さて、今回は一風変わったカタチで、オススメの本をまとめてみようと思います。読んだ小説に、勝手にWEAVERの曲で主題歌を付けてしまおうという試みです。
僕が歌詞を書く時にインスピレーションを受けたものや、後から読んでこの小説とこの曲の世界観は合うな、と思ったものをまとめてみました。
音楽も小説も大好きという方には、どちらも同時に楽しんでもらえるのではと思います。 作家の方々の意向とはまったく関係なく、勝手に僕がまとめたものですので悪しからず!
では、どうぞ。
『あのとき始まったことのすべて』 主題歌 「AMI」
中村航さんの、再会から始まるラブストーリーです。中村さんと以前対談した時にも話しましたが、この小説と「AMI」は、再会で恋が始まるという点で似た世界観を持っています。
25歳の岡田くんは、中学生の頃の同級生である石井さんと10年ぶりに再会を果たします。思い出話に花が咲き、2人は恋人同士に……というのが想像されるストーリーかもしれませんが、すべてがそんなに上手くいくわけではありません。大人の2人には、中学生の頃から変わらないものもあれば、変わったものもあります。
ただ、小説後半で“彼女と会わなかったら、見ることのなかった光景がたくさんあった”“彼女とでなければ持つことのできなかった感情や情熱が、溢れるほどにあった”とあるように、どんな結末であれ、その再会がなければ過ごすことのできなかった時間があり、それが2人にとって掛け替えのないものであることがわかります。
小説は5章に分かれており、別の中学時代の同級生の視点から過去を読み解くことのできる章もあります。この変わった構成が、物語に深く浸り込める要素になっています。
「AMI」も、再会から始まるラブストーリーではありますが、すべてが上手くいくわけではなく2人がこれからどうなるかはわからない、という点にこだわって書いたので、是非聴いてみてください。
『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』 主題歌 「トキドキセカイ」
昨年映画も公開された、今話題の恋愛小説です。京都の美術大学に通う高寿は電車で1人の女性、愛美に一目惚れします。高寿は勇気を出して声をかけることに成功し、2人は距離を縮めていきます。どこを切り取っても完璧に可愛くて綺麗な彼女ですが、実は大きな秘密を抱えていました。
読み始めると続きが気になってページをめくる手が止まらなくなる小説で、文章も読みやすいので、多くの人が読み始めたその日中に読み終えてしまうのではないでしょうか。彼女が抱えている切ない秘密を、是非小説で知ってください。秘密を知った後、また最初から読み返したくなる小説です。
「トキドキセカイ」は僕が学生の頃に書いた歌詞で、心の強さが、時間などこの世界にある動かせないはずの法則さえも突き破っていくような、解放感を目指して書きました。ストーリーとしては「君と僕が出会えたのは、君が生まれてくるタイミングを狙って僕が生まれてきたからだよ」という趣旨の歌詞です。
“初めましての再会”というフレーズが歌詞に出てきますが、それもこの小説にぴったりだと思いました。