PDCAサイクルのコツをつかめる5冊の本。効果的にまわせていますか?

更新:2021.12.17

PDCAサイクルは、基本的なフレームワークとして知られていますが、実際にまわせているという自信のある人は案外少ないのではないでしょうか。効果的に活用するためには、実践している人から学ぶことが一番。そこで具体的な行動を学べる本をご紹介します。 また、本作は「flier」で無料で概要を読むこともできます。さまざまなビジネス書、教養書を10分で読めるスマホアプリなので、時間がない方、ご自身で概要を知りたい方はまずはそちらで読んでみてはいかがでしょうか?

ブックカルテ リンク

PDCAサイクルとは?

PDCAサイクルとは、戦後に提唱された問題解決のフレームワークです。何か解決したい問題があるときや、物事を前に進めたいときに、計画を立てて実行していくプロセスを端的に表しています。ほとんどの人が、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

PDCAサイクルの中身は次の4ステップでできています。
1.Plan(計画)
2.Do(行動)
3.Check(評価)
4.Action(改善)

Actionの次はまた新しいPlanにつながるので、この4ステップが環になっている図で表されます。非常にシンプルであり、SWOT分析やロジックツリーなどの他の代表的フレームワークと比べ、理解しやすい構成であると言えるでしょう。

しかし、あまりのシンプルさゆえに「どのような効果があるのか」や、「各ステップを効果的に行うコツ」などが意識されにくくなることがあるのも事実。知名度が高いわりに、意識して実践したことのある人が少ないのは、そこが原因とも考えられます。

汎用性の高いフレームワークのため、しっかり活用していけば日常のさまざまな面で変化を起こせるはずです。今回はPDCAサイクルを高い質で実践する方法や、習慣化する方法など、より実践につなげやすい本を選びました。
 

1日5分でPDCAサイクルを習慣化!

PDCAをまわすためには、仕組み化することが大切です。そのための1つの方法として、ノートを活用するのが本書のやり方。著者は過去に長時間の残業など、無理な働き方をしており、激太りしてしまったそうです。そんな生活を変えるために考案したのが1日5分でできるPDCAノートでした。

著者
岡村拓朗
出版日
2017-01-07

PDCAノートとは、4本の線で区切られたスケジュール表のようなものです。4つそれぞれの欄に、「Plan」「Do」「Check」「Action」の内容を書き込んでいくだけ。これで少なくとも1日1つのPDCAをまわすことができるのです。ノートに書くことで「見える化」し、行動に落とし込みやすくなっているのが特徴。慣れれば5分程度で記入できるので、じつに簡単に実践できる手法です。

また著者曰く、PDCAをやる前には、「G」が必要だということです。Gとは「Goal(ゴール)」のこと。その先の大きなゴールを決めないことには、1日のPDCAをまわしても無駄な時間になってしまいますし、まわす意味がわからなくなり、習慣化しにくくなります。

ちなみに著者は、自ら開発したこのPDCAノートを実践し、13キロのダイエットに成功。さらに、残業はゼロになり、年収も倍増したというエピソードも。これらは、これから実践する方のやる気に火をつけてくれるのではないでしょうか。
 

仮説と検証を繰り返すことで大きな差となる

『仮説思考』とは、行動を起こす前にまず仮説を立てることを中心に置く考え方です。直感を磨き、筋の良い仮説を立てることができれば、自然と行動もうまくいきやすくなるのです。本書の著者はBCG(ボストンコンサルティンググループ)出身の内田和成氏。

著者
内田 和成
出版日
2006-03-31

本書で重要視されているのが、「仮説と検証のプロセスを繰り返す」こと。1つの事例として、コンビニ最大手・セブン-イレブンが毎日このプロセスを繰り返すことで利益を出してきたという成功例が挙げられています。

日々の仮説と検証のプロセスを繰り返すことで、そこから学びを得て、さらに仮説を深化させることができるのです。これは日々PDCAをまわすことで、Plan、つまり仮説の立て方が熟達していくということ。一読すれば、仮説・検証を行っている企業と行っていない企業では歴然とした差が出る、ということが容易に理解できるはずです。

