初夏は友達を呼んでパーティをするのが楽しい季節。せっかくパーティ、自慢の手料理でもてなしたい!と思いませんか。そこで僕がお勧めなのが「ビストロメニュー」。簡単で、おしゃれで、食べ応えもバッチリ。今回は自宅をビストロにできちゃう6冊です。
様々なビストロ系レシピ本があるけれど、初心者にお勧めする1冊を聞かれたら、これ以外は考えられない。掲載されているメニュー数はあまり多くないが、1品1品の完成度がとても高い。大概のレシピ本は、美味しい料理を作るため、かなりのボリュームの「仕込み」が発生するのだが、本書のレシピは「簡単」に作れる事を第一にしている印象を受ける。
- 著者
- ["花本 朗", "福本 智", "高城 直弥"]
- 出版日
- 2012-12-11
通常、レシピ本はお店のレシピを簡略化して紹介するのだが、残念ながらお店と比べて大きく味が落ちてしまうものも多い。しかし、本書のレシピはその簡略化が非常にうまくいっており、どの料理もお店の料理と比べて遜色のない味に仕上がる。実際、私自身ケータリングの仕事でビストロ系のメニューをしばしばオーダーされるが、この本のレシピをベースに開発したメニューが多数ある。
本書で素晴らしいのは、お店さながらの知恵とでも呼ぶべきTIPSが、たくさん紹介されているところ。1つのソースで使い回しが出来るようなメニューが複数紹介されていたり、硬くなってしまったフランスパンを美味しく食べるためのコツやキッチンを清潔に保つ方法などがコラムで読めるようになっている。「自宅をビストロに」という今回のセレクト、本気で取り組みたくなってくるのではないだろうか。
家ビストロ(=自宅ビストロ)をやる時はどうしても色々と手間がかかる。その手間も楽しみのひとつではあるのだけれど、どうせなら同時進行で一気に準備をすすめたい。そんなとき強い味方になってくれるのが「オーブン料理」だ。手がかからない割には見た目がとても豪華。オーブンで焼いている間は、そのまま「放置」できるので他の料理の準備に集中できる。
- 著者
- 若山曜子
- 出版日
- 2015-10-01
本書はそんな「放っておく」オーブン料理のレシピ集。簡単な下ごしらえをしたら指定の温度と時間でオーブンに放り込むだけ。ただひたすら、それだけのレシピが書いてある。こう書くと「なんだ、ネットで十分じゃん」と思うかもしれないがオーブンに入れる前の状態の写真が載っていたり、温度と時間がでかでか書いてあったりと、失敗をさせない事を重視している。オーブンに入れて放置したまではいいが、他の料理を進めたところでオーブンの蓋を開けたら大失敗、なんていう事態はもちろん避けたいものだ。
野菜を使ったグラタンや魚介のアヒージョなどの温かい前菜はもちろん、メイン料理になる肉や魚のグリルまでオーブン料理の幅はとにかく広い。「チキンとぶどうのロースト」「カジキマグロとししとうの柚子こしょうマヨネーズ」なんて、聞いたら思わずヨダレがでてしまいそうではないか。自宅にガスオーブンがなくても、オーブンレンジのオーブン機能でも十分作れるものも多く、ハードルが高いと思わずに是非試してほしい。
ビストロに欠かせないお酒と言えばなんといってもワイン。料理は色々と作り込んだのに用意したワインが全然合わなければ台無しになってしまうだろう。ワインショップに行って店員さんに選んでもらうのも良いが、せっかくなのでワインの勉強をしみてはいかがだろう。
- 著者
- オフェリー・ネマン
- 出版日
- 2015-12-11
本書はフランスで最も売れている「ワインの教科書」。絵で読むワイン教本と謳っているとおり、可愛らしいイラストやインフォグラフィックがいたるところに使われている。そんなパッと見はライトな印象だが、内容はかなりしっかりとポイントを押さえたもの。「ワインの作り方」「ぶどうの品種」「生産地の特徴」「ワインと料理の合わせ方」といった基礎知識から、「コルクの効果」「テイスティングの表現」といったどこで使うんだろうといったウンチクまで多岐に及ぶ。こういうウンチクをどう使うかを考えるのも一興だ。
