本屋遊泳~ブックリウムに会いに行こう~【第29回】では、株式会社大田丸が主催する「BUN-1グランプリ」について取り上げました。 ついに「BUN-1グランプリ」のグランプリ作品が決定しましたので、今回は表彰式の様子をお届けします。
2024年11月1日、「BUN-1グランプリ」のグランプリ発表および表彰式が、東京都千代田区神田駿河台の紫紺館レストランフォレスタ椿山荘6階「ラウンジ明治」にて開催されました。
「BUN-1グランプリ」とは、大田丸に加盟している120店舗の書店員が「もう一度売りたい、おすすめしたい文庫」を一人一冊推薦し、投票で選ばれた10作の中で最も売れた作品を決めるグランプリです。
▼ノミネートされた10作品
『お探し物は図書館まで』
『この本を盗む者は』
『塞王の楯』(上・下)
『屍人荘の殺人』
『#真相をお話しします』
『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』
『猫を処方いたします』
『水を縫う』
『むらさきのスカートの女』
『レモンと殺人鬼』
上記の10作品のうち、2024年8月20日から10月15日までの期間中の売上冊数を競い、最も売れた作品がグランプリとして表彰されます。
このイベントを主催するのは、地方書店12法人による書店協業会社・株式会社大田丸で、共同販売事業をメインに、復刊企画など様々な取り組みを行っています。
BUN-1グランプリの詳細は下記の記事をご覧ください。
株式会社大田丸「BUN-1グランプリ2024」/本屋遊泳~ブックリウムに会いに行こう~【第29回】
「書店オリジナルのフェア」の取材を通してお伝えしている本屋遊泳。今回は株式会社大田丸という書店協業会社が実施している「BUN-1グランプリ2024」について紹介します。 「BUN-1グランプリ2024」について、株式会社大田丸営業本部長であり、大垣書店麻布台ヒルズ店の店長でもある赤井さんにお話を伺いました。
果たしてどの作品がグランプリになったのでしょうか。
見事グランプリに選ばれたのは、くわがき あゆさんの『レモンと殺人鬼』(宝島社)です。
レモンと殺人鬼
2023/4/6
ノミネート作品販売期間(8月20日~10月15日)の10作品の総売上は5,210冊。その中で『レモンと殺人鬼』は741冊を売り上げました。
なんと、1位の『レモンと殺人鬼』と次点の『#真相をお話しします。』の差はわずか10冊という接戦だったそうです。
「BUN-1グランプリ」の表彰式では、くわがきあゆさんから以下コメントをいただきました。
今回は自信がなかったのでグランプリをいただいたことに非常に驚きました。ただ、書店の皆様のご尽力のおかげで『レモンと殺人鬼』が選ばれたのだと思います。これからも書店へ行かせていただきます。
くわがきあゆさん、グランプリ受賞おめでとうございます!
受賞式に続いて、作者のくわがきさんとブックジャーナリスト内田剛さんによるトークショーが開催されました。
内田さんがインタビュアーとして、くわがきさんに『レモンと殺人鬼』やご自身について様々な質問を投げかけ、普段は聞けないお話のようなものが盛り上がっていました。
トークショーの内容を一部、抜粋して紹介します。
以下、抜粋
ー内田さん:『レモンと殺人鬼』はタイトルもジャケットも魅力的ですが、どのように制作されたのでしょうか。また、作品に込めた思いや着想について教えてください。
くわがきさん:表紙は雪下まゆさんにお願いしていて、特にリクエストなどはせず全てお任せしていますが、毎回ドンピシャなものを描いてくれます。
作品に込めた思いは、主人公の成長を描くことを大切にしている点で、着想については、普段から思いついたアイデアをスマホにメモしています。執筆の際にそのメモを見返し、使えそうなものを取捨選択していきます。プロットも非常にきっちり書くタイプです。
ー内田さん:普段は高校の国語教師をされていますが、作家業との両立はいかがですか?
くわがきさん:ずっと書くのが好きで、自分の好きな趣味の時間を当てているだけでなので、生活が変わったわけではありません。仕事が終わって趣味の時間って感じです。
ー内田さん:最後に書店に対する思いをお聞かせください。
くわがきさん:書店は本にとって重要な存在だと思います。面白い本を読みたくてネットで本を探すこともありますが、やはり本屋に行くと「やっぱりこれ!こんなのが欲しい」と思う本に出会える場所なので、私にとって非常に大切でありがたい存在です。
以上、トークショーからの抜粋でした。
くわがきさんは『レモンと殺人鬼』の他にも『焼けた釘を刺す』『復讐の泥沼』などの作品も書かれており、これらをセットで購入されるお客様も多いそうです。『レモンと殺人鬼』に加えて、これらの作品もぜひ読んでみてください。
BUN-1グランプリは書籍の売上冊数によってグランプリを決めるガチンコ勝負が魅力で、今までにはない新しい文学賞となっています。
また、この賞は出版社と協力してゼロから企画を立ち上げたもので、今後も様々な展開が予定されています。第2回はさらにパワーアップして開催されることが期待できますね。
今回が第1回目である「BUN-1グランプリ」は、今後、第2回、第3回と継続して開催される予定です。第2回開催の際には、ぜひご参加ください。
ホンシェルジュでは、フェアを紹介させていただける全国の書店様を募集しております。ご興味をお持ちいただけた書店様は、問い合わせからぜひご相談ください。
次回もお楽しみに!
特集
本屋を訪れる楽しみの1つが、その本屋さんオリジナルのフェア。ホンシェルジュでは「書店オリジナルのフェア」を「ブックリウム(本で満たされた空間)」と命名し、取材を通してその魅力をお伝えしていきます。
本屋遊泳~ブックリウムに会いに行こう~
ホンシェルジュでは書店オリジナルのフェアを「ブックリウム(本で満たされた空間)」と命名。 本屋さんへの取材を通してフェアのテーマや選書を紹介、アーカイブ化する特集です。 ぜひお気に入りの本屋さんを見つけてください。