5分でわかる書道家!活動内容により年収は異なる。必要な師範資格の取り方、仕事内容など疑問を解説!

更新:2021.4.27

書道家といえば、相田みつをや武田双雲など、書道家だけでなくアーティストとしても活動している方々の姿が浮かびます。小さな頃から学生時代まで習い事としての書道をやっていた方は多いのではないでしょうか。書道家を職業にするにはまず、書道の腕前が磨かれていなくてはなりません。その上で、人に指導をするための認定資格も必要となります。 本記事では、そんな書道家の仕事について解説します。日々の仕事内容や働き方、活動内容による年収についても解説します。また、記事の最後には書道家を目指す方の参考となる本の紹介もしていますので、興味のある方はこちらもぜひ参考にしてみてください。

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書道家の仕事内容

主な仕事内容は以下の通りです。

書道家の仕事内容

  • 作品制作
  • 企業や団体、イベントからの依頼対応
  • 書道教室
  • パフォーマンス

などをおこないます。書道家というとアーティスティックなパフォーマンスをしている姿が思い浮かびますが、同時に書道の指導もおこないます。

作品制作

自分の作品を制作して個展を開いたり、販売したりします。また、展覧会などで入選して自分に対する認知度を高められます。

認知度を高めることで自分の作品の価値が高まるため、販売価格が上がったり、企業やイベントからの依頼が増加します。

作品を作り続けて、業界や世間から認められるようになることが、書道家としての成功の近道です。

企業や団体、イベントからの依頼対応

商業書道家と呼ばれるお仕事で、お店のロゴや看板などを制作します。

リアルな和のテイストを表現したいなど、企業の要望に合わせた作品作りをします。

また、それ以外にも神社や寺院の掲示物の制作を委託されたり、冠婚葬祭の席で求められる手書き文字制作の依頼を受けることもあります。書道家のお仕事のなかでもデザイナー的な側面が強くなります。

書道教室

書道教室を開いて、教室に来た生徒さんへ授業をおこないます。

筆を使って文字を書くという文化の継承や、生徒さんの段位・級位を上げて新たな才能を育て上げるお仕事です。書道教室は狭いスペースでも開けるので、師範としての実力が認められた後、自宅や公共スペースで書道教室を始める方も多いです。

また、ワークショップを開催して、集まってきたお客さんに対して書の魅力を伝えるケースもあります。

パフォーマンス

テレビやイベントなどに参加して、制作を目の前でおこなう書道パフォーマンスも書道家のお仕事のひとつです。

あまり頻繁にあるお仕事ではありませんが、人前に立ち緊張感のある現場なので、集中力や精神力、実力を発揮できるため、やりがいを感じられます。書道家のお仕事のなかで最も注目を浴びやすいです。

書道家は、後世まで筆の文化を継承したり、世界に書道の魅力を伝えるといった役割を持っているため、さまざまな活動を通して生計を立てるのはもちろんですが、役割を果たしていくということにもフォーカスするといいでしょう。

書道家になるのに資格は必要?

書道家になるためには実は資格が必要です。資格は2種類です。師範の民間資格と、書道の先生として学校で教えるために必要な教員免許が必要です。

師範の民間資格について

師範は書道の各会派・流派等で認定している民間資格です。各会派・流派に所属し、昇段試験を受けながら段位を上げ、一番上級の段位になると交付されます。また、日本書作家協会が実施する「全国書道教師資格認定試験」で資格を取得する方法もあります。

各書道団体で師範の資格を取得するには、書道団体によって認定システムが異なります。自分が所属している団体で所得する方法を確認しましょう。一方、全国書道教師資格認定試験は、18歳以上であれば書道団体に所属していない方でも受験が可能です。試験は1次〜4次まであり、4次まで合格して初めて書道教室の資格を得られます。

参照:全国書道教師資格認定試験

段位の上げ方ですが、各団体ごとに『競書雑誌』という毎月の課題や出品者の段・級が掲載されているものが発行されているので、課題を確認し提出、審査してもらうことで昇級や昇段が決まります。この際、なるべく難易度の高い団体の冊子を選んで段位を上げていくことで、確実に実力をつけ、周囲からも認められるようになるでしょう。

教員免許

書道の先生を志す場合は教員免許が必要です。中学校で書道を教えるには「中学国語」、高校の選択科目としての書道を教えるには「高校書道」の教員免許がないと書道の先生になれません。ただし、現実として書道専門の教員を募集している学校は少なく、就職が難しいため、別の教科の教員免許とあわせて取得するケースが多いです。

書道家としての実力を認めてもられるための「師範」、そこから活躍の場を学校に置く場合は「教員免許」が必要です。

書道家になったとしてもどのように活動したいかという進路に合わせて資格取得を考えてみてはいかがでしょうか。

書道家の年収とは

書道家は、自分で書道教室を開くか学校の書道の先生になることで収入を得ることが多いです。

書道家の平均年収

書道家の平均年収は約460万円ほどです。これは書道教室を開いている書道家の場合の年収となります。活躍の仕方では、以下のように収入は変化します。

  • 有名な書道家の年収:1260万円~1360万円
  • 書道教室を開いている書道家の年収:186万円~615万円
  • 学校の書道の先生の年収:60万円~120万円

有名な書道家となると、書道教室の月謝も高くなるため大幅な収入アップが見込めます。また、テレビやイベントの出演依頼の単価が上がり、依頼数も増加することでしょう。

書道家としての知名度があがることにより作品自体の商品価値も上がるため、作品販売による収入にも期待ができます。有名となるとすべての仕事をこなしていくことは大変ですから、どこかひとつに絞って仕事をするのがおすすめです。

