「浦島太郎は時差で大儲けできる?」「白雪姫が幸せになるにはアイドル事務所経営!?」 昔話を題材に、投資や保険をわかりやすく学べるのが『昔話でおカネの基本がわかる!空想金融教室』。 アニメや特撮を科学で検証してきた「空想科学研究所」の発想を、みずほフィナンシャルグループとともに金融に応用したプロジェクトです。 今回は著者であり、同研究所の主任研究員・柳田理科雄先生に直接インタビューを敢行しました!

書籍『昔話でおカネの基本がわかる!空想金融教室』の発売に至った背景には、1つのプロジェクトの存在がありました。
その名も「空想金融教室プロジェクト」。
このプロジェクトは、『空想科学読本』を刊行する空想科学研究所と、2024年4月にみずほフィナンシャルグループがタッグを組んで生まれました。
取り組みでは、みずほが総合金融グループとして培ってきた金融知見やノウハウと、マンガやアニメ、ゲームなどの空想の世界を科学的に検証する空想科学研究所の発想力を組み合わせています。
子どもから大人まで親しまれているさまざまなお話を、「お金」という観点から再構成するのが狙いです。
とっつきにくい投資の話も、難しく感じる金融の話も、「その結末、金融的にどうなの!?」「登場人物のその選択、投資の観点で本当に得なの!?」「あの話、事業だったらやばいかも…!」など、みずほグループで働く社員が各テーマを本気で検証し、みんなが知っている昔話や人気コンテンツを用いながら、わかりやすく解説してくれます。
本著では、これまでサイト上で公開してきたエピソードに、新たに書き下ろしたイラストやコラム・用語解説などが加わり、金融の仕組みや経済の基本を親子で楽しみながら学べる内容となっています。
実際のエピソードを試し読みしてみたい方は、こちらもご覧ください。
エピソードは全5章に分けて紹介。
第1章では、『さるかに合戦』『浦島太郎』『ごんぎつね』からおカネの価値や考え方の話を学べます。
例えば、竜宮城に3年いるうちに地上では300年が経過していた、というお話で有名な『浦島太郎』。本著では、これを利用した長期投資と資産運用の方法を考えて、浦島太郎が数億円を稼ぐプランを提案してくれます。
第2章では、『舌切りすずめ』『シンデレラ』『三匹の子ブタ』を通して暮らしに紐づく保険やおカネのトラブルについて、第3章では、『ハーメルンの笛吹き男』『かぐや姫』から社会にかかわる税金や法律の話について解説。
さらに、第4章では、『かさじぞう』『アリとキリギリス』から、自分の人生にかかわる働き方や老後資金の話、第5章では、『鶴の恩返し』『桃太郎』『白雪姫』からビジネスに関する話を学べます。
子どものみならず、大人が知っておいても損はない知識が盛りだくさんです。
- 著者
- ["柳田 理科雄", "みずほフィナンシャルグループ", "みずほフィナンシャルグループ", "博報堂・博報堂ケトル"]
- 出版日
「空想金融教室」プロジェクトの書籍化にあたって、空想科学研究所 主任研究員の柳田理科雄先生は、「ここからが本当のスタート」と意気込みを語っています。
最後に、柳田先生がこの書籍にかける熱い想いや気づきについて、お話を伺いました。
――プロジェクトを始めたきっかけは?
僕は30代の頃に学習塾を倒産させたことがあるし、いまも空想科学研究所は経営難にあえいでいて、おカネの話は苦手です。
こんな本を書く資格はぜんぜんないのですが、みずほさんの「子どもたちにおカネのことを学んでほしい」という熱い思いに心を動かされ、ウェブサイトで「空想金融教室」をやることにしました。本当に、おそるおそる…という感じでした。
ところが、スタートしてみたら、もう本当に目からウロコで。みずほさんは『さるかに合戦』や『桃太郎』など、昔話のなかで起こる問題を真剣に考え、「おカネをうまく使えば、トラブルを解決できるし、幸せになれる」と、ものすごいプラス思考で提案されます。僕は「おカネには、冷たくてイヤな感じがつきまとう」と思っていたのですが、そこに「前向きな発想」があると、その威力はすごくなるなあ……と、心から思いました。
――制作を通じて得られた気づきはありましたか?
『白雪姫』の話は、本当に驚きでした。世界でいちばん美しかったお妃が、自分よりきれいになった娘を殺めようとする物語で、本当にひどい母親ですよね。ところが、みずほさんは「おカネの力で、白雪姫もお妃も幸せにできないでしょうか」と言い始めて、その方法を真剣に考えるんです。「何を言ってるんだ、この人たちは!?」と、最初は意味がわかりませんでした。
僕はマンガやアニメを科学的に考える、という原稿を書いていますが、その根底には「科学のチカラで問題を解決できる」という思いがあります。みずほさんもまったく同じで、「おカネのチカラで、一人でも多くの人を幸せにしたい」という発想があるんですね。それを実感したときの感動は、ちょっと言い表せないほどでした。
書籍化にあたっては、みずほさんが専門的な解説をたくさん書き下ろしてくださり、「エンタメ」要素も「実用」要素も充実した本になりました。マンガ家の籏町先生には、とてもわかりやすいイラストを描いてもらい、シンプルに楽しむことも、深く読み込むこともできるようになりました。さらに表に出ないところで、多くの人たちが尽力してくれたからこそ、きわめて柔軟性の大きな本に仕上がったと思っています。
――本著の意義について教えてください。また、どんな人に読んでほしいですか?
どういうカタチでもいいので「空想金融教室」が続くといいなあ、と思っています。
「本にしたから終わり」では、あまりにもったいない。この取り組みには大きな意義があるし、ここからが本当のスタートではないでしょうか。
おカネや経済の話は、難しく感じられますが、自分たちの生活や将来と深くかかわっています。おカネの話は本当に面白く、奥深く、そして身近です。
『空想金融教室』で、みずほさんの発想に触れると、あれほど苦手意識を持っていたおカネが、自分の味方になってくれそうな気がしてきます。その価値観の転換はちょっとすごいです。子ども向けの本ではありますが、大人にとってもメチャクチャ役に立つと思います。
「金融ってムズカシそう」「自分には関係ない」と思っている人にこそ、ぜひ読んでいただきたいですね。それって、つい先日までの僕自身のことなのですが。(笑)
柳田理科雄先生の率直な言葉から、本書が単なる金融入門書ではなく、プロジェクトに関わった人々の熱意や工夫がぎっしり詰まった一冊であることが伝わります。金融や経済が身近で楽しいテーマになる瞬間を、ぜひ味わってみませんか。
苦手意識のあったおカネが、物語を通して自然と理解できる『昔話でおカネの基本がわかる!空想金融教室』。大人が読んでも発見の多い内容です。まずは手に取って、浦島太郎や白雪姫と一緒に“おカネの冒険”を体験してみてください!(編)