とにかく熱い!青春ど真ん中の野球漫画のランキングです。野球漫画は本当に多いですよね。そんな中から、心揺さぶられる野球漫画を選んでみました。
『キャプテン』の舞台は中学野球部です。野球の名門中学である青葉学院から墨谷二中に転校してきた主人公の谷口タカオは青葉学院では2軍の補欠でした。しかし、墨谷二中の野球部メンバーは青葉学院野球部にいたというだけで、タカオのことをすごい選手と勘違いしてしまい、過度の期待を掛けられてしまいます。「実は2軍の補欠だった」となかなか言い出せないタカオは、影でたくさんの練習を積み重ね……。
- 著者
- ちば あきお
- 出版日
タカオの実力と努力にいち早く気づいたキャプテンは、引退と同時にタカオを次期キャプテンに任命します。控えめな性格から、当初戸惑いはあったものの、やがてキャプテンシーに開花し、過酷なスパルタ練習でとうとう青葉学院と互角の勝負をするチームを作り上げました。
タカオの卒業後も世代が変わる毎に丸井、イガラシ、近藤と新しいキャプテンに変わりそれぞれのやり方でチームを強くしていきます。
キャプテンとはどうあるべきか、どうすればチームをまとめることができるのか、それぞれの代で様々な困難に直面しながらも、野球部を強くするために頑張る中学生の姿に、懐かしさを感じる作品です。
まっすぐのストレートが投げられない主人公の沢村栄純は、野球の名門「青道高校」に入学します。全国から集められた野球エリート達の中で、ムービングボールを特技とした沢村がエースを目指し奮闘します。
- 著者
- 寺嶋 裕二
- 出版日
- 2006-09-15
強豪野球部が集まる東京地区で、青道高校も過去に甲子園出場経験のある名門野球部です。全国から野球の為に集められた生徒達は寮で共同生活を送り(実家から通っている人もいます)、朝から晩まで文字通り野球漬けの毎日を送っています。
しかし、それ程野球に情熱を注いでも、みんながみんな甲子園に出場出来る訳ではありません。当然、他にも同じような強豪校はありますし、チーム内にもレギュラーを奪い合うライバルがたくさんいます。強豪校だけに野球部の人数も多く、3年間ベンチにすら入れない選手も大勢います。
長いようで短い高校生活で、思い出は野球だけというほど野球に心血を注ぐ高校球児たちの熱い物語です。熱い野球漫画はたくさんありますが、本作は選手一人一人が抱える悩み、それに立ち向かう努力、共同生活をすることによって生まれるライバル心や嫉妬心、さらには他校のライバル選手の思いなどが繊細に描かれています。
『ダイヤのA』は沢村の1年間しか描かれていませんが、2年生になると『ダイヤのA act2』に続きます。もちろん、『ダイヤのエース』だけでなく、act2も併せて読むのがおすすめです。
主人公が高校野球の監督という、今までありそうでなかった設定になっています。試合だけでなく、高校野球の舞台裏や、練習方法なども緻密に描かれていて野球に対して理論的に挑んだ作品です。
- 著者
- ["中原 裕", "神尾 龍"]
- 出版日
- 2004-04-30
当時、彩珠学院高校野球部のキャプテンとしてキャッチャーを務めていた主人公の鳩ヶ谷圭輔は、大人になった現在、インチキセールスマンとして生計を立てていました。しかし、怪しい会社のため辞めようと思っていた矢先、会社にインチキ用品を売っていた罪を被せられ、薬事法違反及び詐欺容疑で警察に拘留されてしまいます。
そんな折、当時野球部の監督で、現在は彩珠学院高校の校長を務める狭山滋明が身元引受人として鳩ケ谷の前に現れます。狭山は保釈の条件として鳩ケ谷に彩珠学院高校野球部の監督になることを提示。そして晴れて彩珠学院高校野球部に監督として戻ってきた鳩ケ谷は、野球部存続の危機や高校存続の危機に直面しながらも、全国制覇を目指し奮闘します。
元々キャッチャーとして実力のあった鳩ケ谷だけに野球IQは高く、更にインチキセールスマンとして培った口先を駆使し、試合に勝利していく様は読んでいて気持ちがいいです。単純なスポ根ではなく、頭脳を駆使した本作は全44巻で読み応えがあります。
