本に人生の全てを捧げる人たちを描いたドキュメンタリー『ブックセラーズ』のみどころを紹介!全国共通特別鑑賞券&特製しおりを3名様にプレゼント!

更新:2021.12.7

電子書籍が普及しても、紙の本が好き。そんな意見はよく耳にしますが、「人生をかけて古書を愛してる!」と宣言できる方はそう多くはないでしょう。 映画『ブックセラーズ』は紙の本へのたぐいまれな愛を燃やし、その価値を後世に残そうとする人々に迫った作品です。この記事では、映画『ブックセラーズ』のみどころと、「本」を仕事にしたい人たちにおすすめな本をピックアップして紹介します。 またホンシェルジュの読者3名様に『ブックセラーズ』の全国共通特別鑑賞券&特製しおりのプレゼントをいただきました! 記事の最後に応募方法を記載していますので、ふるってご参加ください!

ブックカルテ リンク

ブックセラーってどんな人?

なにかひとつのジャンルに固執して、ものを収集した経験はありますか?

生涯を「紙の本を愛する」ことにかける人たちの本音に迫った、映画『ブックセラーズ』。NYで開催された世界最大級のブックフェアの裏側を舞台として、ブックセラーや古書コレクター、作家など本に携わる人々へのインタビューで構成されたドキュメンタリー映画です。

この映画にも登場する「ブックセラー」とは、本の初版や手書きといった希少な本を収集してコレクターに売る人のこと。いわばプロの古書愛好家です。直訳すれば「本を売る人」ですが、利益を目的として本を売買する人たちというよりも、紙の本への愛情を持ちその価値を守っていく存在といっていいでしょう。

彼らの目的がビジネスだけではないことがわかるエピソードは、この映画の冒頭でブックフェアを訪れた客によって語られます。積極的に購入する気のない物見客にもコレクションを見るように勧めるブックセラーたち。すぐに買わせるのではなく、長い年月をかけてその本のよさをわかってもらいたいという彼らの意志を感じます。

映画ではコレクターら自慢の希少本の映像を楽しむことができますが、なんといっても、かわるがわる語り手をつとめる作家やブックセラー、愛書家といった「ブックピープル」らの個性の強さにも思わず魅入ってしまうでしょう。

映画『ブックセラーズ』より

ひとそれぞれ違う「本への想い」が面白い!?

ここでは映画に登場する個性的なブックセラーのなかでも特に印象深い数名を紹介します。

まずはジャスティン・シラー。のちに児童書のスペシャリストとなる彼のエピソードです。

彼が12歳にして大学の研究者に貸し出したのは『オズの魔法使い』の初版本。彼は子どもの頃たった5ドルでこの本を手に入れたといいます。

実は彼にこの本を売った主は、これが初版だとは気付いてすらいなかったのです。児童書にはまだあまり価値が見出されていなかった当時、子ども向けだと思われていた作家ボームの『オズの魔法使い』。彼はのちに、コロンビア大学にその初版本を貸すなどし、「オズの少年王ジャスティン」と呼ばれるまでになります。

コレクターがその価値を高めたのは、児童書だけではありません。

今では興味を持つ人も珍しくない本の装丁やブックカバーもまた同様です。

次に紹介するのは、一風変わった装丁の本を収集している詩人のヘンリー・ウェッセルズ。SFのコレクターである彼が所有しているのは、驚くことに人の皮膚で作られたものや、骨と歯で作った骸骨の装丁の本でした。映像からでも伝わる本がまとう独特の雰囲気を、ぜひ本編で確認してみてください。

映画に登場するコレクターたちは、90年代初頭まで買ったあとは捨ててしまう部分であったブックカバーにも鑑賞するアートとして、また作家自身を知るための資料として価値を見出します。初版と10版では著者の経歴が違うといったように、歴史を示す遺産としても保存するべきものであると考えているのです。

