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迫る「働き方改革」に向けてマインドセットするためのおすすめ本5選

更新:2020.11.26 作成:2017.12.12

「自分の働き方はこのままでいいのか」と、不安や疑問を抱えている方。それは、働き方の「未来像」を描けていないこと、また「働き方改革の背景」を分かっていないことが主な理由でしょう。そこでこの記事では、まずは分かりやすく働き方改革のポイントを押さえ、その後、自分だけのキャリアをつくるためにとても参考になる本5冊をご紹介します。

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働き方改革とは、分かりやすく言うと?

「働き方改革」という言葉をよく聞くようになりました。ただ、それがどんなことを表しているのか、ピンとこない方もいるのではないでしょうか。まずは簡単にご説明します。  

そもそも働き方改革とは、長時間労働など、「長年日本企業の慣習となっていた課題を是正しようという動き」のことです。昨今ブラック企業問題や電通社員の過労自殺などが取り上げられたことで、世間でも急激にクローズアップされています。

具体的には、企業ごとに残業時間の上限設定や、有給取得率の向上、週休3日制の検討などを行い、「労働者のワーク・ライフバランスを尊重する働き方の構築」を目指しています。2017年2月から政府主導で始まった、月末金曜日に仕事を15時に切り上げ、消費を活性化しようとする「プレミアムフライデー」もその一環です。

IT技術の発達によって、一般社員でも在宅勤務やテレワークができる環境になりました。このような、今までの枠組みではできなかった自由な働き方を推進し、また、企業として生産性の向上を図るのが「働き方改革」なのです。

働き方改革の背景とは?

「働き方改革の背景」にあるのは、①生産年齢人口の減少、②テクノロジーの急速な進化、③アタリマエの変化、です。

まず、①生産年齢人口(15~64歳)の減少ですが、これは単に減少しているだけでなく、総人口の減少を上まわるペースで減少していることが問題視されています。簡単に言うならば、「働き手が減って、その他の人口を支えられるのか?」ということです。

これには2つの解決アプローチがあります。1つは「生産性の向上」であり、働き手が減っても生産性(効率)が上がれば人口を支えるだけの価値を出せる!という考えです。そしてもう1つは「働き手の増加」です。女性の活用、高齢者の活用、外国人の活用など、それぞれメリットもデメリットもありますが、検討されています。なお、この中では「高齢者の活用」が今後の人口拡大も大きく、そもそも65歳以上を高齢者と定めていて働けないものとしていること自体が昔の考え方だということもあり、有望視されているようです。

次に、②テクノロジーの急速な進化ですが、これによって「従来の仕事がなくなる」可能性がある一方で、前述の「生産性の向上」にも寄与しますし、また「新たな(まだ見ぬ)仕事ができる」可能性も大いにあります。この「テクノロジーの進化による働き方改革」については、その概要や具体事例が、後に紹介する本のいくつもに詳しく書かれているため、ここでは割愛します。

最後に、③アタリマエの変化ですが、抽象的なようでいて実は大事な視点です。人は慣れる生き物なので、環境やテクノロジーが急激に変化したとしても大衆はなかなか変わらないものなのですが、たび重なる問題提起で「アタリマエ」という「空気」が変化したときに、急激な変化が起こります。昨今のブラック企業問題や過労自殺を端とした報道の数々は、今までのアタリマエを変えつつあるため、ここから急速に「働き方改革」が進む可能性はあるでしょう。この潮流の変化には注目していた方がよさそうです。


さて、「働き方改革」と言っても、労働者一人ひとりが「これからどうするべきか」はそれぞれです。自分自身の働き方を見直すためにも、それぞれに「これから働き方のヒント」をくれる本をここからご紹介していきます。

人生100年時代の働き方

本書は、著者であるリンダ・グラットン氏が「働き方」をメインに「未来を予想」し、そのために必要な「働き方のシフト」を示しています。他著で「人生100年時代にどう生きるか」を示していることもあり、著者ならではの視点が満載です。

著者
リンダ・グラットン
出版日
2012-07-28

本書はまず、これからの仕事人生では大きく「3つのシフト」が必要だと訴えます。そのうちの1つが「ゼネラリストから連続スペシャリストへ」というシフト。日本企業によくある「総合職」というのはここでいう「ゼネラリスト」ですが、それが通用する時代はもう終わりを告げ、各自が複数の分野で専門性を持ちながら、人生の時期によって使い分けていくことが求められるというのです。

著者は、シフトできなかった場合の例として、分刻みのスケジュールをひたすらこなすだけの暗いストーリーを描きます。漫然と未来を迎えてしまえば、発達したインターネットのせいで24時間365日仕事に追われる人生にもなりかねません。

そんな暗い未来の一方で、テクノロジーに振り回されない、主体的な未来のストーリーも用意されています。3つのシフトを果たすと、よりクリエイティブな人生を送ることができるというのです。

どんな職業にある方にも応用可能なシフトを記した本書は、知らないと知っているとで大違い。多くのビジネスパーソンにおすすめの1冊です。

2024年までに、会社が一度死ぬ!?

