ヤンデレとは好きな相手に病的な言動を取って愛情を示すキャラクターのことを指します。きらきらした恋愛とは正反対に恐怖でドキドキすることも多いのですが、ここではそんなドキドキを楽しめるヤンデレヒロインのオススメ漫画をご紹介します。
『恋愛暴君』は、主人公の男子高校生の藍野青司(あいのせいじ)の前に、ある日突然死神風天使の少女グリが現れるところから始まります。
とある事情によって、青司が24時間以内に誰かとキスをしなければいけない事態になるラブコメディ。もし失敗したら、グリは死に、青司は童貞のまま一生を終えるという最悪の事態が待っているのです……。
- 著者
- 三星めがね
- 出版日
- 2018-03-13
この災難のきっかけは、死神風の恰好をした天使のグリが持ってきた「キスノート」の存在。このノートに名前を書かれた人同士は必ずキスをすることになるという代物です。しかし24時間以内に実行できないと、ノートに名前を書いた人が死に、書かれた人は一生童貞という副作用付き……。
ラブコメですが、常に明るくわちゃわちゃしているわけではなく、ストーリーが進むにつれて「ヤバさ」が際立ってきます。とくに彼が密かに想いを寄せているクラスメイトの緋山茜(ひやまあかね)は、一見すると明るくてかわいい完璧な子ですが、実は彼女がヤンデレ気質。
茜も青司のことが大好きだったので、お互いの気持ちが発覚した後が大変です。想いが届かないのであればいっそ……という具合で、詳しくは実際に確認してみてくださいね。
青司を取り囲むヤバイキャラクターは物語が進むごとに増えていくので、ハーレムな雰囲気も一緒に楽しむことができるでしょう。
本作は、歪んだ性欲を抱えた2人の男女がひとつ屋根の下で暮らす、歪な恋愛漫画です。アダルトショップで働きながら自分だけのダッチワイフを作っている男・柿口啓吾と、モデルのような美しい女子高生・森高円は、ある日、痴漢の加害者と被害者という立場で出会いました。
結局のところ痴漢は冤罪でしたが、これをきっかけに円は啓吾の弱みを握り、2人は同居生活を送ることになるのです。
- 著者
- 岡田 和人
- 出版日
- 2010-08-20
主人公の啓吾は、女性に対して性欲はあるものの、経験がなく触れることができないため、自分だけのダッチワイフを製作している男。
一方の円は、その美しい容姿から言い寄る男が絶えない女子高生ですが、異常にサディスティックな性癖を持った女王様。見た目が麗しいだけでなく、頭がキレて力もあるので、啓吾は彼女に適いません。
ただ円は常に上から目線なものの、居場所が無くて啓吾の家に居候している立場。そして啓吾も彼女をモデルにダッチワイフを作ろうとしていて、この2人の関係は女王様と下僕という単なる主従関係では語れません。ねじれた立場から生じる絶妙な心理描写も本作の見どころのひとつとなっています。
はっきり言って読後感はけっして明るいものではありません。しかし2人の歪な関係を応援したくなってしまうのも事実。不思議な中毒性にハマってみてください。
本作の主人公は、容姿端麗で成績優秀、そして裕福な家の令嬢とすべてが揃った優美子という女子高生。彼女は、授業が終わると友人の誘いも断り、急いで帰宅します。
お金持ちの家らしい豪邸の地下に、優美子の秘密がありました。そこにいるのはなんと、手足の無い男、雅彦。監禁する少女と監禁される男のクライムラブサスペンスです。
- 著者
- オギアラ
- 出版日
- 2016-12-26
イラスト投稿サイト「pixiv」で、そのあまりに衝撃的な内容から人気に火がつき、書籍化された作品です。物語は、自宅の地下室に監禁している手足の無い男・雅彦に向かって、優美子が美麗な微笑みを向けるところから始まります。
雅彦に手足がないのは、優美子の仲間が手を下したから。そうして自由を奪った男を監禁し、調教しているのです。これだけで本作の異常さがわかるでしょう。
優美子は、幼い頃から死にかけた虫を観察するのが趣味というサイコパスなキャラクター。ある日ひょんなことからフリーターをしていた雅彦と出会い、お互いに想い合う仲になってから彼に対しても歪んだ愛情を抱くようになっていきました。
一方の雅彦も、通常であれば自分を監禁している相手には憎しみを抱くものですが、手足の自由が無い極限状態の彼は、唯一自分のことを気にかけてくれる優美子に頼るしかありません。