青春漫画といえばこれ!といえる程に有名な青春野球漫画『タッチ』では、主人公の上杉達也が、達也の双子の弟上杉和也、ヒロインの浅倉南と共に青春を送り成長していきます。
「たっちゃん、南を甲子園に連れてって」は知らない人は少ないのではと思えるほど、とても有名なセリフです。
- 著者
- あだち 充
- 出版日
- 2012-10-12
ものぐさでいい加減、面倒くさがりで飄々として掴み所のない性格の主人公、上杉達也は、本来はとても潜在能力の高い天才肌ですが、常に弟の引き立て役として陰に隠れています。
弟の和也は、天才肌の兄とは違い負けず嫌いでストイックな努力家で、成績優秀、スポーツも万能で、高校生になってからも、1年生から明青学園野球部のエースピッチャーとして活躍します。
高校1年生の夏季甲子園予選の準決勝で勝利し、チームを決勝戦に導いた和也でしたが、決勝戦の朝、球場に向かう途中にトラックにはねられそうな子供をかばい、そのまま帰らぬ人となってしまいます。その後紆余曲折を経て、弟の意思を継いだ達也が南の思いも乗せ甲子園を目指すことに。和也から達也へ様々な思いが『タッチ』されたのです。
淡い高校時代の青春と恋愛がつまった『タッチ』は野球漫画が好きならぜひ一度は読んでほしい作品です。
舞台は神奈川県にある明訓高校野球部です。タイトルにもなっている『ドカベン』は主人公である山田太郎の愛称で、同野球部の岩鬼、殿馬、里中、微笑などの仲間達と繰り広げる野球漫画です。
1972年から1981年に週刊少年チャンピオンで連載されていて、単行本は全48巻出ています。また、その後もあらゆるタイトルで続編が出ていて、「ドカベン」シリーズとして人気を博しています。
- 著者
- 水島 新司
- 出版日
『ドカベン』が人気のポイントは、それぞれのキャラクターの個性。悪球打ちの岩鬼、「白鳥の湖」などの秘打を使いこなす殿馬、「スカイフォーク」などの魔球を投げる里中などなど魅力的なキャラクターが数十人出てきます。また、配球の読みなど、リアルな野球描写などもしっかりと描かれていて、野球漫画が好きな方なら一度は手に取ったことがある作品かと思います。
アニメ・映画・ゲームやシリーズ続編など、大人気の漫画『ドカベン』は、まだ読んだことがない方はもちろん、読んだことがある方も何度でも楽しめる作品です。
『ドカベン』に関しては「漫画「ドカベン」のキャラクターを31巻までネタバレ紹介!名言やモデルも!」で詳しく解説しています。
これは、不良漫画『ろくでなしBLUES』などで知られる漫画家、森田まさのりが手掛けるヤンキー野球漫画です。不良たちの熱くやり場のない情熱を、野球という切り口で成長につなげた森田まさのりの軌跡が感じられる作品です。
- 著者
- 森田 まさのり
- 出版日
当時あるようでなかったこのヤンキー野球漫画ですが、『ろくでなしBLUES』の延長ではなく漫画家森田まさのりの新境地とも言えるものに仕上がっています。部員の不祥事で活動停止中の野球部を新任教師川藤幸一が立て直していくという物語。やんちゃで手に負えない部員たちと真っ向からぶつかり合いながら甲子園を目指して行きます。ケンカに明け暮れるバイオレンスなシーンだけではなく、野球を通して人として昇華していく彼らの様子は一般的なヤンキー漫画とはひと味違うものです。
主人公の川藤幸一は野球のことはまるで知らないド素人ですが、ありのままの姿で不良たちに対して同じ目線でぶつかっていきます。そしてそんな彼の心に打たれた部員たちが次第に野球というものに真剣に取り組んでいくようになる姿は感動的なものです。熱い彼らの姿は男が惚れる男の姿が描かれています
野球漫画といえばチームワークや野球を通したナ主人公の成長などが描かれてきました。しかしこの漫画はスポ根の要素は残しつつもコミカルなギャグが満載された笑えるものです。
