5分でわかるヒョウアザラシの生態!!狩りは待ち伏せ?!

更新:2024.11.8

アザラシといえば、丸いフォルムに可愛らしい表情と愛着を持たれている方が多い動物ですが、アザラシのなかにはそのイメージを覆すような種類がいるのをご存知でしょうか。今回はアザラシの中でも獰猛と言われる"ヒョウアザラシ"の生態とアザラシにまつわる書籍を紹介します。

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ヒョウアザラシとは?

 

ヒョウアザラシは、食肉目アザラシ科ヒョウアザラシ属というグループに分類される鰭脚類です。

 

オスの大きさが2.8~3.3m。オスよりもメスの方が大きくなるのも特徴的で、全長2.9~3.6m程になります。体重は500Kgを超えることもありアザラシのなかでも、大きな部類に入ります。

 

体の黒い斑点模様がヒョウに似ているのでヒョウアザラシと言われています。また、ヒョウアザラシの骨格もヒョウに類似しており、アゴには鋭い歯が並び、開口角度も他のアザラシに比べると異様に大きいです。

 

細長いヘビのような体型をしていて、大きく強力な頭と自在に動く首を持っています。この体つきが狩りの際に非常に役に立つのです。

 

泳ぎに関しても非常に優れていて、前肢が発達していることもあり、条件が揃えば時速30kmで泳ぐこともできると言われています。

 

ヒョウアザラシはどこに生息している?

 

ヒョウアザラシは、南極大陸周辺の海洋や流氷、孤島などで生活しています。

基本的に群れは作らず、単独で暮らします。

 

夏は、南極大陸の周りの流氷の中で狩りをして、ほとんどの時間を水中で過ごします。

冬は、オーストラリア、ニュージーランドなどがある北へと行動範囲が広がっていくこともあります。

 

他のアザラシと同様に流氷の上で出産し、メスは子供が自立するまで子育てをします。

 

ヒョウアザラシは何を食べている?

 

他のアザラシが主に魚類やイカやエビなどを食べるのと同様に、ヒョウアザラシも基本的には広食性です。ただ、生態系の頂点でもあることから、通常はナンキョクオキアミや魚類などを食べて生活していますが、アザラシの中では唯一、ペンギンなどの鳥類を捕食することもあり、動物食が強い種とされています。

 

南極にいるアザラシで定期的に温血動物を捕食するのはヒョウアザラシだけです。

 

時には自分達と同じアザラシなどの鰭脚類を餌とすることもあります。

ヒョウアザラシの狩りの仕方は?

ヒョウアザラシは獲物を追いかけて捕まえることもありますが、岩場の陰などに待ち伏せて不意打ちで襲うことも確認されていて、知恵を使って獲物をとらえます。

 

ペンギンなどに噛み付くと、皮膚や骨を取り除くために激しく振り回しながら、引きちぎります。

しかも、一度に全て食べ切ってしまうのではなく、狩りのあとに捕らえた獲物を保存する姿も確認されています。海底の岩場や比較的流れの穏やかな場所に隠しておき、また後で食べるようです。

他にも、ヒョウアザラシの食事では獲物の腹や胴部分などを食べて、頭部は食べずに捨ててしまう個体もも確認されており、味に好みがあると考えられています。 

 

獲物を捕まえて、他のヒョウアザラシに出会った場合には、奪い合いとなるそうです。

こちらも本来可愛らしいイメージがあるアザラシからは想像しにくいですね。

 

ただ、アザラシは括りとして食肉目であるため、そもそも遺伝的にはライオンなどのような肉食の動物に近いということが分かっています。

 

ヒョウアザラシに天敵はいるの?

生態系のトップに君臨するヒョウアザラシにはほとんど天敵がいません。

 

雄一あげるとするならばそれはシャチです

 

体の大きさは、オスは6メートル程で、体重は4トンもあります。北極ではシロクマを襲うほど獰猛で、狩りの方法や賢さで言えば、ヒョウアザラシよりも遥かに上です。南極の海にも分布しているので、個体数は多くないものの、ヒョウアザラシを襲う姿が目撃されています。

 

またシャチ以外にも、ヒョウアザラシよりも大きいサメやゾウアザラシなどに襲われるケースもあるようですが、活動するエリアの違いなどから、それぞれ遭遇する機会は少ないのため、常に警戒する天敵にはならないそう。

 

世界で一番美しいアシカ・アザラシ図鑑

著者
["水口 博也", "水口 博也"]
出版日

セイウチやトド、オタリアを含む全35種を網羅し、進化の秘密にも迫る「海獣ファン」必携の一冊。北は北極圏から南は南極まで、世界中の海に分布するアシカ・アザラシの仲間を地域別に紹介し、約230点におよぶ貴重な写真が収められています。熱帯の島々や湖にくらす種の生態を知ることができるところにも面白みがあります。生態写真のほかにも、写真家や研究者による寄稿、コラムも充実しています。

 

 

海棲哺乳類大全: 彼らの体と生き方に迫る

著者
["田島 木綿子", "山田 格"]
出版日

アザラシをはじめとする鰭脚類だけでなく鯨類、海牛類、ホッキョクグマなど、海棲哺乳類を網羅した専門書になります。鯨類・ジュゴン科などの海牛類・アザラシ科などの鰭脚類・ラッコ・ホッキョクグマといった海棲哺乳類について、総勢36名の日本の海棲哺乳類研究者や水族館飼育員たちが解説しています。

とても専門的でありながらも、わかりやすく解説しており、それぞれの体の構造や機能・生理、生態と関連する研究に加え、水族館での飼育の工夫や飼育下でみられる生態行動、保全活動などについて知ることができます。海の生き物に興味を持っている人だけでなく、幅広く読める内容になっています。

 


今回はヒョウアザラシの生態について紹介しました。最強の捕食者の頭の良さに驚く点もあったのではないでしょうか。ペンギンを襲って食べる特徴が書籍や映像などで取り上げらることから、非常に怖いイメージを持たれているヒョウアザラシ。アザラシといえばのイメージからは離れてしまうかもしれませんが、彼らも南極の生態を保つための重要な存在なのです。

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