「西洋のヨガ」と呼ばれることもあるピラティス。しかし、そのルーツはヨガとはまったく異なるものです。ヨガがメンタルヘルスにフォーカスするのに対し、ピラティスはフィジカルにフォーカスしたトレーニングが中心となります。そのため、運動方法にも多少違いがあります。 元々はリハビリのために誕生したピラティスですが、最近ではフィットネスの一環としてピラティスをおこなう人が増えてきました。今回は、ピラティスを教えてくれる「ピラティスインストラクター」の仕事内容や年収、資格や転職事情などについて解説します。
ピラティスの考案者は、元ドイツ従軍のジョセフ・H・ピラティス氏です。もともとは、第一次世界大戦で負傷した兵士のケガや病気を回復するため、リハビリとして取り入れられていたエクササイズでした。
後の章でもご紹介しますが、ヨガと共通する面もあることから「西洋のヨガ」と呼ばれることもあります。
元々リハビリ目的で行われていたこともあり、筋力強化や体のバランスに関わる体幹トレーニングの効果を得ることが出来ます。現在では、歪み調整・ダイエット・ストレッチ・美容などの目的で行っている人も多いエクササイズです。
病院の狭いベッドで出来るような内容も多く、歩いて動くのが難しい人も挑戦しやすいという特徴があります。
インストラクターは、ピラティスに関する正しい知識や動き方を教える人のことを指します。
ピラティスの種類は2つあり、「マットピラティス」と「マシンピラティス」が存在します。持っている資格によって教えられる内容が異なり、マットピラティスの資格を取ってから、マシンピラティスの資格試験に挑戦するのが一般的です。
マシンピラティスの特徴としては、初心者や高齢者にもトライしやすいという点があげられます。
インストラクターを目指す人は、基本的に体を動かすことが好きな人が多いのも特徴です。自分の目的・目標に応じて、どんな種類のインストラクターになるか選択しましょう。
ヨガとピラティスには共通点もありますが、そのルーツはまったく異なります。ここでは、ヨガとピラティスがもたらす違いを確認してみましょう。
ヨガの特徴はメンタルに働きかけることです。
ヨガの仕事について詳しく知りたい方は「5分でわかるヨガインストラクター!」も参考にしてみてください。
対してピラティスの特徴は、フィジカルに働きかけること。
ヨガは身体的にも精神的にも影響があるのに対し、ピラティスは身体面に強く働きかける運動になっています。
よくダイエットするのにヨガがよいと聞きますが、より効果的なダイエットがしたい方はピラティスを選ぶとよさそうですね。
上記は主な仕事内容です。その他にも、ピラティスに関する講演会をおこなったり、フィットネス関係のイベントでレッスンをおこなう人もいます。文章を書くのが得意であれば、ピラティスに関する執筆活動をすることも可能です。
主な活動場所は、ピラティス専門のスタジオやピラティスを取り入れているフィットネスクラブといった場所です。
専門のスタジオやフィットネスクラブには、正社員として所属している人もいます。その他、アルバイト・フリーランスといった雇用形態の方も大勢います。
フリーの場合、スタジオやフィットネスジムと業務委託契約を結んで働くのが基本です。新型コロナの影響で、インストラクターの不当解雇などの問題も上がっています。フリーで働く場合は、自身の収入を守るためにも契約内容をしっかり確認・交渉するようにしましょう。
その他、YouTuberとして活動している人もいます。ピラティスのトレーニング動画をアップしている、人気YouTuberのチャンネルも数多くありますので、ぜひチェックしてみてください!
