職場や家庭、人間関係に疲れたらそっとページを開いてみませんか?貴方と同じ悩みを抱える女性がきっといるはずです。今回はそんなあなたのお悩み解決のヒントになるようなおすすめ小説をご紹介!仕事をするって、苦しくも楽しいものなはずです。
著者の原田マハは、1962年東京都に生まれました。進学した関西学院でデザインの勉強を始め、卒業後は広告代理店や美術館などに就き、転職を繰り返します。大企業伊藤忠商事のアート、文化関連の部署に就職を決めると、入社直後から周囲に一目置かれるほどの活躍を見せました。そんな中、森ビルの社長からコンサルタントとしての才能を見出され、美術館のキュレーターに転職します。当時、原田マハはまだ33歳でした。その若さで彼女は既に1つの才能を認められていたのです。
原田マハがキュレーターの仕事を辞めたのは、40歳の時。本当にやりたいことを見つけるため、フリーライターとして世界中のクリエイターたちの取材を始めます。ここでも原田マハは才能を発揮し、ライターとしての地位を確立していきました。フリーライターに転職してわずか2年後、当時42歳の原田マハはまたもや小説家として新たな道を切り開きます。小説を書いた経験は一度もありませんでしたが、自分の生き方を模索し続け、ついに1冊の小説を完成させるのです。それが彼女のデビュー作にして、代表作ともなった『カフーを待ちわびて』。同作は第1回日本ラブストーリー大賞を受賞しました。
原田マハの勢いは止まることを知らず、着実にその才能を世間へと広めていきます。『カフーを待ちわびて』の映画化や漫画化。2012年には『楽園のカンヴァス』で山本周五郎賞を受賞。更にカルチャーライターとしても活動しています。
1つの場所、1つの結果で満足しない原田マハ。彼女の生き方は自由で、常に自分を成長させようとするポジティブなもの。きっとそこには変化を望む者にしか見られない景色があるのでしょう。今回はそんな原田マハの小説の中から、働く女性にお勧めしたい1冊を紹介します。
- 著者
- 原田マハ
- 出版日
- 2013-06-07
20万部を突破したベストセラー作品で、WOWOWの連続ドラマにもなったこの小説。原田マハを知らなくても、この題名は聞いたことがある!という人もいるかもしれませんね。
至って普通のОL二ノ宮こと葉。夢も目標もなかった彼女ですが、幼馴染の結婚式で聞いた祝辞のスピーチに強い感銘を受け、スピーチライターとして新たな道を歩み始めます。1人の女性が挫折と葛藤を繰り返しながら成長していく感動の物語。言葉の持つ力について考えさせられるお話です。
言葉無くして、自分の想いを相手に伝えることはできません。どうしたらこの気持ちが伝わるだろう?どんな言葉を使ったら人の心に響くのだろう?考えれば考える程、言葉というものは分からなくなってしまいそうです。
この小説は、気持ちと言葉の向き合い方を教えてくれます。スピーチライターという普段スポットの当てられることのない職業を知ることで、伝えることの難しさや大切さを感じられることでしょう。
作中に登場する個性豊かなキャラクターも本作の魅力の1つです。特に主人公こと葉が憧れる伝説のスピーチライター久遠久美。彼女の真っすぐでカッコいい姿には、読んでいて胸が熱くなります。
人生に迷ったとき、仕事が上手くいかないとき、そんなときに読んでほしい1冊です。こと葉の不器用ながらも一生懸命に生きていくその姿に、感動すること間違いありません。
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人気沸騰中の原田マハは、小説家としてはもちろん、美術など多方面にわたって活躍しています。今回は、原田作品を読んだことがない人に、まずおすすめしたい文庫本をまとめました。
著者は、こかじさら。2010年よりフリーライターとして活動を始め、2016年に小説家デビューしました。こかじさらは、文武両道の名門として知られる千葉県立安房高等学校の卒業生。この高校は、X JAPANのYOSHIKI、Toshl、小説家の中沢けい、放送作家の鈴木おさむが通っていたことでも有名です。他にもふたりの柔道世界チャンピオンを世に送り出した学校でもあります。
高校卒業後は中央大学に進み、中央大学専門職大学院国際会計研究科修士課程を修了。その後は出版社に勤め始め、こかじさらとは別名で執筆、編集に関わった著書は多数あります。
小説家以外でも幅広い活躍を見せるこかじさら。そんな彼女の小説からおすすめの1冊を紹介します。
- 著者
- こかじ さら
- 出版日
- 2016-10-19
作家こかじさら、待望の2作目。仕事を頑張るすべての人に読んでもらいたい1冊です。