野球漫画の地平線をさらに拓くスポ根とギャグとの融合が今作によって結実したと言えます。主人公の不屈闘志は全力学園野球部の一員です。そんな彼とチームメイトたちが様々に襲いかかる逆境に立ち向かっていくというドタバタ、ハチャメチャ野球ギャグ漫画です。
- 著者
- 島本 和彦
- 出版日
作者である島本和彦は男らしさや情熱を凄まじくデフォルメして、ありえないような展開を描くギャグ漫画を得意とします。例えばこの作品では100点差からの逆転や公式戦ではありえない透明ランナーの起用など意表をついた展開が詰まっています。
野球漫画の先人たちが築いてきた野球漫画の定石を上手く踏まえつつも、しかし作者独特の男臭さや熱さというものをかなり大げさに描いた野球ギャグ漫画です。読むものの予想を気持ちよく裏切ってくれます。野球をテーマにしたギャグ漫画是非とも読んでみてください。
『ONE OUTS』の主人公は、「ワンナウト」という1打席勝負の賭野球で無敗の強さを誇る、天才勝負師のピッチャー渡久地東亜です。球速は130/km、変化球はなし、と一見して大したことがなさそうなピッチャーです。しかし、制球力が抜群で、なんといっても打者との心理戦に滅法強い、天才ギャンブラーの投手なのです。
- 著者
- 甲斐谷 忍
- 出版日
そんな渡久地東亜を偶然にも見かけた「不運の天才打者」と呼ばれる児島は、彼をプロ野球チームに誘います。しかし、賭野球で稼ぐ渡久地は普通の契約では満足できません。そんな彼が提示した契約内容はなんと「1アウト、500万円。1失点毎にマイナス5000万円」というとんでもない内容『ONE OUTS』契約でした。
相手の緊張、動揺、焦りなど、僅かな心の乱れを見ることができる渡久地はその心の揺れを、巧みにより一層かき乱します。そうして人間の心理をコントロールして、対峙するバッターを倒していくのです。仲間、友情、努力、汗といった今までの野球漫画の常識を覆す本作。まるでギャンブル漫画や、ミステリー漫画のような心理戦は読みごたえ十分です。
主人公の本田五郎がまだ5歳、幼稚園に通っているところから『MAJOR』はスタートします。
数ある野球漫画の中でもかなり有名な『MAJOR』は全78巻と、かなりの長編野球漫画。五郎が幼稚園の頃からスタートし、小学校、中学校、高校、社会人と常に逆境を跳ね返していく姿に心を打たれます。常に逆境に立ち向かう、まさにスポ根野球漫画です。
- 著者
- 満田 拓也
- 出版日
本作は驚くべき長期連載です。少年野球、中学野球部、高校野球、プロ野球とそれぞれに特化した野球漫画は数多くあります。しかし、シリーズものでもなく、一つの漫画としてこれら全部を網羅した漫画は他に知りません。まさに本田五郎(物語の途中から茂野五郎に変わります)の人生を一緒に経験することができるのです。
1994年に少年サンデーでスタートした本作は2010年まで、実に16年もの間連載されました。更に2017年現在では、第二部の『MAJOR 2nd』が連載されていて、ここでは五郎の息子と、『MAJOR』での五郎の永遠のライバルであり無二の親友である佐藤俊也の息子ふたりが主人公になっています。
少年時代は、廃部間近のリトルリーグに入り、その後は利き腕の故障を乗り越えます。中学では部員が足りず、高校は超名門高校に入学するも徹底したマニュアル野球が合わず転校することに。やっとのことで入学できた高校には野球部がなく、高校卒業後は宿敵ギブソンと戦いたいが為にプロ野球チームの誘いを断りメジャーに挑戦します。最愛の人の死、度重なる怪我、家族の問題など、プライベートも波瀾万丈の五郎に、時には見ていて辛くなることも。そんな彼の半生に、ぜひ皆様も触れてみて下さい。
『MAJOR 2nd』については<『MAJOR 2nd(メジャーセカンド)』5分でわかる、あらすじと魅力!【全15巻紹介、ネタバレあり】>の記事で紹介しています。気になる方はぜひご覧ください!
