タイムキーパーは、ストップウォッチを片手に、テレビやラジオの番組進行をおこなう時間管理のプロフェッショナルです。番組制作において、CMまでの時間、VTRを流すタイミングなどの指示出しの役割を担っています。生放送では、予期せぬアクシデントが起こることもあり、冷静に臨機応変に対応する能力を必要とする職業です。主な就職先としてはテレビ局、ラジオ放送局があげられますが、雇用形態はさまざま。それにより年収事情も異なります。本記事では、タイムキーパーの仕事の重要性や仕事内容を解説。おすすめの進学先や就職先の情報と、記事最後にご紹介している書籍もあわせてチェックしてみてください!
テレビ業界やラジオ業界では、「タイムキーパー」という役割を担う方々がいます。コトバンクによれば、タイムキーパーは以下のように定義されています。
運動競技や放送番組などで時間を計り、記録する人。計時係。
引用:コトバンク
タイムキーパーは、略して「TK」と呼ばれることもあります。ストップウォッチを使い、秒単位での時間管理をおこなうのが主な仕事です。
なかでも、テレビ・ラジオでの活躍は大きく、番組が時間通りに終わることができるよう進行を管理する重要な役割を担っています。
万が一、収録時間が後ろ倒しになってしまった場合は、参加しているスタッフやゲストのスケジュールを狂わすことになりかねません。そうなると、自分の現場だけでなく、ほかの現場にも迷惑をかけてしまいます。
また、CMまでの秒数、VTRを流すまでの秒数なども細かく管理します。生放送・収録番組に関係なく、タイムキーパーは放送業界には欠かせないポジションです。
時間を管理したり、周りの状況を把握しながら番組を進行していかなくてはいけないため、きめ細かい対応が得意な女性が就くことが多い職業といわれています。
タイムキーパーは時間配分を管理するのが主な仕事です。しかしそれ以外に以下の業務もおこなっています。
打ち合わせでは、各コーナーの時間配分などを話し合います。タイムキーパーは、出演者やスタッフの意向も汲みながら、この段階で番組全体の流れをしっかりと把握しておきます。
番組中はディレクターの近くにいることが多く、CMや番組終了までの残り時間を伝えたり、時間管理の面でディレクターをサポートしたりします。生放送は何が起こるかわかりません。ニュース速報や緊急地震速報などが入ることもあります。その場合、番組の構成を変更したり、出演者に変更の指示出しをする必要も出てきます。
タイムキーパーが実際に活躍しているのは「テレビ」や「ラジオ」の現場です。
とはいえ、テレビ局やラジオ放送局に正社員として所属していることは稀であり、大抵は番組制作会社や映像プロダクションなどに所属していることが多いです。そこでの契約の形はさまざまで、正社員・契約社員・フリーランスの業務委託契約などがあります。
ここでは分かりやすいように、平均年収からみたランキング形式で、参考となる就職先をご紹介します。
1.IMAGICA GROUP:847万円
2.AOI TYO Holdings:632万円
3.東北新社:500万円
ご紹介したどの企業も平均年収が500万円超えで、収入の水準は高い傾向にあります。
タイムキーパーの初任給は、18万円程度です。テレビ業界全体の初任給に比べると、やや低いといった印象があるかもしれません。もちろん、経験があり独立した人の場合はもっと高い収入が見込めますが、タイムキーパーの仕事だけで生活をしている方はは少ないです。
テレビやラジオは、大きく分けると「地方局」と都内の「キー局」があります。同じタイムキーパーの仕事でも、都内の方がやや給与が高い傾向にあります。
タイムキーパーになるために必要な資格は、特にありません。王道ルートとしては、番組制作会社のADからスタートし、タイムキーパーへと業務をシフトしていく方が多いようです。
タイムキーパーを目指す場合、まずはテレビ・ラジオ関係の会社に入社することを目標にするとよいでしょう。
