原田マハのおすすめランキングベスト10!舞台化された『リボルバー』も

更新:2021.12.19

ゴッホをテーマにした『リボルバー』が舞台化されるなど人気沸騰中の原田マハ。美術に造詣が深く、アートをテーマにした作品を数多く著す小説家です。 この記事では、おすすめの原田マハの作品をランキング形式で紹介します。

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さまざまな顔を持つ原田マハの経歴

1962年7月14日に東京都小平市で生まれ、その後父親の転勤のため岡山へ。原田マハの父親は百科事典や美術書のセールスマンだったため、まだ幼い時からアート作品にふれていたそうです。その頃から、好きなアーティストはパブロ・ピカソ。ただ、「絵のセンスは自分のほうが上だ!」と幼いながらもピカソにライバル心を燃やしていたとか。

小さいころからアートに親しみのある環境で育ったこともあり、「クリエーションに関わる仕事につきたい」という強い信念から、早稲田大学で美術史学を専攻したのちに森ビル、ニューヨーク近代美術館などでキュレーターとして活躍します。

その後、美術関係の仕事で培った経験と知識を生かし、カルチャーライターとして執筆を始めました。そして徐々に小説も書くようになります。

2005年に働く女性のインタビュー集『ソウルジョブ』を共同執筆で刊行。その後、原田マハ単著として、『カフーを待ちわびて』で第一回日本ラブストーリー大賞を受賞しました。漫画化・映画化され、非常に話題になった作品です。

この作品を皮切りに、ケータイ小説の執筆も始めます。mahaというペンネームは、フランシスコ・デ・ゴヤの作品「着衣のマハ」などのマハシリーズに由来したものだそうです。美術に親しんだ彼女らしいネーミングと言えるでしょう。

ここからは、特に初めて原田マハの作品を読まれる方におすすめの10冊をご紹介します。

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1位:原田マハの最高傑作!『楽園のカンヴァス』

あらまし

目の前には、かの有名な巨匠ルソーの名作「夢」に酷似した絵がある。

その真贋を問うために、スイスの大邸宅に招かれたのは、ルソーの研究者として知られる、ティム・ブラウンと日本人の早川織絵の2人でした。

持ち主から、「正しく絵の真贋の判定をした者に、絵を所有する権利を譲る」と言われ、その手がかりとなる古書を渡されます。2人に与えられたのは、わずか7日間という短いリミット。ヒントは手がかりの謎めいた古書1冊のみ。2人は、ルソーとピカソという天才たちが、カンヴァスに込めた想いを読み解いていくのです……。

著者
原田 マハ
出版日
2014-06-27

ここが見所

わずか7日間で本当に真贋を見極められるのか。はたして、ティムと織絵のどちらが作品を手に入れるのか?ハラハラドキドキの展開に、ページをめくる手が止まらなくなります。

山本周五郎賞を受賞したこの作品は、アートが好きな方にはもちろん、絵画に興味がない人にも、まずは読んでみてほしい1冊です。ルソーやピカソの絵の見方が180度変わります。

原田マハ自身のキュレーターの経験が活きている、渾身の美術小説です。

他にも美術館に関連する本を読みたい方には、こちらの記事もおすすめです。

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秋はなぜか「○○の秋」と、何かと関連づけられることが多い。そのなかでもよく言われるのが「芸術の秋」だろう。 秋に限らず、美術館では企画展が行われているが、この時期に美術館に行く人も多いはず。有名な絵画を見て、「これは教科書で見たことがあるぞ」とは思うものの、絵画の横に掲示してある解説を読んでもちんぷんかんぷんということも少なくないのではないだろうか。 そんなわけで、今回は美術素人が美術館に行く前に読んでおくと、美術館巡りが楽しめるような本を紹介したい。

2位:安田章大が舞台化!原田マハのゴッホ愛が炸裂『リボルバー』

あらすじ

表紙を見てゴッホの作品だとピンとくる方も多いかと思われますが、本作『リボルバー』はかの有名なゴッホの自殺に使われたかもしれない1丁のリボルバーを巡る物語です。

主人公の高遠冴(たかとおさえ)が働くパリのオークション会社に持ち込まれたのは、ゴッホの自殺に使われたものとされるリボルバー。しかし、冴が社長や同僚とともにゴッホが晩年を過ごした郊外の村へその真偽を確かめにいくと、別の説が浮かび上がります。そのリボルバーはゴッホのリボルバーではなく、ゴッホと60日間同居していたとされるゴーギャンのリボルバーなのではないか?と。

