子どもの頃、ゲームをするのが特別な時間だったという方は多いでしょう。小さな頃ゲームで遊んだ記憶は、大人になっても色あせず心に残っているものです。 今はインターネットやスマートフォンの普及が進んだことにより、ゲームは大人にとっても身近なものになりつつあります。とくに、スマートフォン用ゲームソフトの躍進は目を見張るものがあり、2019年の世界市場は約7.2兆円もの規模となっています。時間や場所、年齢問わず誰でもゲームを楽しめる時代なのです。 今回は、業界の動向や就職対策にもなる情報を解説。参考書籍のご紹介もありますので、ゲーム好きな方もぜひチェックしてみてください!
「ゲームソフト業界」は、アプリゲームなどを含むゲームソフトの企画・開発・販売をおこなっている業界です。
業界のなかには、ゲームソフトを起動させるためのゲーム機も作っているところがほとんどです。この業界では、ゲーム機もゲームソフトもまとめて扱っているため、総じて「ゲーム業界」とも呼ばれています。
ゲームソフト業界が生産しているゲームソフトの種類は、大きく分けると3つ。「家庭用ゲームソフト」「スマートフォン用ゲームソフト」「業務用ゲームソフト」に分けることができ、家庭用にはPC向けゲームソフトも含まれます。
業務用ゲームソフトは、ゲームセンターなどにある大型のゲーム機器(アーケードゲーム)をさします。現在は、ゲームセンターの数が減少傾向にあることから、業務用の分野は縮小されつつあります。
逆に、スマートフォン用ゲームソフト市場は飛躍傾向に。ちなみに、2019年には「ポケモンGO」が国内で1番プレーされたスマートフォンゲームでした。ポケモンGOは、過去には流行語大賞にノミネートされたこともあるほど、認知度の高いゲームソフトとなっています。
一昔前までは、世間でのゲームの扱いは、生活に不可欠ではない「贅沢品」や「娯楽」の要素が強くありました。しかし、今はゲームをプレイすることを職業とし生計を立てる人がいるほど、私たちの生活に必要不可欠な存在になりつつあります。
少子化問題・ひきこもり・いじめの問題などが後を絶たない日本では、友達や家族間をつなぐ一つの「コミュニケーションツール」としての役割も果たしています。「ゲームが生きがい」という人に対する偏見も年々減少し、まさにゲームの社会的立場が確立されているといえるでしょう。
ゲームソフトが販売された当初は、機械に対し1人で黙々とおこなうタイプしかありませんでした。1978年に株式会社タイトーが発表した「インベーダーゲーム」は、そのタイプだったにも関わらず、アーケードゲームとして当時のゲームセンターで大ヒットしました。
インターネットの普及により、いまはオンラインで世界中のプレイヤーと繋がれるようになりました。翻訳機能がついているものも珍しくなく、世界とゲームソフトで繋がるためのハードルはどんどん低くなっています。
世界1位のゲームソフト会社は、中国の「テンセント」です。スマートフォンを利用しておこなわれるオンラインゲームに力を入れており、関連するSNSの運営もおこなっています。
世界1位の理由として、中国人の人口と利用率が高いことがあげられるでしょう。日本にも、中国本社100%出資の子会社「テンセント日本」が存在します。
日本は2000年代に入るまで、「ゲームの技術は世界1位」ともいわれていました。しかし、ネットを通しておこなわれるゲームが世界で流通し始めたのをきっかけに、実は業界としてはいまの日本は出遅れ気味なのです。
日本と海外の違いは、いわゆるインターネット環境と呼ばれる、ネットの普及・利用率の差。そして「手軽かどうか?」といった点です。日本の技術は決して低くなく、むしろトップクラスであるため、その点をどう改善していくかが世界と戦っていく鍵になりそうです。
ゲームソフトだけではなく、ゲーム機も制作しています。言わずと知れた、ゲーム機「プレイステーション(初代版)」を1994年に発売した会社でしょう。プレイステーションは、ソニーの一番の強みと言っても過言ではありません。
ゲームに限らず、映画や音楽の制作も手がけていることが特徴です。「世界を驚かせるものを作る」という企業理念を掲げており、社内はどちらかというと実力主義な会社。平均年収も1051万円(2019年)前後と高収入です。
参照:ソニー(SONY)の平均年収は1051万円!ジョブグレード制やボーナス、ライバル企業との比較も紹介
DS ・Wii ・Switchでおなじみの任天堂は、ソニーと同じく、ゲーム機とゲームソフトの両方を手がけているゲームメーカーです。売り上げの約8割は海外部門が占めているのが特徴です。
人材を大切にすることに重きをおく会社であり、働く環境が整っています。個々の実力主義が優先されるソニーと比べると、チームで成果を生み出すことに価値を見出す人に向いている会社といえるでしょう。平均年収は913万円(2019年)とソニーよりは少し低い水準となっていますが、十分に高収入です。
3社のなかで唯一ゲーム機は製造せず、ゲームソフトに力を入れている会社です。ゲームセンターにある「太鼓の達人シリーズ」を制作している会社として有名ですよね。
おもちゃ・映像制作も行っており、手広く事業を展開する。上位他社に比べ、海外売り上げは低めです。ソニー・任天堂と異なる特色として、勤務にフレックスタイム制を積極導入していることがあげられます。結果を出せれば、社員は楽しんで自由な働き方で働いてもらって構わないという社風が特徴です。
平均年収は1083万円(2019年)は3社のなかで最も高い水準となっています。
業界全体でいうと、平均年収は600万円前後となっています。所属する会社によって大きな開きがあるようです。