自分からすべてを奪った相手に依存するしかない生活……想像の範疇を超えていますが、彼の複雑な心理を覗くように進んでいくストーリーに重苦しい気持ちになるでしょう。
調教、監禁、暴力、サイコパスと、あらゆる病みを詰め込んだ本作は、読めば鬱々としてしまいますが、これらの要素に耐性のある方はハマってしまうかもしれません。
『サエイズム』は、学園を舞台にしたサイコサスペンス作品。女子高生が好意を向ける相手は男性と思いきや、本作は少女同士の友情の先にある、病的なまでの独占欲を描いています。女性は自分自身や恋人、家庭を優先しがちで、友情は薄いと思われていますが、本作で描かれる友情はかなり濃厚。思わず逃げ出したくなるほどです。
- 著者
- 内水 融
- 出版日
- 2015-04-20
主人公、美沙緒は引っ込み思案な少女。新しい高校に転校しても、クラスになかなか馴染むことができません。それどころか、クラスメイトの七美から執拗ないじめを受け、クラスの中でも孤立するようになっていました。そんな時、現れたのが真木冴。体調不良で休んでいたという美貌の少女はクラスの人気者で、七美も彼女に心酔している様子。強い影響力を持った冴が美沙緒に話しかけたことで事態は一変、いじめはなくなりました。
冴と仲良くなり、やがて親友といえる間柄になっていきますが、関係が近しくなるにつれて、冴の言動が少しずつおかしくなっていきます。他のクラスメイトからの誘いを冴が断り、服装についても冴の趣味を強要。さらには、メールの返信も3分以内にしないといけないなど、要求はエスカレートするばかり。そして、美沙緒の元には、冴から離れろ、という不審な手紙が舞い込むようになっていました。
美沙緒に対する冴の束縛は相当なもの。小さな女の子同士の友情にありがちな束縛ですが、冴は美人かつ明晰な頭脳を持った女子高生。邪魔をする相手を排除し、絶対に束縛する相手が守るように仕向けてくる、その手腕には思わず脱帽してしまうほど。異常なまでの執着心にうすら寒くなってきます。冴の病んでる表情がとてもインパクトがあり、対峙しなければならない美沙緒に同情を禁じ得ません。病的な友情の行方はどうなるのか、手に汗握るサスペンス作品です。
『サエイズム』については<漫画『サエイズム』やばすぎる冴の正体を全巻ネタバレ紹介!>の記事で紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。
『ミザントロープな彼女』は、人間嫌いな少女と、奇妙な出会い方をしたストーカー男の交流と恋を描いた作品です。ヤンデレヒロインがテーマなのに、ストーカー男とはこれいかに、と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、主人公の末代花実は間違いなく病んでいるヒロイン。1つの過去に囚われ、人間嫌いになってしまった少女なのです。
- 著者
- 厘の ミキ
- 出版日
- 2016-07-07
末代花実は、父親との過去の出来事により、重たい愛を向けられることを苦手としていました。人間嫌いを日々深めている花実でしたが、ある日、窓の外に不思議な男を見つけます。男は、隣の家に住んでいるミツヨさんのストーカー。ミツヨさんに不審な人がいるから、と見張りを頼まれたのだと言います。明らかに不審者であるストーカー男を観察しながら、花実は彼と交流を深めていきます。
ストーカー男は様々なすれ違いから玉砕しますが、今度は花実に惚れて、彼女の身近に現れるようになります。ストーカー男こと小千谷藍はかなり惚れっぽい性格ですが、漫画らしい突き抜けをしており、かなり魅力的。どうせストーカーと思っていると、予想外の男らしさにどきりとしてしまう場面も。
惚れっぽく、猪突猛進な藍の行動に目が向いてしまいますが、自分は孤独でいるべきであると思い込んでいる花実の成長や、恋が本題。笑わせてくれる場面も多いですが、花実の過去や心理など、胸を締め付けられる場面も多めです。過去のトラウマに囚われた花実が、それをどう乗り越えていくのか、藍の意外なカッコよさとともに、花実の成長を見守ってください。
『バベルの図書館』は、2人の男女が言葉をテーマにくり広げる、少し不思議な世界観をもったダークなラブストーリーです。
「ある特殊能力」を持つ主人公の渡瀬くんが、クラスメイトと一言一句同じ内容の作文を書いて、提出するところから物語はスタートします。
