人気アーティストCreepy Nutsの楽曲とのコラボPVで話題になった漫画『よふかしのうた』。夜の世界を舞台に、吸血鬼のヒロインと不登校男子が繰り広げるラブコメを、独特な世界観を持つ漫画家・コトヤマが描きます。今回は、漫画『よふかしのうた』の魅力を始め、Creepy Nutsの楽曲との関係や歌詞との共通点などをご紹介します。
早速あらすじから紹介していきましょう。
夜守コウは、人間関係も勉強もそれなりにうまくやっていた中学2年生。しかし「それなりに」やっていることが嫌になってしまい、学校に行くのをやめてしまいました。
学校に行かなくなると、体力がありまっているのか、夜眠れなくなってしまったコウは、ある日、初めて誰にも言わず、たった1人で夜の街に飛び出します。自由な夜の世界に、驚きつつも気持ちのよさを感じるコウ。そんな自由な夜の世界をさまようコウの前に現れた謎の美少女・七草ナズナが現れます。
人が夜ふかしをするのは今日という日に満足していないからだというナズナは、コウに向かって、「今日に満足できるまで、夜ふかししてみろよ」と言い放ちます。そんなナズナの正体は、実は夜を生きる夜の住人・吸血鬼。彼女に夜の楽しさを教えられたコウは、ナズナに自分も吸血鬼になりたいと告げるのです。
- 著者
- コトヤマ
- 出版日
『よふかしのうた』が2022年7月にアニメになるという情報が、2021年11月11日に公開されました。
制作はライデンフィルム。『あいうら』『山田くんと7人の魔女』『はたらく細胞BLACK』や『東京卍リベンジャーズ』などを手掛けた会社です。監督は『魔法少女まどか☆マギカ』のオープニングアニメーションや、『物語』シリーズをはじめとしたシャフト作品の演出を担当されている板村監督ということで、『よふかしのうた』の雰囲気ともあっていると思うので期待できます。
公開されたPVは鳥肌モノのクオリティ。あと半年以上あるとは……待ちきれませんね。
なお、放送はノイタミナ。ノイタミナでアニメ化した漫画の解説もしていますので、興味のある方はこちらも読んでみてください。
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漫画『よふかしのうた』は、吸血鬼のヒロインと不登校の男子中学生が、夜の街を舞台に恋の駆け引きをするラブコメディーです。アーティスト・Creepy Nutsの楽曲に同タイトルがあり、そこから着想を得た漫画家のコトヤマが描いています。
Creepy Nutsをご存じの方は、『よふかしのうた』というタイトルを聞いたらすぐに曲を思い浮かべるという方もいらっしゃるかもしれません。そしてそれは、間違いではありません。
『よふかしのうた』の作者であるコトヤマは、Creepy Nutsのファンを公言していました。そして『よふかしのうた』に関しても、Creepy Nutsに許可を得てそのまま使っているというエピソードが発表されています。
さらにこの楽曲は、幅広い世代に大人気の深夜ラジオ『オードリーのオールナイトニッポン』の10周年のイベントのために制作されたという背景も。「よふかし」といえば深夜ラジオを聴いている、もしくは聴いていたという方も多いでしょう。MVには、ラジオのリスナーならにやりとしてしまう仕掛けがたくさんあります。
Creepy Nutsといえば、いまやヒップホップ界に留まらずバラエティ番組でも引っ張りだこのアーティスト。コトヤマはCreepy Nutsのファンを公言しており、楽曲と漫画には世界観やキャラクターとリンクする部分があったり、また漫画と楽曲のコラボPVが公開(現在は非公開)されたりして、ファンの間では話題になりました。
コラボPVは非公開になってしまいましたが、楽曲のMVは公開されていますので、そちらを貼っておきます。
本作の主人公。14歳の中学2年生で、人間関係も勉強もそれなりにうまくやっていましたが、ある日、告白してきた女の子をフッたことをきっかけに、表面的な生活がすっかり嫌になってしまいました。それから不登校になっていましたが、初めて夜に外出をした時にナズナと出会い、夜の楽しさを知ることになります。
