芸能業界または「芸能界」は、みなさんにも馴染みのある業界ではないでしょうか。そこで働く人たちは「芸能人」や「業界人」などと呼ばれ、華やかな世界で活躍している印象がありますね。表舞台で活躍している姿に憧れを抱いている方も少なくないのではないでしょうか。 しかしその反面、関わることは難しい業界というイメージも強いはず。今回は、芸能業界に関わる仕事をしたい方や、業界の今後について興味があるという方に向けて、芸能業界の仕事内容や就職事情、収入面などを解説していきます。業界にまつわることを学べる3冊の書籍もご紹介しますので、記事と合わせてチェックしてみてくださいね。
芸能業界、いわゆる芸能界が扱う分野はさまざまです。
映画・演劇・落語・歌謡・音楽・舞踊などの技芸で生活する人々の社会。芸能人の社会。芸界。
(引用:goo国語辞書)
辞書にもあるように、人前に立って「技芸」をおこなうことで収入を得ることをメインとする業界です。他人と比べて突出した才能を持っている方が多い業界ともいえるでしょう。
テレビ・ラジオをはじめとした、さまざまなメディアを通して活動する業界のため、社会や人々に与える影響力も大きくなります。それにともない、広告や集客で動くお金の額も非常に大きなものとなっています。
反対に何か問題が起こってしまったときの世間からのバッシングも大きくなっています。近年では芸能業界の人権問題における、執拗な「加害者叩き」も問題視されています。決して華やかさだけでは語れない業界なのです。
芸能業界の年収は表舞台で活躍するタレント業か、裏方で活躍する職種かで大きくわかれます。
タレント業は人気商売のため、表で活躍すればするほど収入をあげることができます。しかしそれは人気が出なければ収入はほとんどゼロに近くなるということ。収入をあげるために努力することはできますが、努力がそのまま反映するとは限らないのが表舞台で活動するタレント業の難しさです。
一方で裏方の職種は正社員と契約社員、業務委託と雇用形態はさまざまです。正社員であれば経験によって年収は上がっていきますが、契約社員や業務委託の場合は仕事の件数やクオリティにより収入は変化します。
芸能業界全体を考えると、必ずしも華やかな表舞台に立つ人だけで成り立っている世界ではありません。
芸能業界で働く人を、簡単に2つに分けて解説すると「表に出る仕事」「裏方の仕事」に分けることができます。それぞれには、以下のような仕事があります。
以前は、完全に裏方であった「声優」や「ナレーター」の仕事も、最近では顔出しが当たり前に。芸能業界の表舞台で働くことも普通になりました。
テレビ局関連の仕事や映画・イベント制作の仕事は、裏方で活躍している方が大勢います。「アシスタントディレクター(AD)」と「ミキサー」については、ホンシェルジュ内に仕事内容や収入についての記事も掲載されています。そちらも合わせてチェックしてみると、芸能業界に関する新たな発見があるかもしれません。
必ずしも需要が安定している業界とは言えませんが、急になくなる可能性もないとも言い換えられるでしょう。
ただし、これはテレビやラジオといったメディア媒体自体の話であって、個人(とくに芸能人)は、不祥事やイメージダウンにつながる言動が原因となり、急に仕事がなくなる可能性もあります。
世の中の働き方が変わるにつれ、多方面の業界で、フリーランスで働く人や企業して小規模運営をする人が増えています。
芸能界も例外ではなく、これまでは大きな芸能プロダクション・レコード会社に所属しているかが武器になっていた部分がありました。会社員でいえば、大手企業に就職すれば勝ち組といった考え方のようなものですね。
しかし、最近はあまりよしとされていなかった芸能人の独立が増えています。自分で事務所を立ち上げる芸能人も少なくなく、信頼のおけるメンバーのみで小さく安定的に活動する形を取る方もいるようです。
2016年12月に解散した、元ジャニーズ事務所所属のアイドルグループ「SMAP」なども、例としてあげられるでしょう。
解散した理由はどうであれ、元メンバーである稲垣吾郎さん・草彅剛さん・香取慎吾さんの3名は、個人事務所「新しい地図」を立ち上げ、いまも自分たちのペースで芸能活動を続けています。まさに、現代の働き方とマッチしているともいえる形なのではないでしょうか。
実際に、元々所属していた「ジャニーズ事務所」は、大手芸能プロダクションとして長年芸能業界でもトップクラスに君臨していた存在です。相次ぐ所属メンバーの不祥事・退社・独立により、その勢力が衰えてきていると、ワイドショーの話題に取り上げられる場面も目にするようになりました。
各芸能プロダクションも、時代の流れをしっかりと読まなければ存続していくのは難しくなっているようです。
2019年「一般社団法人日本映画製作者連盟」の興行データによると、日本の映画興行収入が前年2018年より17.4%増というデータが出ています。
実は、この数字を支えているのはディズニーをはじめとする「アニメ作品」の力が大きいということをご存知でしょうか。アニメ作品にも芸能業界の多くのメンバーが参加しており、今後も映画制作の分野では、さまざまな形で「アニメ頼り」になることも予想されています。
洋画では『アナと雪の女王2』(2014年)が日本で255億円を超える大ヒットとなり、邦画では『劇場版 鬼滅の刃〜無限列車編〜』(2020年12月現在公開中)が、興行収入300億円越えの大ヒットを飛ばすなど、アニメーションは今後も注目すべきジャンルです。
本格的に芸能業界入りを目指す方は、アニメ業界の動向も調べておくと就職にも役立つ情報を得られるかもしれません。
