5分でわかる家具職人!仕事内容やおすすめの資格、年収事情などを解説!

更新:2021.12.4

流麗なフォルムのデザインチェア、エイジングが楽しい一生もののダイニングテーブル、そんな愛される一点ものの家具を作りたい。でもオートメーション化による大量生産が当たり前の今の時代、家具職人ってどうなんだろう。そもそも就職先はあるのか、給与はどうなっているのかといったさまざま疑問がわいてくる人も多いと思います。本記事では、それらの疑問にお答えします。また家具職人に興味のある方向けに必読の関連書籍も紹介。より深い知識が身につき、リアルなやりがいも見つかるはずなので、こちらも参考にしてみてください。

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家具職人の仕事内容

手仕事でテーブルやチェアを作るといったざっくりしたところはわかるけど、詳細までは知らない。どうすれば家具職人になれるのか見当もつかない。工房を構えてひとりでやっているイメージがあるけど就職先ってあるのだろうか。ここではそんな疑問を解決します。

仕事内容

家具職人の主な仕事工程は、「設計図通りに木材を切り出し、穴やホゾの加工をおこない、組立、塗装、仕上る」です。

切り出しや組み立ての都度、寸法に狂いがないかを確認し、設計図に書かれていない詳細な寸法は、これまでの経験をもとに計算して作り上げていきます。また、小さな工房を経営している職人などは、設計(デザイン)までを手掛ける家具デザイナー兼家具職人がほとんどです。

家具職人は道具の手入れも重要な仕事。基本的に自分で使用する道具は自ら手入れします。特にカンナやノミといった使用頻度の高い道具は、刃を研いだり角度を調整したりと細かくメンテナンスをおこないます。道具の状態が製作物の完成度に大きな影響を及ぼすため、常に最良の状態にしておく必要があるのです。

制作物は本棚・食器棚などの棚や、布張りや革張りの椅子・ソファ、装飾つきの家具などさまざま。どの家具も一通り製作することのできる家具職人もいますが、それぞれの専門分野に特化した家具製作をおこなっている人がほとんどです。

家具職人になるには。その道のり

家具職人になるまでの道のり

家具職人になるために必要な資格や経験はありません。ただし、なってからの道のりは厳しく、一人前になるまでには5年ほどかかるのが通例とされています。

まずは家具製作会社や工房に就職をすることが一般的ですが、新卒採用をしているところは大手の制作会社に限られ、基本的には新卒時やあるいは転職などで、工房に入り弟子入りのような形でスタートとなるケースが多いようです。

まずは見習いとして資材の運搬や、道具のメンテナンスなどからはじめ、少しずつ家具づくりのノウハウと技術を身につけていきます。向上心を持って技術の習得することで、なかには数年後に一人前の家具職人として独立する人も多くいます。

家具職人に必要な資格

家具職人に関する資格の取得がおすすめ

就職するための資格は必要ではないと先述しましたが、家具職人に関する資格を取得することで一定水準の知識、技術の証明になり、自身の製品の宣伝するためや独立の際には有利になることもあります。

家具製作技能士

たとえば「家具製作技能士」。これは家具を製作する上で必要な充分な知識や技術を持っている事を証明する国家資格で、1級と2級の2種類があります。それぞれ学科と実技試験があり、取得のためにはデザインから素材、工具の扱い方に関する知識のほか、構造力学などの専門的な知識や技術の習得が必要とされます。

参照:中央職業制作技能士 家具製作(家具手加工作業)

木材加工用機械作業主任者

また「木材加工用機械作業主任者」は、将来独立を目指している職人に注目されている資格です。家具製作に欠かせない木材加工用機械ですが、このような機器を扱う場合には安全管理者を設置することが義務付けられています。 その際、安全管理者は当国家資格を所持しておかなければなりません。

木材加工用機械を使用する企業や工房には、この資格取得者が最低ひとりは必要になります。

参照:東京労働基準協会連合会 木材加工用機械作業主任者技能講習

家具職人の年収。どれくらい稼げるの?

