機械業界について、どのくらい知っているでしょうか。スマートフォンから電車まで、私たちの日常生活はさまざまな機械に囲まれています。他にも、たとえば建設機械や工作機会、産業機会などがあります。私たちが日常で必要としているもののほとんどは、機会の活躍なしには生産が間に合わないという現状があるのです。そういった意味で、機会産業は私たちの身近な産業だといえます。 本記事では、その機械を作ったり販売したりする機械業界を解説。業界内見取り図や、注目のトピックを解説します。
「機械」というのは幅広い言葉です。そのため、具体的にどのような業界なのかイメージがしづらい学生さんもいるのではないでしょうか。機械業界に含まれる仕事について、もう少し細かく分けて見ていきましょう。
日本で使われている業界名は、時として一般的なイメージと言葉の使い方が異なっていることがあります。たとえば、エンジニアリングという単語はさまざまな仕事で使われますが、「エンジニアリング業界」はプラントエンジニアリングをおこなう業界を指すといった独特の慣習があります。
一方、機械業界は、その名の通り機械に関連するさまざま業種をまとめる業界名です。どちらかというとメーカー系に比重がある傾向ですが、リースやメンテナンスなど、機械に関わる周辺業務をおこなう企業も含まれることが多いようです。機械業界内部をおおざっぱに分類すると建設機械・工作機械・産業機械の3つに分けられます。
建設に使用する機械を扱う建設機械業界。クレーンやショベルカー、ダンプ、タンクローリーなど、いわゆる「働く車」が製品の筆頭にあげられます。海外での需要が高いため、国際関係等に業績が左右される業界です。2020年は社会情勢の変化により取引量が減少しています。
工作機械は、主に工場で使われる「機械を作るための機械」です。近年ではスマートフォン需要が堅調でした。また、中国の自動車産業も日本の工作機械を多く使用しています。最近のアメリカ・中国の関係悪化でやや業績に陰りが見られていましたが、2020年は回復傾向にあるようです。
参考:工作機械業界にようやく薄日、自動車や半導体分野が突破口に|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社
産業にまつわる機械全般を「産業機械」と呼ぶこともありますが、狭義にはボイラーや原動機、化学製品製造・鉱山で使用される大型機械のことをそう呼びます。熱や素材の特性などの理由から人間が直接扱うことができないものを加工する大型機械と考えると、工作機械との区別がつきやすいでしょう。
産業機械が使われるような工場は、しばしば「プラント」と呼ばれます。プラントとは「複数の設備が組み合わさったもの」のことを指しますが、一般的にはさまざまな工程を処理する装置がパイプによってつながっている大型の工場をそう呼びます。
そのため、機械業界内部をざっくりと区別するときに建設機械・工作機械・産業機械に加えてプラント業界を追加する人もいますし、産業機械のかわりに3つ目の区分としてプラントエンジニアリングをあげる人もいます。
機械業界の大まかな見取り図を解説しました。続いては最近の動向を見ていきましょう。
2020年は世界的に経済が滞留したこともあり、機械業界全体としては低調というレポートが出ています。ただし、機械業界は業界に広く関わる業界なので、局所的には通常通り、場合によっては好調という企業もあります。
参考:機械業界 |各業界の動向 |景気・業界の動向 | 株式会社 帝国データバンク[TDB]
世界的に見ると、工業生産が盛んで成長率の高い地域はたくさんあります。日本の機械は国内だけでなく海外で需要を獲得しているので、海外の生産現場向けに製品を作っていけるという強みがあります。
特に、どんどん登場する新しい技術や製品に対応した機械を求めている企業はたくさんあるわけです。機械そのもののロボット化や、ロボットの生産はそういった新しい需要の筆頭として注目されています。これまでに半導体技術などで蓄積してきた知見を生かし、振興分野に積極的に挑戦していく姿勢が求められています。
参考:【工作機械・産業用ロボット業界編】プロが選ぶ隠れ優良業界 | 就職ジャーナル
海外需要が大きい機械業界は意外なところで好況に沸くこともあります。2020年の建機業界は、中国とインドの需要が増えました。中国は感染症の影響を受けた経済政策で公共事業が増えた結果建設機械の受注が増加。
インドも同様に、建設機械の需要が増えています。中国国境での緊張が高まってきており、インド政府が国境地域のインフラ整備に注力しているためです。このように、海外との取引が多い業界の状況は国内市場と異なることが珍しくなく、幅広い情報収集が求められます。
参考:中国の好調な建機販売、来年は不透明=業界関係者 | Reuters/建機業界、国境地帯の緊張で需要増加 - NNA ASIA・インド・その他製造
- 著者
- カレル・チャペック
- 出版日
- 2003-03-14
機械業界でも重要なキーワードとなっている「ロボット」。実は、20世紀に生み出された造語です。生みの親はチェコのジャーナリスト・作家であるカレル・チャペック。その名も『ロボット』という戯曲のなかで発表されました。
利便性のために生み出されたロボット。それらを造る工場である日ロボットの反乱が始まって……。というストーリーは、現代でもしばしば話題に上るロボットと人間、ロボットと知性といったテーマを扱っています。
- 著者
- 岩本 太郎
- 出版日
これまでに専門的な勉強をしてきた経験のない人は、機械や設計についても具体的なイメージが持てないかもしれません。しかし、せっかく機械業界で働くなら、ちょっとした知識は持っていたほうが便利です。
『実用メカニズム事典:機械設計の発想力を鍛える機構101選』は設計に携わる人向けに書かれた技術書です。「〜〜したい」という目的別に、それを叶えるためにはどうしたらよいのかというアイデアがまとめられています。
専門知識が必要な部分もありますが、「便利なメカニズムはこうやって作るのか!」という発見も多いので、エンジニアの方もぱらぱらとめくってみると勉強になります。
- 著者
- 高石 賢一
- 出版日
建設や土木で使われる重機。身近な現場で見かけるものでも大きく力強いものですが、それらよりもさらにパワーのある「巨大重機」があります。それらを取材したのが『巨大重機の世界』です。
北米の鉱山などで利用されている巨大重機や、世界でも数えるほどしかない珍しい重機などをスケール感ある写真で紹介。日本の建設機械メーカーが製作したものも掲載されています。これまであまり建設機械に目を留めてこなかった、という人にも、メカ好きにもおすすめです。
日常生活では何かとお世話になっているわりに、あまりよく知らない機械業界について紹介しました。
企業によって得意分野が大幅に異なることもあり、どういう仕事がしたいのか、何に興味があるかによって進む道も大きく変わってきそうです。ぜひ業界全体としてだけでなく、各企業の魅力についても考えてみてください。