史実を織り交ぜながら、ゴッホを敬愛する原田マハが紡ぐアート小説です。

著者
原田 マハ
出版日

ここが見所

史実1割、フィクション9割で物語を紡ぐという作者・原田マハ。今回主軸となっているリボルバーですが、1960年代には実際にオークションに出されたことがあるとのこと。その銃自体に美術的な価値はないものの、「誰が使用したのか」という歴史的文脈によって2000万円もの価値がついたことに、作者自身も驚いたそうです。そこから本作でも「ものの本当の価値は誰が決めるのか」というテーマが描かれています。

主人公らがゴーギャンの近親者に話を聞いていくうち、しだいにゴッホの死の真相が明かされていきます。最後に明かされる真実に、ゴッホとゴーギャンの深い関係性を見出すことができるでしょう。読者にとっては何が価値を持つものなのか?と問いかける結末が待っています。

生きていた当時は広く一般には評価されなかったゴッホですが、今は誰もが知る画家。作者の原田マハは彼の絵を見て「ぶん殴られるような衝撃」を受けると言います。その芸術性の斬新さ、いかに天才だったのか、いかに絵に打ち込んでいたのか……本作を読むとそれが伝わってくるのは、作者の画家への敬愛が深いからでしょう。

絵画という本来視覚で楽しむものを、それを目の当たりにした登場人物を描写することでありありと伝えている表現も本作の魅力。絵画が好きな人はもちろん、創作に興味がある人にはぜひ読んでいただきたい1冊です。

原田マハによるメッセージもご覧ください。

関ジャニ∞の安田章大主演で舞台化!

2021年7月には『リボルバー~誰が【ゴッホ】を撃ち抜いたんだ?~』のタイトルで舞台化もされました。原田マハ自身が脚本を書き、演出を『ナラタージュ』『劇場』などの実写映画監督も務めた行定勲が担当。過去のパートと現代のパートを行き来しながら物語が進み、生きていた時代のゴッホを主演の安田章大が情熱的に演じ切りました。

3位:感動を呼ぶために、言葉に何を込めるか『本日は、お日柄もよく』

あらまし

想いを寄せていた幼馴染の結婚式に、最低最悪な気分で出席したOLの二ノ宮こと葉。好きな人の結婚する姿なんて……と思っていたところ、気付いたら涙が溢れ出てしまうようなスピーチと出会います。

そのスピーチが、伝説のスピーチライターと言われる久遠久美の祝辞であることを知ったこと葉は、彼女のもとにすぐに弟子入りをします。久美からの教えを受けていく中で、「政権交代」を声高に叫ぶ野党のスピーチライターに抜擢され……。

著者
原田マハ
出版日
2013-06-07

ここが見所

人を感動させる言葉は、どこから、どのようにして生まれるのか。スピーチというのは、共感を呼べるかどうかが大きな鍵となるものですよね。さまざまな場面でのスピーチで悩まれた方、いらっしゃるのではないでしょうか。
 
この作品では、スピーチという形式を通しながらも、どうやって自分の気持ちを相手に伝えるかということを教えてくれます。普段の生活や仕事をする中でも重要視される、大切なことですよね。

誰かに何かを伝えたいときに読んでほしい、感動のお仕事小説です。

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4位:映画が引き起こす、奇跡の物語。映画好きは必読!『キネマの神様』

あらまし

39歳で独身OLの歩は、突然会社を辞めてしまいます。しかし、それと同時に「映画」と「ギャンブル」を趣味としている父親が倒れたことで、多額の借金があることが発覚。

これからどうしようと頭を抱えていたある日、父が雑誌「映友」に、歩が書いた文章を投稿します。なんと、それがきっかけで歩は編集部に即採用。そして、父の趣味である映画についてのブログをスタートさせることになるのです。 

著者
["原田 マハ"]
出版日

ここが見所

多額の借金、という崖っぷちの状況を助けてくれたのが、父の趣味である「映画」と娘・歩の「文章力」です。芸は身を助けるとはよく言ったもので、ギャンブルはともかくとして、映画をたくさん観ていたがゆえに起きた奇跡と言えます。

まさに、「無職の娘とダメな父。ふたりに奇跡が舞い降りた!」というキャッチコピーがぴったりな物語です。

作中には数多くの映画が登場してきます。観たことのない映画に出会えるのも、『キネマの神様』を読む醍醐味のひとつ。また、昔観た懐かしいあの映画を、この作品を読んだ後にもう一度観てほしいです。

人生にむだなことは何もない。何かに情熱を燃やすことが、きっと何かの役に立つ。そんなことを教えてくれているような気がします。そしてこの作品が胸を打つのは、原田マハ自身がそのような生き方をしていきているからなのでしょう。

