今回はスポーツ業界におけるメーカー・小売からサービス業まで、さまざまな業種をご紹介します。以前よりスポーツ業界は柔軟性が高くなっており、異業種からの転職者は多く、またさまざまな経歴とスポーツを掛け合わせることで面白いサービスなども登場しています。 本記事では、スポーツ業界にはどのような仕事があるのか、また今後のスポーツ業界に影響を与えるであろう注目のトピックについて紹介していきます。
「スポーツ業界」と言われるとプロスポーツを思い浮かべがちですが、業界全体で見るとそれ以外の企業のほうが目立ちます。主な業種・業態を見ていきましょう。
ウェアやシューズ、ボールや道具などのスポーツ用品を製造するメーカーです。スポーツの種類によってメーカーのシェアが異なります。たとえばバスケットボールでいえばナイキが有名ですが、陸上のシェアはミズノが取っています。
また、ナイキやアディダスといった外資系メーカーは新卒採用がないか、あってもごく少数であるという特徴があります。一方でジョブ型雇用が進んでいるため、入社したあとは希望する仕事ができるでしょう。外資系メーカーを狙うのであれば、まず別の企業で経験を積んだあと転職するという方法もあります。
メーカー職があまりしっくりこないという人は、販売を選ぶパターンも多いかもしれません。スポーツ用品の小売業は大小さまざまありますが、新卒で入社した場合は店頭に立つ仕事に就くケースが多いようです。出勤がシフト制であったり、立ち仕事への耐性が必要だったりすることは念頭に置いておきましょう。
最近の小売はプライベートブランド拡充路線を取っています。そのため、入社後転属の希望が通れば企画やマーケティングの仕事に就くことも可能です。
また、大手の「アルペン」では独自の経営管理システムをリリースするなど、IT化・本業以外への多角化も進んでいます。少子高齢化で小売業全体の市場が縮小していくなか、新しい動きに敏感であることが歓迎されるでしょう。
参考:PR TIMES
学生時代にプレイヤーとして活躍していた人で、卒業後プロ入りを選ばない人も少なくありません。教員免許を取って体育の教師になるというパターンもありますが、民間でスポーツを教えるという方法もあります。
一部のスポーツ施設では正社員としてインストラクターの採用をおこなっています。ただし、より多いのはアルバイトや業務委託契約で講座ごとに報酬を得るというスタイルであるようです。この場合、インストラクターは一種のフリーランスとして働くことになります。
フィットネスクラブ・スポーツジムは店舗数も増え、求人も少なくない業種です。ただし、正社員として入社する場合は、スポーツをする立場ではなく、店舗運営や管理をする立場に回されることが多いようです。
また、ジムやフィットネスは人気のあるクラスがより多く開講される傾向にあります。そのため、教える側に回っても希望するようなクラスがない場合もあります。自分の専門を重視するのか、スポーツ業界で働くことを重視するのか、どのあたりで折り合いをつけるべきかは一度じっくり考えてみるとよいでしょう。
陸上競技場や屋外バスケットコートなど、専門の施工業者が必要なスポーツ施設というのは意外と多いものです。それらを専門に建設・整備するのが施設施工業者です。
ある程度の規模のある施設は自治体などの公共機関が持っているケースが多いため、主要な取引先は行政になることが多いようです。また、基本的には施工業者であるため、さまざまな資格を取得していくことが求められます。
求人の機会としては非常に限られていますが、プロスポーツチームで働くことも可能です。スポンサーへの営業、広報・マーケティング、栄養士などの求人が見受けられることがあります。ただし新卒採用があることはほとんどありません。プロスポーツを狙う人も、転職で機会を掴むという戦略を採ったほうがよいかもしれません。
異業種からスポーツ業界への転職は、現在ではあまり珍しいことではありません。以前のスポーツ業界に就職される方はプロを引退した方など縁故採用が一般的でした。ですが今はスポーツ業界自体が活発化しているため、さまざまな経歴の方がスポーツ業界に転職しています。では異業種からの転職ではどのような業種が可能なのでしょうか。
人気なのはスポーツ用品メーカーでしょう。有名なスポーツメーカーは海外進出を積極的に進めていることもあり、英語のスキルや新規事業開拓の経歴などがあると転職しやすいかもしれません。
オフィスでの仕事やリモートワークの方が増えたことで、現代人の運動不足に拍車がかかっています。そのためフィットネスやスクールの講師としての需要は今後も高まっていくことでしょう。
フィットネスやスクールなどに通い始める方が増加しています。YoutubeやInstagramなどSNSにアップされている自宅でできるトレーニング動画も人気ですが、正しいやり方・効果的なやり方をインストラクターに教えてもらい、食事管理をまかせながら取り組む方も一定数いるようです。
