コミュニケーションスキルをあげたい人のための一冊|経営者リレーコラム【#1】

コミュニケーションスキルをあげたい人のための一冊|経営者リレーコラム【#1】

更新:2023.9.27

はじめまして。トークナビの樋田かおりと申します。日本テレビ系列局でアナウンサーをした後、企業を対象にしたスピーチ研修やコミュニケーションスキルなどの研修事業を展開する会社を経営しています。 仕事上の悩みを聞かれた時、多くの方がコミュニケーションの問題を挙げるのではないでしょうか。新入社員にビジネスマナー研修などの講師をしている私にとって仕事柄気になるのは、やはりコミュニケーションに関する本。 そこで今回ピックアップするのは、“世界一つかまりにくい上司”とのコミュニケーション術が書かれた一冊。新社会人は必読です。

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世界一つかまりにくい社長にイエスをもらう瞬速プレゼン

私は日頃、企業研修のためにいろいろな会社に行くのですが、そこで人事担当の方から必ず聞く言葉があります。それは「部下が全然動いてくれないんです」とのお悩み。どの会社でも人材育成は大きな課題です。

 

とはいえ、部下が思うように動かない原因は、上司の指示の出し方にあることも。手前味噌で恐縮ですが、自著『社長の伝え方には会社を変える力がある』では、上司から部下への間違ったコミュニケーションについて書いています。

ようするに、上司が“人を動かす話し方”ができていないがために、組織が回っていないというわけです。そのため、一概に部下が悪いとは言い切れません。私はアナウンサーとして伝える仕事をしたり、会社を経営して部下に伝える立場ですが、様々な立場の方にわかりやすく伝えるのは、苦戦することもあり反省の日々です。コミュニケーションは「鏡」と言われるように相互理解がとっても大切。上司も部下も相手に寄り添った思いやりのあるコミュニケーションを意識する必要があります。

著者
三木 雄信
出版日

この本は、部下から上司へのコミュニケーションスキルについて書かれた本です。著者の三木雄信さんは、ソフトバンク元社長室長。本書で紹介されている“世界一つかまりにくい”三木さんの元上司とは、もちろんソフトバンクグループの孫正義社長のことです。 社長室長である三木さんは、毎日山のように押し寄せる「孫社長のサインがほしい」といった 社内からの依頼をすみやかに処理するのがミッション。

しかし、“分刻みのスケジュールで社外のあちこち飛び回る”、“一日中会議室にこもって、早朝から深夜までぶっ通しで10件や20件のミーティングをこなす”

そんな超多忙な孫社長なので、つかまえるだけでも至難の業。それだけでなく、その場で「イエス」の返事をもらうまでが三木さんの仕事です。

 

そこで三木さんが身につけたのが、「高速でコミュニケーションし、相手に即決させる方法」。 すなわち、瞬速プレゼンです。 

 

そもそもプレゼンとは、相手に情報を伝えるためのものではありません相手の理解を得て、 次のアクションを引き出すことが本当のプレゼンテーション。「仕事でのコミュニケーションは、すべてプレゼンである」と三木さんは言います。部下への指示出しはもちろん、部下から上司への報連相もじつはプレゼンなのです。

三木さんの場合、孫社長を相手にしているわけですから、その瞬速プレゼンのテクニックは並大抵のものではありません。外出する孫社長を追いかけて同じ車に乗り込み、車内ですべてのサインをもらってから自分だけ下車してタクシーで会社まで戻る…そういったこともざら。スピード勝負な毎日の体験談に驚きますが、こうした実績を積み重ねたことで、三木さんは仕事で次々に大きな結果を残していくのです。

 

この本の第一章に書かれている「コミュニケーションが遅い人は、仕事も絶望的に遅い」という一文は、まさにコミュニケーションの本質を捉えた言葉。仕事で結果を残したいなら、スピーディーなコミュニケーションは必ず身につけるべきスキルと言えます。

横のつながりを制する者が“情報のハブ”となる  

さてチームで仕事をするにあたって、チーム間でのコミュニケーションに苛立ちを覚えた経験のある方も、その逆の方もいるのではないでしょうか。

第8章「チームで超高速コミュニケーションを実現する」では、瞬速プレゼンをチームに向けて活かすためのテクニックが書かれています。

 

プロジェクトによっては、部署をまたいだチームで動くこともあると思いますが、その際に発生しがちなのが部署間のトラブル。たとえば営業部と製造部など、それぞれの共通言語が異なると何度話し合っても解決に至らないといったケースがよくあります。そんなとき、三木さん は“情報のハブ”となる人を作れば、効率的に横展開ができると言います。

“あなたが情報のハブになることで、組織のコミュニケーションはもっと高速化できるはずです”
(本書より引用)

 

しかし、普段コミュニケーションを疎かにしている人が、いきなり部署を繋ぐことはできません。日頃から横のつながりを意識している人のほうが断然有利。成果をあげる大きなチャンスをつかむことができます。前段で「コミュニケーションが遅い人は、仕事も絶望的に遅い」という一文を紹介しましたが、対してコミュニケーションが速い人は、仕事も速く、チャンスも得やすく、さらには周囲の評価まで得やすいなどいくつものメリットがあるといえます。コミュニケーションを頑張らない理由はもはやありませんよね?

 

「自分の仕事だけできていれば問題ない」と思って他者とのコミュニケーションを疎かにしても、自分に返ってくるものは多くはないでしょう

 

私は起業して9年目、コミュニケーションについての講演会を行う機会も多くいただくのですが、まだまだコミュニケーションに関しては研究を続けていて、改善の繰り返しです。  

もしチームで瞬速プレゼンができたら、ゴールに向けてスピーディに山登りができるなと……  

 

今回はご紹介した本からも学べるように話すチカラは一生もの。早めに身につけておきたいスキルの一つです。 新社会人の方には、ぜひ瞬速プレゼンを身につけ、大きな成果を目指して頑張ってほしいなとエールをおくります。


 

著者の本:『社長の伝え方には会社を変える力がある』

著者
樋田かおり
出版日

「伝え方」の重要性を、アナウンサー経験や社内実例とともに語った1冊。声の出し方や言葉選びなどのひとつ一つがいかに「相手にどう伝わるか」に影響するか、出し惜しみなく教えます。オンラインの利用も増え、希薄になりがちなコミュニケーションに悩むマネジメント層におすすめの指南書です。

著者・樋田が代表を務める株式会社トークナビは、現役アナウンサーのコミュニケーション力や取材力を活かした事業を展開しています。企業向けの話し方研修事業のほか、広報活動のコンサルティングを行う「女子アナ広報室」サービスで業績を拡大中。

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