- 著者
- つばな
- 出版日
- 2014-01-22
「言葉はパターンで、文字は記号の組み合わせでしかない」(『バベルの図書館』より引用)
こう考える渡瀬くんは、紙に触っただけでそこに書かれているすべての文章を読むことができる、不思議な力を持っています。
そんな彼が興味を引かれたのは、天使の存在を信じるオカルト女子の相馬さんでした。天使の存在を肯定し、現実世界を「虚像」だと思っている彼女は、「虚像」の現実ではない「ほんとうの世界」があると信じています。
その「ほんとうの世界」への抜け道を探し続けている相馬さんに、「運命」という言葉でアプローチする渡瀬くんですが、特異な方法で作り上げられた「運命」が、2人の未来を徐々に変えていってしまうのです。
どこの分岐点でどの選択をすればよかったのか......危うい感情でつながった2人の行く末が気になって、次々とページをめくってしまいます。ラストには、真綿で首を絞めるようにじわじわと追いつめられていく、スリリングな展開が待っていますよ。
『ねじまきカギュー』は、ちょっと精神的に病んでいる「怪物的ヤバイ系女子」に好かれる女難体質を持った主人公、葱沢鴨をめぐる、学園バトラブコメディ作品。なぜ女難なのにバトルなのかといえば、ピンチに陥った鴨を救うために、幼馴染の少女がヒーローとして立ち向かっていくからなのです。
- 著者
- 中山敦支
- 出版日
- 2011-06-17
鴨は花は桜木学園に勤務する、23歳の新人教師。怪物系女子、いわゆるヤンデレ女子たちにやたら好かれるという、女難体質を持っています。ある日見た目からかなり怪物的な不良女生徒に迫られ、連れ去られそうになっていたとき、目つきの鋭い少女に助けられます。彼女は鉤生十兵衛(かぎゅうじゅうべえ)。小さなころ、鴨と仲良くしていた幼馴染の少女でした。
名前のせいでいじめられっ子だったカギューは、助けてくれた鴨を守るため、中国で憲法の修行に励み、強くたくましく成長していました。一見クールで男性的な言動をしますが、鴨にだけはとても純情。少し触れるだけで赤面するなど、乙女らしい姿を見せるので、バトル中の凛々しい姿とのギャップに胸がキュンとしてしまいます。
カギューの鴨に対する執着も、一種病んでいるところがありますが、鴨曰く「怪物的ヤバイ系女子」たちのヤンデレっぷりはとても異常。モテていても羨ましくないという状況が生まれます。女子たちもかなり言動が怪しいですが、理事長の二千恵理人のサイコパスっぷりはトラウマレベルの衝撃。個性的な絵柄と独特な世界観がクセになる作品です。
『ねじまきカギュー』については<『ねじまきカギュー』賛否両論な結末までの見所をネタバレ紹介!無料で読める>の記事で紹介しています。ぜひご覧ください。
『+チック姉さん』(ぷらすちっくねえさん)は、模型部に所属する女子高生の日常を描いた、とにかくハイテンションなギャグ漫画。模型部だからさぞかしコアな模型知識が登場するのだろうと思いきや、そういった専門性は皆無。途中で部活動が変化する、などというエピソードもあるため、模型部の活動に打ち込む、というエピソードはほぼないという点だけは注意が必要です。
- 著者
- 栗井 茶
- 出版日
- 2011-05-25
基本的には、姉さんこと源間色絵と、後輩のオカッパこと岡本葉月、マキマキこと酒巻真希菜がおりなす学園ギャグ漫画。頭に模型が乗っており、そこに侍が住んでいたり、砲撃したりと、漫画ならではの表現が盛り込まれています。姉さんはとにかくハチャメチャな性格で、自他ともに認めるトラブルメーカー。そんな姉さんの起こすトラブルがネタの中心となります。
姉さんや模型部の面々にヤンデレ要素はなく、作中で最も病んでいるのは、姉さんのクラスメイトとして登場する佐々木唯。クール系の美少女で、姉さんの事は嫌っています。彼女のどこがヤンデレなのかといえば、一緒のバスで通学していた、お世辞にもイケメンとは言えない小太り体型の大学生、山田に対する執着とストーカー行為が逸脱しているからです。
ファンだったアイドルグッズを黒塗りにするだけならまだしも、プレゼントは自分の髪の毛、誕生日プレゼントに勝手に籍を入れるなど、その行動は常識からかるく逸脱しているものでした。会話がかみ合わないところに、ヤンデレらしさを感じ、ギャグ漫画なのに背筋がうっすらと寒くなります。美少女だからいいじゃない、と笑えないところ多い佐々木のヤンデレっぷり、山田の的確なツッコミがあるからこそ、笑えるエピソードに仕上がっています。
