『カードキャプターさくら』『ツバサ』『ちょびっツ』など多方面で人気の作家・CLAMP。ヒットメーカーであり、質的にも優れた作品を生み出す漫画家集団の魅力がわかる、隠れた名作をランキング形式でご紹介いたします!
シナリオ担当・大川七瀬、作画担当・もこな、猫井椿、いがらし寒月の女性四人組。四人で一つの作品を仕上げる珍しい形式の漫画家グループです。同人活動を経て商業デビューし、少女漫画、少年漫画、青年誌、アニメのキャラクターデザイン、小説の原案など幅広いジャンルで活躍しています。
また、アシスタントを使用せず、作品をメンバーのみで手がけることでも知られています。アクション、ファンタジーだけではなく、恋愛やミステリーなど多彩なテーマを扱うことも、多くのファンを引き付ける魅力の一つとなっているでしょう。
代表作は『魔法騎士レイアース』、『カードキャプターさくら』、『ちょびっツ』など、ファンでなくともどこかで耳にしたことのある作品ばかりなのではないでしょうか?彼女たちの作品はクロスオーバー展開が多く、1度で2度おいしい作品も多いので、ぜひ様々な作品を読んでみてください!
『魔法騎士レイアース』については<『魔法騎士レイアース』登場人物の魅力を徹底考察!【懐かしなかよし漫画】>、『カードキャプターさくら』については<漫画『カードキャプターさくら』クリアカード編をネタバレ徹底考察!>の記事で紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。
- 著者
- CLAMP
- 出版日
真夜中にクマのぬいぐるみを抱いて、降り積もる雪を見つめる少女がいます。天然で純粋、少々人とは変わった雰囲気を持つ、主人公・旭ひなたです。彼女は自宅の隣の空き家が気になって仕方がありません。そんな空き屋に引っ越してきた、臨時教師の男・麻生。ひなたは素直でまっすぐな感性で彼と向き合い、次第に恋心を寄せていきます。
『すき。だからすき』とまるで語り掛けるように、やわらかい言葉のタイトルの通り、読者を優しい気持ちにさせてくれる恋物語です。浮世離れと感じるほど、素直な少女・ひなたの行動、言葉には、思わずはっとさせられることもあるでしょう。
ほんわかと優しい気持ちになれるCLAMP作品が読みたいという方にお勧めの、あたたかい恋の物語です。
- 著者
- CLAMP
- 出版日
- 2011-12-03
神々が住む天界を統治する天帝・帝釈天。その圧政に苦しみ、反旗を翻した選ばれし「六星」達の反逆の旅を描いたストーリー。CLAMPとしては初の商業コミックス作品です。
天界最強の武神と称される夜叉族の長・夜叉王は、かつて帝釈天に滅ぼされた阿修羅族の最後の生き残り、幼い王「阿修羅」と出会います。しかし、封印されていた阿修羅を目覚めさせたことにより帝釈天の怒りを買い、結果的に自らの一族を滅ぼされることとなってしまいます。
全体的にシリアスなストーリー展開ですが、物語の鍵を握る「阿修羅」の無邪気さもあって、序盤にはコミカルなシーンも多く描かれています。夜叉王と阿修羅の親子のような掛け合いは、迫り繰る過酷な試練の中でのストーリーに緩急をつけています。巧妙に仕組まれた陰謀や、自らの目的を遂行するために悪行を行うことも厭わないという、意思の強いキャラクター達の心の葛藤も印象的です。
本作のキャラクター、世界観には古代インド神話の神々が引用され『聖伝-RG VEDA-』のタイトルに相応しい、神秘的な物語が美麗で繊細なイラストで描かれます。神秘性を感じるストーリー内のキャラクターデザインもですが、本書の表紙を飾る美しいカラーイラストにもぜひ注目していただきたい作品です。
- 著者
- CLAMP
- 出版日