自身もPL学園に入学し、甲子園出場経験のある漫画家、なきぼくろによるリアルな野球漫画『バトルスタディーズ』。PL学園をモデルにしたDL学園を舞台に、主人公の笑太朗を中心として高校球児たちの青春を描いた作品です。
- 著者
- なきぼくろ
- 出版日
- 2015-04-23
本作は野球少年たちの日常やゲームでの練りこまれた戦略、選手たちの心情が丁寧に描かれた作品です。その魅力は物語の導入部から感じられます。
DL学園に入学する新入生についてくる母親たち。笑太朗も母親についてきてもらうのですが、別れの際に泣いてしまいそうで母親の顔が見られません。そんな彼を見て母親はこう言うのです。
「辛くても笑てたら何とかなるから
苦しいことは全部笑いに変えなさい
図太く生きろ笑太朗
甲子園連れてってや」
そしてそのまま後ろを振り向けずに声を殺して泣く笑太朗。高校生という年代のリアルな雰囲気が心にしみます。
このように作者の実体験から描かれているので見せ場となるシーンがすべてリアルに心に入り込んでくる本作。野球の道を歩くエリートたちのルポを見ているかのような気持ちになる野球漫画です。
『バトルスタディーズ』に関しては「『バトルスタディーズ』の魅力を最新刊13巻までネタバレ紹介!」で詳しく解説しています。
中学時代野球部に所属していた黒田は、都大会予選の敗退後、エースと4番と同じ高校でもう一度野球をすることを誓い合います。
しかしもともと成績の良かったエースは進学校に進路変更、アホの4番はモテるためにバンドマンになることを決意。そして彼は希望の本命高校に落ち、どうにか今の高校に滑り込みますが、野球熱は低下。モテるために髪を染め、高校からは遊ぼうと決めます。
しかし開始早々1話目から結局野球部に入部することに。モテたくて流されやすくてとりたてて特徴がないという、そこらへんにいそうな主人公の視点を通して語られる、野球部や高校生活あるあるが面白いギャグ漫画です。
- 著者
- クロマツ テツロウ
- 出版日
- 2013-08-08
入部する気は無かったものの、流れで野球部にきてしまった黒田。中学時代から野球を続けていた学生たちが、かつて同じ部活で活躍していたエースたちについて我が物顔で話す姿を見て彼は違和感を感じます。そこに格言のようなコマであるあるがまとめられるのです。
「あいさつがわりに並みの選手たちは身近なスター選手のことを自分の武勇伝のように話す」
あるー!!よくこんなやつ学生時代必ずひとりはいましたよね。自分のことじゃないのに偉そうに話し、なんでそこまで詳しいんだ?どこからその情報収集のモチベーションがくるんだ?というちょっとイライラする、あるあるな人物です。
そのあとやってきた監督に、染めた髪について聞かれる黒田。言い訳を聞いて「バカじゃねーのか?」と笑う監督につられ、ぎこちなく微笑む黒田。しかし笑うとこじゃねーよとすごまれ、しょぼしょぼを謝ります。
「怖い指導者ほど怒る前に、意味もなく一度泳がす…。」
なんだか作者の恨みも感じられる「…」ですね。でも確かに運動部の顧問でこういう怖い先生いました。
読んでいると何だか自分の青春時代を思い出す、あるあるギャグが詰め込まれた本作。熱血スポ根ものではありませんが、こんな野球漫画もいかがでしょうか?
