5分で分かるプラント業界。そもそもプラントとは。仕事内容や気になるニュースなど解説!

更新:2021.4.12

「プラント」とは、さまざまな機器が組み合わさって作られた製造設備のことです。工場地帯にある建物はすべてプラントに該当します。しかしプラントの仕事と言われて、具体的に内容を思い描くことは難しいはず。この記事ではプラントが担っている役割や、実際の働き方といった疑問にお答えします。主にエンジニアの求人が多いですが、他にも営業や総合職などの職種も、プラント業界には存在します。 記事の最後にはプラント業界に関する気になる書籍も紹介しています。こちらもぜひ一読してみてくださいね。

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そもそもプラントって何?

プラントという言葉からどのようなものを想像するでしょうか。「プラント」という言葉が何をさしているのか知らない方は多いはず。

知っている方は巨大な工場や金属の配管などをイメージする人が多いかもしれません。そのイメージが正しいのか、間違っているのかまず確認してみましょう。

いくつもの設備が組み合わさったもの

「プラント」という単語を辞書で引くと、「工場の設備」「生産設備一式」というような解説が出てきます。これだけでは一般化されすぎていて分かりにくく感じないでしょうか。「それなら何でもプラントと呼べてしまうのでは?」と思う人もいるかもしれません。

ただ、この疑問は正しいのです。プラントとというと、大きい工場のことだという印象があるかもしれません。しかし実は、規模は関係なく、そのなかに設備が複数あるかどうかでプラントと呼ぶか呼ばないかが決まります。どんなに巨大でも、設備が一種類しかない工場はプラントとは呼びません。

プラントの具体例:生コンの工場の場合

さて、それでは複数の設備とは具体的にどのようなものを指すのか見てみましょう。

工事現場でよく使われるセメントについて考えてみましょう。大量に必要な基礎工事などでは、「生コン」と呼ばれる液体状のセメントを一度工場で作ります。作った生コン専用のミキサー車で運びます。

ミキサー車に入れる前には貯蔵庫があります。貯蔵庫には配管がついていて、敷地内にあるセメントと水などを混ぜるミキサーからできた生コンが注ぎ込まれます。ミキサーにはさらにパイプがついていて、原材料となるセメントや水がそれぞれに運ばれてくるようになっています。

このように、生コンの工場は貯蔵する設備・製造する設備・配管など、複数の設備が組み合わさってできています。このようなものをプラントと呼びます。また、各設備には計器類がたくさんついています。非常に緻密な働きをするものも多く、これらもプラントには欠かせない要素です。

生コンはそこまで規模の大きくないプラントですが、製鉄所などには非常に大規模で、敷地が広大なものもあります。一方、生ゴミを堆肥にするコンポストが効率的におこなえる小規模なプラントなどもあります。コンパクトなプラントは、ガレージなどに収まるサイズです。

プラント業界ではどういう働き方をするの?

プラントについて概要が分かったところで、続いてはプラント業界の仕事内容を見ていきましょう。

受注の単位が大きい

一般的に「プラント業界」という名前で呼ばれるのは、プラントを使う側ではなく、プラントを作ったり、メンテナンスしたりする側の事業者です。主な顧客は製造業者です。

業界の特徴としては、まず1回の受注額が大きいということがあげられます。プラントの新規建設となると、実質的に工場を丸ごとひとつ作ることになります。そう考えると規模感が分かりやすいのではないでしょうか。

新規建設だけでなく、既存の施設のメンテナンスや改修も大切な仕事です。とくに規模の大きなプラントは設備を維持するのにもそれなりのコストがかかります。

最近では、安全性とコスト削減のためにプラント内にドローンを飛ばして点検作業をおこなう試みも広がっています。

参考:設備点検:プラント施設|センシンロボティクス 

海外での仕事が多い

日本国内の製鉄所のように、原材料を海外から輸入して国内で加工するプラントもあれば、原材料が採れる場所に建設するパターンもあります。国内ばかりと取引をしている場合は別ですが、プラント事業者は海外と取引をする可能性が比較的高い業種です。

原材料の生産現場近くにできるプラントの例としては、ガスプラントがあります。ガスプラントは油田・ガス田近くに建設され、製品として利用できる状態にガスを精製します。

このような場合は、プラント事業者も現地のプラントに行って仕事をしなければなりません。油田・ガス田というと中東や東南アジアのイメージが強いかもしれません。しかし、日本のプラント業界はオーストラリア・アメリカ・ヨーロッパ諸国など、さまざまな場所で仕事をしています。

海外の担当者となった場合は、出張が多くなるか、場合によっては現地駐在をすることになります。現地のスタッフや企業とやりとりをすることも頻繁にありますから、語学力は非常に重要になってきます。