書道家として学ぶべきこと

書道家になるために学ぶべきこととしては、以下の5つがあります。

  • 多書
  • 書写
  • 集中力
  • 姿勢
  • 道具の扱い方

書道家になるためにはとにかく多くの書を作成し、手本を正確にまねできるようになることが第一歩です。書き足しや書き直しのできないものなどで、集中して一気に書ききることを意識しましょう。

また、美しい書を作り出すには、美しい姿勢で書くことが重要です。作品によっては何時間も同じような姿勢で取り組むので、強靭な集中力を持っていなければなりません。

ただ書くだけではなく、伝えたいことを書に込められるようになることも活躍する書道家に欠かせない要素です。そのためには使う道具の一つひとつを大切にし、心を込めた書を作り出せるようにしましょう。

日本で活躍する有名書道家

書道家として活躍している方にはどのような方々がいるでしょうか。

相田みつを

書の詩人として有名な相田みつをさんは、書道家としての実力はかなりのものでした。独自性のあるスタイルを確立するまでに長い苦労をしており、彼の作品は詩と書体そのどちらが欠けても完成はしていなかったでしょう。

書道家として頻繁に個展を開き、積極的に活動をしていましたが、書道教室を開くことはありませんでした。看板などのデザインを請け負い生計を立てていたのです。

武田双雲

2021年4月時点で存命で多くの人に知られている書道家といえば、武田双雲さんがあげられます。彼はテレビや雑誌などメディアに出演する機会が多いため、書道家のなかでは珍しく一般的な方にも知られているのです。

書道との関係は3歳から。母が書道家だったこともあり、小さな頃から書に触れていました。大学卒業後は民間企業に就職しますが、その後書道家として独立し、現在の道を歩んでいます。

ダイナミックな動きのあるスタイルを持ち、アーティストとのコラボレーションや個展の開催など積極的に活動されています。日本を代表する書道家のひとりであることは間違いないでしょう。

参照:武田双雲ウェブサイト

紫舟

書道家、そしてアーティストとしても活動する紫舟さんは、大河ドラマ『龍馬伝』の題字を担当したことでも知られています。武田双雲さん同様、大学卒業後は一般企業に就職するも、その後独立。

彼女の作品は通常イメージされる書の作品とは違い、最も有名な作品に3Dで表現された「書のキュビズム」というシリーズがあります。平面の作品である書道を立体にする創造力は、日本だけでなくフランスやイタリア、スイス、スウェーデンなど各国で評価されています。

参照:紫舟

作家別に筆文字がまとめられた本

著者
久木田ヒロノブ
出版日

広告・デザイン業界での筆文字デザインの重要性は非常に高いです。

たとえば、大河ドラマやテレビCM、映画のタイトル文字、日本酒や和菓子などの商品名、お店の看板やメニュー、書籍や雑誌、印刷物の見出しやタイトルなど、多くの場所で、筆文字のデザインを目にしています。

本書では、第一線で活躍する書家・筆文字クリエイターの作品を作家ごとにまとめられています。さらに、デザインの考え方や制作の秘訣も紹介されているた、作家を知ったり、書のお手本や参考としたり、デザイン書道に関わる人や、書道家を目指す方にも参考となる1冊です。

 荻野丹雪、赤松陽構造、祥洲、紫舟、武田双雲をはじめ140名以上の作家の作品が掲載されています。

日本を代表する書道家「武田双雲」の書で漢字を堪能できる一冊

著者
武田 双雲
出版日

本書では、小学校で初めて習う字を中心に56個の漢字が取り上げられています。小学1年生で習う漢字が47字と、「心、楽、道、幸、恵、笑、和、夢、優」など子どもたちに早いうちに覚えてほしいと思っている文字を武田双雲が選んでいます。

1文字につき見開き2ページで解説。右ページには、楷書の手本と書き順、読み方、代表的な意味の英訳、左ページには、創作書と自由詩を収録しています。子どもたちの習う漢字が中心ではありますが、有名な書道家の作品に触れられますし、手本など基礎まで学べて参考にしやすいです。

平成の「書」にフォーカスした作品集

著者
["美術年鑑社", "游墨舎編集室", "高階秀爾(美術史家・大原美術館館長)", "田宮文平(書評論家)", "西嶋慎一(書道文化研究家)", "島谷弘幸(九州国立博物館館長)"]
出版日

昭和、平成、令和と、日本書道界を代表する作品約600点、書家約500名をが掲載され、歴史を感じられます。

多彩な作品図版、重要キーワードを評論などから多角的に解説 しているので、「書」に関心をもち始めた方から、明確に書道家を目指している方など全ての人が現代書道文化を学ぶことができます。 

現代では、ユネスコ無形文化遺産へ「日本の書道文化」の登録がが目指されていて、日本文化を代表するもののひとつとなっています。書道家を自分の仕事にするのであれば、本書に目を通し、歴史を重んじられるだけの知識・理解を得られるとよいでしょう。


書道家について解説しましたが、ただ作品を作るだけではなく、依頼に基づいて納品物を制作したりというデザイナー的な業務から、書道教室や学校の書道の先生といった教育的な業務、テレビやイベントでの書道パフォーマンスといったアーティスト的な業務など多岐にわたります。

自分の書道の段位を上げて「師範」の資格を取ることで書道家を名乗れますが、そこから展覧会の入賞などで名前を書道家として売ると、作品の価値が上がって収入も増加する傾向にあります。

書道家になるには勉強を続けていくことが重要です。今回紹介している本で、複数の書家の作品やデザイン筆文字に触れられるので、勉強のためにもぜひ読んでみてはいかがでしょうか。

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