映画と原作とでは内容が異なる作品って、意外と多いんです。そういう作品に出くわしたことがある方、結構いるのではないでしょうか。私はよく、原作がある映画に関しては、順序問わずどちらも観るようにしています。「ここが違う!」って比較するのが好きなんです。地味でしょ。ふふ。ってことで今回は「映画化された面白い小説」を紹介していきまーす。
どうも、わちゅ〜さんです。
皆さま、映画はお好きですか? あたしゃ大好きです。部屋にこもって一人で映画を観るのが好きです。コーヒー片手に、美味しいものを頬張りながら観るのが好きです。時間を忘れるほどに没頭することが大好きなんです。えぇ、これはつまり現実逃避です。どうぞよろしく。
映画には、小説を原作とする作品が数多く存在します。もしや皆さま「映画観たから原作は読まなくてもいいかぁ」なーんて思ってらっしゃるのではありませんか。ちょっと待ったぁあぁああぁあああーーゴラァアァアアーッ!!!! それ勿体ないですわよ!! 皆さま本当に人生損して……るとまでは言わない。
そんな失礼なことは言わない。私なんかが言える立場じゃない。だけどぉおぉおおぉおおおーーーっ!! 本当に勿体ないのよぉ‼︎!
映画と原作とでは内容が異なる作品って、意外と多いんです。そういう作品に出くわしたことがある方、結構いるのではないでしょうか。私はよく、原作がある映画に関しては、順序問わずどちらも観るようにしています。「ここが違う!」って比較するのが好きなんです。地味でしょ。ふふ。
ってことで今回は「映画化された面白い小説」を紹介していきまーす。映画を観たことがある人もない人も分け隔てなく、自信をもっておすすめ出来る作品を選んだつもりですので、ぜひ一度読んでみてくださいまし。
- 著者
- 今邑 彩
- 出版日
まずはコチラ! 今邑彩さんの長編小説で、ズバリ「多重人格」を題材とした作品です。かなーり特殊な事件が描かれています。本文中に出てくる言葉をそのまま用いると「前代未聞のきわめて特異な事件」。空前絶後とはまさにこのこと。一読の価値ありますわよ!
この作品、映画と原作とではストーリーが全く異なります。「多重人格」という大枠だけを残し、それ以外の部分は完全に別物へと生まれ変わっています。ただ一つ言えるのは、原作に負けないくらい映画も面白いってことです。
原作には私の大好きな叙述トリックが用いられており、衝撃的なラストを迎えます。小説ならではの手法で、どんでん返しが見事に炸裂。ストーリーだって面白く、終盤戦の展開は特に読み応えがあります。
対する映画ですが、こちらはこちらで衝撃的なラストが待ち受けています。何といっても、そのどんでん返しを生み出す手法が非常に巧妙。「こんなテクニックもあるのかっ!!!」と感激しました。映像ならではの手法で、原作とは違ったどんでん返しが作り出されています。
それに加え、出演陣の演技がこれまた凄い! 特に、多重人格者を演じた深田恭子さんの演技は圧巻の一言。別の人格に切り替わる瞬間の表情といい、声のトーンといい、もはや不気味なほど。それだけでも一見の価値ありです。あ、そういえば、この映画はちょいとグロテスクだから気を付けてくださいまし。PG12指定ですって。原作はグロテスクじゃないのでご安心を。
余談ですが、文庫版の結末部分には著者の粋な計らいが施されています。内容は読んでからのお楽しみ。ちなみにあなたはどちらを選択しましたか?? 私は……。