瑞穂は新卒でアパレルメーカーに就職。営業部唯一の女性社員として華々しく社会人生活をスタートするも、厳しい現実に打ちのめされ、希望を失いそうになります。そんな彼女に訪れた1つの出会い。働くすべての人に向けた爽やかな応援小説です。
人生の新しい扉を開けるとき、人は期待と不安でいっぱいになります。それが自信を持って進んだ道であっても、困難を避けて通ることはできません。苦悩と挫折を乗り越え、自分を成長させていく。それがどんなに尊い行為であるかを感じさせてくれる小説です。
社会人デビューした瑞穂は、これから始まる新たな生活に胸を高鳴らせます。このときの彼女は、まだ社会の辛さを分かっていなかったのかもしれません。だからこそ、理想と現実のギャップに絶望を抱かずにはいられなかったのでしょう。こんな経験はきっと誰にでも覚えがありますよね。
厄介な組織体系、巻き込まれる部内の派閥争い、思い通りにはいかない仕事の数々……。瑞穂は何度もくじけそうになります。そしてその度に周囲の人間に助けられるのです。
人間関係は難しくて、時に鬱陶しい。けれど私たちは、人との繋がり無しでは生きていけません。辛い現実を知って、初めて他人の優しさに気付くことができます。社会で生きるということは人の怖さ、冷たさを痛感し、同時にその温もりを知ることなのでしょう。
何度失敗しても大丈夫!貴方を支えてくれる人はたくさんいるから。そんな前向きな気持ちになれる作品です。働くことの素晴らしさを今一度思い出してみませんか?
著者の奥田英朗は、高校卒業まで岐阜県で育ちました。子供時代はあまり本を読まなかったらしく、「小説を書く気なんてなかった」と本人も語っています。
高校卒業後は上京し、すぐに会社に勤めるも、3日で嫌気が差して退社。その後、どうにか潜り込んだ弱小広告代理店で才能が開花し、コピーライターとしての仕事を任されるようになります。やがてフリーランスのコピーライターとして独立した奥田英朗は、フリー仲間と共に共同事務所を構え、数々の功績を上げていきました。
そんな奥田英朗が初めて小説を書いたのは、彼が34歳の時。バブル崩壊後、広告需要は目に見えて減っていき、奥田英朗も経済的に厳しい状況に置かれました。仕事が減ったことで時間に余裕ができた奥田英朗は小説の習作を始め、書き上げたものを出版社に持っていきます。そうして、『ウランバーナの森』で見事小説家デビューを飾るのです。
元々才能もあったのでしょう。奥田英朗はその後も小説家として執筆をつづけることができました。2004年に『空中ブランコ』で直木三十五賞、2007年に『家日和』で柴田錬三郎賞、そして2009年『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞を受賞しました。
巧みな文章と溢れるユーモアで読者を魅了する奥田英朗の小説。元コピーライターという経歴を持つからなのか、タイトルの付け方も秀逸です。多くの読者を虜にしてきた奥田英朗小説の中から、今回はおすすめの1冊をご紹介します。
- 著者
- 奥田 英朗
- 出版日
- 2009-01-15
映画化もされた奥田英朗のベストセラー短編集。働く女性なら誰もが共感できる、そんなお話がいっぱいです。
女の子でいられるのは何歳まで?30代独身女性が欝々とするリアルな悩みが描かれた本作。楽しかった20代から形を変える女の生き方。大人になった彼女たちは何を感じ、何を想うのか。ここに書かれているのは貴方の物語かもしれません。
女性ならでは感情や葛藤。それはドロドロしていたり、バチバチと火花が散っていたり……。女性が内面に秘めているものって、決して綺麗なものばかりではないんですよね。
仕事もおしゃれも楽しい!純粋にそう思えていた20代はやがて終わりを告げます。世間の目や変わりゆく自分の容姿。本作ではそんな抗えない現実に自分を制限されながらも、前向きに生きていこうとする女性たちがいます。その逞しさは、健気にも思えますね。
作中に登場する女たちは皆、社会に揉まれ、不安と戦い、タフになっていきます。可愛いままでは社会を生き抜いていけないと、どこかで気付くのでしょうね。だからこそ大人の女性は、しなやかな美しさを持っています。働く女性たちは、日々闘いながら生きているのです。
読後は短編集であるにも関わらず、まるで超大作を読み終えた後のような満足感を得られます。それだけ濃い内容で、考えさせられる場面も多い物語です。
30代は何かと壁にぶち当たることも多い時期。落ち込んだとき、泣きたいとき、そっと貴方の背中を押してくれる、これはそんな小説です。
