エアロビックと聞くと、激しくて大変というイメージを抱く方も多いかもしれません。そんなエアロビックも、最近ではゆっくり動くタイプや高齢者に向けたクラスも登場しています。それらのリズミカルな動きを、音楽に乗せながら教えるのが「エアロビックインストラクター」です。 また、エアロビクスという言葉を聞いたことがある方もいるかもしれません。ほとんど同じような発音ですが、双方には違いがあるため、その内容もご紹介します。今回は、エアロビックインストラクターの仕事内容やおすすめの資格、年収事情などについて解説していきます!
エアロビックは、音楽に合わせておこなう全身運動(有酸素)のこと。手軽にできる内容であるため、年齢・性別関係なく参加できるというメリットがあります。
アメリカで提唱された、運動処方理論の「エアロビクス」が起源となっています。
1982年に初めて競技としておこなわれたことをきっかけに、スポーツ種目としておこなうものを指すようになりました。現在では、オリンピック種目を目指すまでの規模と人気もあり、大会では芸術性・技術・難易度といった項目で採点がおこなわれています。
一方エアロビクスは、健康のための運動(有酸素運動)を指す名称です。生徒は楽しみながら汗をかくことを目的としています。
どちらも略して「エアロビ」と呼ばれたりすることから、明確な違いを知らない方も多いようですね。
『スローエアロビック®』は、JAFが提唱する健康寿命の延伸を目的とした、健康体力づくりのための運動プログラムのこと。
認知症予防にも効果が期待できる軽運動として、47都道府県エアロビック連盟や関係指導者と連携し、全国への普及に取り組んでいます。
ただ単に「ゆっくりした」という意味のスローではなく、スローフードやスローライフのように、質が高くて誰もが楽しみながら続けられるという意味が込められています。
エアロビックに限らず、スポーツやトレーニング系のインストラクターは「安全に・楽しく」指導することが求められます。生徒によって「痩せたい」「足腰を強化したい」「うまくなりたい!」など目的はさまざま。それらに応じたレッスンをおこなうのが仕事の目的です。
インストラクターの男女比は、女性の方が多い業界です。
まず、生徒のレベルや目的に合わせたプログラムの作成をおこないます。そして実際にレッスンをおこない、生徒のカウンセリング(必須ではない)や簡単なアフターケアをおこないます。1日のレッスンの数は、勤務先やクラスのレベルに合わせて調整します。
主な勤務先は、エアロビック専門スタジオ・スポーツジムでのエアロビッククラス担当・フィットネスクラブ・市町村の体育館や福祉施設です。正社員やフリーランスといった働き方の違いで、一箇所で教えるのか、いろいろな場所へ教えに行くのかが変わります。
常によいパフォーマンスができるよう、自身の体づくりも仕事のうちのひとつと捉えておきましょう。
ジムやスポーツクラブに正社員として就職した場合、おおよその年収は300〜500万円です。大手スポーツクラブなのか、中小なのかで収入額が異なり、ボーナスや各種手当も同様に異なります。
アルバイトの場合は、時給1000円前後が相場となっています。フリーの場合は、先方との話し合いや生徒からの人気などが加味され、レッスン数や金額が決まります。その際は、業務委託契約を結ぶことになります。
エアロビックインストラクターの仕事は、細く長く続けることも十分に可能な仕事です。もちろん、自身でエアロビックスクールを開業したり、フリーで各地を回るといった働き方へ転向する人もいます。
出産など、変化の多い女性のライフスタイルのなかでも、働き方によって長く続けていくことが可能な職業といえるでしょう。
インストラクターを名乗る際は、資格がなくても名乗ることが出来ますが、多くのインストラクターが民間資格の取得に励んでいます。以下に参考として、資格取得が出来る認定資格試験の情報を載せておきます。
「エアロビックダンスエクササイズインストラクー資格」通称GFI資格は、日本フィットネス協会が実施している認定資格です。安全で楽しく、効果的な指導スキルを習得できていることの証明になります。
試験受験料は筆記7560円、実技8640円がかかります。インストラクター・トレーナーを目指す18歳以上の方なら誰でも受験が可能です。国内でのエアロビックインストラクター資格としての知名度は、割と高い認定資格ですよ。
参考:日本フィットネス協会
「エアロビック指導員資格」は、日本エアロビック連盟が認定する資格です。12種類の資格があり、マネジメント系、生涯スポーツ系、競技スポーツ系、審判技能検定系とわかれていますが、どの資格も基礎的な指導力があることの証明となります。
認定料は5万1420円(初回)、年会費が6万円となっています。こちらは年会費がかかるため、安定してインストラクターの収入がある、または収入の見込みがある方向けかもしれません。
参考:日本エアロビック連盟
上記の認定資格試験を受ける前段階として、専門学校や養成スクールに通うのもよいでしょう。
JAFAが認定した「GFI(グループエクササイズフィットネスインストラクター)資格養成校」などが全国規模で運営されているため、そういった学校のなかから自分の通える範囲・金額で探してみるのもおすすめです。
なかにはオンラインのみで、エアロビックインストラクターの資格取得までを完結できる養成コースもあります。自分の勉強スタイルにあったスクールを見つけて通うのがよいでしょう。
フィットネスクラブやエアロビック専門スタジオでは、通常の就職活動と同様に、面接や筆記試験を経て採用されるパターンが多い傾向です。
他にもインストラクターのなり方として、大手スポーツクラブなどでは「オーディション」が開催されることがあります。晴れて合格すれば、そのクラブの専属インストラクターになることが出来ます。
なかにはアルバイトの求人もあるので、興味のある方はぜひ探してみてくださいね。
エアロビックインストラクターは、人気を得ることができれば高収入も狙える職業です。
コミュニケーション能力が高い・ポジティブな姿勢でいられる人・ホスピタリティ精神のある人(どうしたら楽しんでもらえるかを考えるのが好きな人)といった素質や姿勢を心がけることが成功のコツです。
- 著者
- ["征矢 英昭", "日本エアロビック連盟"]
- 出版日
先程ご紹介した「スローエアロビック」に特化した教本です。こちらはDVDもついているため、初心者でも動き方が分かりやすくなっています。
1日10分でできる手軽な内容になっているので、インストラクターの仕事に興味がある方は、まず自分でトライしてみるのもいいでしょう。
- 著者
- ジョン J. レイティ エリック ヘイガーマン
- 出版日
特に音楽に合わせて楽しく動くエアロビックは、高齢者への効果も大きいことが分かっています。動くことが脳に与える効果を、あらためて学び直したい方におすすめの一冊です。
- 著者
- 中村 格子
- 出版日
- 2012-04-24
「音楽に合わせて動く」エクササイズの基本形であるラジオ体操。夏休みのラジオ体操などで学んだ方は多いはず。
10代の頃はラジオ体操なんて……と思っていましたが、大人になってあらためてラジオ体操をやってみると、エクササイズ的な効果を学び直すことが出来ます。
こちらはDVDも付いているので、分かりやすさも十分です。運動不足だけど運動があまり得意ではない方にもおすすめできる内容です。
高齢化社会の道を進み続ける日本では、高齢者のフィットネスへの関心が高まっています。生徒の年齢を問わず、幅広い年齢層がチャレンジしやすいエアロビック。体の変化だけでなく、生徒の心の元気をお手伝いすることができる職業です。
人に元気を与えたい方や、体を動かすことが好きな方は、将来の選択肢のひとつとしてインストラクターを検討してみるのもよいでしょう。今回ご紹介した書籍は映像を見ながら練習できるのもが多いので、ぜひご自身でもチャレンジしてみてください!