生きる不思議・世界の真実に、少しだけ触れさせてくれる本

生きる不思議・世界の真実に、少しだけ触れさせてくれる本

更新:2021.12.14

はじめまして! 永原真夏です。歌手です。 このたび、わたくしも、おすすめの本を紹介させて頂けることになりました。イエーイ!! 学生時代はどちらかというとヤンキー寄りの文学少女でした。 さて、初回なので、シンプルに深く感銘を受けた本をご紹介させてください。 並べてみると、生きる不思議・世界の真実に少しだけ触れさせてくれるような作品ばかりでした。

泡の子

家出するときには必ず持って出る一冊

著者
谷川 俊太郎
出版日
人生で初めて「詩」に感動した作品です。日本語というのは、組み合わせや行間、ひらがな・カタカナ・漢字の少しの違いで、日頃生まれては消えていく流動的な感情を、ここまで腑に落ちるようにできるのか、と、感銘を受けました。
わたしが好きなのは、詩人か否かという自問自答に対して
「私はただかっこいい言葉の蝶々を追っかけただけの
世間知らずの子ども」
と続くところ。
十代の頃から変わらず、家出するときには必ず持って出る一冊です。

母性の神秘、夫の優しさ

著者
大島 弓子
出版日
大島弓子先生の作品は、手に取れるものは全て読んでいるくらい全作品盲目的に好きなのですが、一番好きなのは何ですか、と聞かれたら、この作品を挙げます。
ラブラブ夫婦の妻が、とあるきっかけでおかしくなってしまうところからストーリーは始まります。
おかしくなってしまった妻から、女性のみが持ちうるかもしれない大きな大きな自然物、万物に繋がる母性の神秘を感じるし、それを理解不能なまま受け入れていく夫の優しさや維持がリアルで、少女漫画の色彩に対して、どこまでも現実的な作品です。

詩と科学、出発点は同じ

詩と科学(「科学を生きる: 湯川秀樹エッセイ集」に収録)

2015年05月11日
湯川 秀樹
河出書房新社
物理学界の詩人、と呼ばれた、日本人初のノーベル賞受賞学者のエッセイ集です。
常日頃、学問の世界には興味津々なのですが、どの分野もとてつもなく崇高なイメージがあって、なかなか気軽に触れられず。
そこで、アカデミックな専門書ではなく、エッセイから始めようと、この本を手に取ったわけです。
この本の中で、詩と科学、出発点は同じだ、と、湯川秀樹は言います。
「バラの花の香をかぎ、その美しさをたたえる気持ちと、花の形状をしらべようとする気持ちのあいだには、大きなへだたりはない」
この言葉を読んだとき、はじめて開く扉が全開になる感覚が、胸に静かに広がったのを覚えています。

この記事が含まれる特集

  • 本と音楽

    バンドマンやソロ・アーティスト、民族楽器奏者や音楽雑誌編集者など音楽に関連するひとびとが、本好きのコンシェルジュとして、おすすめの本を紹介します。小説に漫画、写真集にビジネス書、自然科学書やスピリチュアル本も。幅広い本と出会えます。インタビューも。

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