5分でわかるカミツキガメの生態!!ワニガメとの違いは?!

更新:2024.4.21

危険な外来生物として、たびたびニュースなどで取り上げられるカミツキガメ。その性格や繁殖力の強さから、年々数を増やしており、駆除の対象となっています。今回はカミツキガメの生態とカミツキガメにまつわる書籍を紹介していきます。

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カミツキガメとは?

 

カミツキガメは、北米原産で甲羅は最大50センチ、体重は最大30キロにも成長する大型のカメです。基本的には夜行性で、河川・湖沼・水路・湿地などに生息しています。

 

もともと日本には生息していなかった種のカメで、原産は北米大陸。ペットとして輸入されて日本国内に持ち込まれていました。

 

日本では、関東を中心に目撃情報が多いですが、ペットとして飼育できなくなったものが野生に放棄されることが多いため、全国各地に生息していると考えられています。

 

尾は長く大きな突起が並んでいて、海亀などと異なり頭が甲羅に隠れません。甲羅は広く大きく、腹面の甲羅は小さくて十字の形をしています。また、腕は強靱で太く、鋭く大きな鍵爪があります。

 

名前の通り、噛む力も非常に強く、海外ではカミツキガメによる被害が多数報告されています。

 

カミツキガメとワニガメとの違いは?

 

カミツキガメと並んで、外来生物に指定されているのが「ワニガメ」です。この二つの種は似ているため、よく間違われることがあります。どちらも怖い顔つきですが、いくつか違いがります。

ワニガメの方が全体的にトゲトゲしていて恐竜のような雰囲気を持っています。このフォルムはガメラのモデルになっています。反対にカミツキガメはワニガメよりも丸みが強いです。
 

ワニガメは頭部が大きく、アゴ先が鋭く尖っているのも特徴的です。カミツキガメ同様にアゴが非常に発達しており、その力は300kg~500kgといわれていてます。そのため、他のカメや貝類を噛み砕いて食べることもあります。捕食能力が高く、さまざまな機能を備えています。口の中には小さくて細い、鮮やかなピンクをしたミミズのような舌があります。これは「エスカ」と呼ばれ、ワニガメは水中でこれをまるで小さな生き物かのように動かして、近寄る魚を捕食しています。

また、首の周りにはトゲのような突起物が並んでいて、水の流れを感知して、獲物の位置を把握したりします。

 

カミツキガメはなぜ日本に生息しているの?

 

カミツキガメもワニガメも元々は日本に生息していなかった外来種です。ペットとして輸入されるようになりましたが、2000年に特定動物に指定されてからは飼育許可が必要になりました。

 

その後、育てられなくなった飼い主の飼育放棄が増え、川や池に捨てられ、多くのカミツキガメが野生化していることが問題になっています。 

カミツキガメが本来生息している北米大陸では、オオカミやワニなどの大型の肉食動物がカミツキガメの天敵となりますが、ご存知の通り日本にはこのような天敵動物はいません。

 

日本はカミツキガメの生息環境として非常に適しており、大繁殖による食害や生態系の破壊が警戒されている状態となっています。

 

千葉県の印旛沼ではピーク時に8500匹以上のカミツキガメが生息していたそうです。全国でもこれほど繁殖しているのは印旛沼周辺だけで、水底に泥がたまっていて、冬でも一定の水温が保たれる環境が生息条件に適しているのではないかというふうに見解されています。

 

日本では数を増やしているワニガメですが、現地の北米は水質汚染や乱獲が原因で生息数は減少しています。ワシントン条約によって絶滅危惧種に指定されており、国際的に保護されています。

 

カミツキガメは繁殖能力が高いの?

 

 

カミツキガメは、5月から6月の繁殖期には産卵のため陸上にあがります。

前述した通り、日本では天敵が少ないということや、一度に20~30個程度多い時には100個以上の卵を産むことがあるを産卵するなど非常に繁殖力が強いです。

繁殖を防ぐためには、卵を見つけてしまうのが一番有効なのですが、広範囲に分布して発見が難しく、人手の確保も難しいことから課題は残っています。

 

加藤英明、カミツキガメを追う!(環境ノンフィクション)

 

 

著者
英明, 加藤
出版日

 

TVなどメディアも大活躍の「爬虫類ハンター」加藤英明先生。加藤先生が長年国内で取り組んでいるのが、カミツキガメの研究や駆除についてです。カミツキガメの詳しい生態や捕獲法など、加藤先生ならではの視点でカミツキガメのについて知ることができます。

 

 

外来生物のきもち

 

著者
大島 健夫
出版日

 

子どものころから生きものが大好きで、千葉県房総半島の里山を中心に時間を見つけては生きものの観察をしていた大島健夫氏。現在もネイチャーガイドとしても活動していて、里山の生きものの魅力を訪れる人々に伝えています。

 

カミツキガメが、外来生物を訪ね歩き、なぜ外来生物がはるばる日本にやってくることになったのか、そして広く生息するようになったり、駆除されたりと、人間に翻弄されながら生きている今の外来生物のきもちを代弁しています。会話形式で進んでいくため、読みやすく生物についての知識も身につけることができます。

 

 

 


今回はカミツキガメについて紹介させていただきました。

カミツキガメもワニガメも望んで日本に来たわけでもなく、また生態系を崩しているわけではありません。このような環境は、人間が作り出してしまったということを忘れずに、生き物と関わっていきたいですね。

 

 

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