映画『ブックセラーズ』より

「本を取り巻く仕事」に興味がある人におすすめの本①

著者
稲泉 連
出版日

「本」とひとまとめにしても、実用書からファンタジー小説までさまざまなジャンルがあります。あなたにとって本は「情報」ですか?それとも、それ以上の言葉を当てはめられる存在でしょうか。

震災の被害にあった人々にとっても本は「生活必需品」だった、と取材を通して綴るのが『復興の書店』。3.11以降、徐々に営業を再開していった書店の実態に迫る作品です。

来客してもらえるのかという不安を抱えながら、震災の11日後に営業を再開した仙台の書店。その不安をよそに朝から開店を心待ちにしていた人たちが押しかけ、パズル誌、中古車情報誌、お礼状の書き方の本などそれぞれの人々が求める本が購入されました。

電子書籍でも本は読める、ましてや本で読まなくても情報はいくらでも得られる……そんな時代においても町に本屋が存在する意味を考えることができる1冊です。

「本を取り巻く仕事」に興味がある人におすすめの本②

著者
潤, 桂川
出版日

もう1冊、本の在り方について思考を巡らせたい方におすすめの本を紹介しましょう。『装丁、あれこれ』は装丁家である桂川潤さんによる、装丁についての随筆が収められています。

「そもそも装丁家とは?」という疑問に応えるべく、自らの仕事や手掛けた装丁についての分析が興味深く綴られます。「モノ」としての本が自分の本棚に収まるまでの物語に知識欲がそそられることでしょう。

また作者は紙の本や出版業界についても大きく捉え、これからどうなっていくのかということについても装丁家の立場から考察します。

テレビやインターネットが普及してもラジオや新聞がなくならないように、電子書籍が普及していくからといってすぐに紙の本がなくなるわけではないでしょう。どちらかを選ぶのか、もしくはその両方を使い分けていくのか。読書の体験方法を読者側が選ぶことができる時代に、本作の意見を頭の片隅に置いておくのも悪くないかもしれません。

「本を取り巻く仕事」に興味がある人におすすめの本③

著者
["スコット・クリスチャンソン", "コリン・ソルター", "藤村 奈緒美"]
出版日

「本と人類」を広く知りたい人におすすめなのが、『歴史を変えた100冊の本』。

論語やコーランといった世界各国の本の起源ともいうべきものから、『ハリー・ポッターと賢者の石』など社会現象となった本まで、その本たちの装丁がエピソードとともに紹介されている、いわば「本の図鑑」です。

「世界で有名な本の名前だけでも押さえておきたい」という読書初者にもおすすめですし、中身がカラフルでこの本自体の装丁もおしゃれなので、ギフトとしてもおすすめです。

『ブックセラーズ』には世界の名著の話題がたくさん出てきますが、そういった「本の基礎教養」を身につけるのにもぴったりです。

4月23日から!映画『ブックセラーズ』公開情報

本をめぐる環境が大きく変わりつつある昨今に、「古書最高!」と誇りを持って宣言するかのような映画『ブックセラーズ』。2021年4月23日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開です。

監督はドキュメンタリー作品を得意とするD・W・ヤング。ニューヨークの作家フラン・レボウィッツが随所に登場し、ユーモアあり毒気ありのコメントで映画に緩急を生み出しているのもみどころ。

本好きはもちろん、集めることに熱中したり大切にしているものがあるという方も必見の作品となっています。映画を見たあとは、ブックセラーたちの生きざまに心が晴ればれすることでしょう!

映画『ブックセラーズ』の全国共通特別鑑賞券&特製しおりを、ホンシェルジュの読者3名様にプレゼントいたします!

応募フォームはこちら!ふるってご参加ください。(応募期限:2021/04/30 24:00まで)

≪作品データ≫

監督 / 編集:D・W・ヤング

原題:THE BOOKSELLERS |アメリカ映画 | 2019年 | 99分|16:9|5.1ch

配給・宣伝:ムヴィオラ、ミモザフィルム

映画『ブックセラーズ』公式サイト

 

  • twitter
  • facebook
  • line
  • hatena
もっと見る もっと見る