『未来から選ばれる働き方』は、経営コンサルタントの神田昌典氏と、企業経営者の若山陽一氏の共著です。特に衝撃的なのは、第1章冒頭で語られる「2024年までに会社は一度死ぬ」という言葉です。これが神田氏の見る日本の未来像。AIやテクノロジーの進化によって、会社の姿は変わり、従来の形態の企業はなくなると予言しています。どういうことでしょうか?

著者
["神田 昌典", "若山 陽一"]
出版日
2016-04-19

今までは、「会社が個人の未来を描いてくれていた」ので、個人は自分の未来について考える必要がありませんでした。ですが、会社が死んでしまうとなれば、自分でキャリアを決めて「未来から選ばれる働き方を選択」する必要が出てきます。そのための指針を示してくれるのが本書です。

会社が一度死んでどうなるのかというと、もっと柔軟な組織体に生まれ変わるといいます。2016年にシャープが台湾の鴻海という企業に買収されたり、2017年では東芝が巨額損失の問題で追い込まれているところを見ると、「一度死ぬ」ということの実感がわいてきます。

この「生まれ変わる」ためのきっかけとして、現在の「働き方改革」があるのかもしれません。この改革を乗り越えずして、会社に未来はないのでしょう。会社の中の自分、社会の中の自分を考えるのに最適な1冊だと言えそうです。

制度を変えても働き方は変えられない

会社が働き方改革を進めようとすると、どうしても従来の延長で考えてしまい、制度や仕組みを変えることに終始してしまいます。働き方改革の目的が、制度を変えること自体にすり替わってしまえば、適用範囲が狭く使いづらい福利厚生制度ができあがり、そんなことだったら変えなくていいじゃないかと不満が噴出する結果となるでしょう。著者の越川氏はそれを危惧しています。

著者
越川 慎司
出版日
2016-11-30

この指摘は、まさに今の産休・育休制度や、時短勤務制度などに言えることではないでしょうか。これら制度が「例外」として扱われる限り、企業文化は変わっていきません。

そこで本書では、「アチーブモアのワークスタイル改革」を提唱しています。「アチーブモア」とは、「今よりもっと多くのことをできるようにする」という意味の言葉。その一例として、クラウドサービスやテレワークを柔軟に活用する方法が挙げられています。

今まで通り働く人もいれば、自分に合ったスタイルで働く人もいて、相互がしっかりと結果を出していく。これは働く人の意識を変え、日本企業の生産性の低さを改善することにもつながります。

いち早く働き方改革に着手した「日本マイクロソフト」の事例や、著者自身のワークライフバランスの取り方も記されており、そこからは重要な示唆が読み取れるでしょう。

教育家が教える、逸材になる方法

本書の著者は、杉並区和田中学で日本初の民間校長を務め、「よのなか科」などの授業を新設し行った実績を持つ、教育改革実践家・藤原和博氏です。本書によれば、今後生き残るためには、「100万人に1人の存在になる」ことが必要だと言います。ではどうすれば、100万人に1人の存在になれるのでしょうか。

著者
藤原 和博
出版日
2015-12-26

その答えは、3つの才能の掛け算。自分の得意な3つの分野でそれぞれ100人に1人になれれば、100×100×100で100万人に1人の存在になれるというわけです。「才能の三角形をつくること」とも表現されています。1つだけだと点、2つだと線ですが、3つになるとはじめて面になり、目に見えて価値が出るのです。

藤原氏はまた、人生プランを描くなら「富士山型」ではなく「八ヶ岳型」で描けと説きます。そびえ立つただ1つの山をみんなが登れば、大多数の人が競争に漏れる。これからのキャリアは、八ヶ岳連峰のように複数の山をそれぞれの方法で渡り歩く姿勢が必要だということです。

教育家らしく、視点は鋭いながらも一般読者にもイメージしやすい表現がされており、するすると読み進められる1冊です。

対話で描かれる、個人の働き方ビジョン

本書は、社会全体が変わる中で「個人としてやるべきこと」を、「僕」と「紳士」の対話を通して教えてくれます。「僕」のもとに突然現れた「紳士」。彼は「人生の成功者」であり、「僕」にとってこれから必要になる教えを授けてくれます。

急速に変わり続ける先の見えない時代に必要な考え方とは何なのでしょうか。

著者
山口 揚平
出版日
2015-07-11

「僕」に対して「紳士」がはじめに言う言葉が、「成功の秘訣は成功するまでやること」でした。しかしこれだけでは、あまりにもよくある精神論。納得はしにくいですよね。ところが次に続く言葉がポイントなのです。「だから続けるための仕組みをつくらなければならない」。

続けるとはただ「やる気を出して頑張る」だけでできることではなく、成功するまで続けるための「仕組みづくり」を行うことこそがコツなのです。そこを理解して、戦略的に設計していかなければいけない。もちろんその後、言葉だけではなく、具体的な手法も教えてくれます。

また、最後に判明する「紳士」の正体を知ったとき、それまでの言動の意味がすべて理解できるはずです。『嫌われる勇気』などと同様、ストーリー仕立ての対話形式の本なので、読み進めやすく、内容もどんどん頭に入るでしょう。著者の専門である貨幣論や情報化社会論のエッセンスも豊富に入っており、幅広い知識も得られること請け合いです。