キャラクターデザイナーが手がけるのは、ゲームやアニメ作品のキャラクターがメインです。ほかにも、普段何気なく目にしているCMのキャラクターやお菓子のパッケージに書かれているキャラクターをデザインしているのも、キャラクターデザイナーの方たちです。 彼らが普段どんな仕事をおこななっているのか、就職したら収入はどれくらいなのか。今回は、キャラクターデザイナーの就職先や主な仕事の流れ、そして参考になる書籍についても解説していきます。 キャラクターデザイナーは目指していないという方でも、ゲーム業界・アニメ業界・広告業界などに興味がある方は、ぜひチェックしてみてくださいね。
キャラクターデザイナーは、アニメやゲーム作品に登場するキャラクターをデザインする仕事です。業界では、略して「キャラデザ」と呼ばれたりすることもあります。
中には、CMや広告に登場するキャラクターを手がけることもあります。たとえば、JRの「suica」のペンギンキャラクター、商業施設「ルミネ」のCMキャラクター、チーバくんなどのご当地キャラクターがそれに該当します。
原作があったり、制作会社から大まかな指示があって、それを元にデザインすることもあります。その他は、自分の想像力を働かせ、キャラクターの姿・性格・衣装・髪型などを、ゼロからデザインするのが基本の業務内容となります。
ゲームもアニメ作品も、チームでひとつの作品を制作するのが通常です。自分1人だけでキャラクターを作り上げることもありますが、チームの仲間から「もっとこうしてほしい」「ちょっとイメージと違う」といった意見をもらうこともあります。
そんなときも臨機応変に、相手の意見やコンセプトの意図・売りたい商品イメージなど、人からの指摘も汲み、より魅力的なキャラクターを生み出すことができる対人的なスキルも必要です。
日本のアニメーションやキャラクターのクオリティは、世界と比べても非常に高いレベルだといわれています。そのため、日本人キャラクターデザイナーは、海外からの注目も集めている職業です。
以前のように、2次元(紙とペン)でキャラクターをデザインすることもありますが、今はペイントツールと言われる「Photoshop」や「Illustrator」などのソフトを使用して、3DCGでキャラクターをデザインする技術も必要となりました。
日本に限らず、世界で活躍したいという志がある方は、PCの技術も積極的に磨いておきましょう。
イラストレーターは、すでにどんなキャラクターか決められた指示があった上で、それを絵におこす人のこと。キャラクターの設定やストーリー・性格などをの決定権はほとんどありません。
反面、キャラクターデザイナーはゼロからキャラクターを生み出すため、まさにそのキャラクターの「生みの親」という存在です。
キャラクターデザイナーを志す学生から人気の就職先は、ゲーム会社やアニメ制作会社がメインです。そのほか、デザイン事務所・広告代理店・玩具メーカーなども就職先としてあげられます。
では、キャラクターが生み出されるまでの流れをみてみましょう。
仕事はクライアントあってのもの。相手の意見をこまめに聞き、取り入れていく作業も大切な工程のひとつです。
フリーランスで働くことが珍しくなくなった昨今、キャラクターデザイナーにもフリーで働く人が多くいます。
未経験の人が、いきなりフリーランスとして活動を開始するのは難しいかもしれませんが、副業としてスタートしたり、そういった雇用契約の求人も実際に出ています。その場合、正社員ではなく「業務委託契約」を結んで仕事を請け負うことになるのが一般的です。
新型コロナウイルス感染症の影響で、在宅勤務を推奨する企業も増えました。これは、ゲームやアニメ制作会社も例外ではありません。特にフリーランスのキャラクターデザイナーは、会社に所属しているわけではないため、リモートのみで会議・相談をすることも今後は増えていくでしょう。
プラスに捉えれば、介護や子育てをしながらでも、キャラクターデザイナーの仕事につくことが可能になりつつあるということ。この職業自体、ソーシャルゲームの普及率上昇や人気にともなってデザイナーの需要は増えています。