- 著者
- 首藤 瓜於
- 出版日
- 2003-09-12
わたくしイチ押しの作品!! 第46回江戸川乱歩賞を、全選考委員の満場一致で受賞したという話題作でございます。今作のメインキャラは“脳男”と呼ばれる謎めいた人物なのですが、その彼が非常に魅力的でして。天才的な知能・人間らしからぬ身体能力を持っている“脳男”こと鈴木一郎は、感情を一切表に出さない摩訶不思議な存在。正義のためには殺人すら厭わない彼には謎が多く、非常に興味をそそられます。
今作には、心理・精神に関する記述が頻出するため、そういったジャンルに興味がある方は必見です。私も大学時代に心理学を専攻していたので、勉強しているような気分で楽しめました。ストーリーはなかなか重いテーマを取り扱ってますが、クスッとする描写があったりと意外にも軽快に読める印象。物語前半の謎めいた展開や、手に汗握るドキドキの終盤戦など、見所満載の作品です。
2013年に公開された今作の映画版。これまたすっごく面白いんです。注目ポイントは、主演・生田斗真さん演じる鈴木一郎。あの謎めいた存在をどう演じられるのか気になっていたのですが、映画を観終えて感激‼︎
私の中の原作のイメージそのままでした。一切瞬きをしない無機質な立ち振る舞いといい、独特な表情といい異彩を放っています。しかも、これがまたカッコよくてねぇ。特にアクションシーンなんて凄まじいんです。あれは反則です。ズルいです。世の中の女子必見です。
原作と比較してみると、映画版にはいくつかの変更点が見受けられます。主な違いは、登場人物。共通して出てくる爆弾犯・緑川は、原作では男性、かつ登場シーンもあまり多くはありません。対して、映画では女性という設定。しかも、かなり狂人的な性格へと脚色されています。俗にいう、ヤバい奴です。この緑川がバンバン登場してくるので、終盤の展開も大きく異なっています。他にも、映画オリジナルのキャラが登場するといった相違点もあり、原作の魅力を残したまま別作品へと生まれ変わっています。
映画と原作、どちらも“脳男”の異なる一面を味わうことができるので、ぜひ両方ともチェックしてみてくださいまし!! ちなみに、原作は続編も発売されているので、お気に召した方はぜひ。
- 著者
- 和田 竜
- 出版日
- 2010-10-11
私が最近ドハマりしている作家、和田竜さんのデビュー作。時代小説の中でも特に読みやすい、イチ押し作品でございます。今作は、豊臣秀吉の天下統一が目前に迫った頃のお話。“のぼう様”こと成田長親がたった500人の兵と共に、2万の軍勢率いる石田三成を迎え撃つという物語です。
この作品、ズバリ申し上げますと、映画と原作の内容がほぼ一緒です。多少カットされた描写はあるものの、物語も登場人物も大体が同じ。それもそのはず、映画の脚本を手掛けたのは、著者である和田竜さんご自身なのです。
元々、脚本家として活動されていた和田さんは、2003年に脚本「忍ぶの城」で第29回城戸賞を受賞。映画化を目指し、タイトルを改めて小説化したものが、この『のぼうの城』なのです。すると、みるみるうちに大ベストセラーとなり、第139回の直木賞候補作にも選出。そして見事、映画化が決定したのです。つまーり!! この小説は、元から映画化を前提として執筆された作品なのです。そりゃ内容が一緒なわけだ!
