観光地の案内をし、お客様の旅を楽しくするバスガイド。観光案内だけでなく、乗客の体調を気遣ったり、安全を確認することも大切な仕事内容のひとつです。私たちのバス観光の記憶のなかにも、一際輝くバスガイドの姿があるのではないでしょうか。 就職や転職にあたって特別な資格や学歴は必要ありませんが、ツアーをこなす体力や、語学力、観光への好奇心などは必要です。 今回はそんなバスガイドの仕事やなり方、給与事情などを解説します。記事の最後にはバスガイドに興味がある人におすすめの本を3冊紹介しているので、そちらもあわせてぜひご覧ください。
バスガイドのメインの仕事といえば、観光案内でしょう。自分が乗車するバスの行先を下調べし、到着までの時間も乗客を楽しませるために鍛えられた話術で旅先の情報を乗客に伝えます。
しかしバスガイドの仕事はそれだけではありません。
観光案内では観光地の見所のほか、お土産屋さんの案内をすることもあります。大勢の乗客に案内する仕事なので、大きく聞こえやすい声で話すことが大切になります。
また観光地に関わることだけでなく、ツアーに参加している乗客の健康に気を遣うこともバスガイドの大切な業務です。トイレの案内や、休憩時間をこまめにとるこを促すのも、快適な旅をするためには必要です。
最高の思い出をつくってもらうために、観光地に関する知識や乗客の体調の変化などを察知する力を磨かなければなりません。観光業にはオフシーズンがあるので、ツアーが少ない時期を使って観光地の勉強をするなど、ガイドスキルを積極的に磨く気持ちがバスガイドとして働く上で重要です。
バスガイドは乗客だけでなく、ツアー会社や教育関係者などさまざまな人たちと関わる機会があります。そのため、人前で話すことに抵抗がない人はもちろん、人と協力してひとつのことを成し遂げたい人は向いているでしょう。
バスガイドの仕事では、観光地について学ぶことも大切な仕事のひとつです。ガイドスキルをあげるために努力できる人には向いている仕事といえます。観光業はさまざまな国から来た観光客とかかわる機会も多いので、語学を学ぶことが好きな人にもバスガイドはぴったりです。
観光が好きな人にとって、仕事とはいえ、いろいろな観光地に行けるのは魅力です。また、泊りがけの場合もあり、ひとつの場所にとどまらず、移動しながらの仕事を楽しめる人は適性があるかもしれません。
バスガイドの仕事は、人と直接関わる仕事です。案内を担当する地区がずっと同じだとしても、案内する乗客は毎回違います。また天候も異なるため、一度として同じ現場はありません。
毎日違う内容の仕事をしなければならないという方はきつく感じる部分もあるかもしれませんが、その場での臨機応変な対応が求められるのが苦ではない方には向いているといえるでしょう。
バスガイドの初任給は約15~20万円となっており、他業種に比べて給料は低めとなっています。バスガイドは拘束時間と距離で月給を決められている場合が多いので、勤務地から遠く離れた観光地を担当することで、月収はあがるでしょう。
他にも、できる仕事が増えたり役職がついたりすれば、徐々に収入は上がっていきます。
またバスガイドは各種手当が豊富で、家賃補助や泊まり手当がつく会社も多いです。そのためきちんと各種手当の出る会社なのか、就職や転職の際には要チェックしたいところです。
正社員としてひとつの会社で活躍するという働き方もありますが、派遣としてさまざまな会社で働いたり、パートとして日給で働いたりすることもできます。パートとして働く場合には日給8000円~が一般的ですが、スキルや所属している会社によってちがいがあります。
ツアーは土日に入ることが多いため、休みは平日になることが多いです。また、イベントシーズンなどの繁忙期は、閑散期に比べてツアーの数が多く、忙しくなります。
勤務時間はツアー内容によって変わりますが、基本は早朝から準備・出発し、夕方ごろの解散になることが多いでしょう。しかし、泊りがけのツアーがある場合は、勤務時間が長くなることもあります。その際には泊まり手当として数千円加算されます。
お客様のトラブルや交通渋滞など、どうしてもイレギュラーなことが起こりやすい仕事でもあり、勤務時間が伸びてしまうこともあるようです。
バスガイドになるのに必要な資格はありません。その分、学歴が重要となります。多くの観光会社では高卒以上が条件とされています。
観光に特化した学科を卒業している必要はありません。ただ、観光学や語学を学べる専門学校や大学に行けば、より専門的な知識を身に付けることができ、就職で有利になることはあるでしょう。