今、夢中になっているものがある人や、諦めたくない夢を持っている人に贈りたい、奇跡を呼ぶ作品です。

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5位:夢は、世界平和『翼をください』

あらまし

カンザス州の田舎町。そこで生まれ育った主人公エイミー・イーグルウィングは、女性パイロットとして、初めて大西洋横断飛行を達成させるなどといった、多くの記録を打ち立てていました。

大空を自由に飛ぶことが大好きなエイミーは、ふと空上から見える地平には国境が存在しないことを知りました。そして、「世界平和のために飛ぶ」という強い気持ちから、彼女は「ニッポン号」で世界一周に挑戦することを決意します。 

著者
原田 マハ
出版日
2015-01-24

ここが見所

本作では世界平和がテーマとなっています。自分の行動で、もっと平和な世界にすることを目標に、困難に立ち向かっていく主人公の姿は圧巻です。

人々を幸せにしたい。自分の行動で世界を平和にしていきたい。これは多くの人が夢見て、目標としていることだと思います。ただ、実際に行動をおこしていける人は少ないのではないでしょうか。作中のエイミーは、強い意志をもって果敢に挑戦することの大切さも、同時に教えてくれるでしょう。

なんとなくあと一歩が踏み出せないな、と感じている方、原田マハの『翼をください』を読んでみてください。あと一歩の勇気が湧いてくる一冊であること、間違いなしです。

6位: ひきこもりの青年が、人とのつながりの大切さに気づく『生きるぼくら』

あらまし

いじめによって、ひきこもるようになった24歳の麻生人生(あそうじんせい)。ある日、年賀はがきの束だけを残し、長年頼りにしてきた母親が突然いなくなってしまいます。ふと、その中の一枚に見覚えのある名前を発見し……。

そこには意味深な、「もう一度会えますように。私の命が、あるうちに」という言葉が。これはマーサばあちゃんからの年賀はがきだろうかと思い、4年ぶりに外の世界へ踏み出します。祖母の住む蓼科へ向かった人生を待っていたのは、米作り……⁉ 

著者
原田 マハ
出版日
2015-09-04

ここが見所

ひきこもりが長年ぶりに外に出る。それには相当な勇気がいるのは、想像に難くありませんよね。しかも、いじめが原因というのですから、なおさら人との関わりを持ちたくないと考えるはずです。

しかし、それを乗り越えて主人公は慣れない外に出て、祖母の家を目指していきます。そして、たどり着いた先で米作りという仕事を通して、「食べることの喜び」を感じていき、次第にそれは「生きる喜び」へとつながっていく……。人の温もりに触れ、人生が大きく成長していく姿に、改めて人とのつながりの大切さを感じます。

日々の仕事に追われて疲れを感じている方、また人間関係で悩んでいる、すべての方に読んで頂きたい一冊です。文庫本の表紙は東山魁夷の作品『緑響く』。キュレーターとしても活躍している原田マハのセンスが光ります。

7位:原田マハだからこそ織り成せる印象派の世界『ジヴェルニーの食卓』

あらまし

この作品に登場するのは、モネ、マティス、ピカソ、セザンヌといった印象派の世界を築きあげてきた4人の巨匠たち。彼らの知られざる葛藤や人生ドラマが、アートを知り尽くした原田マハによって、色鮮やかに表現されています。

作中には、有名な絵画が数多く登場します。例えば、この作品の表紙にもその一部が使われている、モネの睡蓮は知っている方も多いのではないでしょうか。頭の中で、それらの絵を思い浮かべながら物語を読み進めることができ、上質な味わいをもたらしてくれます。 

著者
原田 マハ
出版日
2015-06-25

ここが見所

史実に基づいたフィクション、とは書かれているものの、本当にその景色や芸術家たちのやりとりがあったかのような再現性で、本当に驚かされます。

原田マハのこの作品を読み、改めて印象派の芸術を鑑賞すると、また違った見解が得られるでしょう。アートが好きな方も、印象派を知らなかった方も、ぜひ手にとって読んでみてください。

8位:原田マハがくれる心のサプリメント『風のマジム』

あらまし

この作品は、派遣社員として働いている主人公が沖縄県で栽培をしているサトウキビを使用しラム酒を作ろうという企画を社内ベンチャーコンクールに応募し完成にいたるまで奮闘する物語です。

はじめは、一筋縄ではいかず、意地悪な先輩がいるなど、協力してもらうことが難しく主人公も思い悩みます。しかし、主人公は持ち前の明るさ、ガッツ、そしてタイトルにも使用されている真心という意味のマジムで人々は心を動かされていき、数々の困難を乗り越えていくのです。 

著者
原田 マハ
出版日
2014-08-12

ここが見所

主人公を支え続けたおばあの存在はこの物語に欠かせません。企画書を仏壇に備え必死で祈ってくれたり、時には厳しい言葉をかけて主人公を奮起させたり、作中からたくさんおばあの愛情を感じます。