スポーツメーカーにしろ、関連施設にしろ外から見る分には華やかに見えるのがスポーツ業界です。しかし華やかさは業界の一面でしかありません。今後のスポーツ業界を盛り上げるために尽力したいと考えるなら、まずは現状を知ることが必要です。
どのような業種があり、業界で注目されている話題はなにか。さまざまな面からスポーツ業界に関する情報を収集しましょう。
スポーツ業界で働くとしたらどのような業種がありうるのか見てきました。続いては、最近のプロスポーツ界の話題をチェックしていきましょう。
2010年代後半から盛り上がりを見せている「eスポーツ」。ゲームでスコアを競うことを競技に見立てるジャンルです。大規模な競技大会が催されるなど、認知度が上がってきています。
しかし、もともとのスポーツ業界からすると「なんでゲームがスポーツなの?」という戸惑いや反感が出てくることもある程度は仕方ありません。スポーツ業界だけでなく、eスポーツの立場からも「スポーツという名称は適切なのか」という疑問が上がっているのが現状です。
ただし、ゲーム大会に「スポーツ」という脚色をつけてコンテンツ化したことにより人気が爆発したことも事実です。また、大会運営には今までのノウハウや会場(競技場など)が利用できるということもあり、スポーツ業界からのeスポーツ参入は今後も増えていくことが予想できます。
国際大会やオリンピックなどでおこなわれる、いわば「正式な」ルールに則っているスポーツがある一方で、アプローチの仕方で楽しみ方を変えるスポーツもおこなわれています。会場をライブハウスにしたり、音楽と組み合わせたりといった見せ方を変える取り組みや、バスケットボールの1on1(1対1でボールを取り合う)を協議にしてトーナメント戦をおこなうイベントなどが見られます。
これらは音楽やイベント業界など、これまでのスポーツ業界とは異なる業界からの参入や協力が目立つジャンルです。個人の趣味が多様化しているなかにあって、こういった柔軟な取り組みはこれからも支持されていくでしょう。
2020年は試合が開催できないなど、これまでとは環境が大きく異なった年でした。スポーツ業界だけに限ったことではありませんが、現場以外でどう利益を出していくのかを考えなくてはならない時代にさしかかっています。
今後考えられる可能性としては、物販の拡充がありうるでしょう。現在でもプロスポーツチームのグッズは人気ですが、今後安定した収入源として物販が求められていくと、Tシャツやタオルといった定番商品以外の企画が出てくるでしょう。中にはそれまでスポーツとほとんど縁のなかったような業界とコラボするケースもあるのではないでしょうか。
チームスポーツと異なり、トラック競技はひとりで、しかも走るだけで地味という印象がつきまといます。なかでも特に淡々とした競技に思える800メートル中距離走を題材にした青春小説が『800』です。
- 著者
- ["川島 誠", "早川 司寿乃"]
- 出版日
性格や生育環境のまったく異なるふたりの主人公の視点から描かれる800メートル中距離走を読むと、トラック競技への見方ががらりと変わるかもしれません。現在絶版になっていますが、古本で購入が可能です。
日々、新しいスポーツが続々と生まれてきています。誰でも挑戦でき、環境が整えば比較的安全なウォータースポーツとして注目を集めているのが「SUP(サップ)」です。
- 著者
- ["NALU編集部", "サーフトリップジャーナル編集部"]
- 出版日
サーフィンのようなボードに立って乗り、カヌーのようにパドルで漕いで進むSUP。屋外で水上なら社会的距離も保てますし、ボートやサーフィンなどよりも周囲の景色を楽しむ余裕もあります。体験できる施設も増えつつあります。
水辺であれば場所を選ばず、クルージング、サーフィン、フィッシング、ヨガなどさまざまな遊びに対応できるのでぜひチャレンジしてみては。
スポーツが巨大な産業となっていることは周知の事実ですが、eスポーツもまた産業としての可能性が注目されています。
- 著者
- 青山学院大学総合研究所研究ユニット「五輪eスポ」
- 出版日
『eスポーツ産業論』は、eスポーツを実務とアカデミック双方の側面から検討する本です。eスポーツ先進国での需要のされ方や、日本での可能性について検討されています。とくに業務としてこれからeスポーツに関わる可能性のある人はチェックしておくとよいのではないでしょうか。
実技から小売まで、幅広いスポーツ業界を概観しつつ、今後の見通しなどについて紹介しました。eスポーツに限らず、業界の垣根を越えてスポーツに携われる機械が増えつつあります。スポーツ業界そのものにこだわらずとも、スポーツでおもしろい仕事ができるチャンスがあるかもしれません。ぜひ視野を広くして仕事探しをしてみてください。