著者自身がコンサルタントとして数々の業界の経営に携わってきたことから、幅広い分野の事例やケーススタディがたくさん用意されています。自分のいる業界に近いケースを見つけ、応用するのもいいでしょう。
 

いい努力と悪い努力の違いを学ぶ

本書はPDCAのうち、特にDoの質を学べる本です。『いい努力』とは、結果の出る努力のこと。やみくもに時間をかけたり、がむしゃらに突き進むことを推進する時代は、すでに過ぎ去りました。今は常に努力の質を求めることが必要なのです。

著者
山梨 広一
出版日
2016-07-23

仕事というものは、ほとんどの場面で「行動」によって表出します。それだけ重要な「行動」ですが、「素早く実行する」「数多くこなす」だけでは結果は思うようについてこないもの。その質にこだわり、スケジューリングしたり仮説を立てたり、フィードバックを行うことの大切さは、多くの人が感じているのではないでしょうか。

本書では、プロジェクトなどでの努力だけではなく、質の良い会議にするための方法や、効率的な情報収集の方法など、身近なところから使える手法がとにかく具体的に紹介されています。努力が成果につながらず、「努力は報われる」という言葉に違和感を覚えている人は、ぜひご一読いただきたいと思います。いい努力とは何か知ることで、行動(Do)の質が劇的に変化します。
 

高速を超える「鬼速」PDCAとは?

『鬼速PDCA』とは、文字通り鬼のような速さでPDCAをまわしていくという方法です。圧倒的な速さでPDCAをまわすことで周りと差をつけようというメッセージが込められています。

著者
冨田 和成
出版日
2016-10-24

本書ではPDCAの中身が「Plan」「Do」「Check」そして、「Adjust(調整)」とされているのが大きな特徴です。なぜ「Adjust」なのかというと、このフェーズではPDCAを改善するだけではなく、場合によっては中止する判断も行われるからです。それ以上続けても仕方ないという判断が選択肢に含まれるため、まわすこと自体が目的化することを防ぐことができるのです。

著者の冨田氏が代表を務める会社では、3日に1回会議が開かれるそうです。一般的に会議の回数は、週に1回がスタンダードですが、3日に1回にすることで個人のPDCAも、組織のPDCAも早くまわすことになり、成長スピードも上がっていきます。

著者の会社がフィンテック分野のIT企業であるため、組織として超速の成長が求められることが前提にはあるものの、それ以外の業種の方でも、個人的に鬼速PDCAを実践することで周りと差がつくはずです。読者の時間感覚すら変えてしまうようなパワーの感じられる1冊です。
 

失敗が許されない状況でのPDCA

IT起業家であった著者には、想像を絶するような困難(HARD THINGS)が立ちはだかっていました。最大顧客の倒産や、ITバブルの崩壊、3度にわたる大規模な社員の解雇など、挙げればきりがないほどの困難を乗り越えられた背景には、土俵際に置かれても頭と心を使いながら戦う姿勢があります。

著者
ベン・ホロウィッツ
出版日
2015-04-17

PDCAは大小さまざまな問題解決に使えるフレームワークですが、会社の存亡や、自らの生死すらかかった場面でも活用されることがあります。そのような場合、じっくり考えている暇はなく、その場での最善の手を即座に考え、実行しながら次の問題について思いを巡らせなくてはなりません。つまり、PDCAを高速でまわす必要がある、かつ、失敗は許されない、という状況です。本書で著者の壮絶な経験をたどることで、その厳しさがわかるでしょう。

そんな状況では明確にPDCAのステップを意識することはないかもしれませんが、だからこそ、PDCAの本質である「問題解決」とは何かということが鮮明に浮かび上がってきます。過酷な状況ではどうしてもDoのみになりがちですが、そこで考えること(PlanやCheck)を放棄するかしないかが、成否を分けると述べられています。成功する人とは、ここぞというときに踏ん張りがきく人なのです。
 

flierで無料で読んでみる
  • twitter
  • facebook
  • line
  • hatena
もっと見る もっと見る