本作のヒロインで、吸血鬼。初めて夜に外出をしたコウの前に現れ、夜の楽しさを伝えました。寝たフリをしたコウの血を吸ったことでコウに吸血鬼だということを知られてしまいましたが、それをきっかけに、コウとの交流が始まります。コウの血の美味しさに感動した最初の1人です。
コウの幼馴染の少女で、コウと同じ団地に住んでいます。コウのことは友達だと思っており、不登校のコウを学校に誘ったりします。眠りが極度に浅いことから夜明け前の散歩を日課にしていましたが、そのことがきっかけでコウと再会。ナズナとも交流するようになりました。
女子高生の姿をした吸血鬼で、ナズナの仲間の1人です。仲間といってもナズナとは仲が悪いようで、ガチバトルをすることもしばしば。自称恋愛マスターで、ナズナに恋をしようとしているコウのことを面白がってアドバイスしたりしますが、役に立っているかは微妙なところです。
吸血鬼の女性で、ナズナの仲間の1人です。ナズナがコウと夜をともにしていると聞き、コウに近づいてきました。実は、吸血鬼に詳しい人間が増えることを危惧しており、コウをその1人にしないためにも、コウを吸血鬼にしようと考えていました。
吸血鬼といえば、血を吸われた人間は吸血鬼になるという話が有名です。ですが、本作に関しては、少し違います。
本作で、人間が吸血鬼になるためにはある条件があります。吸血鬼にとって吸血は食事に過ぎません。ヒロインであるナズナは作中で
「あたしにとって吸血は食事だ。(中略)飯食うたびに家族が増えたら嫌じゃね?」
(『よふかしのうた』1巻より引用)
と言っています。これにはコウも同意していました。食事をするたびに家族が増える……想像すると怖いですが、面白い表現でもあります。
それでは本作で人間が吸血鬼になる条件とは……それは「人が吸血鬼に恋をすること」です。ナズナの台詞には
「吸血鬼に惚れた人間がその吸血鬼に血を吸われると晴れて眷属になるということだ」
(『よふかしのうた』1巻より引用)
というものがあります。そしてコウは、夜の楽しさを教えてくれたナズナに、自分を吸血鬼にしてほしいと頼みます。それはつまり、コウがナズナに恋をさせてほしいということ。
こうしてコウの夜ふかしラブストーリーが始まったのでした。ですが、実はこの「吸血鬼化」にさらにとある条件があることが、ストーリーが進むにつれて明らかになっていきます。それはぜひ本編を手に取って確認してみてください。
それでは、Creepy Nutsの「よふかしのうた」と本作にはどのような共通点があるのでしょうか? Creepy Nutsの「よふかしのうた」の歌詞から考察してみましょう。
まずは冒頭です。
「よふかしのうた 照らしてってmoonligjt
目を奪ってブルーライト ネオンサインが呼ぶ表裏」
漫画『よふかしのうた』は、コウが夜の世界を散策するところから始まります。団地を抜け町中になると、その背景には町の明かりも描かれていました。「表裏」という表現や「呼ぶ」という表現も、学校に行かなくなり夜の町に飛び出してきたコウとリンクするものがあるように感じられないでしょうか?
そして、何より気になるのがこちらの歌詞。
「俺の若さを日々吸い上げる
まるでサキュバスまたはインキュバス 近いうちに朽ち果てる
お前に手を引かれて出向いた土曜日の溜まり場
同じ周波数のムジナもれなく社会不適合者
だけどお前は決して誰も責めない お前は決して何も聞かない
御節介な陽の光と違い 俺も正さない
未だお前を乗りこなせない 未だお前を使い果たせない
ずっと今日が終わらない 明日を始められない」
歌詞にある「サキュバスまたはインキュバス」というのは、睡眠中の人間を誘惑する悪魔のことで、夢魔とも呼ばれます。サキュバスが女の夢魔、インキュバスが男の夢魔です。本作に登場するのは「吸血鬼」ですが、人間を襲い生気や血液を奪う異形のものというイメージは同じ。また、本作における吸血鬼になる条件の「恋」というのも、どことなくサキュバスを連想させます。
また、「周波数」というのも、気になるポイント。コウの幼馴染である朝井アキラは、幼い頃にコウが買ったトランシーバーを持っています。トランシーバーといえば「周波数」ですし、アキラはコウのことを友達だと思っています。この歌詞は、コウとアキラの関係性を感じさせるものではないでしょうか?