彼氏の太郎くんは彼女の泉ちゃんの事が好きすぎて、異常行動を起こしてしまいます。少女漫画らしい美麗な作画ですが、描かれているのは残念ヤンデレイケメンの姿であるという、ギャップにじわじわとハマってしまいます。
- 著者
- 桜田 雛
- 出版日
- 2014-06-26
中学生の泉ちゃんと、大学生の太郎くんはいとこ同士ですが、お隣に住む幼馴染でもあります。2人は付き合っており、太郎くんは泉ちゃんに対し、異常なまでの執着を見せていました。女装をして学校に忍び込んだり、野球拳を要求したりと、その行動はだいぶ異常です。
泉ちゃんは太郎くんのことが大好きではありますが、やはり変態かつおかしな行動ばかりをとることにつかれている様子。作中では随所で、普通のカップルに対するあこがれを吐露しています。確かに、太郎くんの行動は異常で、泉ちゃんだけではなく読者も引き気味になること間違いなし、実際にそんな行動を見たら遠巻きにしてしまうでしょう。
泉ちゃんの冷静なツッコミにより、ラブコメディとして成立していますが、太郎くんのヤンデレならではの行動は、冷静に見なくともかなり異常です。泉ちゃんの深い愛情によって成り立つ物語、読者もツッコミを入れながら楽しめる1冊です。
『マリアボーイ』は、愛ゆえに破滅的な行動をとってしまう美容師、ヨシキを中心とした物語。少しずつヨシキの内面や、行動理由がわかるように物語が進んでおり、ヨシキの行動がどんな感情に由来するものなのかを、読者が深く理解できる作りになっています。重すぎず、随所にギャグが仕込まれているため、雰囲気はとてもライト。ストーリーがしっかり作られているBLを読みたい、という方に特におすすめです。
- 著者
- 木村 ヒデサト
- 出版日
- 2014-05-20
美容師のヨシキは、男性が好きな同性愛者。家を出ていますが、義理の弟のシュウに家族以上の感情を抱いていました。シュウとの関係を変化させることを良しとせず、誰も傷つけないように行動しようとした結果、ヨシキは自分自身を傷つける、破滅的な生活を送ってしまいます。
だれかれ構わず身体の関係を結び、結果として暴力を振るわれたり、昔の恋人に執着されたりと、描写は痛々しいものが多め。本作は2部構成になっており、前半はシュウとヨシキの店にお客としてやってくる、シュウの友達のなおとの物語で、可愛い要素が満載なだけに、そのギャップに打ちのめされてしまいます。
ヨシキは破滅的なだけではなく、弟の部屋に盗聴器を仕込むなど、ヤンデレな部分も見せますが、逆に執着されてしまうという、関係性の逆転が興味深いところ。弟との愛を成就することができず、迷走し続けるヨシキの姿に胸が苦しくなります。愛しているからこそ、破滅的になるしかなかった悲しき男の物語、作中に入りきらなかった作者木村ヒデサトが書き下した、カバー裏の秘蔵エピソードも必見ですよ。
根暗な小説家と八百屋の青年がおりなす恋愛物語です。BLに性描写はつきものですが、本作に登場するシーンはとにかくエロいの一言。受けである太郎が、元々はゲイではなく異性愛者だっただけに、堕ちていく、ハマっていくという言葉がぴったりとハマります。
- 著者
- 松本 ミーコハウス
- 出版日
- 2013-10-25
小説家崩れの太郎は、自炊をせず不健康な生活を送っていました。ある日、とにかく元気ではつらつとした八百屋の青年、治樹と出会います。2人で吞むことになり、無意識に治樹を誘った太郎は、彼とのセックスにハマり、セフレ関係に。マゾヒスト的な性癖を、徐々に明かされていきます。
身体の関係から始まり、終始身体を起点とした関係性が描かれているのですが、与える者、与えられる者という、治樹と太郎の関係性が、どこか歪んでいると感じられます。身体の関係があるから純愛ではない、というわけではなく、そこから始まっているのに、恋心はとてもピュアであるという点に驚かされるでしょう。根暗なのにピュアでエロいという太郎の可愛らしさに、読者もはまり込んでいきます。
一目でヤンデレとわかるような描写は多くありませんが、SM的なプレイが多く、互いに依存関係であると匂わせる部分が多いため、病んでいると感じる要素は多いでしょう。世界が2人で完結していくような危うさがあり、そんなところも作品の魅力に繋がっています。絵柄はかわいいですが描写は濃いめ、過激ですが純な物語を求めている方にもおすすめです。