正社員の場合、平均年収は300万円ほど。アルバイトであれば、時給1000円前後からスタートするのが一般的です。
フリーの場合、レッスンの数に応じた金額・拘束時間での金額・月単位での契約など、さまざまな契約の方法があります。人気インストラクターになり、本を出版するまでになれば、印税による収入も見込めます。
現在、日本にはピラティスインストラクターの国家資格は存在しません。民間資格を持っておくと、フィットネスクラブなどへ就職する際には有利となります。
そのほか、ピラティス用語・呼吸法・解剖学に関する知識も必要となるため、インストラクターを目指すのであれば、独学であっても勉強する必要があるでしょう。
BASIピラティスは南カリフォルニアのニューポートビーチに本部があり、世界40カ国以上で活動しているアメリカ最大級のピラティス教育団体です。
資格コースは通学、ハイブリッド、オンラインと3種類があり、全国6都市で開催されています。受講料は30万6000円で、期間は3カ月程度となります。
参照:BASIピラティス
YMCメディカルトレーナーズスクールにて取得可能なインストラクター資格。西洋と東洋の両方の理念を取り入れた、ホリスティックメソッドが特徴です。
受講料は26万8000円、3カ月程度の期間受講し、認定試験を合格することで取得することができます。認定資格はベーシックとアドバンスがあります。
他の資格に比べて、短期間で取得可能なのが日本ピラティス指導者協会の認定資格です。欧米人とは異なる日本人の骨格に合わせたアプローチ法を加えたメソッドにエクササイズを取り入れています。一人ひとりのニーズに合わせた指導がしたいという方にはおすすめです。
受講料は20万円〜で、6日程度で資格を取得することができます。認定資格は基礎から専門的なピラティスまで4種類がそろっています。
参照:日本ピラティス指導者協会
ピラティスインストラクターとして働く場合、基本的には学歴は問われません。
先ほどご紹介した、民間のインストラクター養成スクールや養成講座を利用することで、インストラクターに必要な知識を学ぶことができます。
現在はオンライン講座も出てきており、資格取得までオンラインで全て完結することも可能に。金額は講座のタイプや期間によって異なりますが、10〜50万円とばらつきがあるようです。自分に合った通学スタイルや金額を考慮して選ぶのがよいでしょう。
現在、まったく異なる業種で働いているという人は、資格を取ると転職時には有利です。講座の種類によっては仕事と両立できるタイプもあるため、働きながら資格を取得することが出来ます。学歴が必要ない職業である分、やる気や人柄が重視される傾向です。
ピラティスが好きな人が多いインストラクター世界では、自分の好きなことを伝えていける・生徒のイキイキとした表情を見ることができる・生徒の健康回復のお手伝いができる、といったやりがいを感じることができます。
ピラティスに興味・関心がある、常に学び続けていたい、探究心がある、人に教えることが得意といったタイプの人は、インストラクターに向いているかもしれません。
そしてなんといっても、ピラティスが大好きなことが一番大切です!
- 著者
- B-life
- 出版日
こちらの本はYouTube動画と連動させて使うことができます。文章や図、写真では分かりづらいけれど、さっと復習できるように本も読みたいという方におすすめです。
動画内では、著者である先生の説明も聞きやすく、インストラクターとして伝え方や話し方の勉強にも活用できる内容になっています。すでにインストラクターをしている人にもチェックしてほしい1冊となっています。
参考:YouTubeチャンネル「B-life」
- 著者
- 白井天道
- 出版日
一見、ピラティスには関係ないように感じるかもしれません。しかし、ピラティスを始めたい人の理由として「腰痛を改善したい」というのは結構多いもの。特に脊柱管狭窄症で悩む推定患者数は、高齢者を中心として全国に約580万人といわれています。
脊柱管狭窄症の生徒さんを受け持つ可能性も大きいでしょう。理解を深めたい人、本気でピラティスインストラクターを目指そうとしている方には、特におすすめの1冊です!
Tarzan(ターザン) 2019年9月26日号 No.772 [軸を整え、不調を断つ。]
マガジンハウス
こちらのムック本には、ストレッチ・ヨガ・ピラティス・下半身トレーニング・呼吸トレーニングの5つのメソッドが掲載されています。ピラティスと他の要素を組み合わせることにより、体幹や姿勢の改善にも繋がるという内容を学びとることが出来る良書です。
猫背や肩こり、腰痛など人の体の悩みはさまざまです。そして誰もが改善はできても解決はできないものと考えているのではないでしょうか。そうした痛みや悩みは、体からの悲鳴かもしれません。
仕方ないからと諦めずに、ピラティスをおこなうことで改善の余地はあるか? できるとすればどうしたら? を考えるための1冊です。
激しいエクササイズと違って、高齢者やケガの回復期にある人に対してもおこなうことができるピラティス。これからの超高齢化社会でも、役立つ場面は多くなっていきそうです。
現代はひとつの職業に縛られることなく、さまざまな仕事を組み合わせて働くことが可能な時代です。資格を取得して、副業として活躍してみるのもいいでしょう。興味のある方は、ご紹介した書籍やYouTubeチャンネルも覗いてみてくださいね。