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『推しの子』はただのアイドル漫画じゃない!芸能界×転生の異色サスペンス

更新:2020.10.15 作成:2020.10.15

こじらせ恋愛ストーリーが人気の赤坂アカと、繊細で柔らかな作画が好評の横槍メンゴがタッグを組んだ漫画『推しの子』。この記事では本作のあらすじや魅力をネタバレありで紹介します。 芸能界を舞台としたサスペンス要素も魅力。アイドル好きだけでなく、伏線の張られたスリリングなストーリーが好きな人にもおすすめです。

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目次

漫画『推しの子』のあらすじ。生まれ変わったら推しのアイドルの子に転生!?

本作はアイドルが登場人物となるアイドル漫画でありながら、「芸能界の裏側」「転生」といったテーマも扱います。そして、ある1つの大きな謎を主人公が解明していくサスペンスとしても魅力あるストーリー展開が人気の理由。

まずは漫画『推しの子』のあらすじから紹介していきます。

主人公は田舎で産婦人科医をしているゴロー。彼には推しているアイドルがいました。それがアイドルグループ「B小町」のエース・星野アイ。しかし、そんな彼女が突然、体調不良で活動を休止すると発表してしまいます。

ショッキングなニュースに落ち込むゴローでしたが、そこへある1人の妊婦がやってきます。彼女は妊娠してから診察を受けておらず、何やら訳ありの様子。診察を始めようと顔を見ると、なんとその妊婦は彼が推していたアイドル・星野アイだったのです。

衝撃的な出来事に頭の中が混乱するゴローでしたが、彼女の「公表はせず、隠れて子育てをしながらアイドルを続ける」という強い意志に押され、出産を引き受けることを決意します。

迎えた出産予定日。しかし、ゴローは何者かに殺されてしまいます。

次の瞬間、目を覚ますと目の前にはアイの姿が……!なんとゴローは、アイの赤ちゃんに転生してしまったのです。

漫画『推しの子』のPVが公開されています。また、本作に関する最新のニュースは連載漫画『【推しの子】』|週刊ヤングジャンプ公式サイトでチェックすることができます。

タイトル『推しの子』には文字どおりの意味以外にも本当の意味があった!

本作のタイトル『推しの子』。タイトルだけを見ると、推しているアイドルの話だろうと想像するのが普通でしょう。しかし、このタイトルにはもう1つの意味が隠されていたのです。

主人公のゴロー目線で見ると、アイドルの星野アイが彼にとって大切な「推しの子」。けれど、彼は何者かによって殺されてしまい、次の瞬間には推しであるアイの子どもに転生します。つまり彼は、「推し」の「子」になったわけです。

このことは漫画の第1話で描かれています。「推しの子(アイドル)」の「子ども」になった彼は、前世の記憶を持ちながら、アイのすぐそばで彼女を応援していくようになります。

著者
["赤坂 アカ", "横槍 メンゴ"]
出版日

『推しの子』の魅力①:アイに繋がる登場人物たち

『推しの子』はアイを中心に広がっていく物語ですが、彼女に深く関わっていく主要キャラクターたちも魅力です。登場人物それぞれが、今後どのように物語を展開するのか想像しながらご覧ください。

ゴロー(転生後は星野愛久愛海(あくあまりん)、芸名はアクア

田舎の産婦人科医。アイの出産を手伝うことになったことが原因で、何者かに殺されてしまいます。その後、アイの双子の兄・愛久愛海(あくあまりん)に転生。

星野アイ

ゴローが推すアイドルグループ「B小町」の不動のセンターで、絶対的エースの美少女。16歳で双子を妊娠し、出産します。しかし、子どもの父親については誰にも明かしていません。抜群のルックスと明るい笑顔が印象的な彼女ですが、実は施設育ちという過去を持っています。

さりな(転生後は星野瑠美衣(るびい)、芸名はルビー

ゴローが研修医時代に出会った患者。アイの大ファンで、ゴローがアイを推すようになったきっかけでもあります。「退形成性星細胞種」という病気により12歳で死去。その後、アイの双子の妹・瑠美衣に転生しました。

斎藤壱護(さいとういちご)

アイの戸籍上の親で、実の父親ではないが身元引受人。芸能事務所・苺プロの社長をしており、アイを芸能界にスカウトした人物です。

斎藤ミヤコ

壱護の妻。アイが仕事の間は面倒を見ており、成長した双子のよき理解者となります。

この他にも成長した双子に深く関わってくるのが、子役時代に共演した元天才子役の有馬かなや、監督の五反田泰志(ごたんだたいし)です。

物語が進むごとに、様々なキャラクターが登場する本作。そのなかでも特に注目するべきなのは、アイと双子の関係性でしょう。

推していたアイドルの子どもに転生した2人は、見た目は赤ちゃんでありながら思考や言葉遣いは前世のままです。2人にとっては母親であるアイへの愛があふれ出してしまうシーンなど、ギャグ満載のやりとりが魅力