新規エネルギー開発にも関わる

石油・ガスなどのエネルギーであれ、鉄などの金属であれ、自然から取り出したそのままの状態で利用できるものはほとんどありません。プラントの技術によってガソリンになったり、鉄骨になったりしているわけです。つまり、資源をどのように活用できるかは、ほぼプラントの技術にかかっていることになります。

そのため、プラント業界は新規エネルギー開発にも力を入れています。たとえば全体の量が少ない、安定性に欠けると言われている自然エネルギーによる発電なども、プラントの技術が進化すればより安定した供給が可能になる可能性があります。

エンジニアリングの求人が多い

プラント業界はプラントを作り、実際に動かすことのプロです。そのため実際にエンジニアリングに携われる人材の求人が厚くなっています。企業によっては理系の大学卒業者に対象を絞っているところもあります。

一例として三菱電機プラントエンジニアリング株式会社の2021年新卒採用を見てみましょう。技術系総合職はいくつかにわかれて求人がでています。

  • プラントエンジニア
  • システムエンジニア
  • 事務系総合職:管理部門
  • 事務系総合職:営業

この企業は国内にのみ拠点を持っていますが、エリア総合職の求人がないことから全社的に転勤が多いことが予想できます。

前述したようにプラント業界は1回の受注規模が大きい業界です。そのため、案件を取ってくる営業も非常に重要な仕事です。

参考:三菱電機プラントエンジニアリング株式会社

プラント業界の主な企業

プラント業界で働くには専門的な知識がなくてはなりません。またエンジニアなら最先端の技術についても把握しておく必要があるでしょう。専門知識がなければ務まらないという点から、プラント業界の年収は高水準となっています。

実際に就職・転職を検討する際にどのような企業があるのか気になりますよね。プラント業界の主要企業を見ていきましょう。

  • 日揮ホールディングス
  • 千代田化工建設
  • 東洋エンジニアリング
  • 東芝プラントシステム
  • 太平電業
  • タクマ
  • レイズネクスト
  • 明星工業
  • 高田工業所
  • 栗田工業株式会社

それぞれ会社の強みが異なっており、もちろん業績や成長度合いにも差があります。

また現状、プラント業界では人材不足が深刻化しています。現在活躍している40代、50代の技術者が多いため、新しい人材の育成が急務とされているのです。そのため未経験での求人も多く、育成に力を入れている会社も少なくありません。

産油国の特殊事情

プラント業界と関わりの深い油田・ガス田。これらを擁する地域にはイスラム教国家が多数あります。アメリカ・ヨーロッパ経済圏とはまた異なる倫理があるイスラム教地域については、仕事をする上でいくつか知っておくとよいことがあります。

著者
門倉 貴史
出版日

『イスラム金融入門』は文字通りイスラム教国家での金融サービスについて解説した書籍です。

イスラム教では利子を取ることが禁止されているため、日本の感覚で金銭を貸し借りすることができません。そのような規定にどう対応しているのかや、今後イスラム教国家が成長していった際に国際的な金融サービスが変化していく可能性があるのかということについて考えられます。

エネルギー業界の動向

エネルギー業界はプラント業界と関わりの深い業界です。また、人類の歴史を振り返ると、主要なエネルギーは時代の趨勢とともに移り変わってきました。

著者
["竹内 純子", "伊藤 剛", "岡本 浩", "戸田 直樹"]
出版日
2017-09-02

『エネルギー産業の2050年』はこれからのエネルギー産業について考える書籍です。SDGsが強調される現代においては、温暖化ガスの排出量や資源の再利用など、業界全体で取り組まなくてはならない課題がたくさんあります。

これからの見取り図を思い描くのにおすすめです。

プラントって格好いい!

志望動機には様々なものがあれど、「工場が格好いいから好き」というシンプルな理由を持っている人もいるのではないでしょうか。

著者
["大山 顕", "石井 哲"]
出版日

『工場萌え』は工場好きがなぜ工場が好きなのかを魅力たっぷりに伝える写真集です。すでに絶版になっていますが、古本で購入が可能です。

「プラントってそんな格好いいかな?」と疑問に思っている人は、一度近くで見物してみると良いかも知れません。日本の湾岸には、高速道路などから眺められるプラントがある地域がたくさんあります。昼間は機械類が広がる様が見られます。航空障害灯がたくさん灯る夜も壮観です。

現代社会には欠かせない役割を担っている

身近にないようでいて、現代社会には欠かせない役割を持っているプラント業界について解説しました。企業によっても働き方や仕事内容が大きく変わる業界ですので、ぜひ自分にぴったりの企業を探してみてください。

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