ちなみに2019年の平均年収1位の会社は「スクウェア・エニックス・ホールディングス」で1429万円でした。
参考:https://www.ts-hikaku.com/g_game/o_nenshu-takai
年齢や場所にとらわれずゲームすることが可能になり、順調に思われるゲーム業界ですが、もちろん今後の課題もあります。
いまは大人も日常的にゲームをする時代です。すでに、ゲーム=子供が遊ぶものではなくなりました。
しかし、子供向けの商品の売り上げが大きな割合をしめているゲームソフト業界では、今後の少子化加速が進むにつれて市場の減少も見込まれています。この点が働く側としての不安要素となっています。
「どうやって安定的に利益を得るか」は、大きな課題のひとつのです。
スマートフォンはもともと、ゲームのために作られた機械ではありません。そのため操作性に限りがあり、技術面においての今後の展開に期待が集まっています。
スマートフォンゲームソフトの大きな特徴でもある「課金システム」。スマートフォンゲームソフトは、たくさん課金してもらってこそ利益を出すことができるという側面があります。いくらゲーム自体が人気でも、課金してもらえなければ、最悪の場合ゲームタイトルそのものが打ち切りになることも。
日本の強みでもある「RPG」「アクションゲーム」のジャンルは、海外でも人気です。しかし、それ以上に「FPS」のゲームソフトジャンルが海外では人気を博しています。
それに関する技術やリアリティを追求していけるかどうかが今後、日本のゲームソフト業界が海外で戦っていくためのポイントとなるでしょう。
「eスポーツ」とは、エレクトロニック・スポーツ(Electronic Sports)の略です。海外では、スポーツ選手枠として広く認知されていますが、日本ではまだその認知度は低めなのが現状です。
JeSU公式HPには、以下のように記載があります。
「eスポーツ(esports)」とは、「エレクトロニック・スポーツ」の略で、広義には、電子機器を用いておこなう娯楽、競技、スポーツ全般を指す言葉であり、コンピューターゲーム、ビデオゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉える際の名称。(引用:日本eスポーツ連合HP )
eスポーツの大会賞金の相場は、数万〜数百万円が相場ですが、大規模な大会になると1億円越えの賞金が出ることも。ゲーム好きにとっては夢がある話ですよね。
一言でゲームソフト業界といっても、働く人々の職種は実にさまざまです。
その他、一般企業のような人事・営業・広報などの仕事もあります。
ゲーム制作のためのプログラミング技術がなくても、さまざまな形でゲーム制作に関わることができるのです。
大手メーカーの新卒就職試験は、毎回かなりの競争率です。大手メーカーの正社員入社を狙うのであれば、4年制大学卒業をしておくのがベターでしょう。
さらに、ゲーム制作に直接的に関わりたいのであれば、専門学校や理工学部などで技術面も学んでおくことをおすすめします。
大手企業は、毎年割と安定した採用人数を掲げています。中途採用も積極的におこなわれており、転職のチャンスはあるといえそうです。
しかし、ゲームのプログラムなどの「制作」に関わりたいという場合は、専門技術がないと転職は難しくなっています。まったくの未経験でも「すぐに業界で働きたい」という方は、事務系の部署がおすすめ。ゲームソフトメーカーの求人ページに採用情報が載っていることも多いので、チェックしてみてください。
- 著者
- ["ほぼ日刊イトイ新聞", "ほぼ日刊イトイ新聞", "100%ORANGE"]
- 出版日
就職活動を行っている最中の人、すでに社会人のにもおすすめの1冊をご紹介します。
任天堂の元社長である、岩田聡さんのことばをまとめた本書。人材や個性を重要視する任天堂の社風をどう作り上げたのか、その変遷を知ることができます。働く人なら誰しも心に響く言葉がひとつは見つかるはずです。
ゲームソフト会社の就職試験で岩田さんの言葉を引用して面接で自己アピールするテクニックにも繋げることができそうな1冊です。
- 著者
- 玉樹 真一郎
- 出版日
ゲームソフト業界に関わる仕事を広く網羅した、商品やサービスの作り方を教えてくれています。
著者は元任天堂の企画開発者。ゲームソフト業界以外の社会人でも、企画・開発・マーケティング・営業などにおける入門書として使用できます。難しい言葉や専門用語をなるべく使わずに説明してくれているので、気負わずに読める1冊です。
- 著者
- 森 健二
- 出版日
- 2016-04-22
本書では、あのスティーブ・ジョブズをも魅了したソニー創業者のひとり、盛田昭夫さんの生き方・考え方を知ることができます。
ソニーへの就職を狙っている方にとっては、必読書といえるかもしれません。海外での評価も高い盛田氏の、失敗と成功のメカニズムから、今後のゲームソフト業界の課題解決方法や道筋を探してみてください。
ゲームソフトは、今や私たちにとって大きな存在です。通勤中の大人が電車のなかでゲームをしていたり、学校でもゲームの話で持ちきりになるなど、日常のあらゆるシーンに溶け込んでいます。
とくに、RPGゲームソフトは感動するストーリーや世界観が重要になるため、ゲームソフト業界に関わってみたいという方は、シナリオライターなどで参加することも可能です。
就職や転職を考えている方は、今回ご紹介した参考書籍にも目を通してみてください。アイディア勝負のゲームソフト業界で、武器となるフレーズやストーリーに出会えるかもしれません。