平野耕太のおすすめ漫画作品ランキングベスト5!ヒラコーワールドがやばい!

更新:2021.12.17

平野耕太はファンの間では「ヒラコ―」と親しみをこめて呼ばれ、ギャグ漫画からバトル漫画まで幅広く手掛けています。そこで今回はこれさえ読めばヒラコ―が分かる!という作品を5作厳選して紹介したいと思います。

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ギャグもバトルもスピード感がすごい漫画家!平野耕太とは

平野耕太は1973年生まれの東京都出身の漫画家です。高校時代から漫画研究部の部長を務めるなど、積極的に執筆活動に取り組んでいました。高校卒業後は専門学校へ進学し、在学中に成人向け漫画雑誌「COMICパピポ」で『COYOTE』が掲載され漫画家デビューを果たします。

一時的にゲーム会社に入社するも数日で退職してしまい、漫画家一本での生活に。デビュー後しばらくは成人向け漫画家として活動してしましたが、後に一般向けの「コミックガム」へ移籍し方向性が一変。ギャグ漫画でコアなファンを獲得し、後のバトル漫画では日本のみならず世界中から注目されるようになり、漫画家としての地位を確立しました。

サブカルの知識は膨大で引き出しはかなり豊富。特にゲームは作中でも評論するほど詳しく、ゲーマーからも一目置かれるほどです。ギャグ漫画ではゲームやアニメのパロディが多く、マニアックすぎて元ネタがほとんど分からないという読者が続出。それでも支持されるのは漫画から生まれる「笑い」によって、作者の魅力が伝わってくるからではないでしょうか。

また彼のツイッターも歯に衣着せぬ物言いで人気を集めています。漫画と一緒にチェックしてみると平野耕太という人間がよく分かり、作品をより楽しめるかもしれません。

5位:ヒラコーワールドの真髄!『以下略』

ゲームショップを舞台にしたオタクでダメな人間の日常を描いたドタバタギャグ漫画です。作者のコアな知識が詰まっており、元ネタが全て分かる人はかなりの強者。まずはこの作品でヒラコ―適正を判断されてみるといいかもしれません。

著者
平野 耕太
出版日
2009-04-28


主人公の名前はヒラノ。作者の分身と思われるキャラクターです。ヒラノを含むゲームショップ「ファンタジィ」のオーナーである3人の男たちはかなりのダメ人間。自分たちが楽しければ仕事も放棄。彼らのせいで辞めそうになるアルバイトを引き止めようと時給を5000円に上げるなど、ツッコミどころ満載の内容です。

作品名や声優も実名でいじってしまうのがヒラコ―流。

「なんで俺が平野綾と結婚できねーんだよ!なんとかしろよ!お前ら!」
(『以下略』より引用)

ヒラノが発した名言(迷言?)ですが、同じ「平野」姓ということもあり、作者の願望が如実に表れてしまった場面です。こうした元ネタいじりが多く、漫画を読んでいるというよりは友達と会話しているような身近な雰囲気がありります。

正直漫画やアニメに詳しくないとおいてけぼりになる可能性がありますが、程々に知っているという方であれば勢いで笑わせてくれます。精通している方にはかなり楽しめる内容なので、ついていける自信がある方は力試しのつもりで読んでみてはいかがでしょうか。

4位: 同人漫画家たちによる権力争い!『大同人物語』

この作品は同人誌を描く漫画家たちの争いを描いた物語。同人誌とは同じ趣味を持つ者同士が集まって作った本のことで、この物語ではその同人誌を巡って争いが繰り広げられています。作者の平野耕太が別の連載を始めた影響で未完のまま中断してしまった、知る人ぞ知る作品です。

著者
平野 耕太
出版日


主人公の木之下友は同人誌即売会であるマンガマーケットに売り手として参加していました。その時プロ作家に暴言を吐かれてしまい不満を持つように。その帰り道で明智慎一に声をかけられ、もうひとりのメンバーである雑賀京一郎とともに、彼らを見返すべく3人で同人誌をつくることになるのです。

人気作が集い大勢のファンが押し寄せる即売会では、当日のみならず準備段階でもトラブルは付き物です。例えば作家同士のぶつかり合いや運営委員会との衝突というような、イベントの裏の顔がまるで戦争のように描かれており、インパクトのある内容になっています。

単行本は1巻しか発売されていませんが、展開が早くキャラクターもたくさん登場しているため1冊でとても濃い物語を楽しむことができます。

3位:ヒラコ―節炸裂!ゲーム好きのための漫画『進め!聖学電脳研究部』

本作の主人公、西新井護は聖学園高校の転校生。ゲーマーである彼はゲームセンターで同じ学校の綾瀬由紀と出会い、彼女が所属する電脳研究部に入ることに。電脳研究部は主にテレビゲームをしていますが、「スパイVSスパイごっこ」や「ギレンの野望ごっこ」など謎の活動にも力を入れています。

著者
平野 耕太
出版日
2003-10-01


この作品も作者のマニアックな趣味が全開の、『以下略』と同じ匂いのする漫画です。当時連載していた「ファミ通SP」に対するあからさまな皮肉や批判にヒヤヒヤさせられる場面が多くあり、読者が心配になるほど自由に描かれています。

その中でもゲーマー読者の気持ちを代弁してくれた言葉があります。

「自分で選べもしねーで流れに乗ってゲーム買う奴なんざセングラでもやってろっての!!」
(『進め!聖学電脳研究部』より引用)

部長である寺門が部長交代の際に西新井に言ったセリフです。セングラとは当時人気のあった恋愛シュミレーションゲームのことで、セリフの意味としては「流行りものよりも自分が好きと思えるゲームをやれ」という熱いメッセージが込められています。