『カラーレシピ』は、スタイリストをしている主人公たちの物語。スタイリストとはいっても、洋服を選ぶ人ではなく、登場するのは美容師。専門用語や美容師ならではの生活スタイル、苦労する点などが盛り込まれ、職業漫画としても読むことができます。そんな、美容師業界で繰り広げられるのは、いけ好かない相手との恋物語。サスペンス的な要素も相まって、読者にも緊張感が走ります。
- 著者
- はらだ
- 出版日
- 2016-03-01
生真面目で無愛想、お店でもあまり人気のないスタイリストの笑吉が務めている店に、ある日お調子者の福介がやってきます。嫌味な福介を嫌っていた笑吉でしたが、終電を逃した福介がとった変態的な行動に、より嫌悪感ばかりが募ります。そんな中、笑吉の周辺では気味の悪いことが起こり続けていました。
嫌いから始まるカップルですが、そこからストーカーという要素が絡んできます。笑吉に絡んでくる人々は、皆どこか怪しげな空気があるのですが、誰がどう考えても怪しいのは、福介でしょう。一見チャラい優男ですが、その異常性が明るみに出るにつれ、読者は作品に引き込まれると同時に、ドン引きするという奇妙な感覚を味わうことができます。
ヤンデレというよりは、他者との共感性が著しく低いサイコパス的な福介との恋は、じわりとしみ出してくるように進みます。異常性が最初はわからないため、少しの引っ掛かりが気になりながら読み進めていくような状態。気が付いた時には、笑吉同様、逃げ出すことができない深みにはまっていることでしょう。スタイリッシュでおしゃれな雰囲気ですが、内容は結構重め、異常な愛情の行方を見守ってください。
高校2年生の渡直人は、2年前に両親を亡くし、妹と共に親戚中を転々とする生活を送っていました。そのせいもあってか、妹の鈴白(すずしろ)は直人にベッタリで、直人の生活はすずを中心に回っています。
両親を亡くした直後から2年間、直人達は落ち着かない生活を送っていたものの、叔母の渡多摩代の家へ引き取られてからは、それなりに穏やかな生活を送っていました。しかし、そんな穏やかな生活も、ある一人の少女の出現で崩壊していくことになり……!?
- 著者
- 鳴見 なる
- 出版日
- 2016-05-06
漫画雑誌「ヤングエース」、「月刊ヤングマガジン」と移りながら連載されている作品。主人公の渡直人は、妹の鈴白、通称すずを中心にした生活を送っており、すずのために自分の遊びや学校生活などを犠牲にすることもしばしばです。すずは小学4年生の割には幼く、直人にベッタリのため、周囲は直人が妹を甘やかしているように見ることもありますが、そんな2人の関係は、両親を亡くしてしまったことに起因していました。
そんな直人の前に現れるのが、館花紗月(たちばなさつき)という少女で、彼女の出現が直人の生活を少しずつ狂わせていきます。実は、彼女はかつて直人達の畑を荒らしたことがある少女で、直人達とはそれ以来の再会でした。
物語は、両親を亡くした兄が幼い妹の世話を一生懸命にしている心温まる物語を予感させるような冒頭から始まるのですが、そんな予感は見事に裏切られるでしょう。物語が進むにつれ、それぞれのキャラクター達が深い闇を抱えていることが明かされていきます。
かつて直人達の畑を荒らした過去のある紗月をはじめ、とても可愛らしい妹のすずまで深い何かを抱えていることがわかってきて、予想外の展開にページをめくる手が止まらなくなってしまうかもしれません。病んだ愛情を全てのキャラクターに感じることができるので、ヤンデレを堪能したい方はぜひチェックしてみてください。
『渡くんの××が崩壊寸前』については<『渡くんの××が崩壊寸前』を最新6巻までネタバレ!シリアス×ラブコメが◎>で紹介しています。
高校生の秕シンヤ(しいなしんや)は、女なんてロクでもない存在だと思っています。それは、言い過ぎかもしれないと思いつつも、同じ人間だとすら思えないほどに、何を考えているのかわからない生き物だからです。
シンヤがそう思うのには、理由がありました。一年生の頃、ほんの些細なことから知り合った万壌夜子(ばんじょうよるこ)は、友達のいない本ばかり読んでいる地味めな女の子です。しかし、関わってみると彼女は、シンヤはかつて小国の主であり、それを守る騎士こそが自分だと語る妄想電波女だったことがわかります。
