こたつでミカンを食べながら年末年始に読む本

更新:2021.12.1

忙しいの“忙”という漢字は“心を亡くす”と書きます。プロレスラー KUSHIDA、2016年は143試合。危うく心を亡くしかけました(笑)。そんな中でも今年は「ホンシェルジュ」連載スタートにより、いろんな本に出会えました。

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連載を始めたことで、ファンの方からオススメの本を差し入れで頂くこともあり、本の趣味嗜好の視野が広くなった気がします。書店に足を運んでみると傾向としてSNS全盛の情報化社会ならでの問題や人間関係が描かれた本や小説が多いことに気が付きます。これから迎える年末とお正月。テレビは騒がしい特番ばかり。ゆっくり本を開くチャンスでもあります。こたつでみかんを食べながら、ほっこり明日への英気を養える本をご紹介します。

妄想、万歳!

著者
つぶやきシロー
出版日
2016-10-26

主人公のスーパーマーケットの副店長・春男は妄想力豊か。豊かすぎるがゆえに家庭に仕事に、空振りの連続。その妄想劇場の炸裂っぷりが笑えます。授業をサボって数人の友人とベンチに陣取り、サークル活動でキャンパスライフをエンジョイしている者達を横目に、こちとら彼女なし。会話の中身は中2レベル。愛すべき童貞男子の仲間達と妄想会話を楽しむばかり。そんな我が大学生の頃の日々を、この小説で思い出してしまいました。

「妄想、万歳!」思うに妄想力豊かな人というのは、優しい人。気付かなくてもいい所まで目がいっちゃう、気が配れちゃうシャイボーイ、ナイスガイ達。私の友達はだいたいこんな感じの人が多いのです、だから著者のつぶやきシローさんも、きっと。

スーパーの従業員たちのバックステージの情景、人間関係などが手に取るように分かりやすい小説でした。カツカレーが食べたくなります。

言葉を操るプロの本

著者
君塚良一
出版日
2011-07-13

面白い映画やドラマに出会うと「脚本家は誰だろう?」といつも気になります。どういう頭の回路でこんなにいいセリフが思いつくのだろう? 人の心をグッと掴む言葉を生み出す脚本家という仕事に憧れます。お正月は映画を観るチャンスも多いですよね。

「踊る大捜査線」の放送開始が1997年。ちょうど20年前なんですね。私が学生時代、一番熱中して毎週見ていたドラマです。「目標が見えているなら、その山の頂上に向かってクネクネ道を歩け」という萩本欽一さんの言葉があったからこそ、バラエティ要素を取り入れることができて、より深いドラマが作れていると述べています。

仕事が進まなくなった時はどうしているのか? 表現者なら誰しもが悩む問題に対しては“「壁にぶつかっちゃって……」と先輩放送作家に相談すると「壁なんてない。自信過剰なだけ」と言われた”と。そこで出た結論が「そうだ、はっきり認めようじゃないか。自分には大した才能なんてない。自分で壁をこしらえておいて自分で苦しむなど、アホくさい」。脚本家という言葉を操るプロが書いた本に、間違いはないです。

心の最強ダウンジャケット

著者
明川 哲也
出版日

丼の擬人化! 丼ぶり目線で人生に悩める読者にやさしい言葉を投げかけてくれる一冊です。「丼ぶり目線? 何のこっちゃ?」と思いになられるかもしれませんが、最後にこの本に書いてあるレシピ通りにご飯を作れば、もう精神は無敵状態。この本に書かれている言葉は人生の寒さ対策、心の最強ダウンジャケットのようであります。そして幅広い年齢層の方が対象となり得る本で、どんな悩みのモヤモヤでもスッキリさせてくれる効果がこの本にはあります。海上を休まず飛び続ける渡り鳥、その鶏胸肉で作る「歩け歩け丼」は、さっそく私の手料理レパートリーの仲間入りを果たしました。美味しいものは絶対的正義で誰も裏切らない。食べるって行為そのものが、そもそも幸せ。美味しいものって暖かくて、やっぱりいいですよね。正月に丼飯を食らう、なんかいい年になりそうな気がするではありませんか!

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