『推しの子』の魅力②:闇のある芸能界で必死に生き抜くアイ

本作では、芸能界のキラキラしたイメージを覆す、ドロドロした裏側をリアルに描写しています。

「B小町」のエースであるアイは業界でも飛び抜けたビジュアルを持ち、元気はつらつとした笑顔の印象的なアイドル。しかし、売り出し中の女優と共演した時、女優よりも目立ちすぎるという理由で出番をカットされてしまいます。

芸能界ではテレビに出演する人間よりも、彼女たちのバックにある事務所の力や視聴率のほうが重要でした。まさにビジネスの場だったのです。

アイはどんなに自分の出番がカットされたとしても、決して笑顔を絶やさずにアイドルで居続けます。しかしそんな彼女にも、今の姿からは想像できない辛い過去がありました。施設で育った彼女は、親からの愛を与えられないまま成長。人を愛するということが、どういうことなのか分からないままアイドルになったのです。

それでもアイドルとして、ファンに向けて必死に「嘘の愛」を注ぎます。いつか「嘘の愛」が、「本当の愛」に変わると信じて……。

芸能界のドロドロとした裏側。そして、そんな世界で必死にアイドルとして生き抜こうとするアイ。彼女が「本当の愛」を知る日はやってくるのでしょうか。

アイドル好きな方は、きれいなことだけではないアイドルの裏側を描いている、と聞くと抵抗があるかもしれません。

しかしご安心ください。彼女の姿や彼女に魅了される人々を注意深く見ていると、そんな芸能界への嫌悪感よりも「アイドルの輝き」を感じることができる描写が。アクアやルビーらとともに、読者もアイを推し続けることができる作品です。

『推しの子』【おすすめエピソードその1】:アイ刺される【ネタバレ注意】

ゴローが何者かに殺されてしまったものの、無事に双子を出産したアイは、家族との大切な時間を過ごします。復帰後は、社長の壱護と妻のミヤコに助けてもらいながら、子どもたちのために必死に仕事を頑張りました。

その頑張りが認められ、テレビで人気を集めるようになったアイ。個人の仕事もグループの仕事も順調に進み、グループのドーム公演を迎えた朝、彼女に悲劇が訪れます。黒いフードを被ったアイのファンが自宅を訪れ、ナイフで刺し殺されてしまうのです。

アイドルとしても、母親としても、少しずつよい方向に向かっていたアイ。双子の母親になってからも、まだ「本当の愛」というものに気づけていませんでした。

しかし、亡くなる直前になってようやく、双子に抱いている想いが「本当の愛」だと知ります。彼女は双子に向けて「愛してる」と伝えて息を引き取りました。

主要キャラクターであるアイの突然の死去は、読者の心に大きな衝撃をもたらしました。「嘘の愛」を必死に注いでいた彼女が、死ぬ直前になって「本当の愛」に気づけたこと。それだけは彼女にとって、唯一の救いかもしれません。

著者
["赤坂 アカ", "横槍 メンゴ"]
出版日

『推しの子』【おすすめエピソードその2】:ルビーがアイドルになる【ネタバレ注意】

アイの死から数年後、中学3年生に成長したアクアとルビー。母親譲りのビジュアルとダンスを持つルビーの夢は、アイのようなアイドルになることでした。しかし兄のアクアは、アイのような苦しみを味わってほしくないと猛反対。これまで様々な手を駆使して、妹がアイドルにならないようにしてきました。

そんなある日、ルビーが地下アイドルにスカウトされてしまいます。今回も何とかして阻止しようとしたアクアでしたが、「どんなに苦しくて辛くても、自分はアイのようなアイドルになりたい」というルビーの本気に押されたミヤコが、苺プロの事務所に入るように指示。事務所は十数年ぶりに、新規アイドルを立ち上げると宣言するのです。 

ミヤコの決断により、ルビーは正式に苺プロのアイドルに所属。こうしてルビーは、アイと同じアイドルの道を歩むことになりました。

かつてアイのファンとなり彼女を応援し続けた女の子が、彼女の子どもに転生し、その意志を引き継いでアイドルになるという、感動のエピソードです。このエピソードをきっかけに、物語は急速に進んでいきます。

『推しの子』の謎……アクアとルビーの父親は誰?