すこし勉強してくると、自分の料理に合うワインをお店で探す事がとても面白くなってくる。「今日のメインは子羊をローストにするから、重めの赤にしようか。ローヌのシラーがいいかな」といったように自分で選べたら楽しくないだろうか。
今から6〜7年くらい前、東京はバル/ビストロブームの真っ只中であったが、本書はそれよりも少し前の2009年に出版されたレシピ集だ。
2010年以降、雨後の筍のようにビストロ系レシピ本が生まれた。その先駆けになった本とも言えるだろう。プロの料理人向けの料理本を数多く出している柴田書店ということもあり、一部のメニューの分量は10人前以上のものもあるが、総じて作りやすいレシピが多い。
- 著者
- 柴田書店編
- 出版日
- 2009-05-20
この本の特徴は、レシピの守備範囲のバリエーションの豊富さだ。ビストロの定番メニュー「モツの煮込み」だけでも4レシピ、「イカの墨煮」も2レシピと似たようなメニューでもお店の違いを眺められるのがたまらない。すぐ作れるお手軽つまみから、サラダ、肉料理、魚介料理、ピザ、パテ、パスタまで223品のボリュームで、この1冊をマスターしたら、本当にお店を始められる、と言っても過言ではない。
ビストロメニューのバリエーションを増やしたい人はチェックしてほしい1冊だ。
フライドポテトでも有名な銀座のビストロの名店「マルディ グラ」の和知さん監修のレシピ本。本書のすごいところは機材が少なくても超本格的なものが作れるようになるところ。鉄のフライパンと鋳鉄製の鍋でかなりのレシピをまとめていて、オーブンなどのキッチン設備に自信がない家でも限りなくお店に近いビストロの肉料理を作れるということを教えてくれる。
- 著者
- 和知 徹
- 出版日
- 2016-10-06
本書の最初の方に500gの分厚い肉をオーブンを一切使わずフライパンだけで焼き上げるレシピが載っているのだが、まさに素晴らしいの一言。きっちり指示通りに仕上げれば完璧なロゼ色のジューシーなステーキが焼きあがる。
「必要な道具も少ないし、この本からやってみよう!」と思った方に、この本を使う際に1つだけ気をつけて欲しい点をお伝えする。それは「肉の分量をきちんと守ること」。フライパンと鋳鉄鍋という温度管理の難しい機材のみで仕上げるレシピのため、こまかい分数で仕上がりを調整されている。分量の違う肉を使ってしまうと、加熱時間が大きく変わり、自分で調整しようとしても上手く作ることは難しいだろう。まずはレシピ通りのグラム数で何度も作って体で覚えるようにしよう。
ビストロ料理は美味しく作れたが、プロっぽい見せ方が難しいという人も多いのではないだろうか。盛り付けの教本を見回した時、2つのタイプに分けられる。1つは皿の上の「盛り付け」を学べる本。もう1つは「テーブルコーディネート」を学べる本だ。
- 著者
- 江川 晴子PARTY DESIGN代表
- 出版日
- 2016-06-04
本書は、そのどちらにも属さない珍しいタイプのスタイリングの勉強本だ。料理レシピと盛り付け写真、テーブルコーディネートまで事細かく提案している。パーティテーマごとにメニューをまとめた行正り香さんの名著「だれか来る日のメニュー」に比較的近い構成だが、器の買えるお店から、皿の盛り付け方、テーブルのセッティングまで掘り下げている分だけ、より本気度が高い。
「スパニッシュバル」「ワインパーティ」の項目は家ビストロをやるのであれば、ぜひ目を通しておきたい内容。チーズの見せ方やテーブルの演出方法など、学べるテクニックは実に幅広い。他にも和食のパーティの時やビュッフェ形式のパーティなど様々なパーティテクニックが掲載されているので、家でパーティを開催したい人はぜひ揃えておきたい1冊だ。
手軽で豪華なビストロ料理はおもてなしにぴったりだし、料理の腕で少しカッコつけたい男性にもベストマッチ。今回の本を参考に、初夏のパーティを楽しんでいただけたら幸いです。