そして最も気になるのが「ずっと今日が終わらない 明日を始められない」というところです。初めてナズナがコウの前に現れた時、ナズナは、眠れない理由として
「今日という日に満足していないからだ」
(『よふかしのうた』1巻より引用)
と言いました。
コウは自分に満足できていないからこそ眠ることができず、今日から先へ進むことができなくなっている、明日を始められなくなっているのです。そんなコウがナズナと出会ったことで変わっていく……そんな本作のストーリーが、この歌詞から着想を得たことが感じられるのではないでしょうか。
本作は吸血鬼が登場する点でファンタジー漫画でもありますが、どちらかといえばボーイ・ミーツ・ガールの要素や青春を楽しむことができる作品です。非現実的すぎない物語を読みたい方におすすめです。
吸血鬼といっても、「恋愛感情」が湧かない限り人間は人間のままという設定。そのため、作品からはスリルのドキドキよりも恋愛ものとしての苦悩や甘酸っぱさを感じ取れるのです。「どこからが恋愛感情なのか?」「好きってなんなのか?」という心理描写に重きが置かれます。
今まさによふかしが好きという学生の方はもちろん、社会人になってよふかしをしなくなってしまったという方にもおすすめ。あの頃の胸が焦がれるような憧憬を思い出せるでしょう。
夜といえば本作は、「夜」に関連する人気バンド・ヨルシカともコラボレーションしています。『逃亡』という曲のPVではコウとナズナが日本各地の海や観光名所の夜景をバックにさまよう映像を見ることができます。夜を散策するシーンが魅力の本作とともに、楽曲との組み合わせも楽しんでみてください。
ここからは、漫画『よふかしのうた』が気になったという方へ向けて、本作を読むことができるおすすめのサイトを紹介していきます。
「使いやすい電子書籍ストア」で1位にもなった有名なストアです。無料で会員登録ができ、メールアドレスでの会員登録を始め、Yahoo!ID、Line、Facebook、Appleで会員登録をすることができます。
配信されている作品は幅広く、「ジャンプ」や「マガジン」などの少年誌や「花とゆめ」や「フレンド」などの少女誌の他、ライトノベル、東洋経済、seventeenなどの雑誌まで、かなり広いジャンルをカバーしています。また、電子書籍の購入の際にTポイントが使えるのも特徴です。スマートフォンで使う場合は、アプリ版をダウンロードするのがおすすめです。
こちらは角川が直営する電子書籍ストアです。漫画や小説、ビジネス書などの他、同人誌や個人出版も配信しているのが特徴です。会員登録ナシで読める漫画などもあり、気軽に試してみることができます。
購入には会員登録が必要ですが、こちらもYahoo!やLine、Facebook、Twitterなどの外部IDで登録することも可能です。また、月額760円で角川文庫やライトノベルが読み放題できるサービスもあります。読み放題で読めるのは角川作品限定にはなりますが、文庫は1冊700円程度はしますので、毎月たくさんの本を読むという方にはかなりお得なサービスと言えそうです。
テレビCMなどでも有名なRenta!は、少年漫画や少女漫画などを始め、小説や実用書も利用することができます。特に漫画が充実していて、少年、少女、青年はもちろん、映像化作品、ボーイズラブ、海外、名作などかなり細かくカテゴリ分けされており、好みの漫画を探すにはとても便利です。
Renta!は文字通りレンタルに特化したストアで、48時間100円から作品をレンタルすることができます。他に、無期限レンタルというサービスもあり、実質購入したような形で作品を楽しむこともできます。
まんが王国は、文字通り漫画に特化したストアです。電子コミック専門サイトとして14周年を迎えており、老舗のストアと言えそうです。最新作から名作まで幅広く漫画を配信しており、まんが王国の配信がきっかけで人気が再燃したという作品もあるそうですから、隠れた名作を探したい方には特におすすめと言えます。
無料配信されている漫画も多く、会員登録さえすればどんどん漫画を読むことができます。こちらは、メールアドレスの他、Twitter、Appleで登録が可能です。
『よふかしのうた』の作者は、コトヤマという漫画家です。コトヤマとはどういった漫画家なのでしょうか?
コトヤマは、2014年にマンガカレッジで佳作を受賞したことをきっかけにデビュー。2014年から2018年まで、『だがしかし』を連載していました。駄菓子屋の跡取り息子で漫画家志望の男子高校生と駄菓子マニアの社長令嬢、そして駄菓子屋を息子に継がせたい父親を描いた作品です。
その後、2019年から『よふかしのうた』の連載が始まりました。経歴こそそれほど長くはありませんが、前作の『だがしかし』は高い人気と評価を誇っており、アニメ化もされました。これからがますます楽しみな漫画家の1人です。
- 著者
- コトヤマ
- 出版日
- 2014-09-18
歌と漫画や歌とドラマなど、最近はコラボレーション作品も多いですが、2つの世界観が合わさるとより印象深い作品になります。また、漫画をきっかけに音楽を、音楽をきっかけに漫画を知ったという方も多いでしょう。これを機会に、どちらも楽しんでみてはいかがでしょうか。
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