ライフスタイル

スパイスからカレーを作る人のための6冊

更新:2020.12.2 作成:2017.2.21

料理にハマったら一度は挑戦してみたいのがスパイスカレー。スパイスの魔術師なんて、人生一度でいいから呼ばれてみたい。今回は、そんなスパイスからのカレー作りに罹患してしまった方のための6冊です。

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スパイス貿易会社の御曹司が教える「鉄板基本カレー」本

私が初めてスパイスカレーの作り方を習ったのが、この本の著者メタ・バラッツ氏。彼の教える基本カレーはたった4種類のスパイスで作られる。「カレーは30種類以上のスパイスを組み合わせて作るもの」だと某CMに洗脳されていた私にはまさに衝撃であった。

正直なところ、作る前は「カレーの味にならないんじゃないの?」なんていう疑問をもっていた。しかし、その疑念は出来あがったカレーをひとくち食べた瞬間に打ち砕かれた。「これは、お店で出てくるカレーの味だ…」。
著者
メタ・バラッツ
出版日
2016-06-13
まさに「コツ」のオンパレード。玉ねぎは常に強火で炒める。生姜とニンニクを入れて火を加え生姜焼きみたいないい香りになったら、次の工程に進む。塩は最初に多めに入れないと味が決まりにくい。などなど、一つ一つの工程がテクニックの宝庫なのだ。本書にはそうした、彼のテクニックの数々が惜しげもなく書いてある。色々なカレーのレシピ本があるが、工程説明の丁寧さにおいては、この本が頭一つ抜けている。

スパイスカレーを始めたいと思ったのであれば、まずは本書の最初の「スパイスチキンカレー」をレシピ通りに10回でも20回でも作ってもらいたい。きっと、初めて作るスパイスカレーの美味しさに驚くだろう。他のカレーレシピも作りやすくクオリティが高いものばかりだ。

カレーの歴史を学ぶと世界の歴史が見えてくる

「世界で最もグローバルな食べ物は」と聞かれたら多くの歴史学者は「カレー」と答えるだろう。それほどまでにカレーの歴史はワールドワイドで壮大な物語だ。インドで生まれた野菜のスパイス炒め「カリ」が、どのように変遷して現在のカレーになったのかを読み解くことができるのが、本書「カレーの歴史」だ。
著者
コリーン テイラー セン
出版日
2013-08-26
前半はカレーの歴史の歩みを追いかける。

私たちが知っている「辛いカレー」はコロンブスがアメリカ大陸から唐辛子を持ち帰るまで世界には存在していなかったことを、あなたは知っているだろうか?イギリス人がどうしても手軽に家庭でカレーが食べたいという理由で作られたのが「カレー粉」であったというのは?このように「へぇー」と思うようなカレーの歴史を世界史と照らし合わせドラマチックに切り取っていく。

後半は世界各国のカレーの考察。

世界中、色々なところで作られているカレーが、どこの国からいつの時代に持ち込まれたものか、そしてそれが現地でどういう形に発展したのかを読み解いていく。まるで世界中で貿易をしている商人のような気持ちで興奮しながら読み進めることができるだろう。巻末の付録として歴史上のポイントとなったカレーのレシピなども載っており料理マニアなら思わず試してみたくなる内容だ。

実験とロジックで紐解く超理論派カレー教本

今や日本で最も有名なカレーフリーク集団となった「東京スパイス番長」。そのメンバーの水野仁輔氏。数々のカレー本を出版する彼のカレー理論の集大成と言えるのが本書だ。
著者
水野 仁輔
出版日
2013-05-16
本書執筆のため600種類以上のレシピを調べ、インド料理店に1年半300回以上通って厨房の作業工程を取材させてもらったそうだ。

その結果として「すべてのカレーは全く同じプロセス(ゴールデンルール)で作られている」ということに気づく。違うのは鍋に入れる素材のチョイスと分量、そして加熱方法や時間だけ。それらを変えるだけでインドカレー、欧風カレー、タイカレーなどなど全てのカレーが理解できるという。ここまで聞いただけでワクワクしてこないだろうか?

後半では、理論を証明するために各国の代表的なカレーをゴールデンルールに置き換えて解説をしている。ベースの香りはこのスパイス、旨味はこの食材、食欲そそる仕上げはこれ。といった感じでカレーのスパイスや食材の意味を一つ一つ丸裸にしていく作業は、ロジカルに料理を考えたい人間にはたまらない。

掲載のレシピを一通り試したあとは、ぜひ本書の理論を参考に自分だけの「完全オリジナルカレー」を作ってみてはいかがだろうか?