担当する乗客のなかには海外の方も含まれていることは少なくありませんから、英検やTOEIの資格は学生のうちに取得しておくとよいかもしれません。
観光に関する資格については、入社後に取得を義務付けている会社もあります。
「旅程管理主任者」という資格は、団体旅行に同乗する添乗員が取得していなくてはならない資格で、主に、国内と海外の2種類があります。
仕事の幅も広がるため、入社後の研修で資格を取得することが一般的。資格取得までに必要な手続きは以下のようになっています。
「基礎添乗業務研修」は現在eラーニング講座を実施しているため、添乗員派遣会社登録前に受講することが可能です(18歳以上のみ)。
学生のうちに添乗員を経験したい、卒業後はバスガイドとしてすぐ活躍したいと考えている方は、先に基礎研修を受講しておくのもいいかもしれませんね。
参照:日本添乗サービス協会
バスガイドは乗客から直接感謝の言葉をもらったり、「思い出になった」と言われたり、たくさんの笑顔に触れることのできる仕事です。人のことを笑顔にしたい、人々の思い出に残る仕事をしたいと考えている方にとっては、とてもやりがいを感じられる仕事でしょう。
バスガイドは観光地の魅力をお客様にわかりやすく伝える仕事です。客層に合わせて内容も変えるため、臨機応変に対応する力もつくでしょう。バスガイドの仕事でつちかった力は、さまざまな仕事に活かせるものばかり。転職をする際にも役に立つことは間違いないでしょう。
日本人からも外国人からも大人気の観光地、京都。ツアー客の姿も多く見られますよね。そんな人気観光地・京都のバスガイドはどのような案内をしているのでしょうか。話し方や内容、京都の見所について知りたい方におすすめの本はこちら。
- 著者
- ヤサカ観光バス
- 出版日
ヤサカ観光バスが監修した『右手をご覧くださいませ: バスガイドとめぐる京の旅』という本です。京都のバスガイドに受け継がれた「ガイド教本」をもとに、京都の見所をストーリー形式で分かりやすく解説してくれています。
バスガイドの仕事に興味がある方はもちろん、京都旅行を予定している方にもおすすめの1冊です。この本を持っていざ京都旅行へ。
思い出に残る旅を作るために欠かせないバスガイド。修学旅行やツアーでバスガイドと関わったという人も多いのではないでしょうか。
人気観光地・奈良に数多くいるバスガイドのなかでも「奈良でいちばんオモロいガイドさん」として人気を博している木島亜里沙さん。その方が執筆した本がこちら。
- 著者
- 木島亜里沙
- 出版日
ベテランバスガイド木島亜里沙さんが執筆した『 ご指名!古都のバスガイド』です。
高校を卒業後、大好きな歌やおしゃべりを生かす職業としてバスガイドの道に進んだ木島さん。そんな彼女が感じたバスガイドという仕事の大変さ、楽しさをリアルに語っています。
「実際に働いている人からリアルな声が聞きたい!」という方にとって、学べるところの多い内容です。おすすめの1冊なのでぜひご覧くださいね。
バスガイドといえば、楽しいお話や分かりやすい説明が印象的ですよね。お客様の記憶に残るプレゼンはどのようにして習得しているのでしょうか。
知識はあるものの、プレゼンがうまくできいと悩んでいる方におすすめの本がこちら。
- 著者
- 伊藤誠一郎
- 出版日
伊藤誠一郎氏著作の『バスガイド流プレゼン術 天才ジョブズよりも身近な達人に学べ 』です。
「ジョブズ氏など、天才起業家のプレゼン法では自分にできるのか不安」という方にこそ読んでほしい内容。身近な存在のバスガイドからプレゼン方法を学んでみませんか。
バスガイドを目指している方だけでなく、プレゼン方法に悩んでいる方にもおすすめの1冊です。この1冊を読み、きちんと実践することができれば、長年抱いていたプレゼンに関する悩みがなくなるはずです。
意識せずにバスに乗っていると気付きませんが、バスガイドは乗客ひとりひとりの顔や行動をきちんと見て、楽しんでいるかどうか、具合が悪くないかどうか、迷っていないかを見守ってくれています。
ちょっとした疑問に答える知識を持ち、人を楽しませる心持ちを忘れない。観光業のなかで注目されることは少ないですが、なくてはならない存在です。
そんなバスガイドの仕事に興味を持った方は、記事の最後に紹介した3冊の本も、ぜひ手にとってみてくださいね。バスガイド経験者の本からは本当に学べるところが多いですから。