事故で両親を亡くし、自身も両足を負傷した大生。甲子園を目指していた彼ですが、そのせいで中学2年間野球が出来ませんでした。奇跡的な回復で数年後野球ができるかもしれないと医者に言われた大生でしたが、少年にとってその年月は全く喜べるものではありませんでした。
両親が彼の部屋用にくれたブラウン管のテレビの砂嵐をじっと見て3人で過ごした日々を思い出す大生。ふたりが亡くなった今、自分に残されたものは野球しかないと思い、本気で最速の復帰を決めます。
そしていざマウンドに立った彼は以前の自分とは違う能力に気づくのです……。
- 著者
- 高嶋栄充
- 出版日
- 2016-01-08
大生が両親が遺したテレビを見続けることで開花させた才能は驚異の動体視力でした。いつの頃からか砂嵐でそれぞれのチャンネル数が分かるようになっていた彼は、野球でもそれぞれのボールの特徴を見抜ける目を養っていたのです。
2年という大きなブランクが空いて、周りが名門校に進学したり、練習によって才能を開花させた者を見て焦る大生でしたが、両親が遺したともいえるその能力で勝ちを重ねていくのです。
幼くして頼るべき存在を無くした少年が野球だけに熱中し、プレイでの成長を通して心も成長させていく姿は胸が熱くなるもの。スポーツ漫画の醍醐味である主人公の成長という要素を、家庭環境の過酷さから際立たせたおすすめの野球漫画です。
パ・リーグの弱小球団、京浜アスレチックスのストッパー(抑え投手)になった毒島が主人公の『ストッパー毒島』です。ハロルド作石の野球漫画ですが、ギャグも沢山入っているので、かなりコメディータッチな作品になっています。
- 著者
- ハロルド作石
- 出版日
- 2003-06-13
投打において非凡な才能を持つ主人公の毒島ですが、日頃の素行不良から、高校では野球部に入れてもらえませんでした。更には校外での乱闘騒動から、退学処分になってしまいます。しかし彼のことを中学生の頃から追いかけていたスカウトマン小暮の努力により、京浜アスレチックスへの入団が決まるのです。その後、壁にぶつかり、チームメイトと衝突をしながらも強くなっていき、リーグ優勝を目指していきます。
また、実在の人物が登場するところも、この漫画の面白さのひとつです。当時ライオンズを指揮していた東尾監督、オリックスを指揮していた仰木監督、まだメジャーに行く前オリックスに在籍していたイチローに当時現役ピッチャーだった工藤公康など、その年代にプロ野球を見ていた人には懐かしい雰囲気の漫画になっています。
当時はプロ野球を見ていなかった人でも、名前だけは知っている人物の登場で心躍らす作品に間違いないありません。実在の人物が登場して、ギャグも満載のプロ野球漫画『ストッパー毒島』は全12巻で読みやすくおすすめです。
一風変わった野球漫画なら『ドラベース―ドラえもん超野球外伝』がおすすめです。
クロえもん率いる草野球チーム、ドラーズは全く勝てない弱小チームです。しかし、ピッチャーひろしの加入後、チームの解散をかけた試合で劇的な初勝利を収めました。野球の楽しさ、勝つことの楽しさに目覚めたドラーズは、ライバルたちと激闘を繰り広げていきます。
- 著者
- むぎわら しんたろう
- 出版日
主人公はドラえもんの友達、ネコ型ロボットのクロえもん。22世紀を舞台にした野球漫画で、全23巻累計発行部数600万部超えの人気漫画です。22世紀の野球では人間もロボットも一緒に野球をしています。そして、ドラえもんに登場するひみつ道具が試合開始時に3種類指定され、それらを試合中に各1回ずつ使用できるのです。
もちろん、ドラえもんも登場します。のびたのせいであまりチームに協力できない様子ですが、主人公のチーム、ドラーズの名付け親になっています。また、超野球外伝ということもあり、反則級の魔球や必殺技が登場します。さらには、もしもボックスを使って野球とサッカーを合体させてしまったり、観客席が打球で吹っ飛んだりと、まさになんでもありの野球漫画です。
難しいことは考えずに、ただただ面白いものに触れたい方は必見です。
本作の主人公・主将(かずまさ)は少し変わった少年。「高校野球やメジャーリーグなどの本物の球場に立ちたい」という夢がありますが、選手としては難しいと自覚しておりスポーツジャーナリストになることを目標としています。
