5分でわかるエディトリアルデザイナー!就職・転職に有利な資格、年収、グラフィックデザイナーとの違いなどを解説!

更新:2021.12.8

エディトリアルデザイナーは、主に雑誌や書籍など印刷物のデザインをおこなう職種です。デザインをおこなう専門的な業務のため、自分とはほど遠い職業のように感じられますが、実は未経験で就職・転職することも可能な職業です。必須資格はありませんが、Adobeソフトを使用するため関連の検定は取得しておくとよいでしょう。本記事では、グラフィックデザイナーとの違いも含め、仕事内容や年収、やりがいなども解説します。また、本文を読んでもっと詳細に知りたい思った方は、記事の最後に関連書籍も紹介しています。こちらもぜひ参考にしてみてください。

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エディトリアルデザイナーとは?グラフィックデザイナーとの違い

グラフィックデザイナーとの違い

エディトリアルデザイナーとグラフィックデザイナーの役割をビシっと線引きするのは難しいのですが、あえて言うのであれば、ディレクションとは印刷物のレイアウトを考えることです。一方、グラフィックデザイナーは視覚的表現としてデザインを作り上げるのが仕事です。

雑誌制作の現場などでは、編集者が自らラフを描いてエディトリアルデザイナーを兼務することもありますし、グラフィックデザイナー兼エディトリアルデザイナーといったデザイナーも多くいます。

エディトリアルデザイナーの仕事内容

エディトリアルデザイナーは雑誌や書籍などのほか、ページ数の多いカタログやマニュアルなどの紙媒体のレイアウトデザインをおこなう職種です。レイアウトデザインは、決められた枠のなかに要素を並べるといった単純なものではなく、読者にとっての読みやすさ、理解しやすさまでを考慮しながら、バランスよくデザインを組みます。ワークフロー以下の通りです。

1.方向性を決める

編集者と打ち合せを行い、何を大きく扱い、何を並列で見せるのかなどを決めます。

2.フォーマットレイアウト作成

フォーマットとなるレイアウトを作成します。視認性を重視してデザインを組みつつも、配色やフォントなどもターゲットに合わせて決定します。

3.写真のディレクション

レイアウトに組み込む写真は、最適な画角や風合いになるようにフォトグラファーへディレクションします。こちらの作業は編集者がおこなう場合もあります。

4.レイアウト作成

原稿、写真、イラストラフなどの素材が揃ったら、レイアウトを組みます。

5.校正・校閲チェック

デザインを仕上げたら、編集者に渡します。そこから版元や著者の校正や校閲を何度か経て、必要であればデザインの修正をおこないます。これらの工程がすべて完了したら、入稿データを作成し納品します。

エディトリアルデザイナーが活躍できる就職先とは

エディトリアルデザイナーは、出版社や編集プロダクション 、デザイン事務所などが主な就職先となります。そのほかにも広告制作会社のデザインチームや、一般企業の広報部などでも活躍している方も多くいます。

 実績を重ねフリーランスとして独立するデザイナーも少なくなく、その場合は今まで勤めていた会社や、クライアントと業務委託契約を結んで仕事をすることがほとんどです。

エディトリアルデザイナーになるための資格

エディトリアルデザイナーになるために必要になる資格はありません。ただ、業務をおこなうにはAdobeの「InDesign」や「Illustrator」、「Photoshop」などのデザイン関連ソフトを扱うスキルが必須となるため、独学もしくはそれらのソフトを扱える証明となる「アドビ認定アソシエイト」の検定を受けておくことはおすすめです。

その他にも、書籍や新聞の編集で扱うDTPのスキル証明になる「DTPエキスパート」などの資格を取っておくのもひとつの手です。

エディトリアルデザイナーの平均年収

エディトリアルデザイナーの仕事では、制作物のクオリティ次第で給与に大きく差が出ます。実力主義のシビアな世界なのです。本章ではエディトリアルデザイナーの給与事情に年収をベースに触れていきます。

エディトリアルデザイナーの平均年収

全世代の平均年収は440万円~485万円ほどと言われています。もちろん勤め先や経歴、経験年数などで変動するため一概にはいえませんが、400万円台が一般的と考えて おくとよいでしょう。

フリーランスとして仕事を受ける場合は、雑誌のレイアウトなら1ページ1万~2万円程度、書籍なら1ページ1000~2000円程度が相場と言われています。センスも大切ですが、その点は努力で補うこともできます。やる気次第ではフリーランスの方が稼ぐことも可能ですし、制作物には必ずクレジットが載るので、よいものを作れば仕事が仕事を呼ぶ体制を作ることができます。

