ウナギと聞くと日本の食文化に欠かせない細長くヌルヌルとした魚を想像しますが、「デンキウナギ」も電気を放つ魚として名前だけでも聞いたことがある人も多いはずです。日本ではなかなか見ることができないデンキウナギには、一体どんな仕組みがあるのでしょうか。今回はデンキウナギの生態と、デンキウナギにまつわる書籍をご紹介します。
デンキウナギは、アマゾン川をはじめとした南アメリカの河川に生息している淡水魚です。ウナギという名前ではありますが、分類としてはウナギではなくコイやナマズに近いという。
体長は最大約2.5m、体重は20kgを超えます。
英名では「Electric eel」と呼ばれています。
最大の特徴はやはり約500~800ボルトと、デンキナマズやシビレエイなど電気を帯びる生き物のなかでも最大の電力を備えています。そして、その電気を使い、小魚、カエルなどの両生類や鳥類、小型の哺乳類までも捕食します。
他にも特殊な特徴を持ち、エラがあるのにも関わらず、息継ぎをしないと死んでしまうそうです。
デンキウナギは尾の筋肉が発達してできた発電器官を有しており、この器官を利用して強い電気を生成させることができます。しかも、体の約90%が尾でできているので、ほとんどが発電器官で構成されていることになります。頭がプラス極、尾がマイナス極になっています。
ただ長い時間、電気を使うことはできず、高い電圧で電気を流せるのは、一瞬だけです。
そして水中ではより電気がつたわりやすく、しびれが強くなります。
デンキウナギは同じ場所にたくさん群れることがあるのですが、とうっかり1匹を発電させてしまうと、それにおどろいたほかのデンキウナギたちが次から次に放電してしまうという非常に危険な事態が起こってしまうそうです。
体内に豊富に蓄えられた脂肪が絶縁体の役割を果たすため、感電死することはありません。ただ、そうは言ってもデンキウナギ自身も少し感電してるそうです。
電気から守るための脂肪、そして体のほとんどが電気を作り出す構造になっているため、内臓はコンパクトにまとまっていて、肛門が口の真下にあります。
デンキウナギの電気の使い方にはいくつか種類があります。
もともとは、仲間とのコミュニケーションのために使われていた電気が、進化の過程で強化されたと考えられています。
狩りの際には、まず獲物を見つけるために弱い電気を使い、その後を獲物を見つけると短時間で強い電気を放ち怯ませて、その後もう一度強い電気で相手を仕留めます。地上で触ると、人間であれば少し痛みを感じる程度ですが、
デンキウナギは夜行性なのですが、この電気の使い分けで暗い水中でも狩りを成功させることができるのです。
- 著者
- ["ジノ", "ブラックインクチーム", "ブラックインクチーム", "新野 大"]
- 出版日
臨場感あふれる「どっちが強い!?」シリーズでは、素朴な疑問を入り口にもしもの観点から、戦闘力が近い動物たちの本気バトルが描かれています。それぞれの生態を詳しく解説しています。オールカラーの大迫力まんがなので、動物の生態を楽しく学ぶことができます。
- 著者
- 今泉 忠明
- 出版日
動物のことならこの人、今泉忠明氏が監修という時点で間違いない一冊。
陸の王者ライオン、海の王者ホオジロザメなど、陸・海・空のハンターの狩りの方法をイラスト付きで紹介しています。
子ども向けの図鑑ではあるものの、イラストと文章できちんと動物の生態を解説されていて、動物が生きるためにどのような工夫をして生活しているかを、親子で一緒に楽しむことができます。
- 著者
- ["平坂寛", "米村知倫"]
- 出版日
メディアなどでもお馴染み、珍獣ハンター&生物ライターとして活動する、平坂寛氏が著者となった一冊です。まだ見ぬ生きものを探し、 調べて、つかまえて、食べるという、怪魚ハンターである著者が、見たこともないものをつかまえたい、という欲望のままに世界を駆けめぐる冒険がつづられています。著者自身が生き物に対しての興味や探究心があるからこそ、その熱量が伝わってくるような内容になっています。
今回はデンキウナギの生態について紹介させていただきました。名前は聞いたことがある魚でも、生態や電気の秘密について詳しく知る機会はなかったのではないでしょうか。現在は電池の開発など、この電気を使った様々な研究が行われており、デンキウナギの特徴が私たちの生活の中で役立てられています。これからも環境問題やエネルギーが注目されていく時代に新たなヒントを与えてくれるのは、デンキウナギかもしれませんね。