Hi-Hi上田浩二郎のツカみよければ全てよし【連載第4回】

Hi-Hi上田浩二郎のツカみよければ全てよし【連載第4回】

更新:2021.12.12

毎回「ツカみ」が面白い小説を紹介しているHi-Hi上田浩二郎さんの連載も4回目。今回は、ホンシェルジュ編集部から上田さんに自身では選ばなそうな1冊の小説を選び、読んでいただきました。 夫婦をテーマにした心温まる……だけではないこの作品。新婚ホヤホヤの上田さんはどう感じるのでしょうか?

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読み終わって一番最初に、話の途中からもう一度丁寧に読み直す『ストーリーセラー』

どうもね!最近みんなどう?Amazon!ポチっといってる?

必ずしも上田とは限りません。

毎回僕が読んだ本の中からおすすめするこの企画。今回は編集部の方から「ここまでこの連載読んできて上田浩二郎の好きな感じの本、分かりましたわょ~結婚祝いにこの本を送るので読んで勧めてみてだわょ~」と連絡が。

ということで今回は、自分がツカまれた!というよりはツカんでみて!って感じで手にとったのですが、最初どんな本なのか分からなかったので、もしも『ゴルゴ13』全巻送られて来て「宜しく~」って言われたらどうしょうってドキドキしていた。ゴルゴ全巻だったら、好きだけど~置く場所も困るし~ですね。

そんなこんなで今回のおすすめ本はこちらだ~い

『ストーリーセラー』有川ひろ著。有川さんの名前だけは知っていたのですが(ドラマ化映画化されてる作品がめちゃくちゃ多い) 読むのは初めてだったので、ワクワクしながら読みはじめた。

著者
有川 浩
出版日
2010-08-20

本の構成的には、AとBの話に分かれてるんだけど、読み終わって1番最初にやったことはBの話の途中ぐらいからもう一度丁寧に読み直すってことだった。読み終わった後にまったくもって予想外の「えっ?」ってなっちゃった。

大好きな奥さんが難病に侵されてる所から始まるこの話、しかも奥さんは作家なのに物事を深く考えると考えるだけ命が縮むという病気。治療法はただ1つ。深く考えないこと。この病気もし俺がなったら死なないぜ!だって普段まったく物事を深く考えないからね~俺は。なんていう軽い感じで読み進めていった。

夫婦の出会いややりとりに、こんな2人羨ましいなぁ~とも思いつつ読んでいたのですが、Aの話は、奥さんが難病でそれを愛情全開で支える優しい夫の話。で、BはAとは夫婦逆の展開。

もちろんフィクションなんだろうし、こんな底無しに優しい夫スゲェ~なんて思いつつA側だけの話だけでも十分「わぁ~切ない」ってなる。BもAの話と同じように旦那さんは優しく奥さんはそんな旦那が大好き、しかし2人には不幸なことが起こる。そんななかでも凄く素敵な物語。

読んでいくにつれて、よくある「家族の絆は素晴らし~」的な話なのかな?最近僕が結婚したもんで編集部の人達が「こんな素敵な夫婦になりなさいよ~」っていうメッセージを込めてこの本を読んでってことなの?と思いきや、あらびっくり!そんな単純な話じゃなかった

Bの話の最後の2ページよ!いや~ネタバレしないように書くには俺にはこれが限界。「え?これどっち?」ってなっちゃった。「このジャンル何?」って思っちゃう新しい感じでした。ここまで言っちゃってなんなんですが、皆さんには、ぜひ先入観ゼロで読んでほしい。そんな本でした~。


心が温まる物語が好きな方、そして最後の1ページを読むまでわからない、緻密に構成された物語が好きな方には間違いなくおすすめの本作。ぜひプレゼントがデザインされた表紙の意味を考えてみてください。

『Hi-Hi上田浩二郎のツカみよければ全てよし』は来月も第3水曜18時に更新予定です。どうぞお楽しみに。

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