優秀であれば在宅勤務の方でも雇いたいという企業は増えていくとの予想もされています。
平均年収は300〜600万円。雇用形態によっても額は異なりますが、日本の平均年収の水準以上を稼ぎ出している方は少なくありません。
人気のソーシャルゲームを制作している会社は、給料も高いと言われており、高収入を目指したい人にはおすすめです。また、大手ゲームメーカーに正社員として入社した場合も、平均よりかなり高い年収が見込めます。
キャラクターデザイナーになるには、国家資格や特定の民間資格を持っている必要はありません。しかし実務で役に立つ資格はいくつかありますのでご紹介します。
また、ゲームメーカーやアニメ制作会社に入社したい場合、中途採用は実務経験を重視されることが多いのも特徴です。
新卒採用であっても、自分の過去の作品をまとめたポートフォリオ(自分の作品集)の提出を求められることがあります。常に自分の売りとなるポートフォリオを作成して持っておきましょう。
4年生大学と専門学校の異なる点としては、専門学校ではゲーム会社やアニメ制作会社の情報が入ってきやすかったり、卒業生がすでに該当する企業で働いている場合が多いことでしょう。4年制大学は卒業後の進路が多いため、同じ道に進んでいる先輩を見つけるのは少し難しいかもしれません。
それらが就職に有利になるケースもあるため、専門学校を進学先として検討するもおすすめですよ。
人の真似や、どこかでみたようなことがあるデザインというのは、この業界ではタブーです。「これまでにない」「〇〇さんらしい」といわれるようなキャラクターを生み出すセンスが必要です。
そのために必要なのが独創性です。いろいろなものを見て自由に発想する脳を鍛えましょう。
絵が上手いだけの人は、世の中にたくさんいます。そのなかでも、クライアントの意見をうまくキャラクターに取り入れることができたり、相手の気持ちを汲み取ることができるような柔軟性がないと活躍は厳しいでしょう。
こちらも上記と同様に、絵が上手いだけの人と差をつけるために必要な能力です。
いまは擬人化したキャラクターが爆発的な人気を得ることがある時代です。生活の中で自分が使っている道具や、食べ物などからインスピレーションを受けたり、絵に起こせるよう日々のひらめきを大切にしましょう。
- 著者
- 株式会社Playce
- 出版日
「キャラクター」という言葉は、その分野の仕事をしていない私たちでも頻繁に使用する言葉です。本書は「そもそもキャラクターとは」という概念の部分から解説しています。
最終的には「人の心をつかむキャラクターを作るには」といった内容を教えてくれる指南書となっています。本の中身は、カラーイラストも豊富で見ごたえのある内容となっています。
- 著者
- 室井 康雄(アニメ私塾)
- 出版日
専門学校や講座に通う余裕はないけれど、一通り勉強してみたいという初心者の方にもおすすめのテキストです。著者は「スタジオジブリ」にも所属していたアニメーター。現在は「アニメ私塾」を開講して、後輩の指導に当たっています。
アニメ私塾が気になる方は、ぜひ調べてみてください。ツイッターアカウントもありますよ。
- 著者
- 渡辺 健介
- 出版日
可愛いキャラクターが登場し、その存在によって理解も深まる1冊となっています。本書はストーリー仕立てになっており、中学生でも読みやすいと好評の声も多数です!
一見、タイトルだけ見るとデザインとなんの関係が? と思うかもしれません。ですが本書は、右脳が独創性を豊かにし、ゼロからものを生み出すのに必要であるという内容が面白く的確に書いてあります。
「イラストが上手い」ということにあぐらをかいていては、活躍は難しい世界です。また、アイディアが豊富で絵がうまくてもコミュニケーション能力皆無では、仕事が進まないでしょう。相手の意見や意図を汲み取る「柔軟性」や「理解力」を養う必要がありそうです。
成功すれば、自分の生み出したキャラクターが世界中で何十年ものあいだ、愛され続ける存在になる可能性がある、とても夢のある職業です。今回ご紹介した参考図書は、中学・高校生でも読みやすいものが多いので、気軽に手に取って読んでみてください。