最近は性別や年齢に関係なく、美容への意識の高まりを感じるようになりました。たとえば、全身脱毛をおこなうことも特別なことではなくなり、競合各社が凌ぎを削ってさまざまなキャンペーンを打ち出し、激しい顧客取得のための競争が起こっています。エステ業界は、主に外見の綺麗さを提供する業界です。新型コロナウイルスの影響などから、メンタルのリラクゼーションを求める方も増えています。本記事では、それらの現状を踏まえ、今のエステ業界の動向について、また就職に関する情報や役立つ書籍などをご紹介します。美容業界に興味・関心のある方は、最後にご紹介している書籍もぜひチェックしてみてくださいね。
エステは、エステティック(esthetic)の略であり、痩身や美白など、全身を対象とした美容術のことをいいます。
エステティックの本質は、人間の心にある美しくありたい、若々しくありたいという欲求や願望を実現して、人々に幸せと満足感をもたらすことです。エステティックにおいては、外的な施術だけではなく、心理的な作用も重視しています。
上記の文末にもあるように、以前よりある、痩せたい、綺麗になりたいという利用目的だけでなく、現代のエステはメンタル面にアプローチする目的も兼ね備えています。綺麗にする技術とリラックスタイム(上質な時間)の提供のこの両方をバランスよく兼ね備えていなければ、業界を生き残るのが難しい時代です。
これらの施術を、一箇所ですべておこなうエステサロンもあります。数ある業界のなかでも、エステ業界は景気の影響を受けやすいと言われており、顧客の奪い合いが非常に激しい世界です。
毎年オープンするエステサロンの数はとても多く、その反面、同じくらいの数のお店が閉店しているのも業界の特徴です。エステサロンの大手企業は、決して多い訳ではありません。対して、個人サロンの数がとても多いのもエステ業界の特徴といえるでしょう。
近年、街中でも見かけることが多くなったタイプのエステサロンを2つご紹介します。
こちらは、医療機関でおこなわれるエステです。以前から美容目的の治療をおこなうクリニックは存在していましたが、最近はその数が増えています。医師監修のもと施される医療技術を利用したエステであり、特に皮膚科などを中心に施術を受けることが可能です。
セルフタイプのエステも主流になりつつあります。通常のエステと異なり担当者がつかないため、施術は顧客自らがおこないます。利用者自身がマシンなどを使って施術をおこなうため、低価格・定額制のお店が多いのも特徴で、自分のペースで通えたり、無理な勧誘が少ないといったメリットも魅力です。
大手・個人を問わず、エステだけを商売の目的としているサロンに就職するパターンが主流です。その他、ブライダルサロン・美容室・ホテル・化粧品メーカーなども、選択肢としてあげられます。
実際に求人情報を調べてみると、アルバイトの求人も多く見受けられるため、興味がある方はぜひ調べてみてください。未経験者を積極採用している会社も、意外と多いですよ。
厚生労働省「平成27年賃金構造基本統計調査」によると、エステティシャンの給与は以下のようになっています。
自身でエステサロンを開業した場合、しっかりと顧客を定着させることができれば、1000万円以上稼げる可能性も。
エステ業界は、技術と知識がともなえば、無資格でも働ける世界です。しかし、自身のスキルアップ・将来的なキャリア・顧客からの信頼を得るといった目的から、エステに関する資格を積極的に取得する方が多いようです。
「AJESTHE認定エステティシャン」の認定資格は、エステ関連業務に従事する人間として基本的な知識と技術を持ち、サービスを適切に提供する能力を有している方に与えられる資格です。認定校は全国に129校(2020年5月時点)あり、以下の要件に該当する方が資格を取得することができます。
エステティシャンセンターの試験は技術と筆記に分かれています。筆記は、4肢択一:マークシート式で全100題が出題されます。合格率は80%と高いので、勉強の成果を試験できちんと出すことができれば問題なく合格できるでしょう。
「INFA国際ライセンス」は、国際エステティック連盟(INFA)が認定するエステティシャンの国際資格です。ヨーロッパ諸国をはじめとした海外で、INFAは高く評価されています。そのため、世界各国で活躍することが可能な資格として、取得を目指す方が多いようです。
このライセンスを取得するには、INFA JAPAN指定校に入学し、必要単位を取得したのち、国際試験に合格する必要があります。国際試験は年2回、国際試験委員によっておこなわれるため、タイミングを考えて指定校に入学することをおすすめします。
無資格でも働くことができるとはいえ、きちんと知識や技術を身につけたいという方もいるでしょう。そういった方は、上記の資格取得を目指してみるのもおすすめです。その他、エステ業界に関わっていく上で学んでおくと役立つ学問として、皮膚科学・アロマの知識などもあげられます。
