セキュリティ・ポリス、いわゆる「SP」は、総理大臣や外国の大統領など警護をおこなうことが法律で定められています。外国の要人が来日する中継で見たことがある方は多いでしょう。SPは警察庁に属する警察官の職種のひとつであるため、護衛には拳銃などの武器の携帯が許されています。この点が、ボディーガードや民間のSPとの違いです。年収に関しては「公安職給料表」に基づいており、警察官の他職種との違いはあまりありません。本記事では、謎に包まれたSPの仕事内容からボディーガードとの違い、就職ルートなどを解説。記事の最後にはSPが主役のドラマの書籍などをご紹介しているので、そちらもぜひ参考にしてみてください。
SPとは「セキュリティ・ポリス」の略で、総理大臣や外国の要人などをあらゆる危険から守る要人警護の仕事をおこなう人のことを指します。警察組織のなかに属し、警視庁に勤めています。
SPの警護対象者は規定されており、内閣総理大臣、最高裁判所裁判官、そして国賓や外国要人などの警護をおこないます。誰にでも警護につくわけではないため、一般的な議員の警護には、民間のボディーガードがつくことになっています。
日本でのSP発足は1965年。アメリカのシークレット・サービスを参考に、SPと呼ばれるようになったという背景があります。
参考:大分県警察本部
SPの仕事は要人を危険から守るということは多くの方が知っています。具体的にはどのような業務をおこなっているのでしょうか。混同されがちなボディーガードとの違いも含めてご紹介します。
SPの仕事は要人を警護するだけではありません。2002年に首相官邸が現在の建物になってから、官邸の警護を担当するSPもいます。
政府や外国の要人を警護する部署については第1から第4係まであります。それぞれの係で警護する対象が異なります。
なお、皇族の護衛は警護課ではなく警衛課です。天皇皇后両陛下など、皇族の警護を担当しています。
SPとボディーガードとの違いは、2つあります。ひとつは警護対象者が異なるということ、もうひとつは装備です。
警視庁SPの警護対象者は法律で決まっています。前述したように、内閣総理大臣や外国の要人の警護をおこなうのがSPの役目です。一方、ボディーガードはそれ以外の方々の警護を行います。政治家、国内外のアーティスト、著名人など警護対象の範囲が広いという特徴があります。
また、警備をおこなう際の装備にも違いがあります。SPが拳銃や武器を所持・利用できるのに対し、ボディーガードは殺傷能力のある武器を持つことはできません。
SPは警察に属するため、「公安職給料表」に基づいて月給が定められています。
基本的にほとんどの警察官は、巡査から巡査部長の階級です。実際、巡査部長の割合は33.9%高いため、今回は巡査部長の平均給料月額、平均年収をご紹介します。
SPとそれ以外の警察官で、基本給は同じです。後は手当の額が異なるのみで、基本的には給料面で大きな差はありません。
特殊な仕事を請け負っているとはいえ、待遇や給料に特筆すべき違いはないのです。
特殊な仕事をおこなっている印象からか、SPになるには通常の警察官とは別のルートが存在するというイメージを持っている方は少なくありません。ですが、SPは警察庁に所属する警察官です。そのためSPになるには、警察官採用試験を合格するところからキャリアがスタートします。
SPになるためには、まず警察官採用試験に合格しなければなりません。採用試験合格後は、警察官として交番勤務などの経験を数年間積みます。その後、上司の推薦を受けてやっとSPになるための内部試験を受けることができます。
要人警護をおこなうSPには、高い身体能力や、警護技術が求められます。SPになるための資格条件は次の通りです。
これらの条件を満たさなければ、警察官からSPになることはできません。
SPとしての条件や適性を認められ、上司の推薦を受けてからやっと、SPの候補者となることができます。候補者になった後は、警察学校の専用施設で特殊訓練を受けます。厳しい訓練を勝ち抜いた者のなかから、さらに選抜された方だけがSPになることができます。
SPは警視庁所属の警察官のなかでエリート中のエリートといっても過言ではありません。
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- 出版日
この本は警察に対する素朴な疑問や都市伝説について答えています。たとえば、警察署のパトカーに東京都以外○○道警・府警・県警と書かれているのに、東京都だけ警視庁なのか。このような疑問に対して経緯など写真入りで解説しています。
またSPの資格条件や写真入りでの訓練の様子も紹介されています。SPを知る貴重な資料になるでしょう。SPという職業ができたきっかけである、1975年に三木武夫首相(当時)が襲われた事件についても言及しています。
警察組織について学びながら、SPという職種の背景を知りたい方におすすめの1冊です。
- 著者
- 金城 一紀
- 出版日
2007年11月3日から2008年1月26日まで、フジテレビ系列で土曜日の23時10分から23時55分に放送されたドラマ『SP 警視庁警備部警護課第四係』。主人公は井上馨役をV6の岡田准一が主演を勤め、映画化もされた作品です。
主人公の井上馨は幼い頃にテロで両親を亡くし、トラウマから得た特殊能力を使って、要人テロ事件とその背後にある巨大組織に立ち向かっていきます。
この本は、テレビドラマ放映後に出版されたものです。実際に放映されたドラマのタイトルと対応できるように、各エピソードの下段にドラマのタイトルが載っています。放映されたドラマや映画を観た後に、SPの世界をさらに深く知りたい方におすすめです。
こちらの本以外に、漫画も販売されています。ドラマ版や映画版のSPが好きな方はこちらも読んでみてはいかがでしょうか。
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- 出版日
SPを目指すには、まず警察官採用試験に合格しなければなりません。この採用試験は第1の関門といえるでしょう。
本書には、各都道府県の警察官採用試験の論述試験が載っているため試験対策として使うことができます。また採用担当者のインタビューも掲載されており、どのような警察官が必要とされているのかを知ることも可能です。
警察官として採用されると、警察学校で訓練を受けなければなりません。その警察学校での訓練を経てやっと1人前の警察官になることができるのです。警察学校の訓練の様子についても言及されているため、採用試験の受験を検討している方はぜひ目を通してみてください。
今回、警察組織に所属するSP(セキュリティ・ポリス)という職種について紹介しました。
SPは、警察官のなかでエリートと認識されています。SPになるには様々な厳しい条件があり、すべての希望者がSPになれるわけではありません。選ばれた者だけが狭き門をくぐり、SPになる資格を得ることができるのです。
自らの命をかけ、要人を警護する。そこには相当なプレッシャーがあると思いますが、無事に要人の警護を終えた時のやりがい、達成感は大きなものでしょう。この記事を通してSPに興味を持った方は、記事の最後に紹介した書籍も参考にしてみてくださいね。まずは警察官採用試験の対策からはじめていきましょう。