求人の数は多くありませんが、テレビ局やラジオ放送局が、直接タイムキーパーを雇用しているケースもあります。ただし正社員の募集はほとんどなく、大半が契約社員の募集です。
タイムキーパーの仕事を任される可能性のある「AD(アシスタントディレクター)」の仕事は、都内のキー局でもアルバイトを採用している場合があります。求人を見つけた場合はチャンスです。
ADの仕事について詳しく知りたい方は、「5分でわかるアシスタントディレクター!」の記事も参考にしてみてくださいね。
最後に、タイムキーパーに向いている方の特徴をご紹介します。
数ある放送のなかでも、生放送は特に緊張感のある仕事です。これはベテランタイムキーパーであっても同じようで、どんな状況でも慌てない冷静さを持っている必要があります。いま起こっている状況や変更事項を、的確な言葉で出演者やスタッフに伝える語彙力も欲しいところです。
急な速報が入ってきたときなど、その影響で番組の構成を変えなくてはいけなくなることがあります。そんな時、いつまでも迷っていては番組の進行に支障が出てしまうことになりかねません。そのため、自信を持って判断することができる方が求められます。
タイムキーパーの仕事は、ストップウォッチを眺めていればいい訳ではありません。番組や現場全体の流れを把握しておく必要があるため、普段から広い視野で物事をみることができる方が向いている職業でしょう。
- 著者
- ["ジェイク・ナップ", "ジョン・ゼラツキー", "櫻井 祐子"]
- 出版日
「仕事ができる人ほど、時間の使い方がうまい」と感じることはよくあります。彼らのように、限られた時間を有効に使うことができている方は、どのようにして時間を生み出しているのでしょうか。本書籍には、時間を有効活用するための具体的な技が数多く掲載されています。
本書では、「時間オタクの全技術」と称して、スマホとの向き合い方や、やめるべき時間の使い方までを解説しています。仕事が忙しい社会人や、タイムキーパーに通じるテクニックも発見できるはずです。
- 著者
- 大原通郎
- 出版日
本書は、テレビ業界初心者向けの1冊です。視聴率の低下や、番組の劣化が叫ばれるテレビ業界。実際、私たちが以前と比べてテレビにかじりついて過ごすことは少なくなったのではないでしょうか。その理由として、ネットフリックスやECサイトの参入があげられます。
将来的にタイムキーパーとして働くならば「今後のテレビ業界がどうなっていくのか」「どのメディアが伸びていくのか」という情報を知っておく必要があるでしょう。それらの知識がなければ、テレビ業界で仕事をして生活をしていくことが難しくなっていく可能性も考えられる時代です。
自分が飛び込もうとしている業界の「立ち位置」を確認したい人は、手に取ってみる価値がある1冊です。
- 著者
- 中川 勇樹
- 出版日
タイムキーパーとして働くには、テレビ業界について知っていなくては始まりません。本書は、就職指南書ではなく、一般人の知らない「テレビの裏側」に迫った1冊です。
2009年に出版された本なので、書かれている内容とテレビ業界の現状では異なる部分はあるかもしれません。そうである場合でも、かつての業界の実態を知っておくことも、テレビ業界で働くうえでは役立つことも多いでしょう。
テレビ業界は多いと言われる職人気質の人間や、テレビ局と下請け会社の関係など、一歩踏み込んだ業界情報を知りたい方には、特におすすめの1冊です。
テレビやラジオ業界と聞くと、華やかな仕事現場をイメージする方は多いかもしれません。しかしタイムキーパーは、あくまで縁の下の力持ちであり、重要な裏部隊の司令塔的ポジションです。
タイムキーパーがいてくれるお陰で、私たちはストレスなく、テレビやラジオを通して楽しいエンターテイメントに触れることができています。
「周りへの気配りが苦ではない」「何が起こっても意外と冷静でいられる」方は、タイムキーパーとしての素質があるでしょう。今回の記事を読んで、以前よりも興味を持ったという方がいらっしゃいましたら、ぜひ参考書籍も活用してみてください。就職活動で役に立つ知識が得られるはずです。