ゲームメーカーや出版社の関係で普通なら気を遣うような部分でもかなり過激に攻めています。大人の事情なんてお構いなしの『進め!聖学電脳研究部』。ゲームに詳しい方は特にあるあるネタとして楽しめる、ヒラコ―にしか描けない作品です。

2位:平野耕太初の本格アクション『HELLSING』

この作品は20世紀末のイギリスを舞台にしたアクション漫画です。ギャグ漫画でオタクっぷりを発揮してきたヒラコ―が、初めて本格的なバトルをメインに描いたヒット作。海外でも評価されるなど、平野耕太の名が広く知られるきっかけになりました。

著者
平野 耕太
出版日

20世紀末、イギリスでは人が行方不明になる事件が多発していました。それはある吸血鬼が起こしたもので、ひとつの村と警察部隊がほぼ全滅する事態に。ただ一人、瀕死状態だった警察のセラスは助けに来たアーカードによって吸血鬼として蘇生され、対吸血鬼機関「ヘルシング機関」に入団することになるのです。

吸血鬼退治をするのが吸血鬼という新しい展開が特徴。そしてナチスや宗教の対立など際どいテーマを取り上げ、今までに見たことのないような過激な表現で読者の心を掴んできます。夢や希望を描いた少年漫画にはない、ダークで大人向けなバトル漫画だと言えます。

狂気を感じる独特のセリフ回しにも強い印象が残ります。

「諸君私は戦争が好きだ。諸君私は戦争が好きだ。諸君私は戦争が大好きだ。殲滅戦が好きだ。電撃戦が好きだ。打撃戦が好きだ。防衛戦が好きだ。包囲戦が好きだ。突破戦が好きだ。退却戦が好きだ。掃討戦が好きだ。撤退戦が好きだ。平原で街道で塹壕で草原で凍土で砂漠で海上で空中で泥中で湿原で この地上で行われるありとあらゆる戦争行動が好きだ」(『HELLSING』より引用)

このセリフは少佐の演説シーン。今回は一部抜粋していますが、原作では13ページにもわたって大迫力で描かれています。そのヒステリックさにゾッとするとファンの中でも特に人気のシーンなので、ぜひ実際に手にとり全ページ読んでもらいたい場面です。

あのギャグ漫画と同じ作者とは思えない、シリアスで内容の濃い『HELLSING』。圧巻の戦闘シーンや独特のセリフ回しで一度読み始めたら止まらない作品。休日に丸一日かけて一気読みするのがおすすめです。

 


『HELLSING』の魅力を紹介した<「ヘルシング」の魅力はキャラの名言にあり!平野耕太のかっこよすぎる世界観>の記事もおすすめです。気になる方はぜひご覧ください。

 

1位:歴史オールスターが生きる新世界。平野耕太の代表作『ドリフターズ』

エルフという異種族が住む世界を舞台に、歴史上の英雄豪傑たちが戦いを繰り広げる歴史ファンタジー。ヒラコ―ならではのギャグパートを交えつつも、『HELLSING』のような本格バトルアクションをメインに描かれた作品です。2016年10月にアニメ化され、さらにファン層を拡大しました。

著者
平野 耕太
出版日
2010-07-07

戦国時代の武将、島津豊久は1600年関ヶ原の戦いにて重傷を負ってしまいました。そのまま山中をさまよっていると突然異様な空間が現れ、謎の人物に異世界へ送り込まれてしまいます。そこで彼を待っていたのは死んだはずの織田信長と弓の名人那須与一でした。この世界を生き延びるために歴史上ではありえないこの3人が手を組み、共に戦うことになるのです。

この作品は敵も味方も歴史上の偉人が勢ぞろいで、かなり豪華な顔ぶれになっています。歴史ファンからするとこういった偉人を登場させる作品は批判が出ることもありますが、『ドリフターズ』で否定的な意見はほとんど見られません。作者の目の付けどころと良い意味でぶっとんだ内容が支持され、歴史ファンも納得の大作だと言えるのではないでしょうか。

実際の織田信長は頭の切れる戦術家だったということは知られていますが、本作でもその頭脳派な一面はセリフから読み取ることができます。

「尊厳がなくとも飯が食えれば人は生きられる。飯がなくとも尊厳があれば人は耐えられる。だが両方なくなるともはやどうでもよくなる。何にでも頼る。散々おれが一向一揆にヤられた手じゃもの。国をかっぱらうには一番の手よ。」
(『ドリフターズ』から引用)

戦いでエルフの村人たちの協力を得るために、畑に火を放った時の信長のセリフです。自身の経験から人の思考を先読みし、見事に村人たちを動かすことに成功しました。

残酷な描写もあるので比較的大人向けな作品です。しかしその合間にはクスリと笑えるギャグパートも挟んであり読んでいて疲れません。ジャンヌダルクや土方歳三など、現代では英雄として語られている人物が敵として登場するといった設定も楽しめると思うので、一度は読んでおきたい作品です。

『ドリフターズ』については<漫画『ドリフターズ』最新刊5巻までの見所をネタバレ紹介!>の記事で紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。

読めば分かるヒラコ―ワールドの魅力。決して王道ではなくオリジナリティを感じさせてくれます。深く考えさせられる内容に、かなり攻めたギリギリの描写。世界中から評価される理由がここに詰まっているのではないでしょうか。またギャグ漫画とバトル漫画の温度差を楽しんでもらいたいので、1作と言わず何作も読んでみることをおすすめします。

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