やりがいに満ちた家具職人ですが、気になるのは「食べていける仕事なのか」です。平均年収をはじめ、どれぐらいの収入が見込めるのか見ていきましょう。

家具職人の平均年収・月収

家具職人の平均年収は310万円~405万円ほどとされています。一般的な会社員の平均年収が400万円ほどと言われていますので、やや低めの印象です。

では年代別の月収はどれぐらいでしょうか。

  • 20代:約22万円
  • 30代:約25万円
  • 40代:約30万円

年を重ねるごとに知識や技術は積算されていくので、そのぶん給与も上がっていくようです。

ただし経験を積めば給与が上がっていくからといってチャレンジを怠ると大変です。家具職人が生き残るためには、品質やデザインにこだわりのある層への訴求力のある、家具の製作が求められています。

豊富な知識と高いスキルを持ち、その力を生かす方法を考えなければ、結局はオートメーション化の波に押し流されてしまう可能性があるのです。

家具職人の仕事で感じられるやりがい

家具職人をはじめモノづくりの現場で働くスタッフには、仕事のやりがいを重視する人が多い傾向にあります。さて、家具職人の仕事にはどのようなやりがいがあるのでしょうか。

モノづくりの楽しさ

まずはシンプルにこれでしょう。ただしモノづくりのやりがいはひとつではありません。創意工夫の楽しさや設計通りの家具が出来上がったときの満足感、技術が向上する喜びなど、さまざまです。

家具職人は材料の切り出したから、加工・組み立て、塗装に仕上げと多くの工程をひとりで担当するため、モノづくりのやりがいを十二分に感じることができる仕事です。

人に喜んでもらえる瞬間

完成した家具を見たお客さんが喜んでくれる瞬間は格別です。でも家具職人がワクワクするのはその瞬間だけではありません。自作家具が購入者の生活に馴染んで現役で使われているのを見られた時も大きな喜びを感じます。

大量生産により安価な家具が多く流通し、傷んだら捨てるといった習慣が主流となりつつある昨今、家具職人たちは何世代にもわたって使い続けられる製品をつくり、購入者の生活に潤いを与えているのです。

木工の基礎知識から洋家具の歴史まで学べる

著者
["山中 晴夫", "田中 一幸", "山中 晴夫", "田中 一幸"]
出版日

家具職人に興味を持ち始めたばかりの人におすすめの1冊、木工の魅力や楽しさをより深く学べる本です。

木工に関する基礎知識から木工製作の基本技術、各種木工の作例とその作り方について解説のほか、木工の本場ヨーロッパの名門木工製作所へのインタビュー、洋家具の歴史や家具・工具の博物館ガイド、和家具産地ガイドなども掲載。多くの発見があり家具職人を目指すうえでモチベーションを高めてくれます。

画で見るテクニック集

著者
["杉田豊久", "スタジオ タック クリエイティブ"]
出版日

木工の画期的な技術をビジュアルで見せてくれるテクニック集。テキストだけでは伝わりづらい細かな技術も一目でわかります。

内容は熟練職人が使用するノコギリ、西洋カンナ、自作ジグのノウハウなど。二段蓋付きの重ね箱や棚付き額縁、絵本棚など20アイテムの製作手順を紹介しています。

仕事としての家具職人を目指す方はもちろん、日曜大工に興味のある方にもおすすめできる内容となっています。家具製作においてハードルの高い電動工具を使用せずに作れるので、マンションにお住まいの方も参考にできるはずです。

職人のメンタリティを身につける

著者
["秋山 利輝", "「元気が出る本」出版部"]
出版日

「心」を育て、「人生」を豊かにする「働き方」について教えてくれる1冊。

注文家具をつくる職人集団「秋山木工」の行く人材育成について紹介。礼儀、感謝、尊敬、気配り、謙虚な心など、昔から日本人が大切にしてきた「心」を学べます。一流の「心」を養うことで、その思考が体に染みつき技術もグングン伸びていきます。


モノづくりの楽しさや技術が高まっていく喜び、購入者からの反響など、魅力たっぷりの家具職人。名工の仕事を見たり、知ったりして憧れる人も多いと思います。

ただしそこは職人の世界。下積みから一人前になるまでの期間は通例で5年ほどと優しい世界ではありません。給与も決して高いわけではなく、独立なども視野に入れて自己研鑽を積むべきでしょう。

そんな夢も厳しさもある家具職人ですが、「目指してみたい」「もっと知りたい」と思っていただけたのであれば、ここで紹介している書籍などで素晴らしい作品に触れたり、知識を学んだりしてモチベーションを高めていってください。

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