5分でわかる生保業界!まずは保険の種類やビジネスモデルを知る。注目の話題も解説!

更新:2021.12.4

生命保険業界には、学生のうちはあまり接点がないですよね。社会人になり、家庭を持つようになると次第と気になってくるものです。なかには営業職を希望しているという理由で、生命保険業界での就職を検討している人もいるかもしれません。その場合、まずは自らが顧客となって生命保険業界の仕組みや、プラン内容、顧客側にどんなメリットがあるのかを知ることが大切です。本記事では、そもそも生命保険で扱っている商品や、利益を上げている方法、最近のニュースをまとめてわかりやすく解説します。記事を読んで概要を掴んだら、記事の最後に紹介している書籍にも目を通してみてくださいね。

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生命保険とはどんなもの?

生命保険とは何でしょうか? 何となく「死ぬとお金の入る保険」と思っているかもしれません。それも間違いではないのですが、もう少し丁寧に「生命保険とは何か」を見ていきましょう。

死亡に対する補償

生命保険会社が提供する生命保険は、死亡に対する補償が根幹です。保険加入者が死亡した場合、受取人になっている人が契約した金額を受け取ることができます。そのため、主に家庭の生計を支える人が加入することが多い保険です。

生命保険の多くはいわゆる「掛け捨て」の保険です。加入者は毎月一定額の保険料を支払いますが、死亡時以外で支払ったお金が戻ってくることはありません。一方、似ていて異なる保険としては、保険料の一部が積み立てされ、死亡時以外でもお金を受け取れる「終身保険」といわれるものもあります。

病気・怪我や入院に対する補償

生命保険に加入する人の多くが一緒に利用することが多いのが「医療保険」です。これは生命保険とは反対に、生きている人に保険金が支払われる保険です。保険で指定された病気(がんなど)に罹患したり、病気や怪我で入院・手術などをした際に決まった額が支払われます。

医療保険も、多くが掛け捨ての保険です。そのため、保険に加入したものの病気や怪我をしなかったというパターンもありえます。「生命保険に入ると損をする」と言う人がいるのは、この「保険に加入したが生涯健康だった」というケースを指しています。

保障プランを抱き合わせたり、複数同時加入したりする

多くの生命保険会社では、死亡保障と医療保障を組み合わせたさまざまなプランを作っています。どちらかだけ加入することもできますが、多くの人は両方に加入しています。

また、一般的な死亡保障と医療保障に加えて、がん保険のみ追加で加入したり、個人年金と呼ばれる積み立てをしたりする場合もあります。

生命保険のビジネスモデル。収益の仕組み

加入者から保険料を集めるものの、ひとたび病気や怪我、死亡があったら保険金を支払わなければならない保険会社。どのようにして利益を作っているのでしょうか。

加入者を増やす

まず大切なのが、保険加入者を増やすことです。加入者が10人しかいない状態でひとりに保険金を支払うのと、100人のうちひとりに支払うのでは事情が変わってくるからです。

もちろん保険会社はやみくもに加入者を増やすわけではなく、健康状態や年齢を審査して加入させます。「若いうちに保険に入っておいたほうがいい」と言われることがありますが、これは比較的健康な人の割合が高い若年層は保険の審査に通りやすく、保険料も安く済むという事情のためです。

一方、統計的に病気が多いと言われる年代で保険に新規加入しようとすると、保険料は非常に割高になることがあります。

資産運用をおこなう

加入者を増やしておけば保険金が尽きるリスクは減らせるわけですが、それだけではなかなか利益にまでは結びつきません。そのため、保険会社はプールしてある保険料を活用して資産運用をおこなっています。

株や外貨などの、いわゆる金融商品を売り買いして収益を上げているわけです。あまり表には出てきませんが、各保険会社には資産運用のプロが在籍しており、その仕事を担っています。

生命保険業界で注目の話題

生命保険の仕組みを簡単に解説してきました。続いては最近のニュースから気になるものを見ていきましょう。

「生きるための保険」が人気に

もともと死亡に対する補償が手厚かった生命保険。近年では、病気や怪我の死亡リスクが下がり、平均寿命が長くなりました。現代の日本ではむしろ「生きるための保険」が重視されています。医療保障や個人年金などがそれにあたります。

同じグループ内や、提携している損害保険会社の商品を販売する動きもあります。病気や怪我そのものではなく、それに付随するリスクを保障する保険です。たとえば、入院で仕事を2ヶ月休まなければならなくなった場合に、途絶えてしまう収入を補填してくれる保険などがあります。

