人生のどん底から這い上がるきっかけをつかむ5冊

更新:2021.12.1

現代で突きつけられる敗北に、乗り越えられないものはないはず……。今回は希望を持ち直せるきっかけとなるおすすめ5作品をご紹介します。

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熱い魂を宿して

戦国時代とも言える幕末を生きた男たちの魂の言葉が詰まった作品『幕末・男たちの名言 時代を超えて甦る「大和魂」』。

第一章の「やむにやまれぬ大和魂」では、アメリカ艦隊率いるペルー来航の際の興奮を語る吉田松陰の言葉からはじまります。その後の章では、江戸城明け渡しの一連の交渉に当たった西郷隆盛が藤田東湖に感じた感激の言葉、その西郷隆盛とともに江戸城総攻撃を阻止した勝海舟の真っすぐな想いなどが綴られます。

著者
童門 冬二
出版日
2007-02-24


この国を想う強い心とぶれない志を持ち活躍した男たちの言葉は、今もなお、いや現代だからこそ、人々の心に響き動かす力があるのではないでしょうか。それぞれの魂の言葉の誕生背景も盛り込また本作。読みやすい文体と文調が、読み手を飽きさせることなく最後まで導きます。

幕末を生き抜いた彼らの熱い魂が宿る言葉で、かつて燃えたぎっていた心を思い出してみませんか?

親子愛が育む豊かな心

父親からのしつけ、生きるための知恵が綴られる作品の第一作目『幸田文しつけ帖』。明治を生きた父・露伴から受けたしつけから、家事、礼儀といった父の教えを詳細に伝えます。

著者
幸田 文
出版日
2009-02-05


作者や登場人物たちの真っすぐな性格や気さくさが、ユーモアを絡ませながら綴られた心地よい文章。作者の度量の広さが伝わる人間描写には、つい笑みがこぼれてしまいます。

現代において足りないものを認識させ、「まごころ」を感じられるはず。今一度、家庭における家族の関わりを振り返るべきだと思うことでしょう。

本書では、実体験を通して、親子の姿、物を考える知恵、それぞれの得意不得意を見極め補う関係の大切さを伝えます。それらを楽しみながら身につけ、成長していく作者・寺田文。楽しく学ぶ知恵、楽しく学ばせる知恵、そんな教育のあるべき姿も写し出す1冊です。

全人類が知るべき想い

特攻死した若き少年の生涯と、その想いを描いた作品『ユキは十七歳 特攻で死んだ』。

笑みを浮かべ子犬を抱く少年。この表紙の写真が撮られた日に彼は、敗戦間近に強行された特攻作戦のため飛び立ちました。命の大切さと争いの惨さを伝える少年の姿を、今こそしっかり見つめるべきでしょう。

著者
毛利 恒之
出版日
2015-07-03


戦中の事実を伝えたいという作者の想いが、素直で真っすぐな飾らない文体から読み取れます。計り知れない葛藤と悲しみによって、気高く成長していった少年……。戦争時代を生きた少年の、強さ、弱さ、儚さを感じてください。人類が生きていくために、一人ひとりができること、やるべきことが見えてくるはずです。

若き彼らが思い描いた未来に、現代は少しでも近づいたのでしょうか? 彼らの命が紡いでくれた今……彼らがいたからこそ、私たちが存在しているのだと改めて気付かされる1冊になることでしょう。

女子教育の権利ために闘う

女子教育の権利のために果敢に闘う少女・マララ・ユスフザイが書いた日記とインタビューをもとに作られた作品『武器より一冊の本をください 少女マララ・ユスフザイの祈り』。本書では、パキスタン政府とタリバン政府の対立の背景、世界の惨劇を思い知るために必要な少女の肉声が書かれています。

著者
ヴィヴィアナ・マッツァ
出版日
2013-12-05


幼い少女が通学中に銃撃された事件を、覚えていますか? その少女・マララは、父親の友人であるジャーナリストの依頼により、パキスタンでの日常や想いを日記に書き留めていました。父の経営する学校のドキュメンタリーにも出演し、パキスタンの内情を外の世界へ知らせるべく努力していた少女。しかし彼女の活動を快く思わない政府に銃殺されてしまいます。

子どもでも読みやすい文体で描かれているので家族で読んで、彼女の勇気を感じてみませんか?

未来を担うために

著者
早乙女 勝元
出版日

100万人以上の犠牲者を出した東京大空襲。『15歳が聞いた東京大空襲―女子学院中学生が受け継ぐ戦争体験』は、300機の大型爆撃機B29がもたらした地獄の始まり、その戦慄を語る戦争体験記です。本書には、肉親を失う深い傷、自由にものも言えない時代に抗う術もなく懸命に生きぬいた作者の肉声が詰まっています。

戦争を知らない世代は、その迫りくる情景描写など、胸を貫かれる衝撃に襲われることでしょう。本書を通してこの時代の愚かさ、抗えない不条理を生き抜いた力を学び、現実と向き合う精神力を手に入れてみませんか? 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。紹介した本が、心の目を覚ますきっかけとなってくれれば幸いです。

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