エディトリアルデザイナーのやりがいを感じる瞬間

エディトリアルデザイナーが扱う出版物は、芸術ではなくコマーシャル要素のあるものがほとんどです。そのため、自分の感性だけでなく客観的な視点も取り入れてデザインを組まなければないりません。不自由とも捉えることができる側面ですが、そこにこそ魅力ややりがいが隠れています。

デザインを考える楽しさ

デザインを組む仕事には、どうしたら見やすくなるか、センス良く見えるかを考える楽しさがあります。 デザインのセオリーを踏まえつつ、写真を切り抜いてみたり、普段は横組みにする文字を縦組みにしてみたりしてみて、新しいデザインが生まれたときは、大きな達成感を得られます。

周囲の反響

編集者や出版物を見た読者から反響があったときは、喜びを感じることができます。仕事の性質上、読者の声を直接聞くことは難しいのですが、読者アンケートなどでポジティブなメッセージがもらえたときはモチベーションになります。

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未経験からエディトリアルデザイナーへの転職は可能?

結論からいえば、未経験からエディトリアルデザイナーが活躍するような企業へ転職することは可能です。ただ先述したように、PhotoshopやIllustratorなどAdobeソフトは基本的に使えること、業務をおこなううえで必要最低限の知識が備わっていることが前提です。

入社した当初は大きな仕事は任せてもらえず、Photoshopを使用した画像編集・加工など簡単な業務がメインとなります。作業量が多いため、一つひとつを丁寧に時間をかけておこなうよりも、作業スピードが重視されます。作業効率がよいというイメージがつけば、徐々に大きな作業もまかせてもらえるようになるでしょう。

未経験の場合、最初からデザインに触らせてことはほとんどないので、少しずつ段階を踏み、エディトリアルデザイナーとして必要な技術やスピード感覚を身につけていくのだということを忘れないようにしましょう。

デザインは、見やすさをベースに

著者
["米倉 明男", "生田 信一", "青柳千郷(ベーコン)"]
出版日

紙面デザインは、センスを感じる見た目を追い求める前に、見やすさから追及していくことがおすすめ。そのためにはレイアウトについて学ばなければなりません。そこで役に立つのが、レイアウトに焦点を当てた本書です。

まず、よいレイアウトと悪いレイアウトの違いからレイアウトのセオリーを学び、整列、近接、中軸、グリッドデザインといったレイアウトの基本ルールや、三角形の構図、色や要素による反復、基本色と多色の使い分けなどの応用テクニックについて順を追って学習していきます。最後には、ターゲット決めなどのコンセプトワークにも触れ、これ1冊で実際にデザインできるまでに成長できます。

上達への近道はマネること

著者
松田 行正
出版日

独創的で誰もマネできないデザインを作る方のほとんどは、多くの先達のデザインに影響を受けながらその境地にいたっています。マネることはイケていないと思っている方もいますが、よいデザインをマネることは上達への一番の近道です。 

本書では、知的で洗練されたデザインだけでなく、サブカルチャーを感じさせるムードも合わせ持つデザインで高い評価を得る、アートディレクター・松田行正氏のデザインロジックを解説。

文字組、字間と文字詰め、行間と行長の黄金比、合成フォントの作り方などについてなど、DTPの歴史をなぞりながら、て分かりやすく教えてくれます。

見るだけでもワクワクする見本帳

著者
["関口 裕", "内藤 タカヒコ", "長井 美樹", "佐々木 剛士", "鈴木 貴子", "市川 水緒"]
出版日

実例サンプル満載で、視覚的にも楽しいレイアウト見本帳。ですが、単なるビジュアルブックではありません。

文字、写真、配置、配色といったレイアウトの基本をしっかり解説。 第1章ではレイアウトをおこなうことの意義について、第2章では文字、写真、配置、配色といった基本知識について、第3章では豊富な実例を用いてレイアウトデザインの見本を多数紹介しています。

これからレイアウトデザインの勉強を始める方はもちろん、すでにデザインに関連する仕事をおこなっている方にとっても復習のための参考書になること間違いなしです。手元に置いておきたい1冊ですね。

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エディトリアルデザイナーという職業には、専門的な知識や技術が必要です。しかしどんな職業にもいえることですが、最初は誰もが未経験。頭で考えるよりもまずは手を動かし続け、自らの手で何かを作るという体験を積み重ねながら技術や勘を習得していくのがよいでしょう。

センスが大切だと思われる職業ですが、レイアウトデザインは以前のデザインを踏襲したり、そのまま活用するため、一からデザインを考えることは案外少ないとも言われています。この記事を読んでエディトリアルデザイナーの仕事を身近に感じられた方がいたら、関連書籍もぜひ手にとってみてはいかがでしょう。インプットしながらアウトプットしていくことが、最も近道だと感じるはずです。

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