この作品はモデルが存在しており、実際に、一念発起してラム酒醸造を成し遂げた方の実話に基づいて執筆した作品だそうです。日々、仕事や叶えたい目標がうまくこと進まず、悩む方も大勢いるかと思います。その時に、この作品を読むと実際に起こったことをベースにしているということもあり、自分ももう少し頑張れば、うまくいくのではないかと元気付けられ、前向きになれるような気がします。皆さんも一度読み、ぜひ自分の心のサプリメントにしてはいかがでしょうか。

9位:原田マハが描く音楽の力『永遠をさがしに』

あらまし

楽器を演奏するということではなく、何かを伝えたいという気持ちを楽器と一つになって表現する、そうなったときにはじめて音楽を通して思いが伝わるのではないでしょうか。そんな音楽の力を原田マハが『永遠をさがしに』で伝えてくれています。

和音は国際的に有名なオーケストラの指揮者である父とオーケストラのチェロ奏者であった母を両親に持つ高校生です。音楽家の両親を持つ家庭ではよくあるように、和音も4歳のときからチェロを習わされていました。

あるとき、飼っていた鳴かないカナリアである「トワ」がいなくなってしまいます。それからしばらくして母もいなくなりました。父と母は離婚したのでした。母は出ていくとき和音には何もいわず、チェロだけを残していってしまいます。和音は置いて行かれたという気持ちを抱き続けるのです。

高校生になり、学校から帰宅すると「母」と名乗る女性が家にいました。父との再婚相手の真弓でした。真弓はこれまで和音が出会ってきたどんな女性とも違っていました。特に和音の世話をするわけでもありません。そしてはっきりと和音に対し思ったことを言うのです。暖かい言葉もあれば厳しい言葉もあります。和音は突然母になった真弓に戸惑いつつも、段々と真弓に対し心を開いて行くのです。そして、これまであえて避けていたクラッシック音楽やチェロにもう一度向き合っていくことになります。

著者
原田 マハ
出版日
2016-02-05

ここが見所

和音から音楽の持つ力を引き出す真弓のパワーや思いやりは、破天荒ではありますがとても温かいものを感じることができます。そして、どうせ無理じゃん、あるいは遅すぎるよといった気持ちを吹き飛ばし、力強く前に進んでいくように後押ししてくれるのです。

進んでいる道に迷いがでたときや、もうこれ以上無理、なんて諦めかけてきたときにぜひ読んでみてください。きっと顔をあげて笑顔になれると思います。

10位:原田マハが創り上げる旅『旅屋おかえり』

あらまし

旅は、受け入れる人の日常にも刺激を与え、区切りをつけます。旅人も受け入れる人も、過去の思い出や時間をかけて積み重ねてきた日常に一度区切りをつけるのです。そうすることでそれまでのわだかまりやつらい思い出にも区切りをつけることができます。区切りをつけることで、人生に別の彩(いろどり)を添えたり、これまでとは異なる視点を与えたり、受け取ったりできるのです。

著者
原田 マハ
出版日
2014-09-19

ここが見所

『旅屋おかえり』は「旅屋」である「おかえり(通称)」の物語です。「旅屋」とは依頼者に代わって旅に出て、その旅で得られた映像や、出会った人々との思い出を成果物にしてお届けする生業(なりわい)です。「おかえり」は「丘えりか」の通称で、「おか・えりか」を略して「おか・えり」となります。

旅屋を始めたきっかけは、元アイドルのおかえりが唯一レギュラー出演していたテレビ旅番組がスポンサー都合で番組終了になったことでした。番組の熱心なファンのたっての依頼で始めた旅屋は、依頼者の想いに応えて継続していきます。

ある依頼は、以前出演していた旅番組の最後のスポンサー会社・会長からのもの。この旅は、おかえりが所属する事務所社長の元妻も巻き込む旅となります。この旅も「おかえり」の「旅を楽しむ」という素直な気持ちに導かれて、依頼者の想いを超える成果をもたらします。

原田マハは『旅屋おかえり』を通して、依頼者の気持ちに寄り添った旅を創り上げます。その旅がおかえりや登場人物に新たな気持ちを芽生えさせ、次の旅へとつなげていくのです。


いかがでしたか?原田マハはアート関連の小説だけではなく、幅広いジャンルの作品を書いています。登場人物や、彼らが生きる環境は身近に感じられるものが多いと思いでしょう。ぜひ、今の自分の気持ちにあった原田マハの作品を選んで読んでみてください。明日をハッピーに生きるヒントが得られるかもしれません。

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