Hi-Hi上田浩二郎のツカみよければ全てよし【連載第6回】

Hi-Hi上田浩二郎のツカみよければ全てよし【連載第6回】

更新:2021.11.28

Hi-Hi上田浩二郎さんが「ツカミ」の面白い本を半年間にわたって紹介してきた本連載。今回で最終回をむかえました。 最後にどうしてもこれだけは紹介したい!と上田さんが選んだのは、芸人人気も高いあの自伝的エッセイ!悩める人へのエールも込められた名作のどこにツカまれたのでしょうか?

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なにごとかを成したい人は絶対ツカまれる!『リンダリンダラバーソール』

どうもね!最近みんなどう?お餅!ぺタ~んといってる?  

僕が人生でツカまれた本を紹介してきたこの企画。今回が最終回ってことで最後っていえばこれ! 

著者
大槻 ケンヂ
出版日

『リンダリンダラバーソール』大槻ケンヂ著。大槻さんと言えば筋肉少女帯は勿論ソロでも活躍するアーティスト。90年代に起こったバンドブーム。その渦中にいた大槻さんの半自伝だ。 この本のファンの人(特に芸人)は多くて散々こすられてきてるとは思うんだけど、90年代当時を知ってる人。それから

「何か始めたいんだけど、自分が何を始めたらいいのかさっぱりわからない人」
(『リンダリンダラバーソール』あとがきより引用)  

に絶対にツカまれること間違いなしなのでぜひ読んでみてほしい。  

俺なんてツカまれすぎて自分が書いた本の中で、この本に出てくる一文をまんまパクって書いちゃった。そのことを大槻さん本人にお会いした時にお詫びしたら、軽く「いいよ~」と言ってもらった。気さくな方でよかった。

大槻ケンヂの人生を知ると、「何がどーなるか本当にわからない」って思える!

ボンクラ学生だった大槻さん、世の中の流れでいつの間にか二十代そこそこでメジャーレコード会社からデビューすることになる。デビューするから大学を辞めることを母親に告げると「革ズボンは買ったの?ロックやるなら革ズボンよ」とくる。さすがロックバンドのお母さんだ!

因みに、僕はお笑いをやると親に言った時の母親は「へ~」だった。親父に至っては芸歴8年目ぐらいの時に「そ~いえばお前仕事なにしてんだ?」だった。

いざデビューしたはいいけど、全くロックスターとは程遠い生活。「俺はこの先、どうなるのだろう」「本当は表現したいという衝動だけがあって、表現したいものなど何一つないのである」と悩む。

当時付き合っていた「コマコ」さんがとにかくいい。(因みにこの子がラバーソールを履いている)どんな時も大槻さんを励ます。なぜか老舗ラジオ番組のオールナイトニッポンのパーソナリティーに決まった大槻さん。あまりのプレッシャーから逃げようとする。そんな時「多分大人になるって逃げ出せないことと、面とむかい会うことなんだと思う」なんて言えちゃう。

結果放送は開始15分で打ち切りが決まるほどの散々な事になるのだけど、なぜかテンパって発した「ボヨヨ~ン」って言葉がリスナーに大ハマり。結果その後大人気番組になる。人生何がどーなるか本当にわからない。

そして時代の流れとともにブームが去り手のひらを返すように全ての人が離れていく……後に誰もが知ってるミュージシャンになる人、辞めた人、いまだに頑張ってる人、死んじゃった人、そんな話も出てくる。

当時を知らない若い人から、バンドブームを知ってるおっさん方そして日々の生活で「なんか思ってた人生と違う」と思ってる人達にぜひ読んでもらいたい。この本を読むと少しだけふわっと暖かい気持ちになれるよ!ってことで今までこの連載を読んでくれた人!ありがとう~またね~


編集追記(編集者より)

『Hi-Hi上田浩二郎のツカみよければ全てよし』を半年間お楽しみいただいた読者の皆さま、ありがとうございました!そして上田さん、そしてマネージャーさんにもこの場を借りてお礼申し上げます。

これまで紹介してきた本は、なかなか自分では手を伸ばすことがなかった本なのではないでしょうか?気になったタイトルがあれば、ぜひ上田さんのエピソードとも重ね合わせながら読んでみてください。

そもそも上田さんにこのコラムにお声掛けしたきっかけは、上田さん自身の著作『リストラ芸人』を読んだことでした。この本との出会いにも少しだけコバナシがあります。

九州に旅行に行った帰り、台風で新幹線が急遽岡山止まりになってしまい、岡山の漫画喫茶で一晩明かした翌日。「どうせなら!」と倉敷まで足を伸ばし、「どんな図書館なんだろう?」とぶらりと寄っただけの倉敷市立図書館の一角にて「Hi-Hi上田浩二郎」という名前が目に入ってきたのです。

パラパラとめくっているうち、観光そっちのけでまるまる1冊一気読み。あの時はまさか、このように仕事でご一緒させていただけるとは思っていなかったのですが!上田さんの文章にもあるとおり、人生何がどーなるかわからないものですね。

Hi-Hiの漫才といえば「ツカミ」が魅力でおなじみですが、実は上田さんのこの本……なんといっても1番最後の1文にグッとこないお笑いファンはいないはず。「ツカミ」だけでなく、終わりまでよければ全てよしな1冊に、あなたもぜひツカまれてください!

著者
上田 浩二郎
出版日
2012-09-14

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