そのために部活が終わったらすぐに家に帰って勉強するものの、一応野球部に所属して青春を机に向かって過ごしたとバカにされないようにしているのです。計算高い少年ですね。
そしてそんな彼の頭の良さが、ひょんなことからキャプテンに任命されたことで実際の野球で開花していきます……。
- 著者
- コージィ 城倉
- 出版日
- 2004-03-17
本作の魅力は一風変わった展開。まずは主将のキャラクターが読者を引き込みます。彼は最初は気弱そうに「僕はキャプテンだから……」と言う程度でしたが、すぐに「オレは…キャプテンだぜ……」と口調まで変わって自信満々に部員たちに指示を出すようになるのです。思春期とはいえ成長が早すぎて少し笑えます。
そして更に笑えるのが彼が繰り出すトリッキーな技の数々。時にはボールを見失ったふりをしながらユニフォームの中に隠し持たせ、そのまま守備の者は走者にタッチ。指示する方もおかしいですが、なかなかの演技を見せる部員も曲者です。
時にはバントにすると見せかけて右手一本でボールを打たせ、手から離れたバットはキャッチャーを狙って飛んでいきます。主将のいるチームと戦うのは危険すぎです。
このように様々なギャグともとれる展開が出てきますが、少年の成長する様子という王道の要素もしっかりと抑えた本作。『ロクダイ』という続編では六大学での白熱の試合を描いているのでそちらもおすすめです。
『最強!都立あおい坂高校野球部』は全26巻からなる甲子園へのサクセスストーリーです。
噂の美女監督、菅原鈴緒(鈴ねえ)を甲子園へ連れていくため、弱小都立高校に集まった元教え子達が、鈴ねえの従弟である北大路輝太郎を主人公に快進撃を繰り広げます。
- 著者
- 田中 モトユキ
- 出版日
- 2005-04-18
北大路に初めてボールの握り方を教えてくれた鈴ねえは、彼の所属する少年野球チーム荒川ボマーズのコーチをしていました。物語はその鈴ねえが高校3年生の時、北大路が9歳の夏に彼女の所属する野球部の夏の予選を応援に行ったところから始まります。その試合に負けてしまい、涙を流す鈴ねえを見た北大路と仲間たちは、鈴ねえを甲子園へ連れていくことを誓います。
そして6年後。都立あおい坂高校で教師になり念願の野球部監督になった鈴ねえの元に、当時の少年野球チームのメンバー達5人が集まります。少年達は中学進学と共に皆バラバラのチームで野球をしていましたが、各々がレベルアップし、地区に名前を轟かす程の実力になっていました。しかし、あおい坂高校野球部は学校からも父兄からも強くなることを望まれていなく、選手ですら望んでいないという悪環境でした。そんな環境に集まった5人の元教え子達は、それぞれの特徴を生かし人数ぎりぎりの野球部で甲子園を目指します。
一人一人の実力は天才と呼ばれるレベルです。サブマリン投法のピッチャー、頭脳派キャッチャー、俊足の1番バッター、楽々ホームランの4番バッター、どこを取っても平均以上のセカンドと、気の優しいキャプテンで内野を固めています。そんな個性あふれる集団が様々な困難を乗り越えて甲子園を目指す姿は、まさに爽快です。
『鉄コン筋クリート』や『ピンポン』などでも有名な松本大洋の野球漫画です。小学生の茂雄が「プロ野球選手になる」と言って出ていった夢見がちな父親花男の元で夏休みを過ごすところから始まります。
- 著者
- 松本 大洋
- 出版日
本作は野球漫画ではありますが、メインの見所は人間ドラマです。成績優秀で勉強大好きな茂雄と、それとは正反対の熱い男、花男。最初は母親の言いつけでいやいや父のところで過ごしていた彼ですが、少しずつ変わっていきます。
例えば、花男が新しく買ったバイクに茂雄も乗ってみろと誘いにやってくる場面。茂雄も運転してみろよ、簡単だぞ、と誘います。最初は慣れない操作にとまどう茂雄でしたが、花男に教えてもらいながらどうにか慣れてきます。夢中になるうちに気づけば歓声をあげてはしゃぐ茂雄。そんな彼を見て花男はこう言います。
「簡単だろっ? 笑う事」
しかしそれをきいて我に返った茂雄は急ブレーキをかけ、ふたり乗りをしていた花男を落とします。そして恥ずかしくなってその場から逃げ去るのです。
こんな正反対のふたりを象徴するのが花男の野球と茂雄の勉強なのです。ふたりの性格の違いがその切り口を通してコミカルに描かれた本作。読んでいるとノスタルジックな気持ちになる、愛に溢れた人間ドラマとなっています。