5分で分かるウナギの生態!!ウナギの血には毒がある?!

更新:2022.9.20

ウナギといえば土用の丑の日をはじめひつまぶしや蒲焼など、日本人にとってなじみ深く、高価な食品としても知られています。しかしそんな身近なウナギの生態は興味深いものばかりです。今回は謎多きウナギ(ニホンウナギ)の生態とウナギに関連する書籍を紹介します。

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ウナギの特徴は?

 

ウナギ目ウナギ科ウナギ属に分類される魚です。

ウナギ目の中にはウナギ以外にもアナゴやハモの他、ウツボやウミヘビも含まれています。

世界には19種類のウナギが生息していて、日本にはニホンウナギ、オオウナギの2種類が生息しています。北海道南部以南の日本全国に分布していて、海をはじめ川や湖で見ることができます。

 

ウナギは夜行性で、日中は岩のすき間や泥の中に隠れています。夜になると活動を開始し、甲殻類やカエルなどの両生類、小魚などを捕食します。

うなぎは目があまり良くありませんが、鼻が非常に優れています。

絶滅危惧種に指定されるほど数が減ってしまったのか。 その原因は、「乱獲」や生育環境の悪化だと指摘されている。 ウナギの漁獲量が世界で最も多いのは中国。 日本はそれに次ぐ第2位だ。

IUCNのレッドリストでは、ニホンウナギは絶滅危惧種に指定されており、日本の環境省によると絶滅危惧種IB類と指定されています。

 

ウナギはなぜぬるぬるしているの?

 

ウナギは全身がぬるぬるしてい流のが特徴的です。このぬるぬるの正体は「ムチン」という糖を多量に含むたんぱく質です。

ウナギは必要な酸素の半分くらいを皮膚から取り込むことができると言われています。うなぎの粘液が体の表面の水分を保っているため、乾燥を防ぐとともに空気中の酸素を粘液の中に取り込んで、呼吸が可能となっています。エラ呼吸に加えて皮膚呼吸もできるため陸上でも地中でも、少しの水分があれば生きていくことができます。また、このぬるぬるは浸透圧を調整する働きもあり、淡水や海水という異なる環境で生きていくために重要な役割を担っています。

他にも敵から逃げるために利用されているとも考えられています。

ウナギの血には毒があるの?

ウナギの血には「イクチオヘモトキシン」という毒が含まれています。

命をおとすような強い毒ではありませんが、もしウナギの血液を大量に飲んだ場合、下痢、嘔吐、皮膚の発疹、チアノーゼ、無気力症、不整脈、衰弱、感覚異常、麻痺、呼吸困難が引き起こされ、死亡することもあるようです。

この毒は60度以上で加熱調理をすると毒素がなくなります。

うなぎはどこで生まれるの?

 

ウナギの生まれる場所は長らく解明されていませんでした。しかし、2006年に日本の研究チームが、2000km離れたマリアナ諸島海域で生まれているという研究結果を発表しました。

 

ウナギは数年間にわたり、川や湖で過ごした後、産卵場所となる海をめざします。

 

卵から孵化したうなぎは数日で、稚魚のプレレプトファケルと呼ばれる形態となります。プレレプトファケルはまだ目も口もありません。口もないのでもちろん自力では餌をとることのできない状態です。その後、柳の葉のようなレプトケファルスに変わります。 

この形では自ら泳ぐことが出来ないため、海を浮遊し海流などに流されて生活をします。

 

レプトセファルスの体は非常に軽く、広い海を流れる、海流に乗る生態に適した体形です。また半透明なので外敵に見つかりにくく、捕食されにくいです。

 

海流に流されながら、シラスウナギへと大きくなり、日本、台湾、韓国、中国などの東アジアの国の川にたどり着きます

 

現在食卓に出てくる日本産の鰻はほとんどが養殖されたものです。鰻の卵がなかなか発見できなかったことなど生態に謎が多く、卵からの養殖ではありませんが、日本近海までやってきたシラスウナギを捕獲し、そこから養殖する形を取っています。

 

最新のウナギの研究とは?

 

愛知県西尾市にある愛知県水産試験場内水面漁業研究所が、オスになることが多いとされる養殖ウナギを、効率的にメスに育てる技術を開発しました。

うなぎにも人間と同じようにもちろんオスとメスがあります。実はうなぎは生まれた時はオスとメスが決まっていません。成長していてだいたい20cmぐらいになると、オスとメスが決まるようになります。オスメスを決める要因は水温やストレスなどがあるそうですが、はっきりした情報は見つかりませんでした。

まず、先述した通り養殖ウナギは天然のシラスウナギを育てて生産します。研究所によると、シラスウナギの雌雄は成長途中で分化する特徴があります。これについての理由は解明されていないそうですが、なんと養殖で育てると9割以上がオスになるということです。オスは大きくなると身や皮が硬くなるため、小さいサイズの段階で出荷されます。そこで研究所は全養殖の産卵用としてウナギをメスにする従来の技術を参考に、大豆食品に含まれる「大豆イソフラボン」に着目しました。これを混ぜた餌で育てると、9割以上がメスになったという結果が出たことで、資源を有効に使うことができると期待されています。

 

 

世界で一番詳しい ウナギの話

 

著者
["塚本勝巳", "斎藤雅緒"]
出版日

世界で一番詳しいウナギの知識が得られ、ウナギにもっと興味が湧く一冊になっています。ウナギといえど謎が多いため、生き物の不思議や生態に興味がある人にとっては、知的好奇心をくすぐられるはずです。

 

日本うなぎ検定 クイズで学ぶ、ウナギの教科書

 

著者
["勝巳, 塚本", "真理, 黒木"]
出版日

 

ウナギのトリビアが詰まった一冊。裏情報から最新のウナギ科学の知見までを、初級・中級・上級・スペシャルのクイズ74問で紹介されています。クイズ形式だからこそわかりやすく、自分で考えながらウナギの知識を得ることができます。

 


 

まだまだ謎が多いウナギの生態に驚いた方も多いのではないでしょうか。身近な生き物が実はこんなにも不思議な生態を持っていることに気づくと、少し考え方や視点が変わってきますよね。食から生き物に興味を持つのも面白いかもしれませんね。

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