著者の群ようこは、1954年東京都に生まれました。日本大学藝術学部文芸学科卒業してからは、広告代理店に勤務します。その後6回の転職を経て、本の雑誌社勤務時代にエッセイを書き始めました。1984年『午前零時の玄米パン』でのデビューを機に独立。『パンとスープと猫日和』や『れんげ荘』など多数の著書があります。その中でも『かもめ食堂』は映画化もされた、人気作ですね。
書評やエッセイを多く書き、特に何気ない日常生活を描いたエッセイには定評があります。心が温まり、読んだ後にほっこりできる群ようこの小説。心を落ち着かせたいとき、そっと手に取って見るのはどうでしょう?そんな群ようこの小説の中から、ぜひ働く女性に読んでいただきたい1冊を紹介します。
- 著者
- 群 ようこ
- 出版日
OLの日常を描いた短編集。群ようこならではの独特の言い回しに思わずクスリとしてしまう12のショートストーリーです。会社内にはいくつもの「個性」が溢れています。そんなそれぞれの職場で逞しく成長していくOLたちたちを群ようこが描く、大人気「無印」シリーズ。その中でも異彩を放つ、超ロングセラー短編小説です。
全短編集が、毎日小さな事件の起こる職場風景をOLの視点から描かれる本作。大きな出来事や、ハラハラするような展開があるわけでもないのに、なぜか一度読んだら忘れることができません。あのほっこりとした読後感は、群ようこ作品ならではの感覚ですね。
仕事も結婚も家庭も大事。女性には大切にしなければならないものがたくさんあります。その分悩んだり、落ち込んだりすることも多いです。そんな彼女たちの心情に共感したり、胸が痛くなったり……。女性特有の繊細な心理がユーモラスに表現されています。
仕事って本当に大変ですね。これはそう言って、隣に寄り添ってくれるような小説です。思わず「あるある!」と言いたくなる職場の風景や、上司の言動。それを見つける度に自分に語りかけられているように感じます。
特別な役割や重要な仕事を任されていなくても、皆それぞれ苦労している。読んでいると、作中に登場するOLたちが、なんだか同士のようにも思えてきます。職場で何か嫌なことがあったとき、この小説を読んでみてください。きっと貴方と同じ痛みを抱えている存在と出会うことができるはずです。
1977年3月28日、アメリカのペンシルバニア州で生まれたローレン・ワイズバーガー。今回ご紹介する著書『プラダを着た悪魔』は記録的なベストセラーとなり、デヴィッド・フランケル監督のもと映画化されました。
ローレン・ワイズバーガーは大学卒業後、ファッション雑誌社に就職します。彼女は9カ月間、編集長のアシスタントを務めました。『プラダを着た悪魔』はこのときの実体験をもとに書かれた小説です。日本でも上映され、人気を博した映画『プラダを着た悪魔』。今回はその原作にスポットを当てて、紹介していきます。
- 著者
- ローレン・ワイズバーガー
- 出版日
- 2003-12-19
お洒落に興味なんてなかった主人公のアンドレア。彼女が就職したのは、全世界の女性が憧れる一流ファッション誌「ランウェイ」の編集部でした。新卒ですぐ雑誌社に入れたことで浮かれるアンドレアですが、それは彼女にとって苦難の始まりだったのです。
全米に笑いを届け、涙させた最高傑作。煌びやかな世界で奮闘し、成長していくアンドレアから目が離せません。
これは誰もが知っている超有名作品ですね。映画を見たことがある人も多いのではないでしょうか?テンポ良く進むストーリーとコミカルな登場人物たち。映画と同じく、小説も読んでいてまったく飽きない作品です。
一流のファッション業界に身を置くこととなった、田舎娘のアンドレア。編集長ミランダが押し付けてくる無理難題に翻弄されながらも、彼女はくじけず前を見続けます。がむしゃらに生きるアンドレアの姿は、ユーモラス且つチャーミングです。
ファッション業界のシビアな現状をあえて明るく、コメディタッチで描くことでアンドレアの気持ちに共感したり、自分自身と重ね合わせて読むことができます。ファッションに詳しくなくても、十分に楽しめる内容です。
読むととにかく元気になれる!そんな小説です。職場や人間関係に苦しみ、悩むすべての女性にお勧めします。転んでも躓いても立ち上がる。そんなアンドレアの姿に生きていくパワーを貰えること間違いありません。
生きていると色々なことがありますよね。それは他人からしたら、ちっぽけでとりとめのないことかもしれません。けれども貴方が抱える痛みを否定できる人なんて、この世には一人もいないんです。苦しみと共に生きていく。そんな女性をただひたすらに肯定してくれる小説が世の中にはたくさんあります。自分の救いとなる一冊を胸に抱え、強く逞しく生きていきたいものですね。