お気に入りの小説にWEAVERの曲で主題歌をつけるとしたら?【河邉徹】
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お気に入りの小説にWEAVERの曲で主題歌をつけるとしたら?【河邉徹】

更新:2017.3.17 作成:2017.3.17

どうも!WEAVERのかわべです! 1年以上続けてきた連載ですが、今回で一旦休止とさせていただきます。 これまで僕の記事を読んで下さったみなさま、ありがとうございました!  また折を見て書かせていただきますので、よろしくお願いします。

河邉 徹プロフィール画像
バンド「WEAVER」Dr/Cho
河邉 徹
2004年、兵庫県にて杉本雄治(Piano/Vo)、奥野翔太(Ba/Cho)と共にWEAVER結成。。2007年、現編成の3ピース・ピアノバンドとしてライブハウスで活動をスタート。2010年4月より本格的に活動を開始するため上京。6月にリリースした「Hard to say I love you~言い出せなくて~」はサウンドプロデューサーに亀田誠治を迎えての初めてのパッケージシングルとなった。同年にはアルバム『新世界創造記・前編』『新世界創造記・後編』と2作連続でリリース。2012年3月からは全国31カ所33公演、『WEAVER Live House TOUR 2012「Piano Trio Philosophy ~do YOU ride on No.66?~』を開催。2013年にはアルバム『Handmade』を発表。その後、半年間の英ロンドン留学(2014年1月~7月)や、全国ツアー2本、また2015年夏は全国各地のフェス・イベントにも約10本出演するなど、精力的な活動を行ってきた。同年10月からは全国10カ所のホールツアーを敢行。2016年2月には待望のオリジナルアルバム『Night Rainbow』をリリース。12月にはWEAVER初の自主企画対バンツアー『Music Holiday vol.1 〜対バン始めました〜』を開催した。2017年春にはリリース&ライブハウスツアーが決定している。 http://www.weavermusic.jp/
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さて、今回は一風変わったカタチで、オススメの本をまとめてみようと思います。読んだ小説に、勝手にWEAVERの曲で主題歌を付けてしまおうという試みです。

僕が歌詞を書く時にインスピレーションを受けたものや、後から読んでこの小説とこの曲の世界観は合うな、と思ったものをまとめてみました。

音楽も小説も大好きという方には、どちらも同時に楽しんでもらえるのではと思います。 作家の方々の意向とはまったく関係なく、勝手に僕がまとめたものですので悪しからず!
では、どうぞ。

『あのとき始まったことのすべて』 主題歌 「AMI」

著者
中村 航
出版日
2012-06-22
中村航さんの、再会から始まるラブストーリーです。中村さんと以前対談した時にも話しましたが、この小説と「AMI」は、再会で恋が始まるという点で似た世界観を持っています。

25歳の岡田くんは、中学生の頃の同級生である石井さんと10年ぶりに再会を果たします。思い出話に花が咲き、2人は恋人同士に……というのが想像されるストーリーかもしれませんが、すべてがそんなに上手くいくわけではありません。大人の2人には、中学生の頃から変わらないものもあれば、変わったものもあります。

ただ、小説後半で“彼女と会わなかったら、見ることのなかった光景がたくさんあった”“彼女とでなければ持つことのできなかった感情や情熱が、溢れるほどにあった”とあるように、どんな結末であれ、その再会がなければ過ごすことのできなかった時間があり、それが2人にとって掛け替えのないものであることがわかります。

小説は5章に分かれており、別の中学時代の同級生の視点から過去を読み解くことのできる章もあります。この変わった構成が、物語に深く浸り込める要素になっています。

「AMI」も、再会から始まるラブストーリーではありますが、すべてが上手くいくわけではなく2人がこれからどうなるかはわからない、という点にこだわって書いたので、是非聴いてみてください。

『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』 主題歌 「トキドキセカイ」

著者
七月 隆文
出版日
2014-08-06
昨年映画も公開された、今話題の恋愛小説です。京都の美術大学に通う高寿は電車で1人の女性、愛美に一目惚れします。高寿は勇気を出して声をかけることに成功し、2人は距離を縮めていきます。どこを切り取っても完璧に可愛くて綺麗な彼女ですが、実は大きな秘密を抱えていました。

読み始めると続きが気になってページをめくる手が止まらなくなる小説で、文章も読みやすいので、多くの人が読み始めたその日中に読み終えてしまうのではないでしょうか。彼女が抱えている切ない秘密を、是非小説で知ってください。秘密を知った後、また最初から読み返したくなる小説です。

「トキドキセカイ」は僕が学生の頃に書いた歌詞で、心の強さが、時間などこの世界にある動かせないはずの法則さえも突き破っていくような、解放感を目指して書きました。ストーリーとしては「君と僕が出会えたのは、君が生まれてくるタイミングを狙って僕が生まれてきたからだよ」という趣旨の歌詞です。

“初めましての再会”というフレーズが歌詞に出てきますが、それもこの小説にぴったりだと思いました。

『イニシエーション・ラブ』 主題歌 「Wake me up」

著者
乾 くるみ
出版日
2007-04-10
乾くるみさんによる、80年代が舞台の恋愛小説です。映画にもなっており、映画ではこの80年代の世界を映像と音で体感できます。

僕は大学生の頃にこの小説を読みました。当時周りの友達みんなも読んでいて、とても流行っていました。恋愛小説ですが、最後まで読むと驚きの事実が判明し、また一から読み直したくなるようなミステリーの要素もある小説ですね。

「Wake me up」は、昔の恋人のことが忘れられず、今付き合っている恋人のことを本当に好きになれないという歌詞です。昔の恋からwake me upという、なんとも身勝手な男性のストーリーですが、それは『イニシエーション・ラブ』というタイトルにも、親和性を感じます。物語の中で、昔の恋人のことを「イニシエーション(通過儀礼)」だったという表現がありますが、それは、永遠と思える恋は失うことも含めその役割を果たしているのだという考え方です。

「Wake me up」はストーリーだけでなく、サウンドも80年代を彷彿とさせるものになっているので、この小説の世界観にぴったりです。どちらも楽しんでもらえると嬉しいです。

『ソラニン』 主題歌 「夢じゃないこの世界」

著者
浅野 いにお
出版日
2005-12-05
浅野いにおさんの漫画で、宮崎あおいさん主演の映画でも知られています。 大学を卒業して社会人になった種田と芽衣子は、学生時代から長年付き合っている恋人同士で、同棲をしています。

種田は学生時代からのバンドを、続けていく勇気を持つことも辞める決断もできず、月に2回スタジオにバンドメンバーで集まっていました。 芽衣子は会社に勤めていましたが、うまく馴染むことができず、閉塞感から抜け出す為に辞めてしまいます。

この漫画はそんな2人が、社会に縛られずに夢を追いかけていきたいという気持ちと、暮らしていかなければならないという現実の狭間でもがきながら、それでも生きていこうとする物語です。

セリフや感情の描写が文学的で、普段漫画よりも小説を読むのが好きという方にも読んでもらいたいです。

この本にある、保証のない未来でも2人ならきっと、という世界観は、「夢じゃないこの世界」の歌詞を書く時にインスピレーションを受けました。この曲の歌詞は、ささやかな暮らしの中で、眠りながら夢を見て微笑んでいる君に、夢じゃないこの世界でも幸せにしてあげたいと願うストーリーになっています。

是非、『ソラニン』を読んだ後に聴いてみてください。