芸能業界は「華やかな世界で働いてみたい」という学生や若者から、常に高い人気がある業界です。働く場所の表や裏に関係なく、業界に関わるための方法は多く存在し、職種の数も豊富です。
ここでは、所属する企業としておすすめのジャンルをいくつかご紹介します。やってみたい仕事と照らし合わせてチェックしてみてください。
正社員として入社を目指すには、4年制大学の卒業を目指しましょう。
アナウンサーやディレクターになりたい方にとっては、テレビ局への入社が近道です。アシスタントディレクター(AD)であれば、アルバイトでも芸能人の近くで働ける可能性があるでしょう。
芸能業界に深く関わる企業も多いですが、どちらかというと裏方の仕事をしたい人におすすめです。企画・撮影・編集などを中心に、自分の技術を活かした活動ができるでしょう。
自らが芸能人になる方法以外に、芸能人のマネージャーになりたい場合は、芸能プロダクションへの就職が近道です。またスカウト業をやりたいという方も、芸能プロダクションへの就職がおすすめです。
芸能業界のなかでも、とくに音楽に深く関わりたい人におすすめです。大手でいえば、「ユニバーサルミュージック」「ソニー・ミュージックエンタテインメント」「ワーナー・ミュージック・グループ」「ポニーキャニオン」などがあります。
芸能業界に欠かせない、CM制作やグラフィック広告を請け負うのが広告代理店です。自分が担当するプロジェクトの広告に芸能人が指名されれば、会ったり話したりする機会が得られます。
ただし、有名人を起用したCMの制作や担当になれるとは限りません。大手になればなるほど、手がける広告の範囲は広くなります。
本や雑誌を手がける出版社も、芸能業界との関わりが深いといえます。いわゆる「編集者」と呼ばれるポジションにつけば、直接芸能人に取材したり、撮影に同行することもあり、近しい存在として仕事を進めすことになります。
ただし、広告代理店と同じく、必ずしも芸能人を起用するプロジェクトに関われるとは限りません。ファッション雑誌や美容雑誌、芸能雑誌などの担当になれば、芸能業界に関われる確率は上がります。
芸能人が出演するフェスやコンサートの企画・運営をおこなうのがイベント会社です。技術職の方にはとくにおすすめで、照明や音響(ミキサー)などが代表的な職業です。
いまは、芸能人も積極的に動画サイトなどで個人番組を発信する時代となりました。一昔前は、事務所が用意した仕事以外はタブーのイメージもありましたが、この先はそんなことも言っていられない状況のようです。
大手企業であればあるほど、どこまでSNSをうまく利用できるかといった点が、世間に受け入れてもらいやすいかのポイントとなるでしょう。
また、SNSでは芸能業界の悪い噂が流れることも後を経ちません。「独り歩きする情報」をどううまく扱うか、払拭できるだけの世間との信頼関係を築けるかが課題となりそうです。
日本の映画興行収入はアニメ作品に頼っている部分が大きくなっています。
すでに人気のあるアニメ作品の実写化、漫画作品の実写化以外の映画作品で業界をどう盛り上げていくか、どれだけの収入を得るかは大きな課題となりそうです。
ここ数年で芸能業界のゴタゴタが問題になるとき、必ずといっていいほど「やった、やってない」「言った、言ってない」などの論争がくり広げられています。
ワイドショーなどは不確かな情報を流すことも多いですが、どんな相手や仕事でも「誠実に対応している」という姿を上手にアピールすること。いいイメージを維持すること。これらが世間に受け入れられる第1条件になっていきそうです。
- 著者
- 霜田明寛
- 出版日
話題にも上げた「ジャニーズ事務所」の表・裏問わず活躍する人々の、影の努力や人生哲学に触れた1冊です。
今の時代ともリンクする「個」の個性を引き出すことを得意としていた、前社長・ジャニー喜多川さんの考え方も垣間見ることができます。ジャニーズファンでなくとも、芸能業界に興味がある方なら面白く読み進められる内容になっていますよ。
- 著者
- 池上彰
- 出版日
こちらの本は一見、芸能界と関係ない本に感じるかもしれません。本書では「なんのために私たちは働くのか」といったテーマを掲げ、昨今の新型コロナウイルスが仕事に与える影響や働き方の変化をプロが予想しています。
芸能業界のような、人材的にも精神的にも不安定な業界であるからこそ、自分が働く本質をしっかりと意識しないと潰れてしまうでしょう。いま一度、芸能業界で働きたいと考える学生や新社会人に「自分は何のためにこの業界にいたいのか?」を考えさせてくれる内容となっています。
- 著者
- 山里亮太
- 出版日
- 2018-07-06
本書は、芸能界の闇ともいえる「嫉妬」や「不仲説」などを取り扱いつつ、どんな人間であることが芸能業界で生き残るコツかを教えてくています。著者がお笑いコンビ・南海キャンディーズの山里亮太さんということもあり、テンポよく完読できます。
どんな闇を抱えていても、いつかは明るく誠実な人間になれるものだと、希望を感じたい方に手に取ってみてほしい1冊です。
今回の記事内容から、これからの芸能界は「誠実さ」や「正確さ」が求められていくことが、皆さんにも予想できるのではないでしょうか。
一見華やかな世界であり、大きな収入を得られるイメージも強い芸能業界ですが、自分がやりたい仕事に対する強い思いや信念がないと長く業界に残るのは難しい世界でもあります。
働き方も以前よりも多様化していますので、大きなプロダクションに入ることが全てではなくなっているのかもしれません。自分が健康でいられる働き方が、芸能業界でも重要になっていきそうです。
本格的に業界入りを目指したい方は、まず自分の武器や信念を磨くことから始めてみましょう。参考書籍もぜひ読んでみてくださいね。