「白姫」が住むと言い伝えられる雪山で起こる、切ない物語を収録した短編集『白姫抄』。短編3話と終章で構成されていて、各話の登場人物たちに接点はありません。それぞれの物語を白姫が住む雪山から追っていく、CLAMP初の全編描きおろし作品です。
どの話も「愛」がテーマとして扱われていますが、友愛や情愛など様々な「愛」の形が、美しい雪山を舞台に語られていきます。筆で描かれた水墨画のように美しい作画と「白姫」の言い伝えは昔話のような妖しさと、精錬された儚さを感じさせます。
単純な「面白さ、爽快さ」ではありませんが、各話に込められた登場人物たちの「愛」を感じる作品です。本作読み終えた時、雪の夜のような物悲しさを感じるのは、全ての物語を見守ってきた雪山に住む「白姫」の仕業なのかもしれません。
- 著者
- CLAMP
- 出版日
- 2008-07-17
その計画の名前は「白花苜蓿計画(クローバー・リーフ・プロジェクト)」。政府の研究として集められた魔法が使える子供たちは、魔法使いとしての能力の強さを示す「クローバーを象った入れ墨」を刻印されます。彼らの願う本当の「幸せ」とは……。魔法と科学が同時に存在する世界を舞台にした一風変わったSF作品です。
世界に一人しかいない最強の魔法使い「四葉のクローバー」である少女・スウの願いを叶えるため、元軍人・和彦は彼女の隔離されている通称「鳥籠」を訪れます。閉鎖された世界の中、機械仕掛けの動物と寄り添う無垢な少女は彼に問いかけます。
「貴方が連れて行ってくれる人?」(『CLOVER』より抜粋)
彼女を「ある場所」に護送する依頼の中で、和彦は少女の願う「幸せ」の意味を知ることになります。本作の特徴として、一人目の主人公「四葉のクローバー・スウ」の物語から時代は過去へと遡り、二章ではスウと和彦が出会う前のエピソードが語られます。過去を知るうちに「クローバー」たちの運命や、生い立ちを徐々に紐解いていくという特殊なストーリー展開です。
機械的な文明を感じさせる世界観と対を成す、魔法が印象的な作品です。漫画としては珍しく、効果音にもすべてセリフと同じ書体が使われており、この演出が本作独特の無機質で、機械的な雰囲気をさらに盛り上げます。
未来を知り、過去を読み解く。少女が願った「幸せ」の意味を「終わりから始まる物語」で感じてみてください。
- 著者
- CLAMP
- 出版日
- 2000-11-10
様々な欲望が蠢く街「東京」を舞台に、陰陽師の少年と双子の姉、笑顔の裏に闇を抱えた暗殺者の奇妙な三人が繰り広げる、社会派ファンタジーです。一話完結型のストーリーで描かれる東京の闇と、そこで暮らす人間の生み出した怪異に向き合う、陰陽師・皇昴流の物語が登場人物達の生々しい感情と共に描かれています。
目を背けてしまいがちな現実、何気ない生活の中に生まれるわだかまり、無意識の偏見や差別など、向き合っても答えがだせない現実を切り取り、問題定義する本作。一人でも多くの人を救いたいと奔走する、純真で優しい主人公・昴流の葛藤が見どころです。
また主要登場人物たちの価値観や、多角的な意見には時に共感や驚きを感じます。爽快とは言い難い、社会の闇への問題定義。だからこそ改めて気づくことや、日常では意識しない考えに至ることもあるでしょう。
「あなたは東京が好きですか?」(『東京BABYLON』より抜粋)
本作を読み終えたとき、この問いかけに貴方はどんな答えを返すでしょうか。
CLAMPの隠れた名作をランキング形式でお送りいたしました。いかがでしたでしょうか。シリアス、社会派、優しい恋の物語など、多彩で独特な作風が魅力のCLAMP作品。アニメ化された有名作も良いですが、今回ご紹介いたしました知る人ぞ知る名作で、貴方もコアなCLAMPワールドに浸ってみるのはいかがでしょうか。