以来、夜子はシンヤを守るという名目のもと、シンヤの行く先々に現れるようになるのですが、シンヤの周りに現れる理解不能の少女は彼女だけではなくて……。
- 著者
- 真田ジューイチ
- 出版日
- 2013-01-10
ウェブコミック配信サイト「COMICメテオ」で連載されている作品です。一見すると1人の少年に複数の少女達が恋心を寄せるハーレムものにも思えますが、少女達はそれぞれが狂気を隠し持っていることもあり、サスペンス要素の強い漫画になっています。
シンヤは、周りをどこか冷めた目で見ていたり、殺人現場を見ても動じなかったりと常人とは少し違う感覚を持ったタイプの少年です。そんなシンヤに好意を寄せている少女達も、かなり個性的かつ常人離れしています。
妄想電波女である万壌夜子をはじめ、学校では優等生の顔をしながら、実は痛めつけられて興奮する性癖を持っている色村雅美や、容姿端麗で異性からの人気も高い翼十華は、実はシンヤに付きまとうストーカーです。さらに、シンヤの幼馴染であり10年ぶりに再会した威刈さつきは、巷を騒がせている「連続通り魔殺人事件」と関わり合いがありました。
ストーリー性よりもキャラの異常性が目を引く作品で、主人公を取り巻く少女達に普通のキャラクターはいません。ストーカーや電波女もかなり異常ですが、殺人に関わっている少女までいて、刺激はかなり強い漫画と言っていいでしょう。
一方、シンヤがそんな少女達に振り回されることはなく、むしろ順応するように冷静にコミュニケーションを取っているのもこの作品の特徴です。危険なものほど覗き見たくなる、そんな物語を楽しみたい方は、ぜひチェックしてみてください。
『危ノーマル系女子』について紹介した<『危ノーマル系女子』のヤバすぎる魅力を3巻まで全巻ネタバレ紹介!>の記事もおすすめです。
高校生の柚原(ゆはら)は、家族を失って一人ぼっち。そんな柚原のもとに足しげく通い、食事を作るなど身の回りの世話をしてくれるのが、久しぶりに再会した黄路(こうろ)でした。
ある日、友人の家へ出かけ、そのまま食事をすませてきた柚原が家へ帰ると、黄路が待っていました。黄路の傷だらけの手を見て驚いている柚原とは裏腹に、黄路は柚原の夕食のことを尋ねてきます。すませてきたことを伝えると、黄路はだったら吐こうか?と言いながら指を口に押し込んできて……。
- 著者
- ninikumi
- 出版日
- 2014-01-11
主人公の柚原は、両親を亡くして1人で暮らしており、家事や食事もままならない生活を送っています。そんな柚原の前に現れたのが、黄路です。黄路は、柚原の家へやってくるようになると家事をこなし、お弁当まで作ってくれるようになります。
ここまでは、一見すると静かな日常の中で育まれるラブストーリーなのかと思うでしょう。それは絵柄や表紙の柔らかな雰囲気もあり、何も知らずに読めば多くの人がそんな予想をすると思いますが、そうなると読者は見事に裏切られてしまうでしょう。しかし、そんな絵柄の雰囲気だからこそ、黄路を始めとしたキャラクター達が抱えている闇が引き立てられ、より気味の悪さや恐怖が掻き立てられる効果を生み出しています。
ヒロインの黄路は、柚原の家を訪ねてきて彼がいないとわかると、料理をしながら包丁で指を切りまくったり、夕食を済ませてきた柚原の口に指を突っ込んで食べたものを吐かせようとしたり、冒頭からヤンデレっぷりを披露してくれるのですが、柚原がそれを受け入れているように見えるのもこの作品のポイントです。どうやら2人には、尋常じゃない過去があるようなのですが、それが今後の2人の関係にどう関わっていくのか、それはぜひ実際に読んで確認してみてください。
『シュガーウォール』については<『シュガーウォール』を読もう!ギャルゲ→鬱展開のホラー漫画ネタバレ紹介!>の記事で紹介しています。ぜひご覧ください。
高校二年の鳥居晃(とりいあきら)は、偶然、電車で転びそうになった少女を助けました。その出来事を何となく忘れられずにいた晃でしたが、その時の少女・睦月こはるが晃の前に現れ、助けてもらったお礼にと手作りクッキーを渡されます。
同じ学校の後輩で、見た目も可愛らしいこはるに素直な好意を向けられ、晃もまんざらではありません。しかし、日誌を職員室に届けに行っていた晃が教室に戻ると、そこには晃のリコーダーを舐めているこはるの姿があって……!?