そこで! 私的にはぜひ、映画と原作の両方を観てほしいのです。「内容が一緒なら観なくていいじゃーん」とか言われそうですが、ストーリーが同じだからこそ見比べる楽しさがあるのです!! 私が思うに、映画には映画の、小説には小説の良さがあります。双方を観ることによって、互いの弱点をカバーし合い、物語への理解度をさらに高めてくれると思うんです。はい。
例えば、戦国武将の勢力図を説明する場合。小説であれば『豊臣秀吉は○○を制圧し○○を越え○○に攻め入り……』というように、文字から得た情報を基にイメージしなければなりません。しかーし!! 映画であれば、ナレーションと共に日本地図を映し、矢印でピューン!とやれば終了。「わかりやすぅーーーっ!!!」ってなるわけです。また戦の迫力だって、眼と耳で味わえるメリットがあります。
対する小説の強みは、登場人物の心情など、映像では表現しきれない情報を細かく伝えることが出来る点です。また、当たり前の話にはなりますが、小説が原作そのものであれば、物語がカットされることもありません。一から百までが描かれているため、著者の意図そのままに味わうことが出来ます。このように、映画と小説にはそれぞれの強みがあり、両方を活かすことによって、より深く作品を楽しむことが出来るのです。
どちらも観れば、面白さは2倍! ぜひチェックしてみてくださいまし。
- 著者
- 筒井 康隆
- 出版日
- 2006-05-25
出た!! 時かけ!! もはや紹介しなくてもいいんじゃないのってぐらい有名ですが、意外と原作を読んだことない人いるんじゃないのぉ? っていう勝手な判断のもと、紹介するに至りました。とかいいつつ、実は私も最近まで原作を読んだことありませんでした。
実物を手にするまでは「きっとめっちゃ分厚い本なんだっぺなぁ」と想像していたのですが、本屋で見つけてビックリ。かなーり薄い短編集じゃありませんか!! 思わず「うすっ‼︎!!」って叫びました。本屋中に轟くほどの声量で叫びました。嘘です。心の中だけでとどめました。
今作は何度も映像化されていますが、ここでは細田守監督によるアニメ映画を比較対象として取り上げます。あの切ないやーつね!! ストーリーの大枠に関して言えば、映画も原作もかけ離れてはいません。設定の違いはあるものの、他の作品に比べると原作を踏襲している方だと思います。強いて言うなれば、原作はSF、映画は青春の要素が強く出ている印象です。
今回紹介する上で皆さんにお伝えしたいポイントがあります。それは、映画と原作のリンクについてです。映画に出てくる"とある人物"に、面白い小ネタが隠されているのです。
紺野真琴という映画版の主人公は、快活な性格の女子高生。ある日突然、タイムリープ(時間移動)が出来るようになります。彼女はこのことを、叔母である芳山和子に相談。ここで、普通の人であれば、タイムリープという突拍子もない話に躊躇うはずですが、芳山和子は至って平然と助言するのです。
そう! 実は彼女、原作での主人公なんです。つまりタイムリープ経験者。この映画版は、原作から約20年後の世界が描かれている、いわば続編なのです。なるほどぉーって感じよね。
原作を読めば、映画版がさらに面白くなること間違いなし!!
- 著者
- 宮部 みゆき
- 出版日
- 2005-11-26
私の大好きな作品。ついに紹介できる時がきたで!! 今作は、連続誘拐殺人事件を重層的に描いた、宮部みゆきさん珠玉のミステリーでございます。まず驚くはそのボリューム! 3部構成で描かれ、文庫版は全5巻にも及ぶ超大作。にもかかわらず、飽きることなくブッ続けで読める面白さ。そして、私が過去に読んだ作品の中でも、一二を争うほどに印象的な犯人が登場します。
2002年に公開された映画版は、この原作のボリューミーな内容を約120分に凝縮。登場人物やその設定など、至るところに相違点が見受けられます。が、中でも特筆すべきは物語の結末。原作とは異なるエンディングを迎えます。映画版も魅力的なのですが、原作の面白さがズバ抜け過ぎているため、私的にはこちらを外してほしくないのです!!
かなり重量級の作品ですが、時間を割いてでも読む価値があると断言しまっす!! 巧みに描かれるリアルな人間模様を、ぜひ一度、宮部みゆきさんの紡いだ言葉のまま味わって頂きたいのです。騙されたと思って読んでみて!! 本当に読み応えありますわよ!!
本と音楽
バンドマンやソロ・アーティスト、民族楽器奏者や音楽雑誌編集者など音楽に関連するひとびとが、本好きのコンシェルジュとして、おすすめの本を紹介します。小説に漫画、写真集にビジネス書、自然科学書やスピリチュアル本も。幅広い本と出会えます。インタビューも。