本作で1番の注目ポイントは、アクアとルビーの父親の正体でしょう。これはゴローの死にも繋がってきます。

前世の2人を殺した実行犯は、アイのファンである黒いフードの男・リョースケ。しかし、彼はアイを殺害した後、自殺しています。そもそも、彼はどうやってアイの妊娠や自宅を突き止めたのでしょうか?おそらくリョースケは、アイに近い別の人物から情報を得たのだと思われます。

そこで考えられる黒幕が、双子の父親の存在です。アイの妊娠を知っているのは、事務所の社長と妻・ミヤコ、そして明かされていない双子の父親のみ。アイと双子を大切に育ててくれた社長とミヤコが、わざわざそんなことをするとは考えにくいので、必然と予想できるのは双子の父親となります。

アイしか正体を知らない、その人物。彼女には親族がいないこと、そして交友関係から可能性として挙げられるのは、芸能関係者ということでしょう。こうしてアクアは、自分とアイを殺した黒幕を探し出すことに。

アイには仕事用とプライベート用、そして妊娠前に使っていた携帯電話が3台ありました。最初の2台には必要最低限の履歴しか残っていません。しかし、妊娠前に使っていた携帯には、10人弱の連絡先が残っていたのです。アクアはこの中に黒幕がいるだろうと考え、その人物に接触するため、芸能界に入っていきます。

果たしてアクアは、黒幕の正体を突き止めることができるのでしょうか。結末は、実際の漫画でぜひ確かめてみてください。

原作・赤坂アカとは。代表作『かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』

『推しの子』が注目されている理由の1つに、原作者と漫画家の魅力的なタッグも挙げられます。

原作者の赤坂アカは漫画家やイラストレーター、キャラクターデザインなど多岐にわたって活躍する人物です。

『さよならピアノソナタ』のコミカライズ版を担当し、2013年には初のオリジナル作品『ib インスタントバレット』を連載しました。漫画家として以外にも、『IA-ARIA ON THE PLANETES-』のキャラクターデザインも担当。

そして2015年には作者の代表作となる『かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』(略称「かぐや様」)が「月刊ミラクルジャンプ」にて連載開始。その後、「週刊ヤングジャンプ」に掲載誌を移します。

著者
赤坂 アカ
出版日
2016-03-18

「かぐや様」は、秀才が集まる秀和院学園の副会長・四宮かぐやと会長・白銀御行が、互いに好意を持っているけれど、プライドが高すぎて自分からは告白できないため、相手に告白させようと頭脳戦をくり広げるラブコメ漫画です。

「かぐや様」で読者の心をハラハラドキドキ、時にはじれったいと思わせたりと、見事な心理戦を描く赤坂アカ。そんなストーリーに負けないのが、完璧に見えてどこかちょっと抜けたギャップを持つキャラクターです。どのキャラクターも個性的で可愛らしく、愛されキャラクターばかり。心理戦の攻防には、男女問わず惹き込まれてしまいます。

こじらせた恋愛ストーリーを主題にしつつ、ライトに楽しめるコメディに仕上げるのが赤坂アカの持ち味。『推しの子』でも、コメディ要素とストーリーの構成ともに魅力が発揮されています。

作画・横槍メンゴとは。代表作『クズの本懐』

作画を担当した横槍メンゴは、2009年「マガジン・ウォー」に掲載された『真剣☆Hゼミ!』でデビューし、成人向け漫画を執筆していました。

2012年に「週刊ヤングジャンプ」「月刊ミラクルジャンプ」で作画を担当した『君は淫らな僕の女王』が人気を集め、同年には「月刊ビッグガンガン」にて作者の代表作となる『クズの本懐』が連載開始されます。

『クズの本懐』は、互いに本命がいるのにも関わらず、周囲から理想の美男美女カップルとして付き合っている高校生のエロティックな純愛ストーリーです。

著者
横槍 メンゴ
出版日
2013-02-19

横槍メンゴが描く作品の魅力は、少女漫画のように繊細で柔らかなタッチで描かれる登場人物たちが見せる、エロい描写。禁断の扉を開けたような感覚に陥るほど、繊細でエロく綺麗なのです。作者自身もエロ漫画が好きなようで、その気持ちが作品にも表れます。

『推しの子』では「アイドルが妊娠してしまう」「推しの赤ちゃんになる」といった設定から想像しがちな性的な描写は控えめ。しかし横槍メンゴの作風は存分に活かされています。きらびやかな世界で輝く人物の瞳や表情がストーリーを支えています。

芸能界×転生という異色の設定に、きっと誰もがどんな漫画なんだろうと思ったはずです。第1話で主人公は衝撃的なラストを迎え、さらに物語の主要キャラクターであるアイにも早々に予想外の展開が。残されたアクアとルビーが、これからどのような道を辿っていくのか、ぜひ結末は実際の作品を手に取って見守りましょう。