- 著者
- 大城 ようこう
- 出版日
- 2010-04-07
主人公の鳥居晃は、高校2年の男子高校生で、特別なタイプでもない至って普通の少年です。優柔不断なところもありますが基本的に優しい性格で、こはると知り合ったのも、転びそうになった彼女を助けたからでした。
そんな晃に対して好意を抱くことになる睦月こはるは、見た目は小柄な可愛らしい少女ですが、晃に寄せる好意や執着は人一倍強く、それに呼応した行動は時に常人の理解を超えてしまうことも多くあります。
もし現実にあったら……と思うと少し怖いほどですが、そんな恐怖と同時に、こはるの行動は全て晃に対する愛情の裏返しであることも伝わってくるので、怖いけど可愛いと思えるキャラクターになっています。
こはるはヤンデレキャラクターの中では少し柔らかいタイプなので、ヤンデレ系の恋愛をあまり読んだことのない方の入門編としてもいいかもしれません。当初は驚いたり怯えたりしていた晃が、こはるとどういう付き合いをしていくようになるのか、2人の恋の行方は、ぜひ手に取って確認してみてください。
中学2年生の天野雪輝(あまのゆきてる)は、いつも携帯ばかりいじっている、人付き合いのあまり良くない少年です。しかし、雪輝のやっていることは、メールでもゲームでもありません。雪輝は、携帯で「日記」を付けていたのでした。
自分のことを「傍観者」だと思っている雪輝は、ただ目にとまった出来事を書き留めることに居心地の良さを覚えていたのです。ある日、雪輝は携帯に、見慣れない日記が書かれていることに気が付きます。それは、何と未来の出来事についての記述で……!?
- 著者
- えすの サカエ
- 出版日
- 2006-07-21
漫画雑誌「月刊少年エース」に連載され、コミックスは累計発行部数400万部を超えるなど、高い人気を誇った作品です。講談社漫画賞では少年部門にノミネートされました。
主人公の雪輝には、時空王「デウス・エクス・マキナ」という空想の友人がいます。雪輝の空想の中だけの存在だったデウスですが、そのデウスこそが雪輝に未来日記を与えた存在でした。デウスの目的は、未来日記を持っている12人の人間達で命を懸けたサバイバルゲームを行い、勝ち残った人物を次期時空王とすることです。
いきなり殺し合いのゲームに巻き込まれた雪輝ですが、クラスメイトの女の子・我妻由乃(がさいゆの)が、同じように未来日記を持ち、ゲームに参加していることを知ります。成績優秀で美少女な由乃ですが、実は密かに雪輝へ好意を寄せるストーカーでした。
命を懸けたサバイバルという設定はどこか既視感があるものの、この作品が際立っているのは、やはりヒロインがヤンデレ系少女だということでしょう。殺し合いゲームなどの設定の場合は、ヒロインは正統派であることも多いですが、生き残りをかけた緊張感に加えて、ヤンデレヒロインへの恐ろしさも加わり、一度読み始めると最後まで一気に読んでしまいたくなります。ストーリーも展開が早くどんどん進んで行くので、ここは大人買いをして一気読みしてみると、おもしろさを堪能できるかもしれません。
いかがでしたか?ヤンデレなキャラクターは好みがわかれるものでもありますが、人が誰しも持っている闇のようなものを描くことで、そこにある深い愛情を読み取ることもできます。人間の心の闇を垣間見たい方は、ぜひ一度、読んでみてください。