資格同様、学歴もあまり重視されない傾向にあるため、専門学校・大学などの卒業基準はありません。大学に比べると専門学校やエステティックスクールは、社会人になってからでも入学のためのハードルは低めですので、以下の情報もぜひ参考にしてみてください。
上記のほか、実際にエステで働きながら学ぶという方法もあります。
本章では、エステ業界で活躍できる可能性があるかもしれない素質についてご紹介します。
これは相手にも自分にも、どちらに対しても必要な感性です。どうすれば人から美しくみられるかなど、ついつい考えてしまう方にはエステ業界で働くことは向いているといえるでしょう。
エステ業界の主な業務内容は、接客です。人と会話することが好きで、人の美しさをサポートしたい気持ちが強い方は、エステ業界で働くことが向いている性格といえます。
美容の世界にも存在するトレンド。ファッションやヘアスタイルと合わせて、トータルで美を求めるお客様も多いため、新しい情報を手に入れ続ける姿勢が大切です。
美容の常識は、時代とともに移り変わりやすいもの。世の中の情報を常にアップデートできる方、時代の変化に対して柔軟な思考を持つことができる方も、エステ業界で活躍できる可能性を秘めているかもしれません。
ネットが普及する以前は、住所や電話番号などの会員情報を利用することで集客をおこなうのが当たり前でした。しかし、ダイレクトメール(手紙やはがき)を送ったり、チラシをポスティングすることによる広告費がかなりかかっていたというマイナス面も。
現代のエステ業界では、広告費にお金をかけるのはナンセンスとされる時代になりつつあります。いかに広告費を抑えて、集客を可能にするかが経営のポイントであり、業界全体の課題でしょう。
エステサロンの数が多いとはいえ、いまは都心部にエステティシャンが集中している状況です。特に、地方のエステサロンは人材不足が進んでおり深刻化しています。
働き方改革も進められていますが、労働条件・労働環境の低さは、他の業界より目立ってしまっているのが現状です。そのため、エステ業界は他の業界と比べると、離職率も高くなっています。
リスクを抑えて広告するために、SNSやWEBの活用は業界内でもマストとなってきました。特に、インスタグラムは集客の効果が大きく、影響力も絶大です。
また業界内でも利用者が多い「ホットペッパービューティー」は、費用対効果が非常に高く、個人サロンの利用率も高くなっています。
- 著者
- ["日本エステティック協会", "裕美, 関東"]
- 出版日
まずは、ひとつ検定を受けてみたい方は、こちらの本がおすすめです。
美しさの基本ともいえる肌のお手入れや、コスメに関する正しい知識が掲載されています。一般社団法人日本エステティック協会が主催する「美肌検定®︎」に合格するためのテキストとしても使用可能です。
- 著者
- 喜多野 修次
- 出版日
ネットの世界に苦手意識のある方にもおすすめの、SNSマーケティングの指南書ともいえる書籍をご紹介します。
マーケティングやインフルエンサーってイマイチよくわからないという方でも、ポイントが絞って解説されているため、本書なら比較的容易に理解できるでしょう。SNSで集客するための、実践方式のコツを知りたい方にはおすすめの1冊です。
エステ業界に限らず、集客が課題になっているさまざまな業界で活用できる内容が詰まっています。
- 著者
- 内田 露美奈
- 出版日
少ない資金でスタートしても、人気のエステサロンに成長させる方法を知りたい方向けの1冊がこちらです。
美容やエステ業界に興味はあっても、学生や社会人歴の浅い方だと、開業資金がほとんどないケースも多いはず。エステティシャンとして独立したい方は、著者の経験談からも勇気をもらえます。
開業資金がたった7万円という状況で、諦めずに行動した著者のパワーは見習うべきところがたくさんあります。ふわっとした内容ではなく、経営者としてのマインドの作り方、実践した方がよいこと、実際のサロンで使える接客の仕方など、すぐに取り入れられる実践的なヒントが豊富です。
仕事で成功するための共通事項も見出せるので、幅広いビジネスマンにおすすめできる1冊となっています。
時代の流れや景気の下降とともに、課題も増えているエステ業界。今後は技術と知識のほかに、SNSの活用術やスマホアプリをうまく活用することが、長く業界で働いていくためのスキルとして必要不可欠となっていくでしょう。
この記事を読んでいる学生さんや社会人の皆さんのなかには、SNSが得意な人も多いかもしれませんね。エステティシャンとしての勉強と同時に、ネットでの集客方法についても、引き続き研究し続けることが人気エステティシャンのための一歩といえるでしょう。