非対面契約の開始

生命保険は場合によっては巨額の保険金を支払うこともあるという性質上、対面で話して加入可能かを決めることを重視してきました。

一方、2020年は感染症対策などの必要から、社会全体で非対面・オンライン化が進みました。この流れを受け、一部の保険会社も非対面の保険契約を始めるとしています。対面を非常に重視してきた保険会社としてはかなり新規性のある取り組みで、業界内でどのような反応が出るか注目されています。

参考:住友生命が1月から「非対面・ウェブ契約」を可能に、真の狙いは不正防止? | Diamond Premium News | ダイヤモンド・オンライン 

新しい病気への対応

医療技術は日進月歩。長年同じ保険に加入していると、加入当時では想定していなかった治療法が登場したりすることがあります。現在の医療保障ではそういったケースを先進医療と呼び、該当する治療を受けた場合に追加で保険金を支払うなどの対応をしています。

しかし、新しく登場するのが治療法ではなく病気だった場合、事情が少々変わってきます。入院・手術などについては医療保障の規定通りに保険金が支払われるのですが、これから保険に加入しようとしている人が未知の病気に感染している場合は、保険加入を断られることがあります。

現代の歴史を振り返ると、HIV陽性になった人がこの問題を抱えてきました。最近では加入できる保険も出てきましたが、HIVの発見からはすでに40年近くが経過しています。似た問題は今後も間違いなく発生してくるでしょう。

参考:2017.3.29(水) 19:00-21:00 第18回「生命保険のプロと話そう(4)」[参加者24名] – 認定NPO法人 ぷれいす東京 

契約数と市場規模の減少

生命保険にとっては加入者数が重要であると解説しましたが、近年の日本は少子高齢化により契約数・市場規模ともに縮小していることが課題となっています。新しい商品を作ったり、加入者あたりの保険料を上げたりするのにも限度があるため、長期的な視野で対応していく必要があります。

これから生命保険と付き合う人のために

著者
出口 治明
出版日

若いうちは病気も少なく養う家族もいないことが多いため、どうして保険に入るのか、入るとしたらどうやって組み立てたらいいのかいまいち分からないかもしれません。

しかし、若いうちこそ保険加入の勧誘をよく受けます。就職先の関連会社から勧誘されることもあれば、保険会社に就職した友人が営業ノルマのために声をかけてくることもあります。

そんな時、生命保険とはどういうものなのか、自分にはどんな保険が必要なのかを概説的に知っておくと便利です。『生命保険とのつき合い方』は、困った時の生命保険マニュアルとしても読めるので、一度目を通しておくとよいでしょう。

保険業界の負の側面となりうるケースを知る

著者
["後田 亨", "永田 宏"]
出版日

命には関わらないまでも、小さな病気をしがちな人がいます。そういう場合は「保険に入っておいてよかった」と思うことがあるのですが、一方で「必要のない掛け捨て保険にお金を使ってしまった」と後悔する人がいるのも事実です。

実際に「その人に本当は必要ない保険」を勧める保険会社の例を集めたのが『いらない保険 生命保険会社が知られたくない「本当の話」』です。こちらは生命保険業界の負の側面となりうるケースを知るのに役立ちます。

就職先を決めるときにも、本書であげられているような噂がある企業かどうかである程度絞り込みできるかもしれません。

ライフプラン設計としての保険

著者
["畠中 雅子", "黒田 尚子"]
出版日

保険そのものよりも、「実際に病気にかかったらいくら必要なの?」という疑問からライフプランを考えていくのが『病気にかかるお金がわかる本』です。性別や年齢、生活習慣などでリスクの高い病気は異なります。自分のケースならどうなるのかを考えてみると保険との付き合い方が見えてくるかもしれません。

病気になってから知るのと、病気になる前から知っておくのとでは、精神面へのショックも少ないでしょう。がんや脳卒中、心筋梗塞など誰にとっても可能性のある大病の際にかかる金額を本書であらかじめ勉強しておくのをおすすめします。

自分の適正年収をアプリで診断

若いうちにはあまり馴染みのない生命保険業界。どのようなものを売って、どうやって収益を立てているのかや、最近のニュースについて解説しました。

生命保険業界に就職すると、一度は実際にお客さんに会って営業する機会が生まれます。自信を持って勧められる保険に出会えるよう、まずは自分で保険の知識を付けてみてはいかがでしょうか。

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