがん教育などの分野で活動する人物。本書では研究者の立場から、たばこがもたらす健康リスクを論じています。

デメリットだけを記すのではなく、たばこ税などたばこがもたらす恩恵にも言及。またたばこ産業と広告業界や政府の繋がり、「改正健康増進法」の問題点の指摘など、健康被害以外にもさまざまな事象がわかりやすくまとめられています。

広い視野でたばこや喫煙について理解できるほか、社会の在り方について考えさせられる一冊です。

「健康を推進すること」に問題提起をした意欲作

著者
["ペトル・シュクラバーネク", "Petr Skrabanek", "大脇幸志郎"]
出版日

一般的に、健康を保つために生活習慣を整えることは「良いこと」だとされています。しかしその前提が「生活習慣を守れない悪い人」への批判を生み出したり、「健康増進」の名のもとに政府が国民生活をコントロールしたりする事態に繋がってしまうかもしれません。

本書は、「健康であること」を追い求めることに一石を投じた作品。もともと1994年に刊行されたものですが、2020年の新型コロナウイルスの感染拡大を背景に、「新しい生活様式」を国が要請する状況に警鐘を鳴らすため再版されました。当時作者が主張したことを現代の社会情勢に当てはめてみると、新しいし視点を手に入れることができるでしょう。

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