5分でわかるビオトープ管理士!資格を活かせる環境コンサルタントとは。就職先や年収も解説!

更新:2021.5.2

「ビオトープ」は日常ではあまり耳にしない言葉です。ビオトープとは生物群集が存在できる環境条件を備える生物生息空間のことで、ビオトープ管理士はそれらの空間を保護し、再生、創出していく職種です。民間資格のため単独では就職に繋がりにくく、多くの方は環境コンサルタントとして働き、その資格と知識を活かして働いています。 本記事はビオトープ管理士の入門編として、仕事内容や就職先、資格概要や年収について分かりやすく解説します。また、本文を読んで「もっと深く知りたい!」という方は、記事最後に関連書籍も紹介しています。こちらもぜひ参考にしてみてください。

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ビオトープ管理士とは

ビオトープとは、生きもの「BIO」と場所の「TOP」から成る言葉で、人間生活の向上と自然保護の両立を実現させることを目的とします。しかし、そうした環境づくりをおこなうビオトープ管理士の存在はあまり知られていないのが現状です。

本章ではビオトープ管理士の仕事について簡単に解説していきます。

ビオトープ管理士の仕事内容

ビオトープ管理士は、環境の保全・管理の専門家として、植物と動物が人間と共存しながら長く安定的に暮らせる環境づくりをおこないます。環境とは具体的に、森林や湖沼、草地 河川、砂地、岩場、高地など、自然界の生きものが生息するあらゆる場所です。

仕事内容は大別すると「計画」と「施工」の2つで構成されます。

計画部門

地域開発・計画のプランナーとして全体の方向性を定めその実現のために環境保全や法律の知識、能力を発揮します

施工部門

現場でビオトープを作る役割を担う仕事で、工芸や設計などに関する知識を活かせます。

ビオトープ管理士が活躍できる就職先

主な活躍の場は、地方自治体や官庁などの行政、土木会社や造園会社、建設会社など民間企業です。また、ボランティア団体に所属し、環境保全に軸足を置いた活動をおこなう方もいます。

ビオトープ管理士としての仕事のみで生計を立てている人は少なく、環境コンサルタントとして包括的な仕事に携わりながら、ビオトープ管理士の資格を活かしている人がほとんどです。

ビオトープ管理士の年収

先述しましたが、ビオトープ管理士の仕事のみで生計を立てている人は少なく、環境コンサルタントとして幅広く活躍している人がほとんどです。そのためここでは環境コンサルタントの年収をベースに給与事情について触れていきます。

年収は500万円〜600万円ほど

環境コンサルタントの年収はコンサルタントとしては低いですが、一般企業に勤めている方の平均年収よりは高い水準となっています。しかし安定性のある職業ではないため、多くの方が業界内での転職をしながら少しずつ給与アップをおこなっているようです。

ビオトープ管理士になるための資格

ビオトープ管理士の資格は、日本生態系協会が実施する認定試験に合格することで取得可能です。2021年2月現在、約1万3500人以上の方がビオトープ管理士の資格を有しています。

「計画部門」と「施工部門」に分かれており、それぞれ1級と2級に区分されています。

ビオトープ計画管理士

都市計画や農村計画など、広域での地域計画をプランニングする専門家で、自然生態系の保全・再生をおこないます。

ビオトープ施工管理士

設計および施工をおこなう現場担当の技術者設計として、自然生態系の保全・再生をおこないます。

1級の受験資格

※以下のいずれかを満たす必要があります

・4年制大学卒業後、通算で満7年以上の実務経験を有する者
・大学院卒業後、通算で満5年以上の実務経験を有する者
・短期大学、専門学校、高等専門学校を卒業後、通算で満9年以上の実務経験を有する者
・高等学校を卒業後、通算で満11年以上の実務経験を有する者
・技術士(建設、農業、森林、水産、環境の5部門)、1級土木施工管理技士、1級造園施、工管理技士のいずれかの資格を取得後、通算で満4年以上の実務経験を有する者
・2級ビオトープ計画管理士、2級ビオトープ施工管理士、2級土木施工管理技士、2級造園施工管理技士のいずれかの資格を取得後、通算で満7年以上の実務経験を有する者
・上記に該当しない者で、通算で満14年以上の実務経験を有する者

