ビジネスにおいて、重要なスキルの1つに「交渉力」があります。特に営業をしている方は身につけておくべきものですが、今ひとつ自信がない、という方にぜひ読んでいただきたい本をまとめました。交渉力の鍛え方を知って、仕事のやり方を変えてみませんか?
ちくま新書から発売されている『実践!交渉学 いかに合意形成を図るか』は、身の回りのことから国際関係まで幅広く、交渉について取り扱っています。
話し合いで未来の物事を決めることを「交渉」とするならば、どのようなものが「交渉」で成立し得るのか、本書はわかりやすく説明しています。
基本的な考えを身につけるだけでなく、その社会的な意義も知ることができる点が、本書のポイントと言えるでしょう。合意の社会的意義とは、例えば近年で言えば官民一体になって行う街づくりなど、互いの利益が一致することです。そのような事業を行うにあたって、合意を形成するための交渉力は必要不可欠と言えます。
- 著者
- 松浦 正浩
- 出版日
- 2010-04-07
ビジネスシーンでありがちな、合意に関する双方の見解の違いがなぜ起こるのかということを知るために、誰とどのような合意をすべきなのかが明快に記されています。合意を形成するために必要なステップ、そして注意点などを具体例とともに学べますので、入門書としても良書です。
ビジネスシーンのみならず、日常生活でも使える交渉術を身につけるために、「交渉」や「合意」とは何かという基礎を本書で学んでみてはいかがでしょうか?
投資家であり京都大学で教鞭をとっている瀧本哲史氏による『武器としての交渉思考』は、今世を生きる若者が、世の中を動かすために必要なスキルを伝授する1冊です。
交渉というスキルは今や若者にとって必要不可欠ですが、具体的に交渉を成立させるにはどうすれば良いのか。そのような問いかけに対して、筆者がテクニカルに解説します。そもそも交渉をどのように進めるべきなのか、基礎を学びつつ実際にある例を適宜挿入しています。
- 著者
- 瀧本 哲史
- 出版日
- 2012-06-26
導入部分で交渉というものの概念や基礎を教授し、ケーススタディで「なるほど」と思わせる交渉術を紹介した本書は、すでに社会人となっている方にも納得のいく内容でしょう。
社会人にとっては、基礎に立ち戻ることができ、なおかつ新しい目線で「交渉」を捉えることができると言えます。これから起業を始めようと考えている方にも最適な必読本です。
講義を受けている感覚で、頭に入りやすいという点がこの本の特徴です。将来への野望を持つ学生さんにはぜひ読んでいただきたい本です。
『ザ・ディベート ――自己責任時代の思考・表現技術』は、良いコミュニケーターとは良いディベーターと定義した「ディベート論」に着目した1冊です。
日本人があまり得意としない「自分の意見を言う」ということは、和を乱すという視点から排除されてきました。しかし、実際はディベートをすでに誰でも行っているはずだと指摘した本書は新たな切り口で「ディベート」とは何かを解説しています。ディベートとは思考し、議論するための準備をして意見を言うという行為であるため、どんな些細なことでもイエスやノーを言っているでしょう。
テーマを設定し、議論のパターンを考えて、自分の意見を述べるということは、すでに誰でも経験しているものです。しかし、これをより方法的に実現することがディベートと言われています。批判精神や懐疑を持ちながら、自分の意見を言うことこそ方法的なディベートと言えます。
- 著者
- 茂木 秀昭
- 出版日
- 2001-04-19
本書はディベートのハウツー本というレベルで留まらず、論じることで組織に物事の決定などの影響を与えるというディベートの意義や効用をきちんと説明しています。ですので、自分の頭で考え、意見を言い、反論をするということのトレーニングに役立つでしょう。
ディベートを単なる揚げ足取りにするのではなく、良い議論の場とするために必要な鉄則を身につけ、問題発見能力を鍛えることで良いディベートができるようになるのです。
日本的な風土や文化的背景に触れつつも、ディベートの本来の意義を明快に説明した本書は、議論が苦手な方はもとより、今後ディベートのスキルを伸ばしたい方にはおすすめの1冊と言えます。
いつも空気を読んだつもりになってしまう方や、反論などが苦手でなかなか自分の意見が言えない方は仕事でも私生活でも後悔することがありませんか?
『反論が苦手な人の議論トレーニング』は、そんな方におすすめの1冊です。まだまだ議論のトレーニングを十分に受けて育ったとは言えない日本人の中には、「反論をする」「ツッコミを入れる」という行為に萎縮しがちな方が少なくありません。
議論が間違った方向に流れてることに気づいていても、その流れを変える一言がどうしても言えないとう方に対して、話すことのテクニックを伝授しています。
- 著者
- 吉岡 友治
- 出版日
- 2014-09-08
そもそもなぜ議論が必要なのか、という証明責任から始まる議論の前提となっている概念を、まずしっかり確認することの重要性や、弁証法といったスキルも懇切丁寧に解説していますので、そもそも議論とは何かというレベルから議論の重要性や目的を知ることができます。
例題を用いながら、分かりやすく問題を解決するための議論や反論の仕方について説明されていますので、ディベート初心者の方、議論の苦手な方にとっては「なるほど」の連続でしょう。
もちろん、すでに議論を何度も経験した方にとっても革新的な方法での議論の仕方を学べる本です。
議論の仕方を基礎からマスターしたい方には是非読んでいただきたい1冊です。
日本トップクラスの成約数を誇る敏腕M&Aアドバイザーである藤井一郎氏による『プロフェッショナル・ネゴシエーターの頭の中』は、交渉のプロを目指すビジネスマン向けの交渉の極意とテクニックがぎっしり詰まった1冊です。
多くの日本人が誤解している交渉の本質から、行動経済学を駆使したテクニックまで経済学や心理学など、様々な側面から「交渉」について論じます。交渉と言っても、値下げ交渉や外国人との交渉で気をつけるべき点など、日常的な物事や世界規模のビジネスといった様々な視点から交渉の仕方を紹介した実用書とも言えるでしょう。
- 著者
- 藤井 一郎
- 出版日
- 2011-09-29
本書では、交渉のゴールを明確にするという重要事項が何度も繰り返し出てくることで、反復学習できる仕組みとなっている点も、この本が優れている理由と言えます。忙しいビジネスマンが交渉のプロを目指すために、構成にもこだわった1冊です。
引き下がらなければ、より不利な取引になってしまう場合の譲歩の仕方やその理由、相手に購買意欲を持たせる秘訣など、心理学的な側面からの説得力ある解説など読みごたえのある本書はまさにプロの交渉術を身に付けたいビジネスマン向けの1冊と言えます。
いかがでしたか。今回は学生からビジネスマンまでを対象に「交渉力」を向上させるための5冊をご紹介させていただきました。
すでに議論のやり方を学んでいる方、そもそも議論が苦手な方、新しい手法を試してみたい方など、どんな方でもトレーニング次第で身につけられる交渉力を分かりやすく解説したものばかりですので、目的別に参考にしてみてくださいね。より良いディベートや成約数アップのためにきっと役に立つでしょう。