レシピほぼなし。有名カレー店のコツだけ専門書

先に断っておくが、本書はレシピ本でも料理本でもない。対談本というジャンルになるだろうか。先ほど紹介した「カレーの教科書」の著者でもある水野氏が都内の有名カレー店の店主や料理人10人との対談をまとめた本だ。
著者
水野 仁輔
出版日
2016-05-20
本書の内容はどこまでもマニアック。例えば、玉ねぎのベストな炒め具合について水野氏が質問すると、「たまねぎって焦げ色と焦げ臭の間、焦げ臭と焦げ味の間にタイムラグがある。焦げ臭はするけど、焦げ味はしない。」そこを見極めるのが料理人の腕だそうだ。

この対談はスパイスカレーを日頃から作る人にしか、ほとんど意味がわからない内容になっている。しかし、カレー作りにハマった人間にとっては、まさに宝典。たまねぎの扱い方、スパイスの香りの出し方、材料の入れるタイミングの見極め方。どれも普通のレシピ本には一切載っていない、一流の現場で使われてる現役のコツばかり。それをここまで惜しげもなく話してくれるのかと驚かされる。

これからスパイスカレーを作ろうかなという初心者には決してお勧めしないが、カレー作りにハマり、素人を超えた「一歩先のお店レベル」を目指したい人には、ぜひ目を通していただきたい。

辞書と名付けられたマニア向けカレーガイド

この本は捉えるのが少し難しい。レシピも書いてあるがレシピ本ではなく、スパイスの紹介も載っているけどスパイス本でもない。インドの地域のガイドや都内のカレー有名店の紹介など、まさにカレーガイドブックといった作り。dancyuを知っている人であれば、まるっとdancyuのカレー特集のボリュームが2倍くらいになって1冊にまとめられているといえば伝わるだろうか。
著者
出版日
2016-12-24
写真も多く話題も多岐にわたっているので普通にカレー副読本として読んでいて楽しいが、本書の特筆すべきところは、レシピ。有名カレー店のレシピが、おそらくそのままで掲載されている。

100人前の分量とか炊き出しかよ!と思わず突っ込みを入れてしまうのだが、店のレシピ感が出ていてたまらなく面白い。個人的にマイベスト外食カレーの「デリー」のカシミールカレーのレシピ(40人前)を見つけた時は、おもわず小躍りしてしまったほどだ。

後半のインド各地方別のカレーのまとめ方も素晴らしい。ポークビンダルー、ラムコルマ、アルゴビなどなど有名カレーのレシピも、それぞれの地域の紹介と共に掲載されている。毎週、違うエリアのカレーを作って自宅でカレーインド旅行を楽しんでみたい気持ちにさせる。

東洋から西洋まで。スパイスのコンプリート図鑑

スパイスの図鑑はたくさん出ているが、私は本書をおすすめしたい。他のスパイス図鑑もスパイスの写真がのっているが、大判フルカラーの本書はとにかく写真の量が桁違いに多い。

いわゆる「スパイスのホール写真」だけではなく、乾燥前のフレッシュなものや粉末にしたもの、葉っぱや根っこなどの他の部位、植物として採取する前の状態などなど。まさに横断的にスパイスを捉えることができるだろう
著者
ジル ノーマン
出版日
2006-10-01
さらに世界のミックススパイスとして、世界各国の混合スパイスのレシピを大量に掲載。カレーのスパイスの配合が10種類以上も掲載されているだけでなく、アメリカのケイジャンシーズニングミックスや、チュニジアのハリッサ、インドネシアのサンバルバジャック、さらには中世ヨーロッパのスカッピという歴史的なミックススパイスの配合まで網羅。まさに、古今東西のミックススパイス大集合といえるだろう。

カレー作りにはまると増え続けてしまうスパイスを、うまく日常の料理に活用するためにも、スパイスの知識を身につけてみてはいかがだろうか。

今回ご紹介した本はかなりカレーフリーク向けになっています。一番上から段々とマニアックな内容になるよう選書しましたので、順番で読んでいかれると良いと思います。それでは楽しいスパイスカレーライフを!