2級の受験資格は定められていないため、誰でも受験することが可能です。

ビオトープ管理士試験の内容

試験は2級は9月におこなわれ、1級は9月と12月に筆記試験と口述試験を分けておこなわれます。

筆記試験の試験科目は生態学やビオトープ論の共通科目と部門ごとに別れた専門科目からそれぞれ出題されます。合格基準は共通科目、専門科目それぞれの正解率が60%以上であること。2級の合格率が約50%、1級の合格率が約30%であることから、難易度の高い基準であることが分かりますよね。

日本生態系協会では、ビオトープ管理士試験の参考書籍の情報を丁寧にまとめてくれています。取り扱っている店舗も記載してあるので、こちらの書籍情報も参考に試験対策をおこなっていくのがおすすめです。

参考:日本生態系協会

ビオトープ管理士がやりがいを感じる瞬間

自然や生きものと触れ合いを感じられる

植物や動物の生物全般が好きという人には、大きな魅力を感じる仕事でしょう 。また仕事を通して生態系についてより深く学ぶことで、植物や動物に関する多くの知識を身につけることができます。

大好きな自然を守れる

ビオトープ管理士は自然を保護し、再生していく社会貢献性の高い仕事。環境保全に関する社会の関心の高まりにつれ、今後さらに「ビオトープ」という言葉が認知されていくでしょう。そうなることでより存在価値は増すため、大きな誇りを持って仕事に取り組むことができます。

ビオトープ管理士に向いている人

生態系や環境に対して高い専門性を持てる人

少し意地悪な言い方をすればビオトープ管理士は、植物や生物、環境保全への関心があるだけでは務まりません。人間の営みのなかで自然とどう共存していけばよいのか考え、実践していくために、環境に関連する法律や幅広い知識について学ぶことが求められるのです。

趣味ではなく、専門性を磨いて仕事として取り組める人でなければ、真のビオトープ管理士にはなれないでしょう。

講義や教室などもおこなえる人

またビオトープ管理士の役割として、環境保全の重要性を広く社会に訴えかけていくことがあります。実際、教育の現場や地域、自治体などで子どもを対象に自然環境の尊さや付き合い方をレクチャーする取り組みなども多くおこなわれています。このような場で人に教えたり、一緒に楽しめたりすることも重要な能力です。

視覚で生態系を理解する

著者
["鷲谷 いづみ", "後藤 章"]
出版日

ビオトープ管理士として活躍するためには、生態系について詳しい見識が必要。本書は絵で生態系のしくみを理解できるおすすめの1冊です。

子供向けというわけではなく、大人にも読みごたえのある専門性の高い内容になっており、生態系について詳しく学びたい人の入門書にぴったり。生物多様性の危機やその問題点などにも触れ、人間と自然の共生を考えさせてくれる内容にもなっています。

持続可能なインフラ開発とは?

著者
["グリーンインフラ研究会", "三菱UFJリサーチ&コンサルティング", "日経コンストラクション"]
出版日

地球温暖化などの環境問題だけでなく、人口減少・少子高齢化、自然災害のリスク増加、地域間競争の激化などの課題を解決する方法としてグリーンインフラを広く紹介。

グリーンインフラの概念をはじめ、公園の緑地化、雨水マネジメント、都市農地のグリーンインフラとしての活用方法など、国内外のグリーンインフラの先進事例を紹介するほか、グリーンインフラの将来像やビジネスチャンスについても解説しています。

ビオトープ管理士2級の試験対策はこれ1冊で

著者
公益財団法人日本生態系協会
出版日

「計画部門」と「施工部門」の両部門の2級に対応しているテキスト集。全科目の内容を網羅しており、これ1冊で試験対策はばっちり。過去問と解答・解説もついており、学んだ内容の確認もできます。

またさまざまな環境問題に関する規制がなぜおこなわれているかの理由なども分かる内容にもなっています。


ビオトープ管理士は、人間社会と自然の共存の道を切り開く社会貢献性が高い仕事です。現状では、ビオトープ管理士の資格を持つだけでは就職につながりにくいですが、ビオトープをつくる環境コンサルタントとして活躍している人は多くいます。

本記事を読んで興味を持った方は、ここで取り上げた書籍をはじめ、様々な方法で情報を集め、ぜひビオトープ管理士を目指してみてください。

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